2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

長井健司さんの死によせて―ITの威力

ミャンマー軍事政権は、きのうの国営紙で「最小限の力の行使で秩序回復した」とデモの制圧を宣言したという。(朝日新聞30日朝刊) 町の通りでの大規模な抗議運動は当面押さえ込んだ形だが、今後の成り行きは不明だ。さらなる弾圧で民主運動が長期的に封じ…

長井健司さんの死によせて2 安全と情報

私もミャンマーには縁がある。 もっとも私の場合は、反政府ゲリラの取材が主で、不法に越境してミャンマーに入ることが多かった。 タイ側からカレン民族同盟、麻薬王クンサーのモンタイ軍、学生民主戦線(ABDSF)を、中国から入って北部のカチン独立軍を、バ…

長井健司さんの死によせて

きのう27日、ミャンマーで長井健司さんが殺害された。 また一人、志のあるジャーナリストを失い残念である。 彼が契約していたAPFは、山路徹さんが15年前に立ち上げた会社だ。山路さんは、まだ「ニュースステーション」にいた1990年に一緒に仕事…

ホワイトハウスもう一人の住人

アメリカ出張中、ホワイトハウスを撮影に行った。ここは何度か撮影したが、いつも反戦を訴えているおばさんがいる。この人、ホワイトハウス前の通りをはさんだ歩道で、反戦ポスターの看板を立て、観光客にアメリカはイラクから手を引け、ヒロシマを繰り返す…

わが青春のアメリカ―ベトナムの影

ベトナム戦争の影がアメリカを覆っていた。 私が渡米した2年前の68年、「テト攻勢」があった。北ベトナム=解放戦線側の大攻勢である。サイゴンのアメリカ大使館にベトコンが突入して米政府にショックを与えた。軍事的にはベトコン側が甚大な被害を出した…

わが青春のアメリカ―多様なモノサシ

アメリカ出張は終わったが、書き始めた思い出話をしばらく続けよう。高校で一目おかれた生徒としては、まず勉強のできるやつ、そしてフットボールの得点王、女子ではチアリーダーが挙げられる。 学年の最後、最も重要な行事に「プロム」というフォーマルなダ…

わが青春のアメリカ―旨いもの考2

9月22日―ワシントンDCで取材。ダレス空港から日本に向けて発つ。きのうアメリカで出会った旨いものを書いたら、他にも次々に浮かんできたので、続きを書く。 朝食には毎朝トーストが出た。バターをつけて食べていたら、ジョンはバターの上にさらにジャ…

わが青春のアメリカ―旨いもの考

9月21日―ワシントンDCで取材。「こだわりの食材」とか「隠れた名店」などのブログがたくさんあるが、みなさん、食べ物によくこんなに熱心になれるものだと感心してしまう。食べることが楽しみと考える人と、栄養を摂るために食べる人がいるとすれば、私…

わが青春のアメリカ―豊かさの衝撃

9月20日―ワシントンDCで取材。飛行機が着いたのはサンフランシスコで、そこからバスでスタンフォード大学に向かった。ここでフィリピンやオーストリアなどの留学生とともに数日オリエンテーションを受けた。 1970年といえば、日米の経済差はとても…

わが青春のアメリカ―旅立ち

9月19日―ボストンで取材。移動してワシントンDCで取材。取材に関する話は放送するまで書けないので、アメリカについての昔話をしよう。私は対北朝鮮「強硬派」とみなされているが、アメリカ政府と一体化した立場ではない。よく誤解されるので、去年出し…

痛風との闘い

9月18日―ニューヨークで取材。ボストンに移動。きのうは持病との格闘の一日だった。 午前2時過ぎに寝たのに6時前に目が覚めた。足に痛みがある。嫌な予感に跳ね起きて見ると、左足の親指の付け根が赤くはれて熱をもっている。 痛風の発作だ。 これから会…

命は地球より重いか

9月17日―成田発、ニューヨークへ。ポスト安部は麻生氏有力と報じられたと思ったら、一転福田康夫氏で決まりだという。この目まぐるしさこそ「今」を象徴しているようだ。福田氏というと、私の世代は、父親の福田赳夫首相と「一人の命は地球より重い」とい…

世界を変えるロック歌手

評論家の三浦小太郎さんが、ホームレスの自立支援をしている雑誌『ビッグイシュー』に載った、ロックミュージシャン、ボノ(U2)のインタビューが大変いいとメールで教えてくれた。 恥ずかしながら、私はボノを知らなかったが、この人、もう長いことアフリ…

なんで勉強するの?その3

人生、余命が少なくなると、子どもに何を残せるかを考えるようになる。私もそうである。 「寝る前には歯を磨くように」、「嘘をつかないこと」、「何事も一所懸命にやりなさい」・・・。 我々が子どもたちにこんなことを言い聞かせるのは、彼らが健康で、周…

なんで勉強するの?つづき

勉強するのはなぜか? これを子どもが納得するには、「自分のため」だという理屈が必要なのだろう。〈あのね、勉強するのはお前のためでもあるんだよ〉「学校に行かなくても生きて行けるでしょ?」〈自分の将来像がはっきりしてればいいよ。浅田真央ちゃんみ…

なんで勉強するの?

「勉強なんか、なんでしなくちゃいけないの?」時々、思春期の娘から議論をふっかけられる。こういうとき、たいてい娘の口はとんがっていて、挑戦的である。 思えば、かつては自分も同じ問いを大人にぶつけたことがあった。そこには自分へのいらだちや、権威…

リビアから帰れば

リビアから帰って成田空港で携帯のスイッチを入れた。すると、安部総理の辞任の速報が入っていた。この辞め方は、無責任と言われても仕方がないだろう。 新しい内閣で、対北朝鮮政策はどうなるだろうか。 これまで、自民党の一部に、北朝鮮のことがあるから…

リビア紀行―哲人政治家の門

写真はトリポリにある「マルクス・アウレリウスの凱旋門」。紀元2世紀に建設された。 リビア行き直前にガイドブックでこの門の存在を知り、ぜひ見たいと思っていた。この人を尊敬しているからだ。 ある日の午後、取材の待ち時間ができたので行ってみた。イ…

リビア紀行―砂漠の思想

きのう3日は、南部の砂漠のなかに隊商都市遺跡ガダーメスをたずねた。(写真)古くからオアシスに発達した交易拠点で、世界遺産にもなっている。 また遺跡である。しかし私は、ほんとは遺跡めぐりのためにリビアに来たのではない。 リビア政府は、革命記念…

リビア紀行―美しい都トリポリ

リビアの首都のトリポリは人口150万人ほどの、美しいこじんまりした町である。 海沿いに建つオスマントルコ時代の城壁「赤壁城」に囲まれて「旧市街」がある。世界遺産にもなっているそうだが、ここはエキゾチックな中世イスラムの世界である。 狭い通り…

リビア紀行―携帯電話考

8月31日は革命記念日の前夜祭だった。(写真) トリポリの「緑の広場」には市民が動員され行進と集会が行われた。 夕闇のなか花火が上がった。すると、若者がいっせいに花火の方に向かって片手を挙げた。 特別な儀式かと思ったら、何のことはない、携帯電…

リビア紀行―古代遺跡の宝庫

リビアに来る直前、この国が古代遺跡の宝庫だと知って驚いた。世界遺産が5箇所あって、どれも大変な遺跡だという。 トリポリから東に130キロほどのところにある古代ローマの遺跡「レプティス・マグナ」を訪れた。 遺跡は2キロ四方の広大な敷地に広がり…