「朝鮮人民軍第7回軍事教育幹部大会盛大に開催」:軍事教育の質的向上、民生教育への接近、階級と師弟関係で師弟関係重視、「先党政治」への布石 (2015年11月5日 「労働新聞」)
5日付けの『労働新聞』に「朝鮮人民軍第7回教育幹部大会」が開催され、「最高司令官同志」が演説したという記事が掲載された。
『労働新聞』、「조선인민군 제7차 군사교육일군대회 성대히 진행 경애하는 김정은동지께서 대회에 참석하시여 강령적인 연설을 하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2015-11-05-0001
「第7回」ということなので、「党大会」同様、長期間開催されていなかったのであろう。「元帥様」は、民生部門の教育では「義務教育12年生」を実施するなど改革を進めてきたが、軍事部門における教育改革にも着手したのかもしれない。以下、「最高司令官同志」の演説から、ポイントとなりそうな部分を抜粋してみた。
まず、「軍事教育革命の目標は、全軍金日成-金正日主義化の要求に合うよう、軍事教育の質的水準を決定的に高め」、「今日、我が党では、教育事業、人材育成事業でも、当然、人民軍隊が社会の見本となり、先導者となることを望んでいる」と述べている。この発言を裏側から解釈してみると、「軍事教育」が旧態依然であり、質的にも低いので、「社会の見本」となり得ていないことを指摘しているのであろう。「社会の見本」というのは軍への配慮で、民生教育の水準に合わせろということを言いたいのではないだろうか。
そして、軍事教育の教員が、「学生の学習と修養、知能発展過程をいかに設計し、調整するかにより」その成果は「左右される」とし、「党は、軍事学校の学生を全的に教員に委ねる」としており、「大きな信頼」という言葉で、軍事学校の教員に質向上という課題を出した。
もちろん一方では、「教員を優遇し、地位を向上させながら、事業と生活条件を円満に保障しなければならない」とした上で、「先軍革命の未来を切り開く、軍事学校の教員の苦労につては忘れておらず、いつもありがたく思っている」と述べている。この辺り、民生部門での教員待遇改善と並行して軍事学校教員の待遇も改善するという意思の表れであろう。
さらに、軍隊内での階級と師弟関係にも触れ、「いくら職位(階級)が高くても、自分を教育してくれる教員を師匠として尊敬し、礼節正しく接する気風を徹底して打ち立てる」とも述べており、軍内部での階級重視、一方で儒教的な師弟関係軽視の風潮を戒めている。これも、軍内部での教育を民生教育に近づけたいというところから出た発言であろう。
また、「軍事学校では、学生を軍事家として育てる以前に、革命家として育てなければならないという観点を持ち、政治思想教育をしっかりと前面に打ち出し、学生に金日成-金正日主義原理と我が党の路線と政策、革命歴史を深く体得させ、党軍の指揮官としての資質と軍事活動で提起される全ての問題を主体の思想、理論、方法に基づいて解決できる能力を育てなければならない」としている。この部分は重要で、軍と党の関係を「党が上にあり軍が下にある」ことを再確認することで、それを軍事学校の教育でも徹底するよう求めている。「第7回党大会」での、「先党政治」強化宣言への布石であろう。
「朝鮮人民軍第7回軍事教育幹部大会」で演説する「最高司令官同志」
Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2015-11-05-0001_photo
『労働新聞』、「조선인민군 제7차 군사교육일군대회 성대히 진행 경애하는 김정은동지께서 대회에 참석하시여 강령적인 연설을 하시였다」、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_01&newsID=2015-11-05-0001
「第7回」ということなので、「党大会」同様、長期間開催されていなかったのであろう。「元帥様」は、民生部門の教育では「義務教育12年生」を実施するなど改革を進めてきたが、軍事部門における教育改革にも着手したのかもしれない。以下、「最高司令官同志」の演説から、ポイントとなりそうな部分を抜粋してみた。
まず、「軍事教育革命の目標は、全軍金日成-金正日主義化の要求に合うよう、軍事教育の質的水準を決定的に高め」、「今日、我が党では、教育事業、人材育成事業でも、当然、人民軍隊が社会の見本となり、先導者となることを望んでいる」と述べている。この発言を裏側から解釈してみると、「軍事教育」が旧態依然であり、質的にも低いので、「社会の見本」となり得ていないことを指摘しているのであろう。「社会の見本」というのは軍への配慮で、民生教育の水準に合わせろということを言いたいのではないだろうか。
そして、軍事教育の教員が、「学生の学習と修養、知能発展過程をいかに設計し、調整するかにより」その成果は「左右される」とし、「党は、軍事学校の学生を全的に教員に委ねる」としており、「大きな信頼」という言葉で、軍事学校の教員に質向上という課題を出した。
もちろん一方では、「教員を優遇し、地位を向上させながら、事業と生活条件を円満に保障しなければならない」とした上で、「先軍革命の未来を切り開く、軍事学校の教員の苦労につては忘れておらず、いつもありがたく思っている」と述べている。この辺り、民生部門での教員待遇改善と並行して軍事学校教員の待遇も改善するという意思の表れであろう。
さらに、軍隊内での階級と師弟関係にも触れ、「いくら職位(階級)が高くても、自分を教育してくれる教員を師匠として尊敬し、礼節正しく接する気風を徹底して打ち立てる」とも述べており、軍内部での階級重視、一方で儒教的な師弟関係軽視の風潮を戒めている。これも、軍内部での教育を民生教育に近づけたいというところから出た発言であろう。
また、「軍事学校では、学生を軍事家として育てる以前に、革命家として育てなければならないという観点を持ち、政治思想教育をしっかりと前面に打ち出し、学生に金日成-金正日主義原理と我が党の路線と政策、革命歴史を深く体得させ、党軍の指揮官としての資質と軍事活動で提起される全ての問題を主体の思想、理論、方法に基づいて解決できる能力を育てなければならない」としている。この部分は重要で、軍と党の関係を「党が上にあり軍が下にある」ことを再確認することで、それを軍事学校の教育でも徹底するよう求めている。「第7回党大会」での、「先党政治」強化宣言への布石であろう。
「朝鮮人民軍第7回軍事教育幹部大会」で演説する「最高司令官同志」
Source: 『労働新聞』、http://www.rodong.rep.kp/ko/index.php?strPageID=SF01_02_02&newsID=2015-11-05-0001_photo