世界でいちばん古くて大切なスピリチュアルの教え
エックハルト・トール
徳間書店
2006-04-30


  • 頭に浮かぶ一つひとつの考えを真実とみなすたび、たくさんの苦しみ、たくさんの不幸が怒涛のように押し寄せてきます。出来事は人を不幸にすることはできません。出来事は、身体に苦痛をもたらすことはあるかもしれませんが、人間を不幸にするパワーはありません。人間を不幸にしているものは、ほかでもない、自分自身の思考なのです。あなたを不幸にしているのは、出来事に対するあなたの「解釈」、あなたが自分に話し聞かせている、「わたしの物語」なのです。
  • わたしたちは、自分にも、他人にも、ちょっとした「わたしの物語」を話すものですが、これは往々にして「苦情」の形をとることが多いものです。この習慣は、他人や物事を「悪者」にし、自分を「正しい人」扱いすることによって、日常的に抱いている「わたしは不完全な人間です」という自己認識に知らず知らずのうちに拍車をかけるしくみになっています。「正しい人」になることによって、自分が優越なポジションにいるような錯覚におちいる偽の自己であるエゴを増大させているのです。これは、ある主の敵をつくることにもなります。エゴは自分のなわばりを確保するために「敵」をつくりたくてしようがありません。天気でさえも、その役目を果たすほどです。
  • なぜこんなことが起こるかというと、エゴは苦しみに喜びを覚えるからです。エゴは苦しみに喜びを覚えるからです。エゴは状況や人にリアクションすることと、そこから生じる軋轢をとおして、肥大化しているのです。
  • 不幸も問題も、「いま」の中では生き延びることができません。
    苦しいとき、不幸なときに、完全に「いま、そうであるもの」の中に在ることです。不幸も問題も、「いま」の中では生き延びることができません。
  • どんなものもレッテルを貼るのをやめて善悪のレベルを超越してください。レッテル貼りの習慣を超えてください。レッテル貼りの習慣を肥えると、宇宙のパワーがあなたを通して働き出します。
    出来事に対して、リアクションをしないという姿勢を貫くとき、それまで、「悪」と見えていたものは、ときとしては即座に、あるいは時間の経過と共に生命パワーを通して、好転していくものです。
  • どんな状況にも、どんな人々にも。「悪」あるいは「悲惨だ」以外に言葉が見つからないときでさえ、その奥には「まったき善」が隠れているのです。これを奇跡と呼ばずして、なんと呼ぶでしょう?このまったき善は「すでにそうであるもの(現実)」を、心から受け入れることによって、わたしたちの内面と外面の両方に姿を現わします。
  • 「悪に抵抗するなかれ」は、人類がもっとも貴ぶべき真実の一つです。
  • 「苦痛なんてまっぴら」と感じるのは、正常な精神の持ち主であることの証です。けれども、その嫌がる気持ちを手放し、痛みをただありのまま放っておくなら、自分の内面で、痛みが自分から分離し、痛みと自分の間に、まるでスペースができるような微妙な感覚に気づくでしょう。これは、自発的に苦しむことを意味します。