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2011年10月 3日 (月)

子供と魔法と温泉と

 ようやく「マルタ・アルゲリッチ 子供と魔法」を読む事ができました。いわゆる伝記本で興味深い記述も多々あるのですが、内容は「ええーーっ!ほんと?」と思うような事から「え~、ほんまかいな~」な事まで、かなりのレンジに富んでおりました。

 

 その中で、彼女、マルタは自分が天才的なピアニストであると周りから思われるのが嫌だった、注目の的になるのがかなり苦痛であったという記述があり、大昔、彼女のコンサートでの出来事をまざまざと思い出し、私ははたと膝を打ったのでした。今思えば、あの時彼女はそういう心境だったのだと。

 

 彼女のコンサートには、81、84、87と三回行きまして、多分87年のクレーメルとのデュオの時だった気がするのですが(84年かも)、楽屋で彼女に挨拶を述べるために(マルタ・アルゲリッチにですよ!)観客は一列に並んでいたのです。
私は楽屋へ行って良いものかどうか酷く迷い悩んでしまい、勇気を振り絞って楽屋にいった時は一番最後でした。
長々待っていよいよ私の番になり、彼女の前に進み出た時、入り口近くの壁際に立っていたマルタ・アルゲリッチは、一瞬だけ、微かに、潜むように壁と柱の隅に身を寄せたのです。その時彼女は大ピアニストというより、思いっきりバツの悪いことに狼狽える表情。

 

 この本を読んで初めて、あの時挨拶に来たファンの賛辞が彼女にとっては居心地の悪いものだったのだと理解できました。
ピアニスト、マルタ・アルゲリッチは、でもとても感じよく、にこやかに一人一人と言葉を交わしていたのです。そして頑張り抜いた最後の最後が、NHKホールでポゴレリチを追跡した(リンク)この私だったのです。これは危ない。

 

そしてその時私が発した言葉は

 

 

 長野にはとても良い温泉がたくさんあります。今度は是非、入りに来て下さい!!!

 

 
 今考えると私はどうしてこんな事を言ってしまったのかとうろたえるばかり(^_^;

 

 しかしこれを聞いた時の彼女のほっとした表情ときたら。
大きく安堵の吐息をつき、急に表情がぱあっと明るくなって大笑いしながら満面の笑みで、「いいわ、いいわ、もちろんよ~」みたいな返答をしてくれ(推定です。緊張の余りなんと言われたか覚えていません)、握手して頂いたのです。サインもして頂きました。まるで長年の友達にでも対するような、気さくで温かい態度でした。
他にも何か色々話しかけられた気もするのですが、緊張のあまりもう何が何だか・・・。

 

 

 あのマルタ・アルゲリッチがこんなに温かい人柄だと判って、私は天にも昇る心地でしたが、それでも彼女の最初の表情はずっと謎でした。そしてこの本を読んでその謎がようやく解けました。最初に居たのは出来れば逃げ出したいマルティータだったのだと。そしてそれも彼女なのだと。

 

 音楽家ってタフでないと務まらないとは思っていましたけど、タフとは限らないところに大変さがあったんですね。
 
 これが私が過去なんども「姐さんと握手した~」と吹聴していた(リンク)握手事件の顛末です。温泉は温泉でも『別府』という展開ですし。 枯れ尾花ぽくて、すみません(;^_^A アセアセ

 

追記  姐さん握手記事、間違って違う記事をリンクしていました。直しました(~_~;)

追記2  姐さんのドキュ映画の感想文をアップしました(リンク)

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コメント

クレーメルってギドン・クレーメルですか?
ぽんずさん、なかなか多趣味でいらっしゃる。
いやいや、長野の温泉をアピールしましょ~(^^)/

こんにちは。

素敵なエピソードですね(^ ^)
何も考えずにその言葉が出たのなら、無意識のうちに相手にとって一番ふさわしい言葉を選んでいたってことではないでしょうか。
通りいっぺんの賛辞よりも相手は嬉しかったんでしょうね(^^)

ぽんずさん、

アルゲリッチさまはきっと温泉云々の言葉をかけたぽんずさんを忘れることはできないでしょう(笑)

お二人にとってなんて素敵なふれあいでしょうか!!

ほんとう、素敵ですね。

思わず顔がほころびましたわ~~!!

ムムリク様

 そうなんです、あのクレーメルさんです(笑)
当時、彼は演奏中はなんとなく茹でタコみたいになって楽しかったです(殴)

>>長野の温泉をアピールしましょ~(^^)/
 キャンペーンガールでもあるまいに、なんであんな事を言ってしまったのか(爆)


 
 
 
tako様

 瓢箪から駒で素敵な事態みたいになってしまいましたが、あれはアクシデントでした~。私緊張すると何を口走るか判らないので、本当に困ります^_^;

>>無意識のうちに相手にとって
 多分、本当にトンチンカンで、それでほっと出来たんだと思います(笑)
この出来事で、私の今までの驚愕のトンチンカン返答の埋め合わせになりそうなのが、せめてもの救いです(笑)

アルゲリッチは優しくて暖かみのある、とても素敵な人でした。演奏中からは想像も出来ないくらい(笑)


こもも様

>>アルゲリッチさまはきっと温泉云々の言葉
>>をかけたぽんずさんを忘れることはできな
>>いでしょう(笑)

 でも、忘れてなかったとしても、その結果が『別府アルゲリッチ音楽祭』なのですよ。私この音楽祭が決まったとき、別府には勝てないって思っちゃいました。別府相手には無理だわ~(T.T)

>>思わず顔がほころびましたわ~~!!
 姐さんの笑顔も素敵ですよ。
無条件でこちらの顔もほころびます。

いつか温泉に浸かって、姐さんの演奏を聴きたいです、別府で(笑)

>「長野にはとても良い温泉が・・・入りに来てください!!!」
ぽんずさん、とてもユニークです。
よいわ。よいわ。
私の夢の中に出てきたアルゲリッチ、いいセンいっていたかも。

(真面目モードで)
素敵な出会い、一期一会、ふとよぎりました。

『マルタ・アルゲリッチ 子供と魔法』、今、Micukiちゃんも読んでいるそうです。
私も読んでみようかな。

ぽんず 様

私も読みました、そして反応もまさしく同じように2つ「え〜?、えーーー!!!』でした、笑。

天才はとかく爪を出したがる物だとばかり思っていた私の考えを、大きく覆してくれたマーサ叔母。ベルギーのお家も駆け込み寺と化してるようですし、人間味が有りすぎる天才ですね。そんな天女のような人に瞬時にして安心感を与えたぽんず様、凄いです。

私としてはもう少し突っ込んだ話も聞きたかったのが正直な所ですが、彼女のインタビューが全てではないこと、周りの話を繋ぎながら出来上がった本なのでしょうがないですね。 このジャーナリストはパリでクラッシック音楽番組も持ってる、ちょっと「よいしょ」が上手な人らしいです。(同僚談) 

はるぴょん様

>>ぽんずさん、とてもユニークです。
ユニーク!なんて素敵な言葉(笑)
一番衝撃なのは、この記事を書くまでの二十数年間、この発言の異様性に全く無自覚だった事です。信じられない~ (笑)

>>私の夢の中に出てきたアルゲリッチ、いいセンいっていたかも。
 かなり的確だったと思います。
夢の話を伺ってびっくりしましたもの(笑)

一期一会、確かに。いつも後から振り返って、その言葉を噛みしめるばかりですが。

あの本はまず図書館で借りて読んだ方がいいと思います。
前半の修業時代と巻末の年譜は資料として貴重なんですけど、後半は女性週刊誌みたいな展開で、私、借りたの正解だったわと^_^;
(すみません!借りました(爆))


Micuki 様

>>私も読みました、そして
 ああいう反応にならざるを得ないですよね(爆)
もう、なんていうのか・・・(笑)

>>人間味が有りすぎる天才ですね。
 ですよね。
糖衣をかけた書き方だとは思いますけど、暖かみのある人間味ですよね。
ホームレスの巣って凄すぎ(笑)


>>そんな天女のような人に瞬時に
 これは彼女のお助け精神に火が付いたというのが真相だと思います。
「ああ、この頭の不自由な子を助けなければ!」みたいな。
どう考えても「かわいそうな子」です、あの時の私は(爆)

>>もう少し突っ込んだ話も
 そうですよね。部分部分で食い足りないところが。他で出ている話は省いちゃったのでしょうか。グルダと録音を聴くレッスンをもう少し詳しく書いて欲しかったです。

>>ちょっと「よいしょ」が上手な人らしい
 やっぱり!
あれはちょっと美化しすぎですよね。
取り敢えずお母さんを悪役にして罪を着せた感じでもありますし(美空ひばりのお母さんみたいで笑えました)

でも、マーサはやっぱり凄いですわ。

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