週刊金曜日1484 号 2024.8.9-16目次,戦争は静かにやってくる

P15 戦争は静かにやってくるー日中戦争勃発時に酷似
先の戦争で大企業が巨額の利益を得ていた事実は看過されがちである。軍艦や軍用機の生産で躍進した三菱重工
2024.7三菱重工、半年で株価2倍、防衛の受注急増、岸田政権の大規模な軍備拡張政策
P16東・南シナ海での米中の偶発的な軍事衝突で自衛隊の参戦、憲法9条改正、靖国神社参拝の合法化
P34荻野富士夫「機能的治安法令」:特定秘密保護法、共謀罪、重要経済安保情報保護活用法(実質は経済秘密保護法)。
P26八戸、松島基地に米軍のF16が展開、台湾有事に分散させる。九州南端から与那国島まで地対艦ミサイルの壁。「軍隊は住民を守らない」、抑止に失敗したとき戦場になるのは日本。布施祐仁
P34よみがえる戦争の亡霊博多、靖国神社、品川、三ノ宮
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fujisan目次
内容
■表紙
■それでもそれでもそれでも 齋藤陽道
■風速計 ブリンカーつけて走る人 田中優子
■金曜アンテナ
・出生届の嫡出規定違憲訴訟で東京地裁が「合憲」判決 子の不利益認めたが扉開かず 室田康子
・旧優生保護法訴訟、最高裁の違憲判決を受け最初の和解成立 一刻も早く救済制度の確立を 岩崎眞美子
・在日外国人の無年金状態解消求め市民団体が要望書提出 国の「問題放置」を厳しく批判 吉永磨美
・「模擬原爆」被弾地の“地獄”を伝える「平和祈願之碑」 富山市で犠牲者追悼慰霊式 藍原寛子
■さらん日記
■凱風快晴ときどき曇り 嘘つきと「メタ・メッセージ」 内田樹
■政治時評 佐藤甲一
■【敗戦特集】戦争は静かにやってくる 私たちは先の戦争から何を教訓にすべきか
・「戦争ができる国」 四つの要素が揃って完成、日中戦争勃発時に酷似 軍備増強に邁進する自民党と財界は日本をどこに導くのか 山崎雅弘
・視覚障害者と戦争 基地や前線の医師不足を補う「海軍技療手」 戦闘機の爆音をレコードでおぼえ「防空監視哨」に立つ 古川晶子
・戦前の「婚活」 優生思想を推し進めた重大な人権侵害 「大東亜戦争」完遂、「健全人口」増やすため 吉永磨美
・沖縄戦 歪曲の危険 指揮した軍人と内務官僚美化する動きは戦争正当化につながる 吉永磨美
・悪法・治安維持法 排外主義の沸騰を契機に「新しい戦前」は進行する 荻野富士夫
・東アジアの安全保障 米軍独自の演習に自衛隊が初参加 「一蓮托生」のつもりでも、米国の「捨て石」にされるかも 布施祐仁
・空襲やまぬウクライナの街 「英雄」遺族の人知れぬ苦しみ 写真・文/丸山 博
・平和を思う夏のTVドキュメンタリーと映画 ワタナベ=アキラ
・『大日向村の46年―満州移民・その後の人々』山本常夫監督に聞く 現代への警鐘「満蒙開拓」
■経済私考 佐々木実
■不謹慎な旅 よみがえる戦争の亡霊 現代に重ねた戦中戦後写真 写真・文/木村 聡
■報告書で明らかになった小林製薬の驚くべき実態 垣田達哉
■立憲と国民の「橋渡し議連」発足 “泉健太ミッション内閣”の仕掛け人 宮崎信行
■岸田政権とは何だったのか 安保大転換
・対米追従、防衛産業との癒着 国民を闇に引きずるブラック・ホール 半田滋
・「日本売り渡し」 その後に待ち受ける「台湾有事・即・自衛隊参戦」 前田哲男
■【提携連載企画】誰が私を拡散したのか30 解決策なき譲渡 「そういうシステムが欲しいっていうんだから」 Tansa・辻麻梨子
■【提携連載企画】【音声記録入手】 ダイキン工業株主総会 PFOA汚染への補償ないまま 井上会長に43億円 Tansa・中川七海
■ヒラ社長が行く 植村隆
■弁護士任官「どどいつ裁判長」の訴え(下) 竹内浩史裁判官単独インタビュー 「司法の危機」が裁判官たちに沈黙をもたらした 佐藤和雄
■言葉の広場、金曜川柳、イラストレーション、写真展、論考
■らんきりゅう 理髪係が綴った東京拘置所のリアル 雨宮処凛
■読者会から
■市民運動から講演・映画・音楽 イベントの情報案内板
■金曜日から、編集長後記 編集部員を募集します
■猫様
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【1】注目の記事
【2】編集長コラム
【3】次号予告
【4】新刊本のご案内
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【1】注目の記事
■敗戦特集 戦争は静かにやってくる
私たちは先の戦争から何を教訓にすべきか
日本の敗戦から79年。日本の人口のうち、戦中・戦前生まれが占める割合は約15%(2020年総務省公表の人口推計)。戦争を知らない世代が社会の中心を占める中、戦争ができる国への準備は着々と進み、美化する動きさえある。
一方、世界に目を向けると、ロシアの侵攻によって始まったウクライナ戦争は2年半近くが過ぎ、犠牲者は増え続ける。オリンピックに世界が浮かれている間も、ガザではイスラエル軍の攻撃で子どもを含む民間人が毎日のように死んでいる。私たちは先の戦争から何を教訓にすべきか。いまこそ考えたい。気がつけば、静かに戦争がやってきたとならないためにも。
●【「戦争ができる国」】四つの要素が揃って完成、日中戦争勃発時に酷似
軍備増強に邁進する自民党と財界は日本をどこに導くのか
山崎雅弘
「戦争ができる国」は、軍事費の増大と軍備の増強、政界・財界・メディア業界による「挙国一致」の戦争支持、主要メディアの政府追従宣伝、政府に対して疑問を抱かず従順に従い続ける国民──筆者が指摘する「戦争ができる国」が完成する四つの要素だ。岸田政権下で日本は戦争の準備が「国策化」しつつある。
●【視覚障害者と戦争】基地や前線の医師不足を補う「海軍技療手」
戦闘機の爆音をレコードでおぼえ「防空監視哨」に立つ
古川晶子
太平洋戦争中、障害者を「お国の役に立つ」道へ追い込み、その活動を「盲人でさへ挺身」と持ち上げる、社会ぐるみでの動員があった。2024年度から障害者の就労施設における報酬についての成果主義導入があり、戦時の障害者利用、動員を彷彿させる動きが出ている。戦時中の視覚障害者の状況について、長年にわたって研究する岸博実さん(日本盲教育史研究会事務局長)に聞いた。
●【戦前の「婚活」】優生思想を推し進めた重大な人権侵害
「大東亜戦争」完遂、「健全人口」増やすため
吉永磨美
少子化解消を掲げ、婚活アプリの導入など、未婚の男女を引き合わせる自治体の官製婚活が盛んだ。婚活は現代に限らず、優生思想と相まって戦時中にも進められていた。戦前の公文書、書物をひもときながら、戦時の重大な人権侵害の元となった「優生思想」に焦点をあて、現代の人口政策を考える。
●【沖縄戦歪曲の危険】指揮した軍人と内務官僚
美化する動きは戦争正当化につながる
吉永磨美
敗戦80年を目前に、沖縄の軍事化が着々と進んでいる。「戦場化前夜」の様相を呈する中、太平洋戦争末期の沖縄戦を指揮して「南部撤退」を決定し、住民を戦闘に巻き込んだ旧日本陸軍の牛島満第32軍司令官(当時)や島田叡県知事(同)。両人の「いい人」である、一面的な個人的エピソードを持ち出し、美化する動きがある。重大な人権侵害を引き起こした軍人や官僚の戦争責任をうやむやにしかねない動きに沖縄在住の研究者やジャーナリストらが警鐘を鳴らしている。
●【悪法・治安維持法】「法の支配」のもとに「法の暴力」を振りまく
排外主義の沸騰を契機に「新しい戦前」は進行する
荻野富士夫
「天下の悪法」と評された「治安維持法」制定から来年で100年を迎える。当時の為政者に都合よく改変、解釈され、多くの市民が弾圧され、国家に忠誠を誓うように強制された。そしてここ数年、自民党政権は安保法制をはじめ、「機能的治安法令」として特定秘密保護法、共謀罪法などの法整備を進めている。「新しい戦中」が迫っている。
●【東アジアの安全保障】米軍独自の演習に自衛隊が初参加
「一蓮托生」のつもりでも、米国の「捨て石」にされるかも
布施祐仁
6月に実施された、インド太平洋地域での紛争を想定した米軍の大規模軍事演習に、初めて自衛隊が参加した。日本国内でも共同訓練が行なわれたが、これは米空軍が中国との戦争を想定して策定した「ACE(機敏な戦力展開)」に基づくものだ。軍事問題に詳しいジャーナリストは、「台湾有事」が起きた場合、日本全域が攻撃目標になり得ると警鐘を鳴らす。
●【空襲やまぬウクライナの街】「英雄」遺族の人知れぬ苦しみ
丸山博
戦争は「最も愚かな出来事」。だが、ロシアの侵攻に対して、「勝つまで戦う」と志願して前線に行くウクライナの国民も多いという。戦火収まらぬ街に生きる人々の思いは苦渋に満ちている。
●平和を思う夏のTVドキュメンタリーと映画
ワタナベ=アキラ
●【満州】映画『大日向村の46 年 ─ 満州移民・その後の人々』山本常夫監督に聞く
現代への警鐘「満蒙開拓」
平畑玄洋
ドキュメンタリー映画『大日向村の46年─満州移民・その後の人々』(1985年)が、製作から39年の時を経て再び全国で順次公開される。大日向村(現・長野県佐久穂町)は38年、村の半分という大規模な開拓団を旧満州(中国東北部)に送り出し、満蒙開拓の「模範村」として国策を担った。映画は多くの証言から分村移民の実態に迫る。山本常夫監督(76歳)に映画を撮った経緯などを聞いた。
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【2】編集長コラム
戦争は静かにやってくる
いつの頃からか本誌では8月合併号で「敗戦特集」を組むことが慣例となっています。少なくとも私が編集長になってからは2年連続で「戦争」をテーマに特集を組みました。2年前の2022年は、9月27日に安倍晋三元首相の国葬が行なわれることになっていたので、「国葬反対」を表紙に大きく打ち出し、話題になりました。
特集のテーマは「戦争を止めるためにいま考えること」。昨年のテーマは「戦争はいけないに決まっている」。2年連続で反戦を大きな柱としました。
今年は編集長の任期満了を迎える私が取り組む最後の「敗戦特集」です。だからというわけではありませんが、年初から何をテーマにするかをずっと考えてきました。今回のテーマは「戦争は静かにやってくる」。「新しい戦前」と言ったのはタレントのタモリさんですが、まさにいまの状況を的確に表した言葉だと思います。
今回はジャーナリストで本誌契約記者の吉永磨美さんが、テーマや筆者の選定から執筆まで協力してくださいました。(文聖姫)
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【3】次号予告
★2024年8月23日(第1485)号
【特集】
フィリップスの無呼吸症候群治療器で健康被害の疑い|萩一晶
●CPAP使用歴15年の患者を襲った体の異変 睡魔は去り、病魔が訪れた
●世界を驚かせた大規模回収、日本ではひっそりと 規制の網に開いた「穴」、メーカーは不可解な「報告」
●健康被害は日本でも起きていた 米国では14万件の有害事象報告、日本では49人?
【コラム】被害者の声
●日本のフィリップスは「黒い粒子」をとっくに把握していた 大規模リコールから3年、新しい動きが続々と
【健康被害】
●PFAS対策でも〈ガラパゴス化〉する日本 諸永裕司
【ルポ・能登半島地震から半年】
●原発立地に不適を視認|写真・文 明石昇二郎
【こどもの貧困解消法】
●「貧困の解消」を法律名に明記 「切れ目ない支援」盛り込む|竪場勝司
【外国人との共生】
●関西で相次ぎ開館 在日コリアンミュージアム ウトロ平和祈念館、大阪コリアタウン歴史資料館、神戸在日コリアンくらしとことばのミュージアム|韓光勲
●【健康】PFAS農薬による環境汚染が進行している 植田武智
【新連載】
●菱山南帆子の「同円多心」
【好評連載】
●メディアウオッチ 女子ボクシング選手に関連し拡散された トランスジェンダーへの誤解とヘイト|李美淑
●季節の薬膳 餞暑茄子|新倉久美子
●半田滋の新・安全保障論
●あの人の独り言|松崎菊也 絵空事/石倉ちょっき
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【4】新刊本のご案内
★増補版 ひとめでわかるのんではいけない薬大事典。
浜六郎 著 2750円(税込) 四六判並製・448頁
その薬は本当に必要ですか?
医師として薬害と闘い続ける著者が、さまざまな薬の危険度と効用を分析して解説する。
ベストセラー『新版のんではいけない薬』の後継本で2017年発行の『ひとめでわかるのんではいけない薬大事典』を増ページ、大幅改訂して新版化。
(2024年5月刊)
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