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泥臭いWEBの底から~WEBディレクター覚書~

WEBディレクターというのは何を考えておるのか。その一例。

だいぶん前に「家系図サービスは熱いか?」という記事を書いた。そこで「しばらく使ってみようと思う。で、そのうち続報を。」としていたのだけれど、実際にGeniというサービスを使ってみた。

サービスそのものは以下の記事などを参照してもらいたい。

Tech Crunch Japanese「Geniローンチ!」

実際には上記記事での紹介から様々な機能が追加されているのだけれど、日本であまりその点はキャッチアップされていない様子。
とはいえ今回はGeniというサービスの紹介が目的ではないので割愛。

サイトを見てもらえれば判るように、今のところGeniは英語しか言語が選択できない。日本語はもちろん、その他の言語もダメっぽい。
でまあ、日本語版を用意しない限りはそれこそ日本人にとってハードルが高いので、Geniそのものが日本ですぐ流行ることはないだろう。ただ、それは今回に限っていえばどうでもいいことだ。

Geniで出来ることは主に以下だ。

・家系図作成
→インタフェースなど非常にこなれていて、サクサク作成できる。もちろん自分だけでなく、その他の人物についても登録可能。登録時にその人のメアドを入れれば、その人へ自動でインビテーションが届く。自分にとってどういう関係か?や生死の別なども入れられる。表示形式も多彩。

・プロフィール作成
→自分だけでなく、他の人のプロフィールも作成できる。もちろん登録された本人がインビテーションンに応じてアクセスし、あとで変更も可能。

・メッセージの遣り取り
→Geni上で家系図に登録された人同士でメッセージの遣り取りができる。

で、使ってみた感想

・家系図を埋めるのは楽しい
思いつく限りの親戚を入れていく。自分の場合は親戚が多いのでどんどん増える。ただ「○○のおばちゃん」とか「○○ちゃん」とかアダ名で覚えている人の本名がなかなか思い出せなかったりした。
そうして作業すること10分くらい。自分を起点として、各自の関係がビジュアル的に配置されると、なんというか感慨深い。自分は確かに歴史的な遺伝子の連鎖の中にあり、これだけの人が親戚として存在しているのだということに、感傷的な思いを呼び起こされる。

・一人ではすぐに行き詰まる
とはいえ自分が知っている親戚を入れるだけでは、すぐに行き詰る。自分ひとりだと知っている親戚を全員入れた時点で、もうそれ以上は何もすることがないのだ。
そこで各親戚にプロフィールの充実や人物の追加をしてもらう必要が出てくる。従兄弟の嫁さんのご両親とか実家の兄弟とか。母方の祖母の兄弟の家系とか。

そのためには、まず誰かを招待する必要がある。そこで今回は英語がある程度は理解でき、ウエブサービスのリテラシーもありそうな父と従兄にまずメールで事情を話し、招待してみた。英語のメールが急に来ても、スパムと思われるのがオチだからだ。

・最初の壁でつまづいた
父も従兄も、サービス自体は理解してくれ、興味深く思ってくれたようだった。しかし、情報は更新されない。そういえば、感想も聞いてないな…。
ともあれ、英語なのでなかなかメンバーが増やせず、こちらの出来ることも増えず、あまり頻繁に使えるまでにはいかなかった。

・可能性
たぶん、親戚が親戚を登録していって、自分が直接は知らない家系の人が増えてくると、そうした人の情報を見たりメッセージを送りあったりして楽しくなってくるのだろう。ユーザごとに相手が自分にとってどういう関係なのか辿れるので、安心感やら話題の切っ掛けやらには困らなそうだ。
ええ、と。つまり自分から見て「叔母さんの実家のお兄さんの息子」くらいまでが同じ家系図コミュニティに含まれるようになると、面白いんじゃないかという。

・サービス利用段階のまとめ
第1段階は「人物の追加」と「家系図共有メンバーの追加」、「プロフィールの充填」だ。たいてい、これはすぐに終わる。プロフィールも早々頻繁に変わるものじゃないだろう。第3段階が本番で、「家系図共有メンバー間のコミュニケーション」。長く経てば経つほど第1段階と第2段階は存在感が小さくなり、第3段階が利用の主目的となるだろう。

・日本語だったらどうか?
一般化して考えるのは難しいので、とりあえず自分の親戚を念頭に考えてみる。

>歳若い親戚
→ケータイで使えないと難しいな。あと、この世代は「親戚がどうたら~」なんて興味ないお年頃。

>同世代の親戚
→一番可能性ありそうだが、「mixi+メール+電話で、これ以上何がいるっての?」ということになりそう。

>親世代の親戚
→「親戚がどうこう~」に一番興味を持ちそうだけれど、そもそもwebをあまり利用しない。メールくらいか。それも昨今ではケータイだし、必要なときにYAHOOとかで検索するくらいか。近しい親戚以外とは気軽にメッセージを送りあうことなんてないだろうし(自分と同世代だって親世代の親戚だったらせいぜいが直接の「おじ、おば」関連くらいだろうな)。

>祖父母世代の親戚
→そもそもPCが使えない。

というわけで、なんだか難しいねぇ。前段として「そもそも連絡取りたいor取る必要がある親戚には電話化メールで連絡ができる」以上、それに加えていまさら何かを加えるモチベーションはないだろう。

日記的な使い方ができない以上、「祖父母が孫の様子を知りたくてGeniを見るように~」ってなストーリーは描きにくい。じゃあGeniに日記を付けるとよいかと言えば、それならGeniじゃなくてよくね?ってことになりそう。というか、家族限定のSNSは現在も日本語のサイトがいくつかあるけれど、やっぱりブログとかなんだよな。「祖父母や年配の親戚が見る」ことを考えると、ユーザ登録が閲覧に不可欠なサービスはもう敷居が高い。

とまあ、これは自分や自分の親戚を念頭に置いて導かれた考えなので、自分たちが風変わりか、日本的にはそこそこ一般的なのか判らないけれど、どうもGeni的な家系図サービスは流行りそうにない。海外ではなぜ人気なのだろうか?たんに世界規模なら母集団となる数が多いから?

最後に、おそらくGeni的な家系図サービスはこういう親族にニーズがありそう、というポイント。

・構成員に親族への帰属意識がある
・webで閲覧だけじゃなくアウトプットができる最低限のスキルと意識、習慣がある
・(関係的にも、普段の親密さ的にも)遠い親戚ともコミュニケーションが取りたい
・親戚同士が普段なかなか会えない程度には離れて生活している
・電話、メール、既存のSNS以外にコミュニケーションの経路が欲しい
・こうしたニーズを持つ親族の構成員が一定数以上いる

上記のニーズをある程度満たしていないと、Geni的な家系図サービスはあまり活用されない気がする。しかし、これはけっこう限定的だ。これでは大勢のユーザを引っ張れなさそうだ。何か考え違いをしているのか、見落としている点があるのか…。

日本じゃ難しいのかな。。。

そういえば、コーヒー&シガレッツにも家系図の話がでてきたね。



2007.11.17 04:45 URL | なんで #jxT87rSU [ 編集 ]

今ある海外の家系図サービスを日本語化するだけでは難しい気がします。
とはいえ、日本向けにローカライズしても、パッとしない結果しかもたらさないような予感もしています。根拠はないんですが。

2007.11.18 02:08 URL | ハムカツ #- [ 編集 ]

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