世界でいちばん古くて大切なスピリチュアルの教え
エックハルト・トール
徳間書店
2006-04-30


  • いかなるドグマ(教理)も、それが宗教上のものであれ、政治上のものであれ、科学的なものであれ、言葉によって真実を言い表すことができるという誤解から生まれたものに過ぎません。ドグマとは集合的な観念の牢獄です。そして、とても奇妙なことに人間は自らの牢獄を愛しているのです。その理由は、ドグマは人間に一種の安心感と「私は知っている」という偽りの感覚を与えるからです。
  • その根本的な「幻想」とは、思考と「本当の自分」を同一視してしまうこと。
  • スピリチュアルな覚醒とは、「思考の夢」から目覚めること。
  • やって来て、やがて過ぎ去っていくものは「本当の自分」ではありません。
  • 頭の中だけでなく心と身体すべてで感じることのできる躍動感があなたの中に存在します。思考活動のない「在る」状態では、細胞の一つひとつが生き生き脈打っています。しかも、その状態にいたるなら実質的な目的で思考が必要とされるときには、思考力は確実に役目を果たします。「本当の自分」という偉大なる叡智が頭脳を通して自己を表現するとき、そのときはじめて頭脳は美しく機能するのです。
  • 「人生をマスターすること」は、「人生をコントロールすること」と、対極に位置します。人生をマスターすることは。より偉大な意識とシンクロすることです。この意識が、語り、行動し、仕事を成し遂げることです。
  • この「わたし」を「観察している」のはいったい誰でしょう?あなたの身体的、心理的な一過性の形態を意識しているのは、いったい誰でしょう。それが――「本当の自分」――です。これが、あの深淵な部分にある「わたし」であり、過去にも未来にも束縛されていない「わたし」なのです。
  • 全意識を、「いま、この瞬間」に向けることによって、エゴ的思考よりはるかに偉大な叡智が、あなたの人生を動かしはじめます。
  • エゴを通して人生を生きると、「いま、この瞬間」を、「自分のための手段」にしてしまいます。あなたは未来のために生きることになり、たとえゴールを達成しても、満たされることはありません。仮に満足したとしても、それは束の間です。
    未来に達成したいゴールよりも、いま自分がしていることに意識を集中させるようにすれば、エゴ的な条件づけのパターンから脱却することができます。そうすれば、これまでとは比較にならないほど、行動が効率的になるばかりか、充実感も喜びも無限大に拡大していきます。
  • 自分の思考が自分にどんな結果をもたらしているかを観察してみてください。
  • 愚痴こぼしとリアクションは、エゴが自身を肥やすために常套手段にしている思考パターンです。たくさんの人は、思考活動と情緒活動の大半が人生で起こる出来事に対する不平とリアクションによって占められています。そうすることによって、他人や状況を「悪者」扱いし、自分を「正しい人」にしているのです。「正しい人」になることによって優越感に浸り、優越感に浸ることによって、自己の感覚を強化しているのです。むろん、実際に境界しているには、エゴの幻想に過ぎません。
  • 「すべて離ればなれ」というアイデンティティの感覚は、敵をつくることによって強化することができるため、エゴはいつも争いに飢えています。それで、これは「わたし」であり、あれは「わたしではない」と証明しようとしているのです。