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ビーチサイドの人魚姫
俊樹

2019年9月Nikon D700で一眼レフデビュー。カメラは独学。2020年4月、Nikon D810へアップグレード。いつか写真展を開く為、日々精進。勿論、詩、小説、エッセイ、作詞は継続中。2021年夏、Nikon Z7Ⅱへと更にアップグレード。2022年10月、3回目の心臓手術に耐え抜き現在に至る。2023年8月ペースメーカー植え込み。

父の日は似顔絵とともに。

2016年07月21日
家族・子育て 18
似顔絵

 6月19日、心不全の兆候で四苦八苦している時だった。通販で買い物した覚えもないのに宅配便が届いた。送り主を見ると静岡いる息子の勇樹からであった。この時季に何だろうと思い開けてみると、木の枠に収まった似顔絵らしきものが。「ああ、そうか!今日は父の日だったのか」。
 そこで初めて19日が父の日である事に気付いた訳である。似顔絵以外に静岡音楽館Aoiで開催された『オペレッタ・赤ずきんちゃん』のステージが収録されたDVD、そして銘茶・竹茗堂の煎茶。日本茶の好きな私にとって、故郷の香りと味が詰まったお茶を頂ける事は嬉しい限りであった。
 さて、この似顔絵が私に似ているかどうかは別として、おそらく彼自身が小学校低学年の自分に立ち返り、小学生に成りきって一生懸命に描いたものと思われる。その様子はこの絵の筆跡に十分表現されており、似顔絵を通して父に対する感謝の気持ちが優しくそして力強く伝わって来る。
 私は息子が2歳になったばかりの頃、静岡を離れ東京方面に向かった。その為、私と息子との間には20年以上の空白がある。実際に息子が父親の似顔絵を描く機会が過去にあったかどうか定かではないが、本来であれば幼い時期に本当の父親の顔を描きたかっただろう事は、この似顔絵を見てもヒシヒシとその切ない想いが伝わって来るのである。
 似顔絵に関して言えば私にも淡い過去の想い出が一つだけある。父親の似顔絵を描いた記憶はないのだが、顔も知らず後ろ姿だけが影の様に焼き付いた母の顔を描いた想い出…。小学2年の時、図画の授業だった。「さぁ、皆さん今日はお母さんの顔を描いてみましょうね」。担任は母の実家の隣に住んでいた飯塚先生。
 クレヨン画用紙が机の上に並び、44名の子どもたちが担任の合図で一斉にクレヨンを握りしめ、思い思いの母親像を真っ更な画用紙に描き始めた。そんな中、一人の少年だけが宙を見詰めたまま握った黒いクレヨンはぴくりとも動かない。
 その少年の姿を見て悟った担任が近づいて行く。そして声を掛けようとした時だった。突然、画用紙に向かって右手を動かし始めた少年。それはオモチャ箱をひっくり返した中から自分のお気に入りを見つけた時のような喜びに充ちていた。
 然し、母親の顔を知らない少年が描いた画用紙の中の母親は赤の他人で、近所のおばさんの顔を思い出して描いたのである。知らないのであれば描かなければ良いのではと思うが、その時の少年は『何か描かなければ怒られる』と思ったようだ。そのおばさんの似顔絵は、今でもくっきりと鮮やかに私の心の中でにっこり微笑んでいる。

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俊樹
この記事を書いた人: 俊樹
本名/神戸俊樹
静岡県藤枝市出身。
19歳の時に受けた心臓手術を切っ掛けに20歳から詩を書き始める。
2005年3月詩集天国の地図を文芸社より出版、全国デビューを果たす。
うつ病回復をきっかけに詩の創作を再開。
長編小説「届かなかった僕の歌」三部作(幼少編・養護学校編・青春編)父を主人公にした(番外編)を現在執筆中。
詩、小説、エッセイ、作詞など幅広く創作。
2019年9月、一眼レフデビュー。Nikon D700を使用。
2020年4月、Nikon D810にアップグレード。
2021年夏、ミラーレス一眼 Z7Ⅱへと更にアップグレード。
2022年10月3度目となる心臓手術を受け、大成功を収める。
2023年8月徐脈性心房細動で心停止(失神)したため、ペースメーカーを植え込む。

コメント18件

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孝ちゃんのパパ

No title

こんばんは。

息子さんの心遣い・・・・嬉しいですね。

両親が揃っていた僕にはどちらかでも親のいない子供のことは
考えることもありませんでした。

今では学校もこのような行事には配慮していると聞きました。
小さな子どもたちにはそんな悲しみもなく育ってほしいものですね。

俊樹さんも夫婦の都合で勇樹さんにそんな思いをさせたのですから(笑)
いつまでも大事にしてあげてくださいね!!!!!

2016年07月21日 (木) 02:22

みゆきん

No title

立派な息子に成長したね
長生きしてあげて♪

2016年07月21日 (木) 17:17

双子パンダ

(^v^)

息子さんの書いてくれた似顔絵
愛情にあふれていて嬉しいですね(‐^▽^‐)

2016年07月21日 (木) 19:02

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2016年07月21日 (木) 19:56

ネリム

こんばんわ
息子さん立派だなと思います。

2016年07月21日 (木) 21:16

Bigサオリン

こんばんは
素敵な贈り物です(^_^)
そして、素敵な息子さんですね。

2016年07月21日 (木) 22:13

koyuri

子供は宝ですね

歳をすると、しみじみ思います。

子供の方も、歳をすると有難味が判る様になるのでしょう。

一日でも、長生きして子供達に孝行したりされたりしてあげて下さいませ。

2016年07月21日 (木) 23:35

かみかわ

父の顔

思いを篭めて 描きたり 人の親へと なりし今とて 母の顔 面影なくも 描きたり いて当然の 世間たれども

2016年07月21日 (木) 23:44

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2016年07月22日 (金) 01:00

purotoko

No title

お早うございます、似顔絵、感動があり、時代感が見え、情報伝達力のすごさにはさぞ驚いたしょう。記憶の絵画として一生の宝です。

2016年07月22日 (金) 05:07

まるまりもマルマリ

No title

似顔絵のプレゼントいいですね。
自分は子供の頃親の似顔絵を
描く事があったのかどうか覚えていません。
でももし、もらえたら嬉しいでしょうね。
今度の父の日に似顔絵を描いてみようかなと思います。

2016年07月22日 (金) 19:57

ichan

No title

こんばんは。

ご子息の父の日のプレゼント、心のこもった
ものだと感じます。
特に、似顔絵。
やろうとしても中々できないものだと思います。

2016年07月22日 (金) 20:48

KOROKO

No title

それぞれの方の思いが切ないです。表し方が切ないです。でも、思いはつながっているんですね。

2016年07月23日 (土) 12:08

野津征亨

No title

「血は水よりも濃い」のでしょうか。
どれだけ空白の期間があろうと、親子はやっぱり親子だと思います。
息子様の絵、素敵です(*^^*)

2016年07月23日 (土) 16:14

sado jo

No title

何だか、少し悲しくなる話ですね。
顔も知らない母の似顔絵を描くって…多分、今の大人達はテロや戦争で、母の顔を知らない子供をたくさん作ってるんだろうと思います。
それを想像すると、本気で悲しくなって来ました。

2016年07月23日 (土) 22:57

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2016年07月24日 (日) 19:28

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2016年07月25日 (月) 17:49

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2016年07月25日 (月) 23:05