海は何でも知っている。
星は何でも知っている ゆうべあの娘が 泣いたのも…、余りにも古すぎてこの歌を知らない人の方が多いかも知れない。わたしの記憶が正しければ、昭和34年頃に平尾昌章が歌って大ヒットした楽曲だと思う。
何故か分からないがこのメロディと詞をしっかりと覚えており、口ずさむ事さえ出来るのだが…。この替え歌を作る為に記事タイトルを決めた訳ではないのだが、海の呟く声が最近よく聞こえて来て仕方がないのである。
「人間よ、何故こうもわたしを汚し続けるのだ」。地球はご存知の通り『水の惑星』である。宇宙から見た地球が青く輝いているのは地球の表面の10分の7が水で覆われているからである。そして全ての生命の源は海だ。
海のことを『母なる海』と呼ぶのは、生命の起源に由来する。地球上に生命が誕生したのは今から40億年も前の事であるが、それらの生命は海の中(母胎)によって陸からの紫外線など多くの危険から守り続け、我々人類の祖先の進化を育んで来たのである。
地球上に人類が誕生し、やがて高度な文明が築き上げられ、世の中が人間にとって都合よく造り返られて行き、この上なく便利な時代が到来した。
然しその一方で森林伐採などの環境破壊が進み、増大する二酸化炭素による地球温暖化という人類共通のリスクを産み出してしまったのである。
山は無残に切り取られ、川には産業廃棄物の汚泥が溢れ、魚の姿が消えて行く…。そして腐敗した水が海へと止めどなく流れ込む。
人間の未来の発展の為には多くのエネルギーが必要とされ、それはやがて原子力発電という『パンドラの箱』を開けてしまったのである。
福島第一原発事故発生以来、膨大な量の放射性物質が空、地上、そして海へと流れ出た。この約1年でどれだけこの日本が汚染されただろうか、その答えは誰にも解りはしない。冷温停止という名ばかりの事故収束宣言がなされても尚、わたしたちは確固たる安全を手に入れてはいない。
3月下旬、高い濃度の放射性ストロンチウムを含む汚染水が海に漏れ出したタンクの配管から、再び汚染水が漏れ出ている事が判明したが、管理者であり事故の当事者である東京電力のどれを取ってみても情報隠ぺいが付き纏い、公表されていない何かがまだ幾つも存在するのではないかという疑問が全く払拭出来ないのである。
人は人に対して嘘を付く生き物であるが、人は騙せても自然を騙す事は不可能である。『海は何でも知っている』そして海は怒っている。
漁の出来なくなった海で漁船が泣いているではないか、その海もまた泣いている、その海の流す涙で海が更にしょっぱくなって魚たちもまた泣いているに違いない。
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