あしたの人事の話をしよう

セレクションアンドバリエーション株式会社 代表取締役 兼 グロービス経営大学院HRM担当准教授の平康慶浩(ひらやすよしひろ)のブログです。これからの人事の仕組みについて提言したり、人事の仕組みを作る立場から見た、仕組みの乗りこなし方を書いています。

まじめな話と、雑感(よしなしごと)とがまじっているので、 カテゴリー別に読んでいただいた方が良いかもしれません。 検索エンジンから来られた方で、目当ての記事が見当たらない場合 左下の検索窓をご活用ください。

最終面接にスーツは必須?

就活もクールビズで、という呼びかけをしている会社がある。

coolbiz.offerbox.jp

オファーボックスという、新卒向けの逆求人で有名な、i-plugという会社だ。

僕は一度、経営陣と食事をご一緒させていただいたけれど、元気でユニークな良い会社だ。就活クールビズに賛同している企業として、カゴメやコクヨなどがあるようだし、これからさらに広がるといいなぁ、と思う。

 

なぜなら、先日東京の電車内で聞こえてきた会話に、考えさせられたからだ。

男子の就活生たちがこんな話をしていた。お互いに丁寧語だったから、きっとどこかで知り合った就活仲間なんだろう。

仮にAくん、Bくんとするけれど、Aくんの状況に対して「正しい」対応はないだろう。社風とか、内定者の充足度とか、いろいろな要素がからみあって、それぞれの会社毎に答が異なるだろうから。

 

AくんとBくんはこんな話をしていた。

 

A 「〇〇社って知ってます?」

B 「ああ、知ってますよ。受けたんですか?」

A 「最終まで行ったんだけれど、僕のミスで落ちたんです」

B 「残念でしたねー。でもどんなミス?」

A 「スーツを全部クリーニングに出してしまったんです」

B 「え?!」

A 「二着をローテさせてたんですけれど、たまたま一日ずれてしまっていて、最終面接の日に着るスーツがないことに気付いたんです」

B 「ありゃー、それでどうしたんですか?」

A 「すぐに会社に電話したんですよ。そしたら電話に出た採用担当の人に大笑いされて。あ、これは大丈夫かな、と思ったんですけれど……」

B 「それで?」

A 「『私服でも大丈夫でしょうか?あるいは別の日程に変えていただくことはできませんか?』ってたずねたら担当の方の口調がいきなり変わって……『いや、笑ったけれど、社会人としてそれはなしでしょう。もう来なくていいですよ』って……」

B 「……まじですか」

A 「……その日は何もできませんでしたよ。だから今クリーニングがトラウマなんです」

 

この会話を聞きながら僕はすぐに、就活クールビズだったら違ったかな?と思った。

でも、そうじゃない会社も多いだろう、と考えて、答えがわからなくなった。

なにしろ最終面接だ。

それは儀式的なものである場合もあるけれど、本当に最終意思決定を行う場面であることが多い。であれば、可能な限り正装で臨むことがいいだろう。

たとえばクールビズを唱えている会社同士の打ち合わせであったとしても、最終契約の重要な場面では互いにスーツでそろえることもある。キメなければいけない場面では、できるだけより良い自分を見せなければいけないから、むしろそうしたくなることもあるだろう。

また、当日の面接役員が私服でもいいと判断しても、他の役員の中には激怒する人もいるだろう。そうなると採用担当としてはおいそれと冒険することはできない。

とはいえ、日程を変更するくらいはしてあげても良いようには思う。

 

あなたの会社の採用担当なら、どう答えるだろう?

 

 

平康慶浩(ひらやすよしひろ)