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ビーチサイドの人魚姫
俊樹

2019年9月Nikon D700で一眼レフデビュー。カメラは独学。2020年4月、Nikon D810へアップグレード。いつか写真展を開く為、日々精進。勿論、詩、小説、エッセイ、作詞は継続中。2021年夏、Nikon Z7Ⅱへと更にアップグレード。2022年10月、3回目の心臓手術に耐え抜き現在に至る。2023年8月ペースメーカー植え込み。

心に花束を持って。

2012年10月02日
その他 6
花束

 2005年10月、綿菓子を溶かしたような白い秋の雨が降りそぼる頃だった。東京都済生会中央病院に、中央聖書教会の牧師「石原先生」が入院しておられたので、早速お見舞いに行った。小雨の中、傘も指さずオーバーヒート気味のわたしの身体には丁度よい冷たさだった。
 わたしの場合、多少の雨であれば傘を指さない。雨に濡れるのが好きな少し変わった所がある。雨も天の恵みに変わりなく、わたしにとっては心地良かった。
 術後まだ間もない先生は意外と元気であった。先生には一度しかお会いしておらず、しかも非常に短い時間だったので、わたしの事は覚えていなと思っていた。
 病室に入りベッドを見ると空だった。「あれ?何処へ行ったのかな」と思いながら病室を出ると、若い看護師がやって来て「石原さんは今お風呂に入ってます」と教えてくれた。
 廊下で5分ほど待つと、ふくよかな顔に銀縁眼鏡の良く似合う先生が、わたしの方に片手を挙げて挨拶をしてくれた。
 少し肩で息をしている先生はやはり病人であったが順調に回復しており、随分と会話が弾んだ。時計を見るともう17時近く。
 病人の先生に長話しをしてしまい申し訳なく思ったが、病気を抱えているわたしがこうして花束を持って見舞いに行くのは初めての事だった。
 いま思えば最初にわたしを見舞ってくれたのは小学6年のクラス全員と千羽鶴だった。そして次々と訪れる見舞い客たち。
 今まで多くの方々に見舞って頂いたお礼も込めて、先生に花束を送った。わたしに花束は似合わないかもしれないが、病気になって初めて気付く日常がある。健康な人も、そうでない人もみな心に花束を持とうではないか。

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俊樹
この記事を書いた人: 俊樹
本名/神戸俊樹
静岡県藤枝市出身。
19歳の時に受けた心臓手術を切っ掛けに20歳から詩を書き始める。
2005年3月詩集天国の地図を文芸社より出版、全国デビューを果たす。
うつ病回復をきっかけに詩の創作を再開。
長編小説「届かなかった僕の歌」三部作(幼少編・養護学校編・青春編)父を主人公にした(番外編)を現在執筆中。
詩、小説、エッセイ、作詞など幅広く創作。
2019年9月、一眼レフデビュー。Nikon D700を使用。
2020年4月、Nikon D810にアップグレード。
2021年夏、ミラーレス一眼 Z7Ⅱへと更にアップグレード。
2022年10月3度目となる心臓手術を受け、大成功を収める。
2023年8月徐脈性心房細動で心停止(失神)したため、ペースメーカーを植え込む。

コメント6件

コメントはまだありません

ミッド

人は病気になって初めて健康の有難さに気付くのかもしれませんね。私も「心に花束」を持ちたいと思いました。ありがとうございます。

2012年10月02日 (火) 22:32

さわちゃん

さすがですね!!
文章が上手ですね。

2012年10月03日 (水) 00:06

ドレッテ

自分が健康だとわからない気遣いだと思います。

当たり前だと思っている事が実は幸せなんですよね~

勉強になります。。。


2012年10月03日 (水) 20:24

野の花あざみ

初めまして

訪問コメントありがとうございました。

素敵な詩も拝見しました、
心に花束・・素敵ですね。

2012年10月04日 (木) 08:10

みやび

初めましてみやびと申します。
ブログに訪問して頂きありがとうございます。
とても嬉しいです♪
ありがとうございました(*^-^*)

2012年10月04日 (木) 13:07

Screamer

久々に見に来たら、白亜の世界だね。黒バックにハートの時以来だった

2019年09月27日 (金) 19:31