初めてのサイン。
埼玉県に住む女性がわたしの本を片手にわざわざ尋ねて来てくれた。サインがどうしても欲しいと言う事で、よほどわたしの詩集が気に入ってくれたようである。
著者としてこれほど嬉しい事はない。早い書店では2月下旬(2005年)から並んでいたようである。予約をして2月中旬には既に手元に届いた人もいた。
あれから数年も経っているので、現在は何処の書店にも置いてない。毎日新しい本が生み出されては消えていく昨今、どんな本が売れるか分からない時代だから、出版社も書店も売れそうな本を探すのに苦労している。
出版社は著者の個人情報を本人の了解なしに外部に絶対漏らしたりはしない。それは当然な事であるが、その女性は出版社に電話してサインの事を告げ住所を聞いたらしい。
当然こちらにその旨連絡が入る。サイン会を開くほど売れればよいがそんな事は夢のまた夢である。サインは数回頼まれて書いたが何処にサインをするか、本の場合は大体決まっている。
それは扉の何もない白ページ。芸能人ではないので普通に自分の名前を書き、日付と場所を記入する。流石に最初は手が震えた。字が下手なので正直サインするのは好きじゃない。サイン慣れする日でも来てくれればよいのだが…。
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