安倍政治に愛想を尽かす保守派

 今日も寒かった。東京で10月中旬で最高13度以下というのは60年ぶりだそうだ。自宅でもオフィスでも暖房を入れた。こないだまで暑いと言って冷房を入れていたんだから、現代人は弱いなと思う。昔の人は、冬でも屋内と外とを隔てるのは障子一枚、素足で畳に正座し、興が乗れば障子をからりと開けて「雪景色もよきものよのう」と庭を客人に見せたりした(のではないかと想像する)。
 私なぞ、雪国生まれなのに寒冷ジンマシンもち。ジンマシンが始まったのは、10年の東南アジア暮らしから帰国してからとはいうものの、情けない。いや、これは情けないと思ってはいけないのか。
(写真は神田多町の街角)
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 衆院選で、ちょっとした異変が起きている。いわゆる保守派の著名人が、安倍自民党に愛想を尽かし「左」を応援しているのだ。
 

 立憲民主党は14日、東京都内の3カ所で、「東京大作戦1014」と題した枝野幸男代表の街頭演説会を開いたが、ここに、漫画家の小林よしのり氏や新右翼「一水会」の鈴木邦男元代表が応援弁士として参加した。
 《小林氏は「わしは保守ですよ。なんで(立憲を)応援するのか。それは保守じゃないからですよ、自民党が。あれは単なる対米追従勢力」と断言。立憲を持ち上げ、安倍政権を痛烈に批判した。》(朝日新聞)
 さらに安倍自民党を「集団的自衛権で自衛隊を米国と一緒に戦争させようとする対米追随勢力」と批判。「暴走を止めるために立憲民主主義でふたをして止める。安倍一強の独裁を食い止める政党、政治家を選ぶしかない」と語り、「一に立憲民主、二に共産」と訴えている。

 一方、オフィスの新聞受けに入っていた共産党のビラ。7人の著名人が写真入りで出ている。その一人、中島岳志氏(政治学者、東工大教授)は「共産党が訴えるグローバル資本主義から地域の中小企業・農業を守るというのは保守主義です。保守の私も野党共闘支持です。」とメッセージを寄せている。
 中島岳志氏は、これまで共産党には一度も投票したことがないが、今は共産党のマニフェストと最も相性がいいという。ある雑誌の対談でやや詳しく説明をしているので紹介しよう。
 《安保法制に対して本来の保守が最も怒っているのは、その決め方です。保守は、懐疑主義的な人間観を持っている。「万能ではない理性に頼るのではなく、長年多くの庶民たちによって形成されてきた良識や経験値を大切にして徐々に変えていこう」という考えが保守思想の王道なのです。それゆえに保守の言う民主主義とは多数決ではなく、少数者にも理があるので意見を汲み取りながら合意形成をしていこうというもので、大平正芳さん(保守本流の政治家)などの保守政治家が実践してきたことです。》(週刊金曜日10月13日号)
(つづく)