スミス同盟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 02:20 UTC 版)
本編の主人公。スミス姓を持つ8種類の「多層人格」によって構成される暗殺部隊。 スミス同盟は最上位で判断の決定権を持つハーマン・スミスと、その下に位置する実行部隊「killer7」から成る。「killer7」は幹部のガルシアン・スミスの人格と、以下6名のスミスの人格という形で構成されている。 彼らのスミス姓はディレクター須田剛一の愛好するバンド「ザ・スミス」に由来しており、同様の理由から須田の過去作でも「純須(スミス)」「スミオ」といった名を持つ登場人物が登場している。須田自身はスミスと名付けたキャラクターについて「自分の気持ちを一番込められる、また、そういうことを自分自身に宣言するキャラクター」と表現している。 劇中では上記したスミス同盟の他に、別の意味で「スミス同盟」という語が使われる事があるが、詳細は別節物語の真相を参照。また『Hand in killer7』においてゲーム中のスミス同盟は「第二次スミス同盟」とされ、これ以前に多層人格としてディミトリを含んでいた「第一次スミス同盟」、将来的に結成される「第三次スミス同盟」、「第五次スミス同盟」の存在が記述されているが、この項目では第二次スミス同盟について説明する。 ハーマン・スミス(Harman Smith) 声 - Dwight Schultz killer7の総元帥である謎の老人。60歳。「神殺し」の異名を持つ。介護を必要とする体で車椅子での移動を強いられており、特にスミス同盟総帥として覚醒していない状態では全身麻痺状態で満足に言葉も発せない。覚醒時には動作が比較的俊敏になり、冷静なリーダーとして同盟を率いる。多層人格という超人的な能力に加え、同盟員も知らない(あるいは無視している)多くの秘密を持っており、劇中重要な役割を果たす。 シアトル出身。ドイツ・ポーランド系。ただし『Hand in killer7』ではワイプポート州ニューサウサンプトン(架空の地名)出身のアイルランド系とされる。黒い山高帽にカラーのついた黒の上下という古風な服装をした白髪の老人。簡素な鉄製の車椅子に乗る。「Killer8」モードでの「ヤング・ハーマン」はソフト帽にベージュのスーツという古風なギャングを思わせる出立ちである。 作中「Killer8」モードでも描かれているように元来頑健だったハーマンが車椅子を必要とし未覚醒時には身動きもままならなくなった原因として、『Hand in killer7』では作中時間の数年前に逆上したダンがハーマンを「殺害」したためとされている。 得物は車椅子に組み付けられた対戦車ライフル"GLIDER"。ヤング・ハーマンは得物にサブマシンガンを用い、これには特に名称は設定されていない。 ゲーム中では特定のイベントでしか操作できない(「Killer8」モードのヤング・ハーマンを除く)ため、実質的にノンプレイヤーキャラクターとして物語を牽引する役割を持っている。「Killer8」モードでのプレイヤーキャラクターとしてのヤング・ハーマンは、リロードは遅いが、弾数がきわめて多く連射が効くサブマシンガンの威力と最大の体力を併せ持つ、最強クラスのキャラクターである。しかしレベルアップができない設定になっているためクリティカルロックオンやカウンターアタックが使えず、その意味で中盤以降は他の人格に劣るとも言える。 ガルシアン・スミス(Garcian Smith) 声 - Greg Eagles スミス同盟の一員。33歳。実動的な戦闘には関与せず、ハーマンの忠実な部下として依頼交渉と残り6名の統率を任されているkiller7のリーダー格。「掃除屋 (Cleaner)」の異名通り、業者のように淡々と任務をこなす冷静な男。殺し屋ではあるが情を解する人間として描かれており、特に『Hand in killer7』では心優しい男としての性格が強調されている。対外交渉役という性質上、常に物語で各章の起点となるため主人公格の性質が強く、特に物語終盤では重要な役割を担う。「千里眼の指輪」を持ち、スミス同盟が「笑う顔」の都市迷彩を無効化する力の源泉となっている。 マイアミ、メキシコとの国境付近に生まれたとされる。先住民系黒人。現代風に整えられた髪と髭、白いスーツを隙無く着こなす伊達者。身長193cmと、レスラー出身のマスク (185cm) を上回る長身。常に細長いケースを携帯する。 得物はサイレンサー付き小型拳銃"ELECTROLITE"。終盤に入ると拳銃「黄金銃(ゴールドカスール:Golden Gun)」が「復活」、デザインのモチーフはS&W M500とされている。その名の通り黄金色のフレームを持つ銃である。 プレイヤーキャラクターとしては攻撃力が低い上に、血清を使ったスキルアップができず目立った利点もない、使い勝手の悪いキャラクターとして設定されている。だが銃のリロード時間はケヴィンを除いた全人格中最速であり、長身で直立した状態で銃を構えることから非常に高い視点での照準を行い、慣れれば特定の「笑う顔」の腫瘍が狙いやすいという特徴がある(まず通常使用される機会はないが)。 他、他の人格が死亡した際に死体を回収して蘇生させる能力も持っており、ゲームデザイン上では人格死亡時にペナルティとして使用をなかば強制されるキャラクターという位置付けになっている。 ダン・スミス(Dan Smith) 声 - Michael Gough スミス同盟の一員。33歳。常に余裕あるクールな態度を崩さないが、性質は好戦的かつ高慢で挑発的。対立する他者に容赦が無く「暴君」の異名を持つ。特に不覚を負った相手には敵意を顕にし、ハーマン・スミスやかつての師カーティス・ブラックバーンもその標的の1人である。ハーマンに敵愾心を燃やす一方で、ガルシアンとはある程度協調関係を築いてもいる。 過去に「シアトル自衛団」に所属。カーティスの弟子として殺しを学ぶが、同僚ペドロ・モンタナの策謀でカーティスの手にかかり死亡している。カーティスとの因縁の対決を描く章「邂逅」では物語上の主役と言うべき位置におり、他の章でも別人格と比べ台詞や見せ場が多い。 デトロイト出身。アイルランド系。黒のスーツをワイルドに着崩したファッションが特徴。手に持った拳銃を肩の後ろに預けるポーズがトレードマークとなっている。 得物はリボルバー"HANDSOME DEVIL"。デザインのモチーフはトーラス M44か。グリップに施された凝った装飾が特徴。後に得物として「魔銃(マジュウ:Demon Gun)」が「復活」。魔銃は二連装の銃口と同心円状に薬室が空いた弾倉を持つ特異な形状の拳銃。 ゲーム中では、高い攻撃力を持ったオールラウンドなプレイヤーキャラクターに設定されているが、前半は装弾数、発砲時の照準のブレ、リロードの遅さなどから、他の人格と比較してどれも中途半端な位置づけになってしまっている。しかし、後半魔銃を手に入れてからは装弾数が倍増し、リロード時間も大幅短縮され、非常に使い勝手が良くなる。 特殊攻撃は「魔弾」。「薄い血」を3本消費して破壊力の高い弾を撃つ、いわゆるチャージショットの一種である。特にデュプリケータースマイルやマザースマイルは魔弾でなければ倒すのが困難なため、この能力が重要となる。 楓 墨州(カエデ・スミス, Kaede Smith) 声 - Tara Strong スミス同盟の一員。20歳。陰鬱な性格をした女性で、常に周囲に敵対的な言動をとる。残留思念のミザルはカエデに仕えており、カエデの血液に呼応して使役される。 オレゴン州ポートランド出身。日系人。黒髪のショートカットに、タイトで露出の多いワンピースドレスを着用。ドレスには常に血しぶきの模様があしらわれている。常時裸足。 『コンプリートガイド』では元自民会構成員とされている。『Hand in killer7』ではまた同じく自民会所属の兄がおり、その兄に殺されたという記述がある。同書ではカエデはかつてのマツケンの恋人とも「噂」され、カエデの兄はそのマツケンの指示を受けてカエデを殺害したという。他にスミス同盟のダンとコヨーテの間で乙女心が揺れているとうかがわせる表現もある。 得物はスコープ付き自動拳銃"CONNECTION"。なお、本作の約半年前にカプコンから発売された『バイオハザード4』では、これと同形の銃が「キラー7」という名称で登場している。 ゲーム上では動作が鈍く、特に弾丸のリロードが致命的に遅いなど操作に難のあるプレイヤーキャラクターだが、特殊攻撃のスコープを使った遠距離狙撃は、場所によっては敵から発見されない処から狙撃が出来るなど、随所で効果を発揮する。 特殊能力はリストカットで生じる「血のシャワー」。カエデの血液には「結界」(本来存在しないはずの壁や障害物・血痕が見えて、通過できない箇所、あるいは本質を覆い隠す物)を破壊する力があり、召喚されたミザルの力を借りて結界の破壊・血痕の吸収が行なわれる。 ケヴィン・スミス(Kevin Smith) スミス同盟の一員。30歳。他人との交わりを嫌う性格であり極端に寡黙で、劇中では一言も発しない。そのため他の人格と比べメンタリティが明確でないキャラクターであったが、後に『コンプリートガイド』で小林プロデューサーは(ケヴィンの引き締まった筋肉質な体格の理由として)ケヴィンはハードゲイであると発言。他に『Hand in killer7』でも最愛の男性を殺害した過去や、高所を嫌い閉所を好むという嗜好、視野の狭さ、暗所で目が光るという特質が明らかにされている。 イギリス出身、ニューヨーク在住。アルビノの男性。銀の短髪にサングラス、上半身裸という出で立ち。極端な猫背である。 得物はナイフおよびスローイングナイフ"DEBASER"。スローイングナイフが主装備で、ナイフは敵接近時のカウンターアタックでのみ使用される。 プレイヤーキャラクター中、唯一(ファイナルマスクを除いて)弾数無制限でリロードの必要がないキャラクター。また攻撃時に照準がブレないというメリットも持つ。攻撃力は非常に低い為、ダメージによる敵撃破は困難となっている。密着に近い状態の「笑う顔」がいたとしても、ナイフを連投すれば、組みつかれる前に次弾を当てる事が出来る程度の連射力は備えているので、これを利用して相手の動きを止めつつ、徐々に照準をずらしていけば、クリティカルヒットを狙うことが出来る。 以上の事から、総じてクリティカルヒットを狙って戦う人格となっている。故に他人格の能力が備わっていない前半では、血液稼ぎ要因として活躍の場も多い。反面、ローリングスマイルなどの変則的な動きをする「笑う顔」などへの対応には向かない人格となっている。 特殊能力は一定時間の「透明化」。透明化中は「笑う顔」に認識されないばかりか、「笑う顔」の体をすり抜けて移動できる。また対物センサーに反応しないため、センサー式のセキュリティ装置の通過が可能になる。 移動速度がコンに次いで早く、ターンはバック宙で反転するという特徴的なものになっている。その為、ターンによる操作拘束時間は長いが、迫ってくる「笑う顔」から大きく距離をとることができる。 特殊攻撃は「二刀投げ(ツインスパークリング)」と、レベルアップにより獲得する「無限刀投げ(シャインスパークリング)」。ともにスローイングナイフの乱れ撃ちによる広範囲攻撃である。ダンの魔弾同様、構えたまま「薄い血」をセットして発射する。 コヨーテ・スミス(Coyote Smith) 声 - Benito Martinez スミス同盟の一員。28歳。かつては窃盗の常習犯であり、家宅侵入に用いられる身体能力とピッキングの腕前は抜群。その経歴と技能から「小悪党」と評される事もあるが殺しの腕も他にひけはとらず、他の人格と肩を並べている。 南アメリカ出身、ロサンゼルス在住。プエルトリコ系。アロハシャツにジーンズというラフな格好、シャツからのぞく腕のタトゥーが特徴。 『Hand in killer7』においてダンに殺された過去が明らかになっている。劇中では他のキャラクター同様に英語で会話するが、『Hand in killer7』の紹介ではそれらは広島弁だとされている。 得物は改造リボルバー"FREAK SCENE"。 ゲーム上ではダンとコンの中庸程度の特性のキャラクターとして設定されており、プレイヤーキャラクターとしては無個性だがバランスに優れている。 ダンに比べて発砲時の照準のブレが大きいが、リロード時間はガルシアンに次いで早い。序盤ではダンよりも使いやすい人格だが、魔銃が手に入ってからは出番はほぼ皆無となってしまう。 特殊能力「デッドリージャンピング」(呼称は『Hand in killer7』より)による高所への侵入や、主に扉に掛けられた南京錠の解錠など、マップ上の進路開拓に不可欠なキャラクターである。特殊攻撃は破壊力のある「特殊改良マグナム弾」。世界協定で使用が禁止された弾丸とされる。ダンの魔弾の下方互換と言えるもので、「薄い血」の消費は1本。 コン・スミス(Con Smith) 声 - Jun Hee Lee スミス同盟の一員。14歳.コミックヒーローのハンサムマンに入れあげるなどまだ年相応の幼さが残る性格だが、スミス同盟の面々と飄々渡り合うふてぶてしい一面も持ち合わせる。盲目であるが超人的聴力を持ち、音声情報を視覚化できるため生活や殺しに支障はない。 華僑移民。ルーズなランニングシャツとハーフパンツを着た、小柄で痩せた体躯の少年。目深に巻いたバンダナとヘッドホンで目と耳を覆ったスタイルが特徴的である。 『コンプリートガイド』では孤児出身という経歴と、そのため家族関係に憧れを持っているという側面が明かされている。『Hand in killer7』ではコンはコヨーテを慕い、過去にコヨーテを殺害しているダンには好感情を持たないとされる。同書には他に機嫌が良いと口笛を吹く癖も記されている。 得物は2丁の自動拳銃"DISARM"。フレームには独特の青みがかったカラーリングが施されている。 同盟中唯一の二丁拳銃の使い手で、ゲーム中では連射性にきわめて優れ、また高い敏捷性から移動速度やリロードの速さも随一である。こうした使い勝手の良さに対し、体力面が弱く敵の連続攻撃に晒されれば即死に至る場合もある、ピーキーなバランス設定がなされている。 特殊能力は高速移動で、通常時よりさらに速い移動が可能。移動中のターンも他の人格に比べて圧倒的に早い。またコンでプレー中には、マスクで破壊可能な壁(マスク・ド・スミス参照)がよりプレイヤーに強調されるというメリットも持つ。 マスク・ド・スミス(Mask De Smith) 声 - Miguel Caballero スミス同盟の一員。38歳。元プロレスラーでベビーフェイスの覆面レスラー出身という異色の経歴を持ち、常にマスクマンとして覆面を着け続ける。同盟に入った後もベビーフェイスらしい礼儀正しく穏健な性格とルチャドールの矜持は変わらず、戦いの中にも子供達の夢を壊さないファイトスタイルを貫く。 ディレクターの須田は熱狂的プロレスファンであり、自作に常にプロレスに関連する台詞やキャラクターを登場させ続けてきたが、特にその傾向が強いのが本作のマスクである。書籍媒体で明らかになっているレスラーとしてのファイトスタイルは、ルチャリブレとランカシャースタイルの融合。ゲーム発売以前に公開されていた設定ではマスクの下の素顔には火傷の痕があるとされ、事実覆面からのぞく素肌にそれを思わせるテクスチャが描かれているが、『コンプリートガイド』で小林プロデューサーはこの設定はアングルであり、素顔は「ガエル・ガルシア・ベルナル似の美男子」であると語っている。 メキシコ、アルバカーキ出身。レスラーマスクを着用し、マントを付けた白スーツという姿で登場する。スミス同盟の中で唯一、パワーアップにより大きく外見が変化するキャラクターであり、「邂逅」の章では「メインイベンター」としてスーツを脱ぎ試合中を思わせる半裸の姿に変化。さらに「分身」の章ではボディスーツ状に覆面から体まで全身を包む人間離れしたデザインのコスチュームに変更(ゲーム中この形態に名は付けられていないが、『コンプリートガイド』では「ファイナルマスク」と呼ばれる)。「笑顔」の章では伝説の「鉄仮面」のマスクを受け継ぎ、ファイナルマスクのスーツの上にオーバーマスク状に金色のマスクとコスチュームパーツを身に付けている。初期状態およびメインイベンター時は章ごとに覆面のデザインが変わっている。 得物は2丁のグレネードランチャー"DREAM ALL DAY"。銃把にワンポイントで覆面のイラストが描かれているのが特徴。 プレイヤーキャラクターとしては最大の体力(ヤング・ハーマンを除く)と最強の破壊力を持つが、動作が鈍く装弾数が実質的に1発(両手のランチャーを同時に撃つため)で撃つ度にリロードが必要という欠点もある。特にグレネードランチャーは攻撃範囲が非常に大きい反面、通常のHSの部位破壊や腫瘍狙撃が一切できず、血清の収集に適さないというゲーム上重大な難点を抱えており、ゲーム前半では扱いにくいプレイヤーキャラクターである。しかし「邂逅」の章以降はマスクのグレネードのみが弱点扱いとなるプロテクトスマイル・シリーズが登場する他、「分身」の章終盤でファイナルマスクに変化すると弾数無制限となるなど、ゲーム後半でその真価を発揮する。 特殊能力は障害物の破壊。ひびの入った壁にグレネード弾を打ち込み破壊する事ができる他、マップ上の特定の障害物をプロレス技やトレーニングの応用で除去できる。特殊攻撃は「電撃弾」及び「集束弾」。それぞれグレネード弾に電撃や空間の歪みを付与する効果を持ち、バックスマイルなどの手軽な駆除方法、およびプロテクトΖスマイル、プロテクトΖΖスマイルの唯一の駆除方法となっている。ダンの魔弾同様、構えたまま「薄い血」をそれぞれ1~2本消費して発射する。またファイナルマスクとなって以降は「薄い血」5本という大きな消費で特殊攻撃「ファイナルサーカス」が可能となる。コスチュームの胸の射出口からミサイルが大量に発射されるという攻撃で、破壊力は絶大である。
※この「スミス同盟」の解説は、「killer7」の解説の一部です。
「スミス同盟」を含む「killer7」の記事については、「killer7」の概要を参照ください。
- スミス同盟のページへのリンク