ホロヴィッツのコンサート(演奏編2)
休憩時間は長めの30分程と記憶しております。
その時の詳細は番外で書きますが、前記事のいびき?VIP氏は本当にVIPだったらしく、私が階段を上がっていく途中で下を見下ろすと、カメラとライトの中、客席からの出口扉前に少し戻される様子で立ち、アナウンサーが何か話しかけているのが見えました。
後半の演奏は、音もずっと安定し、ミスタッチも減っていました。安心して聴いてはいられましたが、前半のあの音を追求する演奏の印象が強くて、後半はやや印象が薄いのです。
破綻がないというより、なにか装飾がないような、そんな印象でした。
幻想ポロネーズはばりばり弾けば良いという曲でもないので、落ち着いた弾き方もありかな、とは思いましたが。
それも関係するのか後半は全体的に「弱音」が美しかったと記憶しています。その弱音もレコードなどで聞き慣れたものではない、少し違った、でも非常に美しい音でした。
間にはさまれた小曲はちょっと記憶が曖昧なんですが、後に控えた曲が曲なので、手を抜くんじゃないかな、などと思ってたんですが、どうも手は抜かなかったみたいでした。
小品なのに、何故そう思ったのか、理由は随分後になって思い当たったのですがそれは後知恵編で書きます。
そして最後の「英雄ポロネーズ」
弾き始める前は、この曲もつのだろうかといらぬ心配をした私ですが、やっぱりホロヴィッツでした。
疲れのためか、迫力に欠けている部分もありました。けれど鍵盤の上を「えいやっ!」とばかり縦横無尽に腕を動かし、自分の思うままに曲も観客も引きずり回す、あの演奏は、やっぱりこの人ならではでしょう。普通のピアニストがこれをしたら笑い者になりかねないのに、観客の心を掴む何かがこの人にはあると思いました。やっぱりホロヴィッツだけの事はありました。
演奏が終わり、この時は迷うことなく瞬時に立ち上がって手を敲きました。
「ブラボー」と叫ぶ人もいましたが、「ベラボー」と罵声を浴びせる声の方が私にはよく聞こえました。
実はこの「ベラボー」前半終了直後にも発せられてます。また拍手もお義理で席を蹴立てるように立ち上がり、出口に向かう人もいました。
が、私は邪魔にならないように通路に出て、それでも手をたたき続けました。
ポゴレリチ氏も帰る人を避けながら通路で拍手してました。私は一階席なので上の状態は判らなかったのですが、観客はあっさり帰る人と、絶対帰るまいと決意しているかの様な人と、酔っぱらいが良くするように手を口に当てて上を向いて罵声を発している人の3タイプにわかれていた模様です。
カーテンコールは何回もありました。ポゴレリチ氏は最後の方で連れの女性に促されるように出口に向かったのですが、もう一度拍手が大きくなると立ち止まり、扉の横で拍手をしていました。
最後は私もホロヴィッツに見とれてたので断言は出来ないのですが、確か彼も最後まで残って拍手をしていた観客の一人だったと思います(私が客席から出たらホワイエにまだいたんですから)。
関連記事
演奏編(近くにポゴレリチ) (リンク)
後知恵編 (リンク)
ポゴレリチ追跡編 (リンク)
コンサート映像 (リンク)
« ホロヴィッツのコンサート(演奏編1) | トップページ | ホロヴィッツのコンサート(後知恵編) »
「音楽」カテゴリの記事
- 目をキラッキラ輝かせていた人の話(2018.12.29)
- 鬼に笑いを!(2015.12.08)
- アルゲリッチ 私こそ、音楽!(2015.11.20)
- 続・芸術家達にお茶を プリセツカヤさん追悼(2015.05.30)
- 5月13日しらかわホール ポゴレリッチコンサート(2012.05.17)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント