性転換元男子の女子スポーツへの参加問題は党派を問わず否定的な意見が圧倒的に多いことが世論調査で明らかになっているので共和党から見ると民主党の支持者の切り崩しには使える札ということで、接戦の大統領選挙戦の最終盤で再び持ち出したということなのでしょう。
San Jose Stateからは「当たったのは顔ではなく肩」「当該選手はその後も1プレーも退場せずプレーし続けて重大なケガがあった危険な状態にさらされたというのは事実ではない」という、弱々しい反論コメントが出てます。
それを受けてBoise State、Utah State、Southern Utah、Wyomingの4校が「選手主導で」San Jose Stateとの対戦を拒否。Boise State、Utah State、Wyomingは今季はMountain West所属の学校でルール上対戦拒否は試合放棄でリーグ戦での敗戦扱いとなります。San Jose Stateはその名の通りカリフォルニア州San Joseにある学校でトランプ支持者からは悪の巣窟のように言われるリベラル色の強いSan Francisco Bay Area内の学校です。対戦拒否を表明した4校の地元アイダホ州ユタ州ワイオミング州は共和党の鉄板州ばかり。
ああ政治の季節だからなぁという感じですが、こういう局地戦をMountain Westを舞台にして展開するのは戦略的な感じもします。例えばもしBig Tenでこんなことをやったら問題が大きくなりますがマイナーカンファレンスのMountain Westならまあいいや的な。
Mountain Westは今季後にはメンバー校が大量にPac-12(今季2校のみ所属)に移籍の模様で半壊となる予定です。現時点ではBoise State、Fresno State、Colorado State、Utah State、San Diego StateはPac-12行きの方向。この5校を加えてもPac-12は7校、FBSカンファレンスとしての地位を維持できないためさらにMemphis、Southern Florida, Texas San Antonio、Tulaneをフットボールのみのメンバーとして加えるべく動いているとか。超遠隔地となるSouthern FloridaにPac-12に加入するメリットなんてあるんでしょうか。
Pac-12-Mountain Westの間でごたごたしているのは知っていましたがどこを加えてもいまさらPac-12がFBSの上位の地位を維持することはほぼ困難であろうと思えたため細かくどこが移籍予定か気にしていなかったのですが、いまこうやって見直すと今回対戦拒否に遭ったSan Jose StateはPac-12移籍の予定がないんですね。なのでBoise State辺りから見ると別離直前、リベラルの巣窟の学校をこの問題でバッシングするのに気兼ねがいらないタイミングだったとも言えそうです。
そういう政治的に意図された炎上状態なのでよしんば現在対戦を拒否している学校が試合を受け入れてもアウェイだとSan Jose Stateは罵声その他大変な混乱の中で試合をせざるを得ない可能性があります。警備も厳重にすることになる。よってここまで炎上したなら対戦拒否は受け入れて選手の安全を確保、それらの学校の地元へは乗り込まない方が良いだろうなあと思えます。対戦拒否が続くならMountain Westのカンファレンストーナメント(6校出場)でも不戦敗が発生するかも。
Mountain West側から見ると現時点で今季のメンバー校で来季もMountain Westに残るのはSan Jose State、Wyomingという今回の騒動の当事者校以外にはAir Force、UNLV、New Mexico、Nevadaの6校。これにHawaiiとUTEPが加入予定で計8校というのが現時点での見込みです。
性転換元男子の女子スポーツへの参加問題は五輪でもモメていたりしましたしその是非はここでは問いません。例えば競泳や陸上といった種目で元男子選手が上回ってしまうのは記録の問題で参加女子選手に大きな被害は及ばない。事後的にも記録除外で済む部分もある。
それがコンタクトスポーツとなると話が大きく異なる。危険だと考える人が多く慎重な対応がとられているのだと理解しています。で今回は大統領選挙のタイミングを考えて現在シーズンが進行中のカレッジの秋スポーツである女子バレーボールをコンタクトスポーツだと再定義して炎上化させたというそういう話であろうということですね。