「右派から距離をおく日本政府」の必死の情報戦
- 2014/02/28
- 04:04
印象に残った記事。"Japan distances itself from right-wing statements" Washingotn Post(AP), February 24. 「日本は右派の発言から距離を置く」ワシントンポストがAP通信配信の記事を掲載したもの。画面には岸田外務大臣が両手で口と鼻を覆った、「苦悩」するかのような表情が大写しになる。"Japan’s foreign minister is trying to distance his government from recent right-wing comments on World War II, calling them...
在米エジプト人研究者の苦衷
- 2014/02/27
- 01:38
前のエントリの続き。閉ざされたエジプト社会の脱線ぶりと、在外エジプト人には鮮烈なギャップがある。エジプト人の優秀な人はこぞって海外に出るので、特にアメリカで、科学研究の場で出世している人が多い。例えばこの人。興奮したエジプト・メディアの突撃取材を受けて、かなり困っているご様子。「科学研究とは何か」を若い記者に懇々と説いているが、あまり通じていないようだ。最初の方を若干かいつまんで訳すと・・・質問「...
エイズとC型肝炎にも勝利したエジプト軍
- 2014/02/26
- 23:41
インターネットの時代になって、怖いのは、どこの国でも、夜郎自大に自国民を威圧してこられたエラいさんの、実態としてはトホホな水準の発言や、それをもてはやす一部の人の行状が、一瞬にして世界中に晒されてしまい、デジタル的に永遠に保存されて複製され、取り返しがつかないこと。日本でも最近続発していますが、こういった方面で人後に落ちない(?)のはエジプト。2月22日に、エジプト軍の軍医のかなり偉い人(少将:軍医...
MERS(中東呼吸器症候群)はラクダでうつるらしい
- 2014/02/25
- 21:45
100枚(4万字)を超えた論文の詰めで朦朧としていますので、ニュース紹介は手短に。2月20日 リビアで憲法起草委員会の直接選挙の投票が全国で行われる。2月22日 シリア内戦ではじめて国連安保理決議が可決(安保理決議2139号)。これはシリア内戦にどう影響を与えるのか。かえって激化するという説も強い。2月24日 エジプトのベブラーウィー内閣が突如総辞職。これが何を意味するのか。また、より重要かもしれないのは、イエメ...
ある日のスケジュール
- 2014/02/21
- 02:15
研究所所属というと、「ヒマなんでしょ?」とよく聞かれる。確かに、大学だけど研究所、というのは、大学業界の外の人には分かり難いと思う。東京大学・先端科学技術研究センター(通称「先端研」)というのは、大学業界の中では「附置研究所」という枠に入る。附置研究所の形態や存在意義は、分かる人にしか分からない、というか端的に「いらん」と言っている人すら大学業界の中にもいると思う。附置研究所の中でも先端研はさらに...
エジプトのおバカ・ニュース(とロシアへの接近)
- 2014/02/20
- 02:36
今のエジプトの世相を示す、オバカ・ニュース。エジプトの民間の新聞ワタン(el-Watan)が2月19日にウェブに載せた「商人がスィースィーのロシア訪問に寄せて、ナイル河の上に、オバマはゲーム・オーバーだと書いた」という記事。マンスーラという、上エジプト(エジプト北部・ナイル河下流のデルタ地帯)の主要都市で、アニース・サイード・アズィーズィーとかいう鉄商人がスィースィーのロシア訪問を祝ってナイル河に錫と発泡スチ...
モンゴルとイスラーム的中国
- 2014/02/19
- 18:08
見本が届いたばかりの、最新の寄稿です。楊海英『モンゴルとイスラーム的中国』文藝春秋・文春学芸ライブラリー、2014年2月20日刊(単行本は2007年、風響社より刊行)ここに「解説」を寄せました(425-430頁)。イスラーム世界を専門にしているといっても、中国ムスリムは私にとって最も未知の世界。勉強させてもらいました。中国西北部、モンゴル系やウイグル系のムスリム諸民族を訪ね歩く。「民族」が縦糸、スーフィー教団の系...
タバの観光バス爆破:続報
- 2014/02/17
- 11:48
昨日のエジプト・タバでの観光バス爆破、(1)「アンサール・バイトル・マクディス(エルサレムの支援者たち)」が犯行声明を出した。観光客に退去を勧告。(2)内務省が、死者数を、当初の4人から3人(韓国人観光客2名とエジプト人ガイド1名)に修正。とのこと。ネットで見る限り産経新聞はこのニュースをそれなりにおさえていますね。エジプトの英語紙では、シナイ半島での大規模な観光客を狙ったテロとしては2006年のダハブで...
エジプト・シナイ半島タバで観光バス爆破
- 2014/02/17
- 03:09
2月16日、エジプトの東部シナイ半島のタバで観光バスが爆破され、少なくとも4人が死亡。爆破の映像(34秒ぐらいから)。エジプトはシナイ半島を中心に、これまでとは違って、イラクやシリアと(程度の差はあるが)同様の、武装反乱(insurgency)が続く、ある種の内戦状態になっている、という話はしてきたが、今回また一歩進んだ。これまでの経緯はとりあえずこのあたりから。「エジプト軍ヘリ撃墜で「地対空ミサイル使用」の恐怖...
されどわれらが日々
- 2014/02/16
- 18:29
引き続き体力の限界まで二本の論文を書きながら火曜日にある別の論文の報告会の準備。というわけで中東情勢解説はお休みして、最近出たインタビューの紹介。「アメリカの覇権にはもう期待できない──大国なき後の戦略を作れ」『文藝春秋』2014年3月号(第92巻第4号)、158-166頁。雑誌全体は、今回の芥川賞発表と、ちょうど150回になる芥川賞の歴史を振り返る号なので、なかなか面白いです。「レガシー・メディア」の面目躍如とい...
災後の文明
- 2014/02/14
- 19:00
ものすごく重く重要な(私にとって)論文を二本、何が何でも金曜日までに、、ということで昼夜を問わず死力を尽くして完成(ほぼ)に漕ぎ着けましたが、もう頭が動きません。途上国経済よりも私が低体温になっている感じがします。外は雪。。中東問題解説はお休みして、見本が届いた近日発売の共著をご紹介。御厨貴・飯尾潤(責任編集)『「災後」の文明』阪急コミュニケーションズ、2014年2月20日発売震災後の社会と政治を、政治...
トルコ経済はどうなる(3)「低体温化」どうでしょう
- 2014/02/12
- 02:21
米国でのテーパリング(超金融緩和政策の縮小)がなぜトルコ経済に影響を与えるかというと、私は専門ではないので、関わったお仕事でエコノミストの皆様に教えていただいた話を引き写します。PHP総合研究所で「グローバル・リスク分析プロジェクト」というのがあるのですが、これに2013年版から参加させてもらっていましたが、2014年版が昨年12月後半にちょうど出たところでした。「PHPグローバル・リスク分析」2014...
トルコ経済はどうなる(2)テーパリングって何だっけ
- 2014/02/11
- 21:05
経済専門家にとっては初歩中の初歩なようだけど、ここでおさらいしておくと、トルコがその渦中にある問題は、トルコ一国の問題ではなく、米国の金融緩和縮小が途上国にどう及ぶかという問題。昨年半ばごろから世界経済の時限爆弾というか自爆スイッチのように恐れられてきた、米国が続けてきた超金融緩和政策の見直し、いわゆる「テーパリング(tapering)」が、ブームを超えてバブルのようになっていた新興国経済にどう影響を与え...
トルコ経済はどうなる(1)深夜の果断な利上げ
- 2014/02/10
- 13:36
1月22日に「トルコはもう三丁目の夕日じゃないよ」と書いてから、トルコ経済はずいぶん動いた。劇的だったのはトルコ中央銀行が1月28日深夜に緊急の金融政策決定会合を開いて、翌日未明にかけて、直前の予想よりもさらに大きな幅の利上げを行ったこと。1月末に世界中の新興国に伝染した通貨危機の不安を打ち消すための果断な措置。これが効果をもたらすか、注目されている。これは単にトルコ一国の経済に関わることではない。世界...
2020年に中東は、イスラーム世界はどうなっている?
- 2014/02/05
- 22:24
出ました。池内恵「アル=カーイダの夢──2020年、世界カリフ国家構想」『外交』第23号、2014年1月、32-37頁「2020年東京オリンピックに向けて」ということで、「2020年に日本は世界はどうなっているか~」的なおざなりな(失礼)企画がメディアの各所で一巡したように思う。そんな中で、「2020年の中東と国際秩序」というようなざっくりとしたイメージでの依頼を受けて、それに対して表面的には全く異なるテーマで寄稿したもの。...
ちょっといい話
- 2014/02/01
- 21:07
吉田類の酒場放浪記。オープニングのあの曲、Egyptian Fantasyというんですね。ニューオーリンズに学会に行った際に、入った店でバンドが弾いていたので検索してみると・・・ものすごく有名な曲なんでしょうが、名前を知りませんでした。これからはあの番組を見るのも仕事の一部ということで。週刊文春中吊り広告によると吉田類「下戸疑惑」らしいですが、ファンタジーなんだからいいじゃないですか。今日は仕事できませんでした。...