最近、特に、中国や北朝鮮などとの関係で、日本政府の対応を「弱腰外交」などと揶揄(やゆ。からかうこと)されることがよくあります。
しかし、日本が強くあれたのは、他ならぬ、この弱腰外交のおかげです。本当にそれにお気付きにならぬか?
日本が高圧外交だったのは、戦争に負けるまでです。現在、最大の高圧外交の国は、ある弱小な専制国家です。内が弱いと高圧的になるのは、人間でも組織でも国でも同じです。そして、それは長続きしません。
「弱腰外交」と言えば聞こえは悪いのですが、本質は、「争わない」外交です。これは、老子の根本思想です。争わないことがいかに強いかは、老子の全81章に詳述されています。老子は、頭、つまり、理屈で読んでも全く分かりません。理屈を超えたことを語っているからです。この世のパワーをはるかに超える宇宙のパワーについて書かれているのですから、たかが知れた人間の知性で理解できないのは当然です。
ガンジーの非暴力主義、あるいは、無抵抗主義なんて、表面的に見れば弱腰外交そのものではないですか?しかし、これこそ、不屈で無敵の力だということが分かるのではないかと思います。
私は、イギリスのテレビドラマ「ダンディ2 華麗な冒険」の中の1話の、ただ1つのセリフを聞いて、それをいつまでも覚えています。それが宇宙の真理だったから、私の内側が応えたのです。
このドラマは、なんと、ロジャー・ムーアと、今年の9月29日に亡くなったトニー・カーチスの共演です。2人とも、世界的な大俳優でした。カーチスは画家としても高く評価されています。
この「ダンディ2 華麗な冒険」で、ムーア演じるブレッドと、カーチス演じるダニーが危機的状況になった時、イギリス貴族であるブレッドが言います。「祖父の教えに、『攻撃こそ最大の防御なり。最大の攻撃は無抵抗なり』というのがある。つまり、何もしないのが一番強いのさ」。
外交なんて大袈裟なものでなくても、学校や会社、あるいは、家庭でも、よく回りを観察すれば、決して争わない者が、結局は無敵であることはすぐに分かると思います。
本当の教育とは、争わないことを教えることです。それは、決して無理な我慢をすることでも、卑屈になることでもなく、より大きな力を味方にすることです。
争わないとは、決して、かけっこで順位をつけずに一緒にゴールすることではありません。競技スポーツや武道の戦いの目標は、表面的な勝敗が本質でないと知ることです。それを知らないから、この「一緒にゴール」という的外れなことをしたり、高等な競技でも、いつまでも金メダルにこだわって悲惨を味わいます。
最高の柔道家、木村政彦が、ブラジルの柔術家エリオ・グレイシーと戦い、キムラ・ロックと呼ばれた必殺の関節技でエリオの腕を折って勝った時、木村は「試合に勝って勝負に負けた」と言います。これは深い意味がありますので、簡単に解釈してはなりませんが、こんな喩えでも良いかもしれません。キムラ・ロックはプロレスではダブル・リスト・ロックという技で、プロレス史上最高のレスラー、ルー・テーズが最も大切にした技でした。テーズは、師のジョージ・トラゴスにこの技を教わりましたが、トラゴスは若き日のテーズの前で、若い有望なレスラーの肩をこの技で砕いてみせたことがあります。テーズは、80歳になった時でも、その光景を昨日のことのように思い出すと言いました。テーズはトラゴスに「必要な時はやらないといけない(相手の肩を砕け)」と言われます。しかし、テーズは、「後1センチ締め上げれば、相手の肩を砕いたということは数百度におよぶが、実際にやったことは、幸い一度も無かった」と言います。テーズは、試合と勝負に勝てるレスラーだったということです。テーズは、1976年に、アントニオ猪木がペールワンの腕をダブル・リスト・ロックで折ったことを「猪木が故意にやったのではないと信じたい」と言ったそうです。
アメリカは、本来、先制攻撃をしない強い国家でしたが、日本の真珠湾攻撃などでは、相手が先制攻撃をせざるを得ない状況を作る作為を行い、そして、核爆弾を使うことで、戦争に勝って実質で負けます。アメリカはその後の繁栄の中で、恐るべき病にとりつかれ、国民は疲弊していきます。真のリーダー達が何度か立ち上がって破滅を防いできましたが、限界は通り越しました。日本、韓国も同じ過ちを繰り返そうとしてます。
争わない力を修得すれば、国家も組織も個人も無敵です。国家でいえば、いったい誰が大統領か誰も知らない不思議な連邦共和国スイス(あなた、スイス大統領が誰か知ってる?)がそれにいくらか近いかもしれません。あの国の大統領は、いわば当番制です。「俺は優秀だから大統領になったんじゃない。順番だからなってるんだ」と言って優柔不断で争いません。まあ、誰も、自分の金(スイス銀行口座)の上に原爆は落としません。
弱腰で優柔不断といえば、実は徳川家康が実際はそうで、家臣にいろいろ強く提言されても、なあなあで逃げることが多かったようです。彼は、人質だった苦しい少年時代や、厳しい敗戦で、知恵を磨いたのだと思います。
我々も、争わない知恵を修得すべきです。そうすれば、傷付くことは決して無いでしょう。
下記に、英文学者でタオイスト(老荘思想家)、詩人、画家である加島祥造氏の素晴らしい老子の自由訳と、優れた中国文学研究家の小川環樹氏(湯川秀樹博士の実弟でもあります)の正確な老子の翻訳をご紹介します。
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しかし、日本が強くあれたのは、他ならぬ、この弱腰外交のおかげです。本当にそれにお気付きにならぬか?
日本が高圧外交だったのは、戦争に負けるまでです。現在、最大の高圧外交の国は、ある弱小な専制国家です。内が弱いと高圧的になるのは、人間でも組織でも国でも同じです。そして、それは長続きしません。
「弱腰外交」と言えば聞こえは悪いのですが、本質は、「争わない」外交です。これは、老子の根本思想です。争わないことがいかに強いかは、老子の全81章に詳述されています。老子は、頭、つまり、理屈で読んでも全く分かりません。理屈を超えたことを語っているからです。この世のパワーをはるかに超える宇宙のパワーについて書かれているのですから、たかが知れた人間の知性で理解できないのは当然です。
ガンジーの非暴力主義、あるいは、無抵抗主義なんて、表面的に見れば弱腰外交そのものではないですか?しかし、これこそ、不屈で無敵の力だということが分かるのではないかと思います。
私は、イギリスのテレビドラマ「ダンディ2 華麗な冒険」の中の1話の、ただ1つのセリフを聞いて、それをいつまでも覚えています。それが宇宙の真理だったから、私の内側が応えたのです。
このドラマは、なんと、ロジャー・ムーアと、今年の9月29日に亡くなったトニー・カーチスの共演です。2人とも、世界的な大俳優でした。カーチスは画家としても高く評価されています。
この「ダンディ2 華麗な冒険」で、ムーア演じるブレッドと、カーチス演じるダニーが危機的状況になった時、イギリス貴族であるブレッドが言います。「祖父の教えに、『攻撃こそ最大の防御なり。最大の攻撃は無抵抗なり』というのがある。つまり、何もしないのが一番強いのさ」。
外交なんて大袈裟なものでなくても、学校や会社、あるいは、家庭でも、よく回りを観察すれば、決して争わない者が、結局は無敵であることはすぐに分かると思います。
本当の教育とは、争わないことを教えることです。それは、決して無理な我慢をすることでも、卑屈になることでもなく、より大きな力を味方にすることです。
争わないとは、決して、かけっこで順位をつけずに一緒にゴールすることではありません。競技スポーツや武道の戦いの目標は、表面的な勝敗が本質でないと知ることです。それを知らないから、この「一緒にゴール」という的外れなことをしたり、高等な競技でも、いつまでも金メダルにこだわって悲惨を味わいます。
最高の柔道家、木村政彦が、ブラジルの柔術家エリオ・グレイシーと戦い、キムラ・ロックと呼ばれた必殺の関節技でエリオの腕を折って勝った時、木村は「試合に勝って勝負に負けた」と言います。これは深い意味がありますので、簡単に解釈してはなりませんが、こんな喩えでも良いかもしれません。キムラ・ロックはプロレスではダブル・リスト・ロックという技で、プロレス史上最高のレスラー、ルー・テーズが最も大切にした技でした。テーズは、師のジョージ・トラゴスにこの技を教わりましたが、トラゴスは若き日のテーズの前で、若い有望なレスラーの肩をこの技で砕いてみせたことがあります。テーズは、80歳になった時でも、その光景を昨日のことのように思い出すと言いました。テーズはトラゴスに「必要な時はやらないといけない(相手の肩を砕け)」と言われます。しかし、テーズは、「後1センチ締め上げれば、相手の肩を砕いたということは数百度におよぶが、実際にやったことは、幸い一度も無かった」と言います。テーズは、試合と勝負に勝てるレスラーだったということです。テーズは、1976年に、アントニオ猪木がペールワンの腕をダブル・リスト・ロックで折ったことを「猪木が故意にやったのではないと信じたい」と言ったそうです。
アメリカは、本来、先制攻撃をしない強い国家でしたが、日本の真珠湾攻撃などでは、相手が先制攻撃をせざるを得ない状況を作る作為を行い、そして、核爆弾を使うことで、戦争に勝って実質で負けます。アメリカはその後の繁栄の中で、恐るべき病にとりつかれ、国民は疲弊していきます。真のリーダー達が何度か立ち上がって破滅を防いできましたが、限界は通り越しました。日本、韓国も同じ過ちを繰り返そうとしてます。
争わない力を修得すれば、国家も組織も個人も無敵です。国家でいえば、いったい誰が大統領か誰も知らない不思議な連邦共和国スイス(あなた、スイス大統領が誰か知ってる?)がそれにいくらか近いかもしれません。あの国の大統領は、いわば当番制です。「俺は優秀だから大統領になったんじゃない。順番だからなってるんだ」と言って優柔不断で争いません。まあ、誰も、自分の金(スイス銀行口座)の上に原爆は落としません。
弱腰で優柔不断といえば、実は徳川家康が実際はそうで、家臣にいろいろ強く提言されても、なあなあで逃げることが多かったようです。彼は、人質だった苦しい少年時代や、厳しい敗戦で、知恵を磨いたのだと思います。
我々も、争わない知恵を修得すべきです。そうすれば、傷付くことは決して無いでしょう。
下記に、英文学者でタオイスト(老荘思想家)、詩人、画家である加島祥造氏の素晴らしい老子の自由訳と、優れた中国文学研究家の小川環樹氏(湯川秀樹博士の実弟でもあります)の正確な老子の翻訳をご紹介します。
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