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泥臭いWEBの底から~WEBディレクター覚書~

WEBディレクターというのは何を考えておるのか。その一例。

さて、PSPでコミックが読めるようになるそうで、平均価格帯420円って普通の本と一緒じゃないの? という感じだけれど、ケータイコミックもだいたい1冊分は書籍1冊より値段が高いわけで。だから、というわけで知らない人もいるかもということで電子コミックのお金の流れを簡単に書いてみる。パーセンテージなんかはまちまちなので省くよ。

スタート:ユーザがお金払って購読
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回収1:配信元がいくらか取る。モバイルブック・ジェーピーとか、NTTソルマーレとか。PSPならSCEか。
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回収2:出版社がいくらか取る。編集部とケータイコミックの部署が別になら両者で分け合う。
 ↓
回収3:著者
 ↓
回収4:さらに原作小説やドラマ、映画、ゲームなど他に原作ある場合は、原作者なり制作委員会なり版権元なりにも分配

このうち3と4は順不同ってことで。

例えば「ベヨネッタ」のコミックがあったとして、たいてい電子コミックはケータイだと1冊を話ごとに切って売るのだけれど、1ファイルがだいたい数十円。この数十円を“最低でも”「配信元、出版社、作者、SEGA、プラチナゲームス」で分け合う。仮に1ファイル50円だと均等割り(んなわけないが)すると各所10円になる。えーと、ケータイの公式サイトだとキャリアに上納金があるんだっけ? そうだったらその分も1ファイルあたりだと1円切るかもだが配信元に乗ってくる。

というわけで、1ファイルあたりの利益を考えると現状の値付けでも「売っても売っても儲からない」という印象になる。10円とかそれ以下をちまちま積んでいってようやく手間に見合った収入になるのだが、BLとエロメイン以外はよほどのタイトルでないとなかなか売れないので、複数のサイト・プラットフォームでの配信をして束ねてもたいした額にならなかったり。

上記の例だと均等割りしてさえ月間1万DLで10万円とかの売上げというテンション上がらない結果に。「何もしないでも10万円」ならいいように思うかもしれないが、「月間10万円」とは限らない。月単位だと「数千円~数円」とかね。で、人が大勢来て儲かってるサイトほど配信タイトル数が膨大なのですぐ埋もれる。月ゼロDLという作品やファイルがゴロゴロしていたり。App Storeと同様ですね。なので回収1、2のポジションの人々は「売れなかった作品の損失」を売れた作品で補填できるようにもしておかないといけない。

さらにどこかがファイル制作費を負担しているはずで、ケータイコミックを一度でも読んだことある人なら分かるように、あれは小さなデバイスで読めるようページを分割して動きとか演出しているので多少お金が掛かっている。1冊分で数万円から十数万円とか。

回収1を抜かすべく出版社が自前で独占的にやると「集客」とか「サイト運営」のコストが乗ってくる。それで浮く額が1ファイルあたり数円~数十円。おまけに回収1の人々と「電子コミック読者」のパイを奪い合う。

とまあ、今の価格設定でさえあまりテンション上がるようなビジネスではない。いくら物流費とか製造費とか保管費とかがなくなり、人件費とかを考慮しない状態でも。

むしろ真面目に取り組んで刊行点数を増やした方が損しそうだ。少数のエロメインとかBLで原作ないヤツだけをやったほうが利益率はいいかも。その場合、刊行点数が少ないので埋もれやすいけど、損失が少ない。稿料も総じて安いだろうし。

っちゅーわけで。「紙のコミックを電子コミック化する」というは現時点でさえだいたいの関係各所があまり笑顔になれなそうなビジネスなので、しばらくは値下げなんかないんだろうなあ。たぶん全体で実際の書籍出版事業と同等か、それに近いくらいの収益がちゃんと上げられるくらいになるまでは。

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