アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

女子サッカー

プレーオフに出られないチームが勝点を剥奪されても

小ネタです。女子プロサッカーのNWSLのAngel City FCがサラリーキャップ違反があったとかで勝点3を剥奪、罰金$200,000を食ってます。NWSLでは資金の豊富なチームであり入場者数でも試合平均19,000人を超えるNWSLの優等生のAngel City FCですからサラリーキャップが強化の邪魔で多くお金を払ったってことのようです。

しかしながらです。剥奪前の段階でAngel City FCは14チーム構成のNWSLで6勝12敗4分の勝点22で10位。NWSLのプレーオフは8チーム出場なので圏外、8位までは勝点6差でした。そこから3引かれて勝点19となって残り少ないシーズンでプレーオフ進出はほぼ望めない状態となったようです。
でもアメスポってプレーオフに進出できないとなったら勝点は少ない方がドラフトで得になるからこの時点で勝点剥奪って全然ペナルティになっていないのではないのか。残り4試合で勝点6差で逆転が苦しいとなってから勝点剥奪って意味があるんですかね。

NWSLは零細ですから数少ないカネの稼げるチームであるAngel City FCを叩くのを躊躇する面があったのかなという憶測がしたくなります。


めったにNWSLの話など書かないのでついでに前からちょっと気になっていたことを書いてしまいます。NWSLの新参チームでSan Diego Wave FCというのがあって、ここの暫定監督を元男子代表ストライカーのLandon Donovanが務めています。2023年実績で動員平均2万人超えという実績になっておりNWSL最大。新規参入チームとしては急な成功といえます。

Donovanは現役時代にはアメリカサッカーの顔でしたし、引退後も解説業でよく顔を見ます。この夏もEUROの放送の方だったかで実況解説してました。女子チームの指導について語っていたのを1−2ヶ月ほど前に聞いてなるほどDonovanみたいな性格の人には女子の指導は向いているのかもなと思いました。曰く「女子の方が男子より指導を聞いて学ぶ姿勢がはっきりしてる」「男子選手たちのようなエゴがなくて指導が楽」「戦術的に指示したらその通りやってくれる」と男子を指導するより指導しがいがあると充実感を語っていました。なぜかDonovanの暫定の肩書がなかなか剥がれずその辺が訝しいですが。

San Diego Wave FCは現時点でNWSL10位でプレーオフ圏外。人知れず国の南西隅でDonovanが奮戦しているんだなあと想像するとそれはそれで楽しいです。

女子は外国人監督で金メダルを獲ったわけですが

サッカー米女子代表がパリ五輪で金メダルに返り咲き。2012年以来3大会ぶりの金メダルです。昨年の女子W杯ではノックアウトラウンド一回戦で敗退したばかり。あのときからメンバーも一新してその若い選手たちで早くも頂点に返り咲きというのは五輪前の苦戦予想を覆した快勝劇。

通称99ers(アメリカサッカーの興隆の端緒となった1999年の女子サッカーW杯米女子代表優勝メンバーがそう呼ばれています)が金メダル獲得後にオンライン祝勝会を公開していて大変盛り上がっていました。ここしばらく苦しい国際大会が続いていたので今回のトップへの返り咲きはよほど嬉しかったようです。

祝勝会の方はともかくいったい今回のいきなりの復活優勝の理由をどこに求めるかということなんですが、新監督の手柄ってことになるのでしょう。英国人のEmma Hayesが昨季のWomen's Super Leagueシーズンを終えてからChelseaから米代表監督に転任。Chelsea女子で5連覇という実績を引っ提げて米女子代表監督に就任後10試合で金メダル獲得です。

あまりにも早すぎるので監督の手腕と違うのではないのかというケチもつけようと思えばできます。選手はHayesが着任する前にもう揃っていた。でも例えば功労者のAlex Morganを代表から落選させたのは外様の監督だからできたことかもしれません。人的なつながりがあるアメリカ人監督だと落選させられなかったかもしれないし、選んでしまえば今大会ゴールを量産して活躍した3トップのSophia Smith, Trinity Rodman, Mallory Swansonの出場機会が削られていた可能性だってある。
他でも一時点で米女子代表の中心選手だったと言ってよいRose Lavelleのコンディションが悪いと見切るとあっさり先発も外しサブでも使わない。これもしがらみのなさからくる起用変更でしょう。
Chelseaで勝ち続けて試合中の戦術調整にも定評があるという話でそれも差になったのかもしれません。

これで女子の方は久々に世界のトップに返り咲いて、次のW杯は2027年と先のこと。しばらくはトップ気分に浸れるはずです。メンバーも年齢的に力が下がる選手は少ない。新監督のEmma Hayesの地位も(他から引き抜きがなければ)安泰でしょう。


さて男子のサッカー米代表監督は例のCopa Americaでの失敗で前任者を切って以来空席のまま。ネットでは次から次と良く知らない人の名前が上がっては消えるのを繰り返しています。たぶん現実的にはそれらの名前の上がるのは閲覧数稼ぎのために火のないところに煙を立たている状態の可能性が高いです。実際は動き無しで、また代表監督不在のまま時間が過ぎていきそう。
女子の方は外国人監督であっさり成功してまったので男子の方も次期代表監督に外国人監督でも良いのではないかという意見も当然のように浮上してくるんでしょうね。

なんのかんのとチームスポーツは盛り上がる

パリ五輪もやっと最終盤。
男子米代表のバレーボールが銅メダルを獲得してます。録画放送で東部時間で10:30PM過ぎに勝ち切るところだけ放映していました。最後に激しいラリーがあったりで見せ場有りでフィニッシュ。銅メダルはアメリカの男子バレーとしては上出来。

チームスポーツは最後の土日にバスケの男女、サッカー女子、バレーボール女子がそれぞれ決勝戦を戦う予定になってます。バスケは男女とも金メダルで当然のように言われての決勝ですが、男子の方は別記事でも書きましたがセルビアに大苦戦の末の勝利。決勝戦がどういう試合になったとしてもあのセルビア戦は語り草として残る試合だったでしょう。女子バスケの方は試合を見てないですけど順調に勝ちまくってます。ただし話題に乏しい。毎大会女子バスケはこんな感じです。

サッカー女子代表は大会前は苦労するのではとも予想されていたのが決勝戦進出に成功。これで決勝で大惨敗でもしない限りは期待以上の結果ということになると思います。
昨年の女子W杯まで残っていた前世代のMegan RapinoやAlex Morganと言った顔役の選手もその世代の他の主力選手たちも大量に抜けて完全に代替わりしての初の大きな大会。そこで新しい3トップが準決勝まででそれぞれ3ゴールというところが成功らしさを感じさせるところです。
こんな風にSophia Smith, Mallory Swanson, Trinity Rodmanとフレッシュなスコアラーがあっさり揃ってしまうところが女子側の強みです。何代たっても点取り屋がいないままの男子サッカーからすればうらやましい話。

Mallory Swansonは26歳なんで年齢的には既に中堅なんですがやっと前の世代が抜けてフルタイムでポジションを確保してのこの活躍で女をあげたところ。Mallory SwansonはMLB Chicago CubsのDansby Swansonの奥さんです。Trinity Rodman22歳はNBAのリバウンド王かつ北朝鮮の首領のお友達Dennis Rodmanの娘さんです。ピッチ上で見ているとさほど背が高くは見えないんですけど新3トップの3人で並ぶとRodmanが一回り大きい。やっぱり大きいお父さんの娘だからかという感じです。どうもマスコミ的にはお父さんの話はNGらしくその話題には触れられていません。Trinity本人の意向なのかも。
もう一人のSophia Smithは23歳。

女子サッカーは以前にも書きましたが男女同賃金問題で法廷闘争までした頃のメンバーが表面から去ったことで、一時点でいわゆる政治的保守派から目の敵にされていたのがメンバーが大幅に入れ替わったことで落ち着いたかも。新しいスター選手として3人とも伸びていけば先行きの危ぶまれたサッカー米女子代表の人気も維持できるかもです。
決勝の相手はブラジル。超技巧選手として米国内の女子プロサッカーでも活躍してくれた38歳Martaの現役最終戦(のはず)で彼女のストーリーを完結できるかも気になる一戦ですね。グループリーグ最終戦で危険行為でレッドカード、トーナメント準々決勝・準決勝と出場停止だった間に他のメンバーで勝ち続けてMartaを決勝に送り込むことに成功したというプロレス風の復帰劇が予定されてます。世界の女子サッカー全体での最功労者の一人と言ってよいMartaがそのストーリーを完結するか、それとも新生米女子代表が新時代の幕開けを告げるか。


女子バレーボールは一番地味なんですけど個人的にはぜひ優勝して欲しい。功労者のJordan Larson37歳は今回が代表最後でしょうし、日本でもプレーしておなじみかと思われるAndrea Drewsも30歳。次がロス五輪で地元なんで本人は出場意欲を見せるでしょうが今回はともかく今後はDrewsの地位を脅かす大砲選手がもっと出てこないと。明日勝って五輪2連覇、地元ロス五輪で3連覇を狙える態勢を作ればアメリカの女子バレーの観戦スポーツとしての人気向上はワンチャンあるかどうか。

以上4チームの金メダルを賭けた決勝戦は全部地上波NBCでの放送があるようです。女子バスケは地上波放送は今大会初かも。

Wrigley Fieldを埋められるのか

女子サッカーのNWSLがMLB Chicago CubsのホームであるWrigley Fieldを使っての特別試合を企画しています。6月8日土曜日。この企画、埋まるのかなあと他人事ながら気になります。

Wrigley FieldはMLBの名物スタジアム。開場は1914年、110年前。歴史を重んずる面の強いジャンルであるMLBでも特に歴史を感じさせる球場です。MLBではBoston Red SoxのFenway Park(1912年開場)に次ぐ歴史を誇ります。

私がアメスポを意識する年齢になった頃はWrigley Fieldにはナイトゲーム用の照明が存在せず、チューイングガムのWrigleyの社長でCubsのオーナーが「野球は太陽の下でプレイするもの」という主義を曲げず全試合をデーゲームで消化していたということを読みました。アメリカには変わったオーナーがいるんだなと思いました。日本だと昼間だとお勤めの人が来られないから誰が全試合デーゲームで観戦してくれるんだろうと不思議でもありました。
その後MLBとCubsの対立を経てCubsはしぶしぶ照明施設を設置したのは1988年。ツタの茂った外野の壁にはボールが埋まってしまって探せなくなってエンタイトルツーベースになることも時々起こります。

Wrigley Fieldとはそういうアメスポ全体でも有数の名物スタジアムなわけです。そのWrigley Fieldを利用して女子サッカーのNWSLが試合をする。ビジターは新参チームのBay FC、それをホームのChicago Red Starsが迎える試合を特別試合として開催するんだそうです。
Wrigley Fieldの野球の試合での収容は41,649人。そしてChicago Red Starsの2023年の平均動員はNWSL12チーム最少の4,848人。

こういう特別な会場で特別試合を組んで煽って大量動員をするという例はアメスポには少なくありません。過去当ブログで紹介したものでは男子サッカーMLSのRose Bowlでの8万人動員試合であるとか、女子バレーボールでNebraskaが9万人動員だとか、他ではカレッジバスケ女子のIowa HawkeyesがCaitlin Clark人気に乗って56,000人動員という野外試合を開催したなどと言った例があります。他にはホッケーNHLがStudium Seriesなどを銘打ってフットボールスタジアムや野球スタジアムでの特別試合を毎年のように開催してまずまずの好動員を連発してます。

そういう前例がいくつもあるのでNWSLが真似てみようと思う発想はわからないではない。しかしNWSLでも最弱の動員力のRed Starsに4万人収容のスタジアムを埋めるだけの求心力はあるのか。


調べてみるとその開催日の6月8日にはChicago市内ではWNBAの試合とMLB Chicago White Soxの試合が開催予定です。ChicagoにはMLBは2球団ある。2球団を持つ都市ではほぼホームスケジュールは入れ子状態なので女子サッカーがCubsの留守にWrigley Fieldを使うならその日にWhite Soxのホームゲームがあるのはほぼ自然。ただその日のWhite Soxの相手はBoston Red Soxなんですよね。White Soxのホームゲームとしてはたぶん人気球団のRed Soxとの試合は他の相手よりも動員を稼げる試合でしょう。

女子バスケのWNBAのChicago Skyは人気チームとは言えませんが、Red Starsがスタジアムで特別試合をやるに当たって女子スポーツ全般を支持したいサポーターという層も動員したいはずです。その面ではWNBAの試合がある日に大型動員を目指そうという女子サッカーの特別試合を設定するのはセンスが悪いのではないのか。なぜ人気球団のBoston Red Soxの試合の日、WNBAも試合がある日を選んで特別試合をやるんでしょうか。
普段の動員が5000人ないRed Starsなのですからこの条件下で4万人は相当難行なのではないのか。


4万人は無理としても、仮に2万人の動員に成功した場合を考えてみます。そうなるとどうなるかというとRed Starsは昨年のホーム11試合での試合平均動員が4,848人、年間総計で53,000人強。今季も同じレベルだとしてそこに1試合だけ2万人動員の試合が混じると年間の総動員が7-8万人ぐらいになって見かけの試合平均動員が2000人ぐらい増えるという数字のマジックが起きます。
NWSLとしてはこの特別試合で動員力の一番弱いRed Starsへの数字へのテコ入れ策だと考えているのかもしれない。

もしWrigley Fieldの席の大半を埋めることができて4万人前後の動員となればそれはNWSLの動員記録の更新になります。過去の最多はSeattle OL Reignが昨年記録した34,130人。
どうなんですかね。チケットの売上のニュースが出ていないようなのでNWSLが今の時点で誇るような枚数は売れていない可能性が高そうなんですが、どうか。

Nations League決勝 何人が見られたのか

一週間が早いです。
CONCACAF Nations Leagueの決勝が先週末にありました。米代表 x メキシコ代表戦がAT&T Stadiumで開催。同会場は8万人収容の大会場ですが公式発表は59,471人動員。メキシコ代表の試合がテキサス州で行われれば観客席はメキシコファンで埋め尽くされるのが常ですが、それが6万人に届かなかったんですね。映像で見ていた分にはそこまで席が空いているには見えませんでしたが、あの会場は上の方の席は確かにあまり映り込まないかも。
場内はざっと見で9割はメキシコファンでしょうか。その割合はいつもそんな感じです。ということは米代表の応援は1万人をかなり下回る感じですかね。

実は米代表は準決勝でジャマイカ相手に大苦戦。ロスタイムのラストプレーの5分の同点ゴールでなんとか同点、延長戦へ繋いで勝ち上がり。この準決勝はキツかったです。
それが決勝は米代表の2−0での快勝となってます。これで米代表はNations League3連覇。
2ゴール目が入ったときにはメキシコファンから水のボトルその他が米代表にがんがん投げつけられ、それが止まらず試合中断、観客の退場者を処理したりというぐだぐだで長引いた末に試合は終わりました。

放映はCBS系列のストリーミングParamount+で。スペイン語放送は別途どこかのチャンネルでやっていたのだと思います。きっとそちらは視聴者も多かったのでは。

Paramount+は割とサッカーに手厚いんですがいったいどれぐらいの人にこのNations Leagueって届いたのかなと少し心配になります。今日になっても視聴者数などの情報が出ない。ストリーミングなので外部からは測りにくく、良い数字なら放映側が喜んで数字を流す場合もありますが隠されたらわからない。


ところで以前にも何度か紹介したGallup社によるスポーツ人気調査で2023年分が追加されていました。野球とサッカーがそれぞれ前回調査(2017年)から2ポイント落してるのが目につきます。この調査はコンマ%以下が示されないので1ポイントの下落なら四捨五入近辺で微減しただけの可能性がありますが2ポイントダウンはそれはない。
野球の低下傾向はまあそんなもんかなという気はしますが、サッカーの方は急だなと思えます。2017年の7%から2023年の5%。何10%の規模の2%ダウンと7%からの2ポイントダウンはウェイトが違う。ほぼ1/4の自称サッカーファンが消滅したようにも見える。以前から論じてる通りサッカーファンは一神教的な傾向が強いかと思いますからこのダウンの人たちはどこへ行ったのかなという興味をそそります。


ここからは私の憶測ですがこのダウンってひょっとして例のサッカー女子代表へのトランプ支持者からの集中攻撃で剥がれた人たちの可能性があるのではないのか。あの攻撃でサッカー女子代表は政治的な存在化になってしまい大変だったようです。
ようです、というのは私はトランプ支持者御用達のSNSを見るわけではないのでそんなに頻繁に女子代表非難とかMegan Rapinoeバッシングを見たわけではないですが、そういう私でもちょくちょく見かけるのですからトランプ支持者の間ではものすごい量と熱量があった可能性があります。それでそれまでは政治的な理由は関係なく女子代表の試合を見ていた人がサッカーファンと回答しなくなったんじゃないかなと。

当たり前ですがあの騒ぎの以前の女子代表のファンだった人にはトランプ支持者もいればそうでない方もいたはず。世論調査でトランプ氏の好き嫌いを問うとほぼコンスタントに5:4ぐらいで否定的に出ます。ものすごく大雑把に言って半々。

つまりですね、2ポイント剥がれたのはサッカーファンだと回答していた人のうち女子代表を念頭においてサッカーと回答していた人のうちざっと4-5割がトランプ支持者で、それがこの下落分の2ポイントなのかもなと。それぐらいしかサッカーにマイナスの事情ってここ5年のうちで思いつきません。

とするとですね非トランプ支持者の自称サッカーファンで女子代表ファンもほぼ同数の2ポイントぐらいは残っているのかなと推定することは無理ではないでしょう。
そうなると下落して5%となった2023年分のサッカーをfavoriteとした人たちのうち2ポイントは主に女子代表に興味がある人たちだと仮定するのはそれほど無理ではない。つまり女子には興味がなく男子や海外サッカーを念頭にfavoriteとした人の数は数字の見かけよりかなり少ないのかもしれないなとも読めます。

NSWL決勝がCBSで放送

女子サッカーのNWSLの今季の決勝戦がありました。地上波CBSで放送。好試合となってたのしめました。OL ReignとNJ/NY Gotham FCが中立地のSan Diegoで対戦。観客動員は25,000人。中立地での試合で場合によっては動員がさびれることも有り得た中、恥ずかしくない観客が入っていたように見えました。

この試合はNWSLの決勝戦であるとともにOL Reign所属の米代表ベテランのMegan Rapinoeの現役最終戦。今季での引退はWorld Cupの頃から言っていたのですがOL Reignが勝ち進んだためこの舞台がRapinoeの引退試合にもなりました。同じく元米女子代表で人気の高かったAli Kriegerも今季前に今季を最後に引退するとしていたのですがこちらも所属のGotham FCが勝ち進んだためKriegerにとってもこの決勝戦が引退試合となってます。
NWSL側から見れば2人の元米女子代表の人気選手の引退試合がはからずもNWSLの決勝戦に重なるという幸運となってます。この2人の引退興行ならそれだけでも観客はそれなりに呼べるはず。

しかし試合開始早々にRapinoeが非接触負傷で退場。その後メディカルブーツを着用してベンチには戻ってきましたが不測のキャリア終了場面となってしまってます。
RapinoeはWorld CupでもPK戦でPKを外して天を仰いだのが(その後の引退興行を除けば)代表での最後のシーンとなってしまってますし2度目のつらいラストシーンってことになりました。

試合の方はGotham FCが2−1で逃げ切って勝利していますが、試合終了間際に混乱。OL Reignがゴールに迫るボールにGotham GKがボックス外でハンド一発レッドで退場。交代枠も使い切っていたためフィールド選手が急遽GKユニフォームを着込んで最後の一連のOL Reignの攻撃をさばくことに。
緊迫と混乱のフィニッシュでしたがスコアはそのまま。なかなかエンタメ度も高くて良かったのではないでしょうか。
スコアをしたのもこれからの米女子代表の中心選手となるはずのRose LavelleとLynn Williams、それにWorld Cup優勝国スペインのストライカーEsther Gonzálezと役者も揃っている。優勝戦のMVPに選ばれたのは2アシストを記録したMidge Purce。
表彰式ではこの試合に出られなかった元&現米女子代表のKristie MewisやKelley O'Hara、またWPS時代からおなじみのベテランMcCall Zerboniなんかも今季はGotham FCのメンバーだったんだなと今になって知ることに。この辺の実力派ベテランを押しのけて若い選手で固めていい内容で勝つというのはアメリカ女子サッカーの選手層の充実を示しているってことなんでしょうね。
同時にそういう中、最後の決勝戦まで出突っ張りで引退を飾ったAli Kriegerは幸運な選手だったことになりそうです。代表で良く呼ばれていた当時から彼女はその筋で人気がとっても高かったです。この手の顔はウケるんですよね。

私個人的にはちょうど同時刻に行われていたカレッジフットボールの注目の試合がことごとく大差で見るに耐えないのもあって落ち着いてNWSL決勝を見られて良かったです。
なおEli Manningが現地観戦。EliはGotham FCの部分オーナーになっているんですね。

サッカー米女子代表 再発進

サッカー女子代表の親善試合対南アフリカ戦2連戦の第1戦が行われてます。場所はFC Cincinnatiの本拠TQL Stadiumで22,016人。まずまずの盛況と言って良いのでしょう。先週行われた男子代表の親善試合の2連戦が15,569人、13,665人と低調だったことは書きました。男子の相手はウズベキスタンとオマーン。女子の方は南アと二度対戦予定。どちらも相手国のファンで動員が増えるような対戦相手ではなく男女代表の現在の素の動員力かなというところ。いつも通りアメリカにおいては女子代表の人気は男子代表に劣ると考えるべき理由はないという再証明になっているのでしょう。

この夏の女子代表のW杯でのノックアウトラウンド初戦敗退という失敗大会を経ていたので人気低下の表面化が懸念された試合でしたが22,000人の動員、そして会場の熱い盛り上がりぶりからしてW杯失敗の影響は大きくないと考えて良さそうです。しぶとい人気ぶり。

過去のW杯では優勝した余勢をかってVictory Tourなどと銘打って大々的に全米を10試合近く巡業をして大盛況なんてことをやっていたものです。それとは比べられない静かな前宣伝ぶりでしたがそれでもこれだけ観客が集まるというのだから人気は相当に安定しているのは疑いがない。

この日はW杯敗退直後に引退を発表していたJulie Ertzの引退試合。前半途中で退く直前にErtzからの好パスを経由しての鮮やかなゴールが決まってタイミング良いきれいな去り際になってます。Julie Ertzって顔立ちも含めて長身っぽいイメージでしたが公称での身長は5 feet 7 ざっと170cm程度だったんですね。アメリカ人女性アスリートとしては低くはないけどそれほど長身の部類とは言えない。
Julie Ertzが引退して中盤底から前に後ろに意欲的に動き回れる選手の代わりは来年のパリ五輪までに出てくるのか。

Thank you, Megan という国の分断

Megan Rapinoeのヘイターが欣喜雀躍しています。すごい量だなと感心します。サッカー米女子代表の敗戦で生き生きとしてます。これはアメリカの分断という大きなテーマの一段面であり来年の大統領選挙前年でもあり共和党の大統領候補選びのプロセスが始まる今の時期ですし。

トランプ前大統領が名指しで「サッカー女子米代表はアメリカを憎んでいる」と煽って、トランプが煽れば全部受け入れる層が存在するのが今のアメリカの現実。煽られると本当に国会襲撃しちゃう層ですから。それで今回の女子W杯の視聴ボイコット呼びかけに。ボイコットすると言いつつ実は誰それが国歌を歌っていない云々と検閲。特に怨嗟の対象であるMegan Rapinoeへの攻撃はその方面では過激化していて、ナイフをちらつかせながらお前らのところに行くぞ的なイカれたビデオクリップをアップする輩もいたりでやれやれであります。

Rapinoeは大会前から今回の代表活動で代表を引退することを表明済み。中盤の核として長年活躍してきたRapinoeですが以前の判断良く切れの良いプレーは既に消えていて実力本位で選考するなら今回の代表漏れもありえた状態だと私には見えてました。
ただそういうRapinoeへの露骨な攻撃が多い中で彼女を代表選抜漏れさせるとそれはそれでその圧力に屈したかのようなイメージになりかねず逆に外しにくかったかもしれません。Rapinoeとは直接ポジションはかぶりませんが代表候補の有力選手たちにけが人が多かったのもあってRapinoeが選ばれる余地が多かったということも言えます。同じくスウェーデン戦でPKを外したベテランのKelley O'Haraが代表に選ばれたのもけが人の多さのせいだったといえる。結果的にはそんなこんなで代替わりがうまく進まなかった上での早期敗退となってます。

敗戦後には今回代表でCBを務めたJulie Ertzが現役引退を表明。Rapinoeも引退、O'Hareももう代表に選ばれる可能性は低そう。けがで今回選ばれなかった主将格だったBecky Sauerbrunnも年齢的に最大やっても来年の五輪までか。あとはAlex Morganの去就次第では米女子代表も人気が一番高かった頃からのメンバーは皆去って次のサイクルは総入れ替えということになります。
Julie Ertzの場合はNFL選手と結婚していて経済的な不安がなく寿退社に近く他のメンバーのように30代後半まで人生削って頑張って稼ぐ理由が少ないのでまあ納得。このパターンとしてはNBA選手と結婚したLauren Holiday(旧姓Cheney)があっさり引退したというのもありました。MLB Nomar Garciaparraと結婚したMia Hammもそのはしり。

Rapinoeが単独で攻撃の的になったのは彼女が同性婚をしていてサッカー協会との男女同額報酬の労働闘争のリーダー格とみなされていたしColin Kaepernickの国歌膝つき問題でもいち早く呼応したりと保守派の嫌う要素をいくつも兼ね備えていたからです。前回の大統領選挙のときもトランプはNBAやWNBAの影響力を大いに攻撃するなどスポーツ選手が政治影響力を持つことに敏感でその続きってところもあるのかもしれません。
Rapinoeがその怨嗟の焦点にいたことで他の若手選手たちは名指しでの批判は避けられたという面もあったのは今後どうなるか。Rapinoe攻撃に隠れてますが実は以前に比べて米女子代表の白人率はかなり下がっているんですよね。人種年齢的に米女子代表に自身を重ね合わせて支持していた少女層での人気が白人率が下がっていったときにどうなるのかの動向は以前から気になってました。その数字はまたそのうち出てくることでしょう。

そういうRapinoe叩きがあった一方で「Thank you, Megan」と題されたGoogleのTVコマーシャルが流されています。GoogleによるRapinoe支持の表明ですね。Googleぐらいの強大なインフラだとトランパーがボイコットしようにもさすがに無理でしょうからGoogleのサイズだからこそ出せたCMかもです。
あーまた政治の季節が近いんだなあと。

米女子代表 PK3本外して敗退

米女子代表がノックアウトラウンド一回戦で敗退。PK戦でリードしながら4人目5人目が連続で外して決着を付けられず7人目で決着スウェーデンが勝ち抜き、日本が待つ二回戦へ。最後のスウェーデンのボールはまさに紙一重でゴールラインを割っていたのがゴールラインテクノロジーで確認されて勝負あり。ゴールラインテクノロジーがなければどちらと判定されても紛糾したであろうぎりぎりのゴール。採用しておいて良かったねという。
女子米代表がW杯で準決勝にたどり着けず敗退するのは今回が初。

米女子代表で外した3本はすべて枠に入れられなかったもので相手GKのストップはなし。そのうち2人はMegan RapinoeとKelley O'Haraのベテラン勢。それぞれこのPKミスが代表での最後のプレーになりそう。Rapinoeは今大会が最後の代表だと大会前に語ってました。O'Hareは代表の選考当落線上で選ばれた選手で今後選ばれない可能性があります。
PK5人目に選ばれて大きく外した22歳Sophia Smithや、グループ最終戦で2枚目のイエローをもらって今日出場できなかったRose Lavelle28歳は4年後も来年の五輪でも中心選手となるはずですが悔しい形での結末になってます。

グループの3戦目で米代表がポルトガル相手に0-0の引分に終わったときにはチームの気迫不足をポストゲームショーで強く批判していたFOXのスタジオ解説のCarli Lloydは今日はおとなしい。まあ批判できないですよね。Lloyd自身が2011年の決勝での日本戦でゴール上を飛んでいってしまうミスをしてるわけで何か言ったらおまえが言うのかでボコボコに言われるでしょうから。あのときは米代表が外した3本のうち2本は日本のGKに止められて枠をはずしたのはLloydだけ。今日のは3本とも枠外。

でもLloydの前戦での批判が効いたのか試合内容は気合は入っていたと思います。22シュート11本が枠内。強いシュートがゴールを襲うも相手GKに阻まれ。とは言っても4戦して4ゴール、うち3ゴールはグループ最弱ベトナム戦でのもので1勝3分での敗退。3連覇失敗という高いレベルの話でなく今回の女子米代表は史上最弱かぐらいの勢いでの批判が待っていそうです。五輪が1年後ですが監督はクビかな。

大会前から政治的な保守派の一部から女子代表へは強い批判というか攻撃があり、その最大の標的となっていたRapinoeが外したあとに照れ隠しなのか笑っていたようにも見えたのもきっとあげつらわれちゃうんだろうなあというところ。ポルトガル戦のあとでグループをからがら通過したのにチームが笑顔だったり踊っていたりしたのも批判されていたしいろいろ忘れたいW杯になったような。例の男女代表同報酬の件は今回の失敗大会の前に決着がついていたのは女子側にとってはラッキーでもありそうです。

先日来下書き準備している男子側のW杯2026年大会へ向けてのサッカーの米国内での地位向上計画にとっては微弱にプラスの女子代表の敗退ってことになるんでしょうか。女子は強い男子は弱いというアメスポファン内の固定観念を崩したい男子側にとっては今回の女子代表の早期敗退はイメージ面で男子側が挽回するのに少しは寄与するのかなというところです。
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