イエメン情勢を現場から解読するドキュメンタリー
- 2015/03/31
- 07:00
イエメンの情勢を現場から、かつ政治対立の構造を見事に可視化してくれるドキュメンタリーが、BBCのホームページで公開された。The Rise of the Houthisこれはすごい。2014年9月に首都サヌアを制圧してから3ヶ月の間の変化を記録しており、一つ一つの画面や登場人物から目を離せない。取材・構成はサファー・アハマド(Safa Al-Ahmad)。BBCアラビックの記者で、急速に注目される女性である。サファーはその前に作った、サウ...
「国際報道2015」の特集で『イスラーム国の衝撃』の「その後」を見ていきましょう
- 2015/03/30
- 07:00
【『イスラーム国の衝撃』のサポートページ(http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-category-21.html)】昨日は『イスラーム国の衝撃』の脱稿・刊行以後の事象を、この本をどの部分を手掛かりに読み解いていけばいいのか、ガイドラインを示しておきましたが、そもそも、生じてくる事象についてどのようなメディアを通じて知ればいいのかがわからない、という人もいるでしょう。私自身のフェイスブックのアカウントから、時折、現地...
トリセツ『イスラーム国の衝撃』:チュニジアやイエメンでの新たな事象の理解にもご利用ください
- 2015/03/29
- 07:00
【『イスラーム国の衝撃』のサポートページ(http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-category-21.html)】『イスラーム国の衝撃』が、当初は品薄で入手に苦労された方も多かったようです。また、お手元に届いてからも、そう簡単に読み進められないという感想も伝わってきます。それはその通りで、すぐに読み捨てるようにはできておりません。今後も長く、中東やイスラーム世界を見る際に参照してほしい本です。この本は、「イスラー...
「読売プレミアム」で長尺インタビューが公開
- 2015/03/28
- 07:00
先日、3月25日付の『読売新聞』に掲載されたインタビューについてお伝えしましたが、そこでは大幅に省略されていたので、長いものが「読売プレミアム」に掲載されました。「イスラム国とは何か 判断材料にしてほしい」『読売プレミアム』2015年3月27日ロングバージョンの方は、『イスラーム国の衝撃』の裏話や、ネット媒体での議論と拡散を介して、紙の本が多くの人の目に触れて二度といた経緯など、「『イスラーム国の衝撃』...
【インタビュー】読売新聞3月25日付「解説スペシャル」欄でイスラーム国とチュニジアについて
- 2015/03/26
- 07:00
昨日(3月25日)の読売新聞朝刊に大きめのインタビューが掲載されておりました。私はあまりに忙しくて忘れていたのですが、気づいて声をかけてくれた方々が多くいました。この記事はウェブ上では有料の「読売プレミアム」のみで公開されています。また、続編を「読売プレミアム」で出していくという企画が進んでおり、数日内に公開される予定です。[解説スペシャル]過激派、自発的に傘下入り 「イスラム国」世界で宣伝戦…池...
チュニジアのウクバ旅団の脅威についてのJane's事前の予測
- 2015/03/25
- 07:00
昨日は、チュニジアのテロに関して、関与が疑われる最有力候補としてのウクバ・イブン・ナーフィア旅団について、それが「イスラーム国」の一部と言えるのかどうか、「アンサール・シャリーア」など他の組織との関係はどうかなど、混乱の所在と論点を提示したが、まだまだ議論は尽きない。チュニジアという日本でよく知られていない国であるために、そもそもウクバ旅団について報道で名前さえ触れられないので、議論がしにくい。例...
チュニジアのテロを行った集団は「イスラーム国」に属するか否かーーウクバ旅団について
- 2015/03/24
- 07:00
チュニジアのテロについて、どうも現地の報道と、日本の報道に乖離があって隔靴掻痒である。その中間には、英語圏の国際メディアの報道があるが、こちらは現地報道のうち共通認識と言える部分をかなり吸い上げつつ、「イスラーム国」や「アンサール・シャリーア」「アル=カーイダ」などのグローバルなジハードの展開についての記事へと結びつけている。日本の報道ではある程度以上複雑(に日本の読者に感じられる)ことを捨象して...
『現代アラブの社会思想ーー終末論とイスラーム主義』が9刷に
- 2015/03/22
- 08:00
『現代アラブの社会思想ーー終末論とイスラーム主義』の第9刷が、先月から市場に出ています。9刷の部数は2100部、と細かい。新しい帯が付いています。累計は5万6100部になりました。2002年の1月に刊行されてから13年間、よく長く生き続けてきました。長く生き続けるということこそが、評価の一つと思っています。この本は、自分自身の研究者としての歩みを振り返る時に、忘れることのできない本です。なによりも...
リビアを新たな聖域とするグローバル・ジハードの次の目標はチュニジア、エジプト、アルジェリアの不安定化(2月18日エントリの再録)
- 2015/03/21
- 12:18
3月18日のチュニジアでのテロについて、情報を取りまとめております。この事件の直接的な背景が何であったのか、この事件をきっかけにチュニジアや北アフリカに今後何が起こってくるのか、考えています。そもそも、チュニジアを中心とした「アラブの春」によって政治変動が様々に起こった諸国について、現在本を完成させる途中であり、そのためにチュニジアそのものについての情報のとりまとめと発信は後回しになっていました。...
【テレビ出演】3月22日(日)夜9時〜「週刊BS-TBS報道部」に出演し、チュニジア分析をします
- 2015/03/21
- 08:00
明日日曜夜に、例外的にテレビ出演を行います。3月22日(日)夜9時〜BS-TBSの「週刊BS-TBS報道部」にて、スタジオでチュニジア情勢について、その中での3月18日のバルドー博物館へのテロについて、解説します。前回2月1日と同じく、元『フォーサイト』編集長の堤信輔氏がレギュラーのゲストで一緒に出演してくださるという条件の元で、また事前に番組構成について私の見解を踏まえてテレビ局側が入念に準備するという条件...
書評まとめ(2)『イスラーム国の衝撃』
- 2015/03/19
- 00:00
【『イスラーム国の衝撃』のサポートページ(http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-category-21.html)】『イスラーム国の衝撃』への書評のまとめの続きです。(1)はこちら。3.週刊誌『週刊新潮』2015年2月5日号(1月29日発売)、《書評欄》「『イスラーム国の衝撃』 池内恵著」(評者・林操)この号は「イスラーム国」一色だったようですね。『週刊ダイヤモンド』2015年2月7日号、《Book Reviews 知を磨く読書》「敵意を増大...
『イスラーム国の衝撃』を剽窃した記事についての対応
- 2015/03/18
- 01:16
非常に時間がないのですが、誤解やデマを避けるために、ここに書いておかねばなりません。『東洋経済オンライン』に掲載された二つの記事が、私の書いた『イスラーム国の衝撃』の複数の箇所を、若干文体を変えただけの引き写しであることを発見しました。問題設定も、論旨も、論理展開も、引いてくる事例もほぼ全てが『イスラーム国の衝撃』および『現代アラブの社会思想』、そして本ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」からの...
書評まとめ(1)『イスラーム国の衝撃』
- 2015/03/17
- 06:00
【『イスラーム国の衝撃』のサポートページ(http://chutoislam.blog.fc2.com/blog-category-21.html)】今回は、『イスラーム国の衝撃』についての書評、書評に近い反響をまとめておきましょう。全部把握しているわけではないので、他にも出ているのを知っていたら教えてください。順次加えていきます。普通は本を出すと、出版社は広告を出し、新聞社などに送ります。新聞や雑誌の書評欄で取り上げてもらうと、書店でも特設コーナ...
コメント集(2):「イスラーム国」による日本人人質殺害・脅迫事件
- 2015/03/16
- 06:00
「イスラーム国」問題では、基本的に既存メディアにはコメントを出しませんでしたが、消極的ながらコメントの掲載を許可した場合もあります。許可したメディアの選び方に特に根拠はなく、偶然です。過去のコメント集の流れで、とにかく記録しておきます。2001年以後の私の論考やコメントは全て保存してあるが、ウェブ上にないのをいいことにデマを流す人が出てくる。防衛策としては、少なくとも存在するものについてはウェブ上...
鳩山さんとドパルデュー:係争地への「移住」について
- 2015/03/15
- 06:00
日曜日なんですからちょっとは軽いネタを。軽くないかも。鳩山さん。「友達の友達が・・・」の人ではなく、最近クリミアに行った元首相の方ですね当然。ロシアの宣伝放送Russia Todayは、ばっちり、一緒に行った右翼団体の人と並んだ会見を伝えています。Ex-Japanese PM finds Crimea referendum 'expressed real will' of locals, Published time: March 11, 2015 10:37; Edited time: March 11, 2015 13:55 連日、ロシア政府の思...
スタジオジブリ『熱風』3月号にエルサレムの宗教政治地理について
- 2015/03/14
- 06:00
スタジオジブリ出版部の『熱風』3月号に寄稿しました。テーマはエルサレムの神殿の丘の地理に見る、宗教と政治権力の関係について。池内恵「エルサレム「神殿の丘」の宗教と権力」『熱風』2015年3月号(3月10日発行)、26−32頁出版社のPR誌という、一般にはあまり知られていない格安の媒体があって、私はそれについては熟知していたつもりだったのが、スタジオジブリ出版部にもあるとは知らなかったので、動揺して引き受...
「シャルリ・エブド事件を考える」(『ふらんす』特別編集)に寄稿しました
- 2015/03/13
- 06:00
1月7日のシャルリ・エブド紙襲撃殺害事件に関して、白水社から刊行された論集に寄稿しました。私の寄稿したものは、ブログ・ウェブ等の議論の再録ではなく、一連の議論を振り返ってどこに思想的・知識社会学的課題があるかについての論考です。自由な社会を形成し維持するための基本的な知的姿勢について、考えるところを書いています。雑誌『ふらんす』の特別編集という名目で軽装版ですが、書籍です。池内恵「自由をめぐる二つ...
検証委員会への外部有識者としての参画について:「イスラーム国」による日本人人質殺害事件
- 2015/03/12
- 17:23
本日11時の官房長官記者会見に合わせて公表されたように「イスラーム国」による日本人人質事件に関する検証委員会に有識者メンバーとして参加することになりました(他のメンバーは、長有紀枝・立教大教授▽小島俊郎・共同通信デジタル執行役員▽田中浩一郎・日本エネルギー経済研究所中東研究センター長▽宮家邦彦・立命館大客員教授)。 この問題が日本国内の政治対立の中で大きな政治問題となったことから、一定の注目を集めて...
『中央公論』4月号の鼎談で「イスラーム国」問題が米欧と国際秩序に及ぼす影響を
- 2015/03/12
- 07:20
『中央公論』4月号(3月10日発売)に鼎談「「イスラム国」 拡散するテロ」が掲載されています。夥しい数の「「イスラム国」とテロ」的な特集が(ピケティ特集と並んで)、各紙で行われていますが、この鼎談では、編集部の当初の意図がどうだったのかは知りませんが、それらとは違う次元で考えています。国際秩序を形成する理念と実効性を提供してきた二つの極であるアメリカと西欧、およびそれらが近代世界に示してきた国際秩...
『週刊エコノミスト』の読書日記(9)は政教分離の思想史
- 2015/03/12
- 06:00
今年の1月以来、リアルタイムの情報発信にはフェイスブック(https://www.facebook.com/satoshi.ikeuchi)を多用していますが、このブログも今後も引き続き活用していきたいと思います。中東に関する記事の断片的な紹介などはフェイスブックの方に回し、ブログでは従来からの情報のストック・データベース構築の場としての意味を一層強めたいと考えています。次の本の完成のために限界まで執筆作業をしており、なかなかブログにま...
【テレビ出演】3月12日(木)夜10時〜「日経プラス10」(BSジャパン)
- 2015/03/11
- 06:00
例外的に、テレビ出演です。BS ジャパンの「日経プラス10」3月12日(木)夜10:00〜BSジャパンの番組「日経プラス10」でゲスト解説をします。この日の特集、「勢力拡大する『イスラム国』~日本へのテロの脅威は?」の中での「トーク+」のコーナーです。本の執筆で全く時間がありませんが、気分転換に引き受けました。日本人人質事件の時のような緊張感は日本にはありませんが、イラクでの「イスラーム国」掃討作戦が進んでいます...