ケルテスの指揮で聞くブラームスの交響曲第1番
作曲者 : BRAHMS, Johannes 1833-1897 独
曲名  : 交響曲 第1番 ハ短調 Op.68 (1876)
演奏者 : イシュトヴァン・ケルテス指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
CD番号 : DECCA/UCCD-7037

テル・アヴィヴの海で遊泳中に波にさらわれて亡くなられたケルテスの最後の録音である。一緒に入っているハイドン・バリエーションはケルテスの死によって一部録音完成していなかったのを指揮者なしでウィーン・フィルが録音したという逸話もあるものだ。
コンマスはだれか、ブックレットに掲載されていないので、ちょっと残念なのだけれど多分ヘッツェルあたり…。わかんないけれど、時期的にはウェラーが去った直後だと思う。
全体に自然体で、ムキムキの筋肉マンでもなく、ナヨナヨしたススキのような演奏でもない。これは実に立派な演奏で録音も素晴らしい。
昔、LPで持っていたけれど、こんなに良いと思っていなかった。一体何を聞いていたのだ、私は!!あるべきところにあるべき音がある…当たり前のようだけれど、これが意外と難しいらしく、下手に小編成で内声をこねくり回したり、フレーズ感を無視してやたらと長く歌わせてみたり…。ああ、酷いことを散々されているのが現状なのだ。最近もそうした酷いのを日本の某オーケストラの録音で聞いてしまった…。
オケから指揮者というのは大体嫌われるものなのだが、彼はどうも違ったらしい。どのオケからも好かれていた。それはオケの団員のご機嫌をとっていたからではなく、本当に音楽をいっしょにやってくれる仲間として見ていたからではないだろうか。
そんな感じをこの見事なブラームスを聞きながら思っていた。ちょっとだけと聞き始めて、結局最後まで聞き終えて、第3楽章をアンコールして、そのまま止められず、今終楽章のアルペン・ホルンをうっとりしながら聞いている次第である。
今までこの曲の最高の録音はカラヤンの最後のベルリン・フィルとの演奏だった。だから学校用のHDにもそれを入れていたのだけれど、こちらの方がずっと良い。入れ替えを決めた。午後からは神奈川フィルのコンサートに出かける。金 聖響氏のコンサートである。今日はちゃんとやってくれるかな?
写真はふたたび世界遺産のザンクトガレンの修道院の全景である。今度は冬景色のザンクトガレンをどうぞ。でも春近く、雪解けが始まった頃のもので、陽光降り注ぐ修道院の白壁がとても目に染みた…。
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by Schweizer_Musik | 2010-03-06 10:13 | CD試聴記
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