はてなキーワード: 特例公債とは
今朝のNHK「日曜討論」「徹底討論!消費税減税・給付付き税額控除」について、片岡剛士氏、原田泰氏、土居丈朗氏、森信茂樹氏各氏の発言内容のメモです。なるべく主観を入れずに書いております。
1.片岡剛士氏の主張
• 物価高への直接的な効果: 現在の物価上昇の約半分は食料品やエネルギーが占めており、飲食料品に限った消費税減税は価格上昇を是正する効果がある。
• 低所得者層への支援: 減税の恩恵は低所得者ほど大きくなるため、経済対策、物価高対策、低所得者対策の3つの意味を持ちます。
• 価格転嫁と需要: 価格を確実に下げるためには、過去の消費税増税時のように価格転嫁を進めるための法対応が必要だ。また、食料品は価格が下がっても消費量が急増するわけではない(価格弾力性が低い)ため、需要増加によって再び価格が上がってしまう懸念は起こりにくい。
• 実務的な課題: 競合する外食産業への対策や、小売業におけるシステム変更のコスト対応、そして2年後に税率を戻す際の「一気に戻すか」といった議論が実務上の課題になる。
財源と積極財政について
• 10兆円規模の減税であっても財源については「全く心配していない」。名目成長率が上昇したことで日本の財政状況は改善しており、成長を続けることこそが安定財源確保への最大の近道である。
• 高市総理の掲げる「責任ある積極財政」は、デフレを脱却した状況下で供給力を高めて所得を上げ、物価を安定させることが目的であり、財政の健全化に配慮しつつ経済を刺激していくべきだ。
• 導入に賛成しており、低所得者世帯の税や社会保障の負担軽減、および諸外国と比べて少ない子育て世帯への支援として重視。
• 最初から完璧な制度設計は難しいため、所得捕捉の難しさなどの課題をクリアしながら、2年後から段階的に進めていくべきだ。
2.原田泰氏の主張
• 直接的な値下げ効果: 食料品の価格を下げる最も簡単な方法は輸入自由化ですが、政治的に難しいため消費税減税が議論されている。全体的に物価が上がっている状況下でも、消費税を減税した分だけは直接的に値段が下がる効果がある。
• 基本的には生活を下支えする物価対策ですが、5兆円規模の減税となるため景気対策としての効果もある。
財源と積極財政について
• 日本の財政状況はドイツよりも良くなっていることを前提に議論すべき。
• 名目GDP(分母)と債務残高(分子)が同じ割合で増えれば対GDP比は上がらないため、現行から追加で10兆円(最大25兆円程度)の赤字を作っても財政的に問題ない。
• 消費税5兆円の議論に留まらず、防衛費などすべての需要と収入をテーブルに載せて包括的に議論すれば財政運営はうまくいく。
• 制度には賛成しつつも、誰を対象にするかや所得の正確な捕捉など、課題が非常に大きい。アメリカでは過少申告による不正受給が3割ある。
• まずは事務的に可能な「給与所得者」を対象にした就労促進と、社会保険料の負担軽減に絞って始めるのが現実的だ。
3.土居丈朗氏の主張
• 効果への疑問: 流通業者はできるだけ高い値段で売りたいため、消費税が下がっても値段は簡単には下がらない。むしろ、減税で需要が喚起されると業者が価格を上げ、需要を煽って物価を上げる逆効果の可能性さえある。
• 税率変更による物価の乱高下: 1年目は下がっても2年目はそれ以上下がらず、2年後に8%に戻せば物価が8%上がり国民の反発を招くと指摘。税率の変更による物価の乱高下は避けるべき。
• 減税の恩恵は低所得者で9万円程度に留まるため、5兆円の財源があるなら対象を絞った直接給付(低所得層に8万円など)を行う方が効果的。
財源と積極財政について
• 世代間の公平性を重んじており、消費税を減税して所得税等に依存すると、高齢者の負担が減り現役世代の負担が重くなる。そのため、減税という「寄り道」はすべきではない。
• 特例公債(赤字国債)に依存しないなら恒久財源が必要ですが、積立金などは防衛費の財源に当て込まれているため消費税には使えない。
• 積極財政で成長投資を促すなら、国民の税金で返済する一般会計ではなく、利用者の負担や企業の利払いで返済される「財政投融資(財投債)」を活用すべきだ。
• 対象としては、社会保障の恩恵を受けられない就職氷河期世代の非正規雇用者や、「年収の壁」に直面して就労調整している人々にフォーカスし、手取りを増やす制度にすべき。
• 所得捕捉のシステム構築には時間がかかりますが、「年末調整」を利用すればスピーディーに開始できる。
4.森信茂樹氏の主張
• 効果の薄い物価対策: インフレ状況下では、中間業者が自身のマージンを確保するために減税分を吸収してしまうため、期待されるほどの値下げ効果はない。ドイツやイギリスでも過去に失敗した。
• ゼロ税率の弊害: 食料品の税率をゼロにすると、仕入れ段階で10%の消費税を支払っている農家やスーパーが、売上から消費税を受け取れないため還付を受けるまでの資金繰りが悪化。また、還付のためにインボイスを導入するなど免税事業者の事務負担が激増する。
財源と積極財政について
• 外為特会などのいわゆる「埋蔵金」から無理やり財源を捻出すると、市場からの評価を得られず、円安や更なる物価高に繋がる懸念がある。
• 税収が伸びても国債費(利払い費等)や地方交付税に消えてしまい、政府の手元に残る財源は極めて少ない。
• 責任ある財政運営の鍵は「財源が確保できているか」であり、市場だけでなく国民が判断すべき。
• 就労促進への特化: 本来の目的は「就労の促進(貧困の罠の解消)」であり、「130万円の壁」を乗り越えるためにピンポイントで適用すれば、日本の供給力不足を解消し成長力を高められる。
• 消費税の逆進性対策などを含めて広範囲に実施すると財源が際限なく膨らむため、まずは1兆円規模の就労促進から小さくスタートすべき。
• マイナンバーを活用して所得を正確に捕捉し給付に繋げるためのデジタル基盤の構築には、1〜2年の時間が必要。
https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=566V9ZMX35_01_4303188