なぜ急ぐ「カジノ法案」


これまで実をつけたことがなかったうちのセンリョウ。今年初めて赤い実がついた。
 うちのかみさんが近所の植木屋さんにこのことを言ったら、「今年はあっちこっちでセンリョウの実がたくさん生っている」そうだ。今年は紅葉がきれいだというが、センリョウも当たり年らしい。

 会社の近くの銀杏があざやかに色づいてきた。
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 カジノを含む「統合型リゾート施設(IR)」整備推進法案(カジノ解禁法案)がきょう午後の衆院内閣委員会で採決され、自民党、日本維新の会などの賛成多数で可決された。民進党は採決に加わらず、共産党は反対した。

 平川克美氏のツイート《「カジノを経済成長の起爆剤に」って、「ヒロポンで体力の亢進を」と同じだろ。末期的な思考が、国会でまかり通っている。》

 意外に知られていないが、日本はギャンブル依存症の比率が非常に高い国だ。
 厚生省の調査結果によると、ギャンブル依存症が、アルコール依存症のなんと4倍もいる。その9割はパチンコ狂いだという。
 《厚生労働省研究班の調査で、ギャンブルをしたい気持ちが抑えられない「ギャンブル依存症」の疑いがある人は、国内に計536万人いると推計された。成人の約5%に当たる。内訳は男性が438万人、女性が98万人。
 研究班は「世界のほとんどの国では成人の1%前後にとどまるのに比べて日本の割合は高い」と指摘。「パチンコやパチスロが身近な場所に普及していることが影響しているのではないか」としている。
 世界保健機関(WHO)のアルコール依存症の診断基準を過去に一度でも満たしたことがある「アルコール依存症経験者」は、推計で男性約95万人、女性約14万人の計約109万人とされた。》(日経記事)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG20H0O_Q4A820C1CR8000/

 ホームレスにはギャンブル依存症の人が多く、自立支援に大きな障害になっている。その問題意識から、ビッグイシュー基金が本格的な研究をしているので、関心のある方は読まれたい。
http://bigissue-online.jp/archives/1048903467.html

 ネットでは、読売新聞の社説までが反対なのが話題になっていた。
 「そもそもカジノは、賭博客の負け分が収益の柱となる。ギャンブルにはまった人や外国人観光客らの"散財"に期待し、他人の不幸や不運を踏み台にするような成長戦略は極めて不健全である」。正論である。本来、まともな保守政治家こそ、こんな法案には反対するはずではないのか。
これだけ問題の大きな法案の採択をこんなに急ぐのは、トランプが大統領になることと関係があるとの見方もある。カジノ議連事情通はこう言ったという。

 「カジノ法案の早期成立は、トランプ大統領就任後の良好な日米関係に“有効”なのですよ」「米大統領選挙でトランプ氏の大スポンサーだったのが、世界一のカジノ王である米ラスベガス・サンズのアデルソン会長です。トランプ氏の政治資金団体に約27億円を寄付しています。そのアデルソン会長が日本進出を熱望している。日本でカジノがやれるようになれば、アデルソン会長が喜び、トランプ氏にとって大きなメリットになる。トランプ氏も、もともとカジノを経営していたビジネスマンですからね。」(日刊ゲンダイ1日)
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/194819

 トランプ氏自身、「カジノ王」と呼ばれた。
 その拠点が東海岸、ニューヨークの南にあるアトランティック・シティ(ニュージャー州)で、「西のラスベガス、東のアトランティックシティ」と言われるギャンブル産業の町である。トランプ氏はここに多くの巨大なカジノ・ホテルを展開したが、ほとんどが経営破綻、閉鎖に追い込まれ、いまや町自体もさびれる一方だ。

 私はアトランティック・シティに数日滞在し、トランプ氏の豪華なカジノ・ホテルの代表格、「トランプ・マリーナ・ホテル・カジノ」のスイートルームに泊まったことがある。
(つづく)