週刊金曜日1495号 2024.11.8目次,自公惨敗が意味するもの
*私の注目記事
P3在日3世だがチマチョゴリを着て新宿や渋谷を歩く「勇気」がない。後ろからいつ刺されるかという恐怖がある。1923年の関東大震災の虐殺は昔のことではない。「崔さんやおばあさんたちは、思っていた人たちと違っていました」。人と人との出会いは、偏見と差別を溶かしていく。
P8住民の反対押切り強行 明治神宮再開発で樹木の大量伐採開始
P50新安全保障論半田滋 北朝鮮の核技術は旧ソ連から提供された。62年にはソ連から小型の研究炉と核燃料が提供された。
P54きんようぶんか「森崎和江と戦後思想史」大畑凛青土社 評者五所順子 森崎の父母は封建社会にセを向け、福岡から朝鮮半島に駆け落ちし森崎を近代的「個人」に育てる。
「ボッタリひとつで海を越えて 在日コリアンの生活誌」小泉和子合同出版 評者長瀬海 冷麺、どぶろく チマ・チョゴリ オンドル生活。日本に確かにある朝鮮の文化。
ーー
fujisan目次
内容
■表紙
■それでもそれでもそれでも 齋藤陽道
■風速計 差別を放置すれば増殖する 崔善愛
■金曜アンテナ
・東京・町田市、リニア地下工事の直上でまたも気泡が発生 住宅の庭で有害な酸欠空気 樫田秀樹
・「旧動燃差別是正訴訟」控訴審が東京高裁で始まる 争点は被告免責する消滅時効 稲垣美穂子
・明治神宮外苑再開発で樹木の大量伐採開始 住民の反対押し切り強行 吉永磨美
■「3・11」原発被災地に遺された教会が交流の場に 脱原発と平和を語る福島「小高自由大学」 長岡義幸
■さらん日記
■凱風快晴ときどき曇り 「民主政の成熟とは」 内田樹
■ジェンダー情報
■政治時評 佐藤甲一
■経済私考 佐々木実
■自公惨敗が意味するもの
・政治の場に年齢・性別の多様性を 女性は過去最多だが15.7% 能條桃子
・「裏金議員」の多くは落選したが…… 「安倍的な政治」は払拭されない 前川喜平
・低投票率がもたらした「連立方程式」 自民党総裁=首相 思考の惰性は終わった 水島朝穂
・野党共闘の行方と今後の課題 鮮明になった「自公対立憲」の構図 尾中香尚里
■松崎菊也 あの人の独り言(イラストレーション/石倉ちょっき)
■2024年ノーベル賞 平和賞と文学賞 記憶を継承してきた団体と個人を称える
・評価された「証言の力」 「核のタブー確立」の被団協に平和賞 宇城昇
・ノーベル平和賞受賞は「ゴールではない」 「核なき世界」を、すべての人が考えるきっかけに 田中重光(聞き手・橋場紀子)
・NHK連続テレビ小説「虎に翼」 原爆裁判は作り手の思いによってしっかりと描かれた 佐藤和雄
・【提携企画】ノーベル文学賞受賞 韓国人作家ハン・ガンさんの思い 世界中に数多くの苦しみがある中、もう少し静かにいるべき 時事IN・車炯錫
・物価上昇で消費者の負担は増すばかり 10月は今年最大の値上げラッシュ 垣田達哉
■岐阜県警「市民監視事件」控訴審で画期的判決 公安警察「個人情報収集」も違法、抹消も命じる 井澤宏明
■【提携連載企画】公害『PFOA』 岡山・吉備中央編03 PFOA入り水道水はいつから飲まされていたか 町、「21年度には把握、それ以前は未測定」 Tansa・中川七海
■らんきりゅう 大変動した衆議院の勢力図 まずは祝杯を! 雨宮処凛
■どうなる日本学術会議 任命拒否問題 「6人欠員」の異常事態続く 裁判と法人化の行方は── 竪場勝司
・任命拒否当事者の小澤隆一さんに聞く “偽物”の法人化に警鐘 「独立の意義」強調を 聞き手・竪場勝司
■半田滋の新・安全保障論 北朝鮮兵士のウクライナ戦争派遣は東アジアの緊張、核脅威増大につながる
■北朝鮮軍派兵の背景に何が? 6月の「パートナーシップ条約」で“軍事協力”復活か 文聖姫
■きんようぶんか 本・映画・音楽・TVドキュメンタリー
■言葉の広場、金曜川柳、イラストレーション、写真展、論考
■青木理の温泉という悦楽 「北陸・富山の褐色湯」
■読者会から
■市民運動から講演・映画・音楽イベントの情報案内板
■金曜日から、編集長後記、業務部からのお知らせ
■猫様
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<<『 週 刊 金 曜 日 』 メール ニュース >> 2024.11.8
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【1】注目の記事
【2】編集長コラム
【3】次号予告
【4】新刊本のご案内
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【1】注目の記事
■自公惨敗が意味するもの
10月27日投開票の衆議院選挙で自公が惨敗した。首相指名選挙をめぐって多数派工作が激しさを増している。国民民主党や日本維新の会がキャスチング・ボート(決定権)を握っているともされるが実際はどうか。4人の識者が選挙結果を分析する。
●政治の場に年齢・性別の多様性を
女性は過去最多だが15・7%
能條桃子
若者や女性の政治参加が進まないのは本人たちの責任ではなく、構造的な問題だ。政治への信頼を回復するためにはなにが必要かを考える。
●「裏金議員」の多くは落選したが……
「安倍的な政治」は払拭されない
前川喜平
衆院選で「裏金」に関与した安倍派(清和政策研究会、解散済み)の議員は多くが落選し、派閥の実質的な力は衰えたかに見える。それは本当か?
●低投票率がもたらした「連立方程式」
自民党総裁=首相思考の惰性は終わった
水島朝穂
欧州では珍しくない連立政権。衆院選の結果を受け、日本も新たな連立の時代を迎えた。この動きをどう見るか。
●野党共闘の行方と今後の課題
鮮明になった「自公対立憲」の構図
尾中香尚里
四半世紀にわたり連立を組んできた自民党と公明党の連立与党が過半数を割り、野党第1党の立憲民主党が躍進した。「1強多弱」の時代が終わり、「自公対立憲」の「2強」が政権をかけて戦う構図が鮮明になってきた。
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■2024年ノーベル賞
平和賞と文学賞 記憶を継承してきた団体と個人を称える
今年のノーベル平和賞は被団協(日本原水爆被害者団体協議会)、文学賞は韓国人作家のハン・ガンさん(53歳)が受賞した。共通点を挙げるとすれば、「記憶の継承」だろう。被団協は、広島・長崎に米国が落とした原爆の被害者として、その記憶を後世に語り続ける。ノーベル賞委員会も「肉体的苦しみやつらい記憶を、平和への希望を育むことに生かした」と被爆者らを称えた。
一方、ハン・ガンさん、5・18光州民主化運動や済州4・3事件など、時の軍や政府が民間人を虐殺した事件を背景にした小説も書いた。ノーベル賞委員会はこのことに注目し、「歴史のトラウマと向き合」ったことを評価した。記憶を継承することを、同じ過ちを二度と繰り返さないことにつなげていかねばならない。
●「核のタブー確立」の被団協に平和賞
評価された「証言の力」
宇城昇
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)へのノーベル平和賞決定の理由は「核兵器の使用は道徳的に容認できないという強力な国際規範『核のタブー』の確立」への多大な貢献だった。評価されたのは、広島、長崎の被爆者が世界に示してきた「証言の力」だ。
●ノーベル平和賞の受賞は「ゴールではない」
「核なき世界」を、すべての人が考えるきっかけに
田中重光
すべての人が考えるきっかけに2024年のノーベル平和賞は被爆者団体の全国組織「日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)」に決定した。被爆から間もなく80、「被爆者なき時代」の始まりがもうすぐそこにある現実を前に、受賞の意義とこれからを日本被団協の田中重光代表委員に聞いた。(聞き手・橋場紀子)
●NHK連続テレビ小説「虎に翼」
原爆裁判は作り手の思いによってしっかりと描かれた
佐藤和雄
被団協(日本原水爆被害者団体協議会)のノーベル平和賞受賞は、核廃絶に向けた動きへの後押しになるか。1963年の「原爆裁判」判決も核廃絶や被爆者救済に大きな影響を与えた。本誌の今年3月29日号で「4月から始まるNHK連続テレビ小説『虎に翼』 原爆裁判をどう取り上げるのか」を報じた。この問題提起に対し、ドラマはどう答え、そこにはどういう意味と背景があったのか──。
●【時事IN提携企画】ノーベル文学賞受賞韓国人作家ハン・ガンさんの思い
世界中に数多くの苦しみがある中、もう少し静かにいるべき
車炯錫
韓国人作家のハン・ガンさんが今年のノーベル文学賞を受賞した。アジア人女性としては初めてのことだ。本誌と提携する韓国の時事週刊誌『時事IN』は、「韓国文学史における一大事件」だと指摘する。『時事IN』はどう報じたか。10月29日号の記事を紹介する。
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【2】編集長コラム
編集長交代
「原作者の弘兼(憲史)氏と講談社は『当事者の確認が取れていない伝聞でした』として、謝罪しましたが、内容は謝罪とは言い難い。心から謝罪する気があるなら、雑誌を回収し、辺野古テントに来て、みんなの前で謝罪すべきです」。
沖縄・名護市に住み、日米の軍事基地がなくなることを求めて反戦活動を続ける中山吉人さん(67歳)からこんなコメントが届いた。漫画「社外取締役 島耕作」で、普天間基地の辺野古移設に抗議する人たちについて、キャラクターが「日当で雇われた」と語るシーンが登場した件だ。平和を祈って座り込みを続ける人々への侮辱は断じて許せない。通り一遍の謝罪で終わらせてはならない。
11月1日で3年間の編集長任期が終わりました。編集長として携わるのはこの号が最後です。楽しいことも、落ち込むことも、泣きたいこともたくさんあった3年間でしたが、終わってみればあっという間。次号からは吉田亮子編集長にバトンタッチします。引き続きご愛読をよろしくお願いします。(文聖姫)
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【3】次号予告
★2024年11月15日(第1497)号
【総選挙】
【沖縄】
●講談社の回答“表面”謝罪の中身 「辺野古反対派は日当で雇われ」 今度は「島耕作」が無根拠中傷|本田 雅和
【新連載】
●尾池和夫の見る 食べる 学ぶ 第1回 日本のジオパーク
【新・買ってはいけない】
●健康にいいと思うな 「ロカボ」なヌードル|渡辺雄二
【くらし 食】
●農薬再評価、最初からやり直せ 明日のために求められる予防原則|原英二
【『金曜日』で逢いましょう】
●濱田知希さん|桑原和久
【好評連載】
●半田滋の新・安全保障論
●【提携連載企画Tansa】「公害PFOA」 岡山・吉備中央編04|中川七海
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【4】新刊本のご案内
★増補版 ひとめでわかるのんではいけない薬大事典
浜六郎 著 2750円(税込) 四六判並製・448頁
その薬は本当に必要ですか?
医師として薬害と闘い続ける著者が、さまざまな薬の危険度と効用を分析して解説する。
ベストセラー『新版のんではいけない薬』の後継本で2017年発行の『ひとめでわかるのんではいけない薬大事典』を増ページ、大幅改訂して新版化。
(2024年5月刊)
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P3在日3世だがチマチョゴリを着て新宿や渋谷を歩く「勇気」がない。後ろからいつ刺されるかという恐怖がある。1923年の関東大震災の虐殺は昔のことではない。「崔さんやおばあさんたちは、思っていた人たちと違っていました」。人と人との出会いは、偏見と差別を溶かしていく。
P8住民の反対押切り強行 明治神宮再開発で樹木の大量伐採開始
P50新安全保障論半田滋 北朝鮮の核技術は旧ソ連から提供された。62年にはソ連から小型の研究炉と核燃料が提供された。
P54きんようぶんか「森崎和江と戦後思想史」大畑凛青土社 評者五所順子 森崎の父母は封建社会にセを向け、福岡から朝鮮半島に駆け落ちし森崎を近代的「個人」に育てる。
「ボッタリひとつで海を越えて 在日コリアンの生活誌」小泉和子合同出版 評者長瀬海 冷麺、どぶろく チマ・チョゴリ オンドル生活。日本に確かにある朝鮮の文化。
ーー
fujisan目次
内容
■表紙
■それでもそれでもそれでも 齋藤陽道
■風速計 差別を放置すれば増殖する 崔善愛
■金曜アンテナ
・東京・町田市、リニア地下工事の直上でまたも気泡が発生 住宅の庭で有害な酸欠空気 樫田秀樹
・「旧動燃差別是正訴訟」控訴審が東京高裁で始まる 争点は被告免責する消滅時効 稲垣美穂子
・明治神宮外苑再開発で樹木の大量伐採開始 住民の反対押し切り強行 吉永磨美
■「3・11」原発被災地に遺された教会が交流の場に 脱原発と平和を語る福島「小高自由大学」 長岡義幸
■さらん日記
■凱風快晴ときどき曇り 「民主政の成熟とは」 内田樹
■ジェンダー情報
■政治時評 佐藤甲一
■経済私考 佐々木実
■自公惨敗が意味するもの
・政治の場に年齢・性別の多様性を 女性は過去最多だが15.7% 能條桃子
・「裏金議員」の多くは落選したが…… 「安倍的な政治」は払拭されない 前川喜平
・低投票率がもたらした「連立方程式」 自民党総裁=首相 思考の惰性は終わった 水島朝穂
・野党共闘の行方と今後の課題 鮮明になった「自公対立憲」の構図 尾中香尚里
■松崎菊也 あの人の独り言(イラストレーション/石倉ちょっき)
■2024年ノーベル賞 平和賞と文学賞 記憶を継承してきた団体と個人を称える
・評価された「証言の力」 「核のタブー確立」の被団協に平和賞 宇城昇
・ノーベル平和賞受賞は「ゴールではない」 「核なき世界」を、すべての人が考えるきっかけに 田中重光(聞き手・橋場紀子)
・NHK連続テレビ小説「虎に翼」 原爆裁判は作り手の思いによってしっかりと描かれた 佐藤和雄
・【提携企画】ノーベル文学賞受賞 韓国人作家ハン・ガンさんの思い 世界中に数多くの苦しみがある中、もう少し静かにいるべき 時事IN・車炯錫
・物価上昇で消費者の負担は増すばかり 10月は今年最大の値上げラッシュ 垣田達哉
■岐阜県警「市民監視事件」控訴審で画期的判決 公安警察「個人情報収集」も違法、抹消も命じる 井澤宏明
■【提携連載企画】公害『PFOA』 岡山・吉備中央編03 PFOA入り水道水はいつから飲まされていたか 町、「21年度には把握、それ以前は未測定」 Tansa・中川七海
■らんきりゅう 大変動した衆議院の勢力図 まずは祝杯を! 雨宮処凛
■どうなる日本学術会議 任命拒否問題 「6人欠員」の異常事態続く 裁判と法人化の行方は── 竪場勝司
・任命拒否当事者の小澤隆一さんに聞く “偽物”の法人化に警鐘 「独立の意義」強調を 聞き手・竪場勝司
■半田滋の新・安全保障論 北朝鮮兵士のウクライナ戦争派遣は東アジアの緊張、核脅威増大につながる
■北朝鮮軍派兵の背景に何が? 6月の「パートナーシップ条約」で“軍事協力”復活か 文聖姫
■きんようぶんか 本・映画・音楽・TVドキュメンタリー
■言葉の広場、金曜川柳、イラストレーション、写真展、論考
■青木理の温泉という悦楽 「北陸・富山の褐色湯」
■読者会から
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【2】編集長コラム
【3】次号予告
【4】新刊本のご案内
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【1】注目の記事
■自公惨敗が意味するもの
10月27日投開票の衆議院選挙で自公が惨敗した。首相指名選挙をめぐって多数派工作が激しさを増している。国民民主党や日本維新の会がキャスチング・ボート(決定権)を握っているともされるが実際はどうか。4人の識者が選挙結果を分析する。
●政治の場に年齢・性別の多様性を
女性は過去最多だが15・7%
能條桃子
若者や女性の政治参加が進まないのは本人たちの責任ではなく、構造的な問題だ。政治への信頼を回復するためにはなにが必要かを考える。
●「裏金議員」の多くは落選したが……
「安倍的な政治」は払拭されない
前川喜平
衆院選で「裏金」に関与した安倍派(清和政策研究会、解散済み)の議員は多くが落選し、派閥の実質的な力は衰えたかに見える。それは本当か?
●低投票率がもたらした「連立方程式」
自民党総裁=首相思考の惰性は終わった
水島朝穂
欧州では珍しくない連立政権。衆院選の結果を受け、日本も新たな連立の時代を迎えた。この動きをどう見るか。
●野党共闘の行方と今後の課題
鮮明になった「自公対立憲」の構図
尾中香尚里
四半世紀にわたり連立を組んできた自民党と公明党の連立与党が過半数を割り、野党第1党の立憲民主党が躍進した。「1強多弱」の時代が終わり、「自公対立憲」の「2強」が政権をかけて戦う構図が鮮明になってきた。
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■2024年ノーベル賞
平和賞と文学賞 記憶を継承してきた団体と個人を称える
今年のノーベル平和賞は被団協(日本原水爆被害者団体協議会)、文学賞は韓国人作家のハン・ガンさん(53歳)が受賞した。共通点を挙げるとすれば、「記憶の継承」だろう。被団協は、広島・長崎に米国が落とした原爆の被害者として、その記憶を後世に語り続ける。ノーベル賞委員会も「肉体的苦しみやつらい記憶を、平和への希望を育むことに生かした」と被爆者らを称えた。
一方、ハン・ガンさん、5・18光州民主化運動や済州4・3事件など、時の軍や政府が民間人を虐殺した事件を背景にした小説も書いた。ノーベル賞委員会はこのことに注目し、「歴史のトラウマと向き合」ったことを評価した。記憶を継承することを、同じ過ちを二度と繰り返さないことにつなげていかねばならない。
●「核のタブー確立」の被団協に平和賞
評価された「証言の力」
宇城昇
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)へのノーベル平和賞決定の理由は「核兵器の使用は道徳的に容認できないという強力な国際規範『核のタブー』の確立」への多大な貢献だった。評価されたのは、広島、長崎の被爆者が世界に示してきた「証言の力」だ。
●ノーベル平和賞の受賞は「ゴールではない」
「核なき世界」を、すべての人が考えるきっかけに
田中重光
すべての人が考えるきっかけに2024年のノーベル平和賞は被爆者団体の全国組織「日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)」に決定した。被爆から間もなく80、「被爆者なき時代」の始まりがもうすぐそこにある現実を前に、受賞の意義とこれからを日本被団協の田中重光代表委員に聞いた。(聞き手・橋場紀子)
●NHK連続テレビ小説「虎に翼」
原爆裁判は作り手の思いによってしっかりと描かれた
佐藤和雄
被団協(日本原水爆被害者団体協議会)のノーベル平和賞受賞は、核廃絶に向けた動きへの後押しになるか。1963年の「原爆裁判」判決も核廃絶や被爆者救済に大きな影響を与えた。本誌の今年3月29日号で「4月から始まるNHK連続テレビ小説『虎に翼』 原爆裁判をどう取り上げるのか」を報じた。この問題提起に対し、ドラマはどう答え、そこにはどういう意味と背景があったのか──。
●【時事IN提携企画】ノーベル文学賞受賞韓国人作家ハン・ガンさんの思い
世界中に数多くの苦しみがある中、もう少し静かにいるべき
車炯錫
韓国人作家のハン・ガンさんが今年のノーベル文学賞を受賞した。アジア人女性としては初めてのことだ。本誌と提携する韓国の時事週刊誌『時事IN』は、「韓国文学史における一大事件」だと指摘する。『時事IN』はどう報じたか。10月29日号の記事を紹介する。
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【2】編集長コラム
編集長交代
「原作者の弘兼(憲史)氏と講談社は『当事者の確認が取れていない伝聞でした』として、謝罪しましたが、内容は謝罪とは言い難い。心から謝罪する気があるなら、雑誌を回収し、辺野古テントに来て、みんなの前で謝罪すべきです」。
沖縄・名護市に住み、日米の軍事基地がなくなることを求めて反戦活動を続ける中山吉人さん(67歳)からこんなコメントが届いた。漫画「社外取締役 島耕作」で、普天間基地の辺野古移設に抗議する人たちについて、キャラクターが「日当で雇われた」と語るシーンが登場した件だ。平和を祈って座り込みを続ける人々への侮辱は断じて許せない。通り一遍の謝罪で終わらせてはならない。
11月1日で3年間の編集長任期が終わりました。編集長として携わるのはこの号が最後です。楽しいことも、落ち込むことも、泣きたいこともたくさんあった3年間でしたが、終わってみればあっという間。次号からは吉田亮子編集長にバトンタッチします。引き続きご愛読をよろしくお願いします。(文聖姫)
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【3】次号予告
★2024年11月15日(第1497)号
【総選挙】
【沖縄】
●講談社の回答“表面”謝罪の中身 「辺野古反対派は日当で雇われ」 今度は「島耕作」が無根拠中傷|本田 雅和
【新連載】
●尾池和夫の見る 食べる 学ぶ 第1回 日本のジオパーク
【新・買ってはいけない】
●健康にいいと思うな 「ロカボ」なヌードル|渡辺雄二
【くらし 食】
●農薬再評価、最初からやり直せ 明日のために求められる予防原則|原英二
【『金曜日』で逢いましょう】
●濱田知希さん|桑原和久
【好評連載】
●半田滋の新・安全保障論
●【提携連載企画Tansa】「公害PFOA」 岡山・吉備中央編04|中川七海
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【4】新刊本のご案内
★増補版 ひとめでわかるのんではいけない薬大事典
浜六郎 著 2750円(税込) 四六判並製・448頁
その薬は本当に必要ですか?
医師として薬害と闘い続ける著者が、さまざまな薬の危険度と効用を分析して解説する。
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