傘をひらいて、空を

伝聞と嘘とほんとうの話。

2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

教養がないとはどのようなことか

私の勤務先では人事部だけが採用活動をするのではなくて、現場の人間が面接を担当する。面接官は通常二人組で、このたび私を指名したのが篠塚さんである。篠塚さんは言う。僕、教養がないんで、面接でその手の話になったときにはよろしくです。 篠塚さんは私…

お知らせ(書き下ろし)

今週の原稿は他媒体への書き下ろしです。本ブログの更新はありません。 fuminners.jp

ロマンスのセンサー

友人が双子を産んだのでよく見にいく。子どもというのは見ていておもしろいものなので、他の友人も一緒に寄ってたかって子どもをかまっている。子のある者は子を他人と遊ばせることができ、子のない者は物珍しくて嬉しい。一挙両得である。 双子はこのあいだ…

お知らせ(書評)

河出書房新社「文藝」2019年春季号に書評を書きました。エリザベス・ストラウト、小川高義訳『何があってもおかしくない』の書評です。

敗北を売る

この二、三年、Youtubeで将棋の解説をしている。わりとまじめな解説なんだけど、ノリは軽くて、最終的には「でも僕、負けた人間なんで」「プロになれなかった人間の予測だ、あてにすんな」みたいな感じで笑ってもらう。いい小遣い稼ぎになっている。インター…

お正月を許す

元旦の昼、「東京の伯父さん」という役割を果たすために新幹線の切符を買う。 平均寿命の半分近くまで好き勝手に生きてきた。堅実な教育を受け、こつこつ勉強し、十八になって、好きな数学をやろうと思ったけれども、あれは完全に才能の世界で、僕にはそんな…