こ‐じ【孤児】
みなし‐ご【▽孤▽児/▽孤】
孤児
孤児
孤児
孤児
孤児
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/13 16:38 UTC 版)
孤児(こじ、みなしご)とは、両親・親戚等の保護者のいない未成年者のこと。狭義では生みの両親が死別、または行方不明となった未成年者を指す。
戦争や内戦が起きると、戦闘や空襲に民間人が巻き込まれ死亡し、両親を失い孤児となる子供が大量に出現する。それは古今東西、変わらない。第一次世界大戦、特に航空機により市民が暮らす都市への無差別爆撃が行われるようになった第二次世界大戦では、多くの国で多くの子供が孤児となってしまった。日本でも太平洋戦争が原因で多くの子供が孤児となってしまい都市部にあふれ、戦後、そういう子供を戦災孤児と呼んだ。だが、今この瞬間も、イスラエルとパレスチナの紛争、アフガニスタン国内での紛争、シリア国内のアサド政権とその政権に反対する国民の泥沼の内戦[1]、ロシアによるウクライナ侵略など、我々が暮らすこの地球上で起き続けている戦争や内紛が原因で多くの孤児が生じ続けている。
それに加えて、まず両親のどちらかが先に亡くなり一人親家庭となり、その後その親に疾病、貧困などが起き養育しきれなくなり、親が追い詰められ子供を置いて自殺したり失踪してしまう場合なども孤児となってしまう。また親が離婚時に相手への強い憎悪を子供に向け両親とも子供の養育を拒否してしまう場合も子供は孤児となってしまう。ユニセフによると、HIVウィルス(エイズ)が原因で親を失い孤児となってしまった子供もいる[2]。 ユニセフの調査と分析によると、現在子どもが施設(児童養護施設)で暮らすことになる主要なリスク要因は、家庭崩壊、疾病(健康面の問題)、障害(身体障害)、貧困、社会的サービスの提供が不十分であること(社会福祉制度や、疾病者への援助、一人親家庭への援助 等々等々が不十分なこと)等 だと明らかになっている[2]。
- 統計
ユニセフによると、現在、世界各地の施設で暮らす子どもの数は、少なくとも270万人である[2]。 140カ国のデータに基づいてユニセフが推計したところでは、世界では平均10万人につき120人の子どもが施設で暮らしている[2]。中央ヨーロッパおよび東部ヨーロッパ地域では、10万人中666人と世界平均の5倍以上で、この地域が世界的に見て特に孤児の割合が高い[2]。次に高い割合は、先進国で、10万人中約200人という割合である[2]。続いて東アジアおよび太平洋地域で、10万人中153人という割合である[2]。
孤児に手を差し伸べる活動
ユニセフが孤児に手を差し伸べる活動を行っている。孤児は児童養護施設でも養護・養育されることがある。またアメリカ合衆国では孤児を、アメリカ国外の孤児も含めて、養子としてひきとり育てている市民がかなりの数いる[3]。
ユニセフによると、子供にとっては家庭的な環境における養育が最善であり、施設(児童養護施設の類)での養育は最後の選択肢であるべき、とのことである。単に安全な場所を与えるのではなく、愛情に包まれ支えになってくれる環境こそが、子供にとって大切だという[2]。
- 養子に迎える活動
アメリカでは、普通の市民、特に裕福でも高収入でもない普通の市民、たとえば普通の大学教員などでも、韓国や中国から養子を迎えて育て上げたとか、今育てているという人たちがいる[3]。自身に子供がなく養子を迎えるケースもあるが、アメリカでは、実の子供がいても養子を迎えて育てることがある[2]。ジョン・ロバーツ連邦最高裁主席判事も、2人の子供を養子として育てている[3]。 アメリカの芸能界では、女優のアンジェリーナ・ジョリーがカンボジアから男の子とエチオピアから女の子を養子に迎え育てている[3]。アンジェリーナ・ジョリーは俳優ブラッド・ピットとの間に実子がいるが養子を迎えた[3]。歌手のマドンナにも2人の実子がいるが、養子を迎えた[3]。女優メグ・ライアンも中国から養子を、ユアン・マクレガーもモンゴルから養子を迎えた[3]。
孤児を描いた作品
歐米の児童文学には、孤児、すなわち親のいない子供を主人公とした物語を紡いできた歴史がある。孤児の少年を主人公とした有名な作品としては、フランスの作家エクトール・アンリ・マロの『家なき子』、アメリカの作家マーク・トウェインの『トム・ソーヤーの冒険』などがある。孤児の少女を主人公とした作品としては『赤毛のアン』のアン、『秘密の花園』のメアリー、『あしながおじさん』のジュディーなどで、最初は保護者がいたのに保護者がすぐ離別してしまい孤児状態となってしまう『小公女』のセーラなど、事実上の孤児が物語の主人公である場合も多い[4]。『ハリー・ポッターシリーズ』も主人公のハリー・ポッターは孤児である。なお、主人公だけでなく物語中に登場する鍵となる脇役が孤児である作品も含めると、その数はもっと多い。
- アメリカ児童文学に登場する孤児
アメリカ児童文学の黄金期である1865年から1914年までのベストセラー作品を概観すると、『若草物語』(1868年)のローリー、『小公子』(1886年)のセドリック、『オズの魔法使い』(1900年)のドロシー、『秘密の花園』(1911年)のメアリー、『少女ポリアンナ』(1913年)のポリアンナなどは、いずれも孤児、あるいは親との離別を経験した子どもである[5]。『トム・ソーヤーの冒険』のハックルベリー・フィンなどは「孤児中の孤児」として描かれる[5]。
なお、アメリカ文学というのは、孤児の文学(孤児的な文学)だと言われる。そうなったのはそもそもアメリカ文化が「文化的孤児」になってしまったからだという[5]。アメリカはカトリック教会からの離脱しプロテスタントの国となってしまったし(宗教的な親からの断絶)、18世紀末にイギリスから独立してしまったし(経済的、政治的な母国からの断絶)、すなわちヨーロッパが誇りとしてきた歴史や伝統から切れてしまった状態を自ら作りだしてしまい、文化的な親をいろいろな意味で失ってしまった状態になったからだという[5]。面白いことに、そのような状態になったアメリカでは文学が "子供の無垢性"を称揚しはじめ、またアメリカの社会は無垢な子どもに啓蒙を与えるため公立学校や義務教育の普及や幼稚園の設立も進め始めたといい、さらに南北戦争の終結した1865年以降、子供に娯楽を提供する試みも始まり、興味深いことに、その娯楽物語には孤児が多く登場するようになった[5]。おそらく、アメリカの一般市民もアメリカの作家も、孤児の姿の中に自分たちの姿を見るようになった。その結果、作家も孤児をヒロイックに描いている[5]。一方で、アメリカ児童文学には社会問題として疎まれる「リアルな孤児」も少数ながら登場する[5]。その背景には、19世紀半ば以降、ヨーロッパからの移民の急増や南北戦争や不況が災いして孤児が急増したという社会的事実がある[5]。
- 日本の親が子に読ませたい、孤児を主人公とした作品
2003年(平成15年)に日本経済新聞が行なったアンケートで「子どもに読ませたい世界の名作」ベストテンに、『トム・ソーヤーの冒険』や『ハイジ』など、孤児を主人公とした作品が数多くランクインした[6]。
比喩
師匠や先輩格の人物の廃業・死去、あるいは所属団体からの脱退などによって拠るべき上位の人間関係を失ってしまった若手・修行中の人物や一門弟子のことを、比喩的に「○○界の孤児」などと表現することがある。
- オーファンワークス
英語では孤児をオーファン(英:orphan)と言うが、著作権所持者の特定ができない著作物を正式な用語では権利者不明著作物といい[7]、孤児や親の無い子になぞらえて、英語では "orphan works" といい[8]、日本語でもこの語を音写した外来語「オーファンワークス」が通用している[8]。加えて日本語では同じ意味合いで「孤児著作物[8][9]」「孤児作品[8][10]」「オーファン作品[8]」、その他の名称も用いられている。※1
脚注
- ^ NHK「泥沼のシリア内戦は終わるのか? 命を奪った責任はどこに」
- ^ a b c d e f g h i ユニセフ. “ユニセフの主な活動分野 > 子どもの保護 > 親のケアを受けていない子どもたち”. 2024年7月28日閲覧。
- ^ a b c d e f g アジア経済研究所、明日山 陽子. “米国の養子縁組制度”. 2024年7月28日閲覧。
- ^ 高橋博子「母のいない娘の物語 : Cynthia VoigtのHomecomingにおける「母」の声」『愛知淑徳大学論集 文化創造学部・文化創造研究科篇』第10号、愛知淑徳大学文化創造学部、2010年、55-66頁、ISSN 13463330、NAID 120005037726。
- ^ a b c d e f g h 本岡亜沙子 (2012年). “孤児と個人のアメリカ,それからわたしたち”. 2024年7月28日閲覧。
- ^ 根本橘夫「門に立つ子ら(III) — 作品における孤児像」(PDF)『東京家政学院大学紀要 人文・社会科学系』第44号、東京家政学院大学、2004年、159-169頁、ISSN 13441906、NAID 110001061793。
- ^ “権利者不明著作物”. アスキー社『ASCII.jpデジタル用語辞典』. コトバンク. 2019年5月4日閲覧。
- ^ a b c d e “オーファンワークス”. 小学館『日本大百科全書:ニッポニカ』. コトバンク. 2019年5月4日閲覧。
- ^ “孤児著作物”. コトバンク. 2019年5月4日閲覧。
- ^ “孤児作品”. コトバンク. 2019年5月4日閲覧。
関連項目
孤児
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 05:34 UTC 版)
「ファイアーエムブレム 封印の剣の登場人物」の記事における「孤児」の解説
チャド (Chad) 声 - 花江夏樹(ヒーローズ) クラスは盗賊。属性は雷。10代(ルゥ、レイより年上)。ベルン国境付近にあるアラフェンの孤児院出身の少年。 院長先生を殺されており、彼を手にかけたベルン軍に強い憎しみを抱いている。仇を討つためロイ軍に参加する。 目つきが鋭く口は悪いが、友人想いの性格。孤児院の中では年長者で、家計に苦しむ孤児院の手助けがしたいという思いから盗みに手を染めるようになった。動乱の後、盗賊からは足を洗ったらしい。リキアの山猫 チャド ルゥ (Lugh) 声 - 竹内順子(ヒーローズ) クラスは魔道士→賢者。属性は炎。10代(13歳ほど)。孤児院出身の少年魔道士。 ロイより2歳ほど年下の子供だが、理魔道に関しては高い潜在能力を有する。 チャドと同じく院長先生の仇をとるためにロイ軍に参加する。『烈火の剣』のニノの息子で、母譲りの柔和な面立ち。『暗黒竜と光の剣』のマリク以来の伝統である「半ズボン魔法使い」キャラ。 思いやりのある優しい性格で普段は年齢相応に無邪気に振舞っているが、過去の経験からベルンに対しては強い憎しみを抱いている。理の申し子 ルゥ レイ (Lleu) 声 - 藤原夏海(ヒーローズ) クラスはシャーマン→ドルイド。10代(13歳ほど)。属性は氷。孤児院出身の少年呪術師。 ルゥの双子の弟。力を求めてアラフェンを飛び出し、西方三島に流れ着く。竜の力を求めてベルン軍に紛れ込むが、そこでチャド達と再会し味方になる。 天才的な魔道の資質を持ち、闇魔道も独学で習得している。その資質は、古代魔道の大家出身のヒュウが自分に才がないと思うほど。 兄であるルゥとは対照的に毒舌家で目つきが悪く少々ひねくれているが、人には見せない思いやりがある。最初に登場した時に所持する「リザイア」の魔法書はヒュウから盗んだものである。闇の申し子 レイ
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孤児
出典:『Wiktionary』 (2021/06/12 23:10 UTC 版)
名詞
発音(?)
- こ↘じ
関連語
翻訳
- アイスランド語: munaðarleysingi (is) 男性
- アイルランド語: dílleachta (ga)
- アゼルバイジャン語: yetim (az)
- アフリカーンス語: weeskind (af)
- アラビア語: يتيم (ar) (yatiim) 男性
- アルバニア語: jetim (sq) 男性, jetime (sq) 女性 ; bonjak (sq) 男性, bonjake (sq) 女性
- アルメニア語: որբ (hy) (orb)
- イタリア語: orfano (it)
- インドネシア語: anak yatim (id)
- ウェールズ語: amddifad (cy)
- ウクライナ語: сирота (uk) (syrotá)
- ウルドゥー語: اناتھ (ur) (anāth) 男性, یتیم (ur) (yatīm) 男性
- 英語: orphan (en)
- エストニア語: orb (et), vaeslaps (et)
- エスペラント: orfo (eo)
- オスマン語: يتيم (yatim)
- オセット語: сидзæр (sidzær)
- オランダ語: wees (nl)
- カタルーニャ語: orfe (ca)
- ギリシア語: ορφανός (el) (orfanós) 男性, (colloquial, when both parents are dead) πεντάρφανος (el) (pentárfanos) 男性
- グルジア語: ობოლი (ka) (oboli)
- クルド語: ههتیو (ku)
- 古代エジプト語: (tfn)
- スウェーデン語: föräldralöst barn (sv)
- スコットランド・ゲール語: dìlleachd (gd) 男性, dìlleachdan (gd) 男性, tàcharan (gd) 男性
- スペイン語: huérfano (es)
- スロヴァキア語: sirota (sk)
- スワヒリ語: mfiwa (sw), mtoto yatima (sw)
- セルビア語:
- タイ語: เด็กกำพร้า (th) (dèk gam práa)
- タオス語: pènku’úna (twf)
- タガログ語: ulila (tg)
- チェコ語: sirotek (cs) 男性
- チャミクロ語: wakcha
- 朝鮮語: 고아 (ko) (goa)
- テルグ語: అనాధ (te) (anaadha)
- デンマーク語: forældreløst barn (da), hittebarn (da)
- ドイツ語: Waise (de) 女性, Waisenkind (de) 中性
- トルコ語: yetim (tr)
- ノルウェー語: foreldreløst barn (no)
- ハイチ語: òfelen
- パピアメント語: wérfano (pap)
- ハンガリー語: árva (hu)
- ヒンディー語: अनाथ (hi) (anāth) 男性, यतीम (hi) (yatim) 男性
- フィンランド語: orpo (fi)
- フェロー語: foreldraloysingur (fo)
- フランス語: orphelin (fr)
- ブルガリア語: сирак (bg) (sirak)
- ベトナム語: đứa trẻ mồ côi (vi), mồ côi (vi)
- ヘブライ語: יָתוֹם (he)
- ペルシア語: یتیم (fa) (yatim)
- ベンガル語: তিম (bn) (etim)
- ポーランド語: sierota (pl)
- ポルトガル語: órfão (pt)
- マン島語: treoghan (gv)
- モンゴル語: енчин (mn) (enčin)
- ラテン語: orbus (la) 男性, orba (la) 女性
- ラトヴィア語: bārenis (lv)
- リヴォニア語: joutõm läpš (liv), bōŗ läpš (liv)
- リトアニア語: našlaitis (lt)
- ルーマニア語: orfan (ro) 男性, orfană (ro) 女性
- ルヒヤ語: omufubi
- ロシア語: сирота (ru) (sirotá) 男性
「孤児」の例文・使い方・用例・文例
- その孤児院が双子を引き取った
- 彼女は2人の孤児を育てた
- 孤児院
- 彼女は3歳のとき戦争で孤児になった
- 彼女はその孤児たちを哀れみの目で見た
- 戦災孤児
- 孤児たちが学校に行けるよう手配する。
- 私は高校生の時に孤児院に行った。
- ジョンは孤児でした。
- 彼は戦災孤児をひきとって養女として育てています。
- 両親が亡くなった子供は孤児と呼ばれる。
- 夫婦は孤児を養女にすることを決心した。
- 彼女は飛行機事故で両親を失い孤児になった。
- 彼女はその孤児に同情して、お金を少しあげた。
- 彼らはその孤児を養子にした。
- 彼は戦災孤児だ。
- 彼は孤児院にその包みを配達した。
- 彼はその孤児を養子にした。
- 人々はその孤児を哀れんだ。
- 親の亡くなった子供は「孤児」と呼ばれる。
孤児と同じ種類の言葉
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