次世代スパコンは当然世界一でなければ意味がない

「2位ではだめなのか」 次世代スーパーコンピュータを「仕分け」した議論(産経)

次世代スーパーコンピュータ予算に「ノー」を突きつけた行政刷新会議の議論の方向を決定づけたのは「世界一を目指す理由は何か。2位ではだめなのか」という仕分け人の発言だった。

この日、口火を切ったのは蓮舫参院議員。その後も「一時的にトップを取る意味はどれくらいあるか」(泉健太内閣府政務官)「一番だから良いわけではない」(金田康正東大院教授)「ハードで世界一になればソフトにも波及というが分野で違う」(松井孝典・千葉工業大惑星探査研究センター所長)などと、同調者が相次いだ。
 文科省側は「技術開発が遅れると、すべてで背中を見ることになる」と防戦したが、圧倒的な「世界一不要論」を前に敗北。同研究所の理事長でノーベル化学賞受賞者の野依(のより)良治氏は「(スパコンなしで)科学技術創造立国はありえない」と憤慨していた。

答えは当然、「世界一」でなければならない。日進月歩のコンピュータの世界では次世代=世界一なのだ。当たり前だろう。完成時には世界一でいられる可能性は低いとかどうたらという議論はナンセンスだ。「世界一」は目的でなく、建設段階で「必然」なだけなのだから。結果的に「世界一」でなくなったとしても何ら問題じゃない。
また、池田信夫blog:沈没した「スパコンの戦艦大和」

富士通がクレイの4倍以上のコストのスパコンを開発しても、世界市場では売れない

というのもナンセンスの極みだろう。これは世界市場で売るのが目的ではないのは明らかだ。
この次世代スパコンは地球シミュレータの次世代版として期待されているが、地球シミュレータは「世界市場で売る」のが目的ではない。IPCCは地球シミュレータが予測したシミュレーションを元にAR4をまとめて、アル・ゴアとともにノーベル平和賞を獲得したが、本来ならノーベル平和賞はデータを提供した地球シミュレータセンターが受賞すべきだったろう。もし地球シミュレータが「日の丸」でなく、欧米のどこかの国のものだったら、評価は段違いで恐らく「地球シミュレータ」がノーベル平和賞を獲得していたろう。
もし、次世代スパコンが実現すれば、これまでもっともシミュレーションが困難と言われていた雲の気候変動に与える影響も解明され、気候変動のシミュレーションがさらに精度を増すことだろう。民主党は1990年比マイナス25%の鳩山イニシアチブを掲げながら、全く矛盾することをしていることにすら気付かないおバカ集団で、次世代代スパコン潰しに乗せられている。
そもそも次世代スパコンはその性質からして「戦艦大和」でなければ成り立たないのだ。神戸ポートアイランドに建設されている次世代スパコン施設のコンピュータ棟はなぜ3階建てなのかといえば、スパコン同士の距離を可能な限り近くに置かないと、伝送時間の限界に突き当たるからだろう。3階建てによって立体的に配置することによってスパコン同士の距離が短くなる。これが今度の施設のキモと言っていいと思う。「戦艦大和」でないと困るのだ。
伝送速度は光速以上にはならない。光の速度は秒速約30万キロだ。仮にスパコンとスパコンとの距離が30メートルだとすると、伝送時間は1000万分の1秒だ。人間の感覚からすれば、恐ろしい超速に見えるが、1秒間に1京(1兆の1万倍)の京速計算機を目指すスパコンからすれば、それでも微妙な、速いのか遅いのか分からない伝送時間だという。よく、「戦艦大和」は時代遅れで、中にはほとんど無関係なグリッド・コンピューティングとかクラウド・コンピューティングの時代などと言われてもするけれど、素人目に見てもナンセンスなことが分かる。グリッドやコンピュータを空母機動部隊とでも思っているのだろうか。クラウドなどこの「京速」から見れば、いかにも牧歌的でせいぜい人間の感覚では「超速」に見える検索ビジネス優先のグーグルの児戯に過ぎない。
こんな次元の違う話を「2位ではだめなのか」「世界市場で売れない」だのとは志の低い話ではある。こんなことじゃ本当に日本は三流国家になってしまう。
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