アメリカスポーツ三昧

アメリカ永住コースか、または第三国に出国か!?スリルとサスペンスの人生とは別にアメスポは楽しい。

MLS/Soccer

新代表監督の下での@メキシコ親善試合で米男子代表完敗

Mauricio Pochettinoが代表監督として正式に任命されてから初めてのサッカー米男子代表による国際マッチデー。週末にパナマを相手に2−0で勝利。火曜夜は@メキシコで良いようにやられて0-2で敗戦。昨今の強くもないメキシコ代表相手にやられるのは久しぶりに見たような。

米代表の方は主力選手が第1戦のパナマ戦後に代表を離脱して早めにクラブに戻っていてベストメンバーではないし、メキシコの方は功労者の代表引退・送別試合なので米代表よりは気合が入っていたという事情はあるにせよ90分見て良いところをほとんど探せない酷い試合になってます。

新代表監督のPochettinoカラーが出ているのかと言われると、特筆すべきことがない。一つ前のマッチデーのときに暫定監督で前監督のGregg Berhalter時代の残滓の最終ラインまでボールを下げてそこからビルドアップするという戦術にこだわって(うまくいかず)カナダに惨敗したのも記憶に新しい。あれはBerhalter時代のスタッフだった人が暫定監督だった試合だからもう忘れようとナイことにした試合。

ではメキシコ戦はどうだったかというと、相変わらず底のTim Reamまで何度も戻して時間をとってます。Reamって37歳なんですよ。誕生日を迎えたばかりなんで2026年のW杯開幕時には38歳なんですけど、本当に本番もReamで行くつもりなんですかね。今日の2点目もボックス内でボールを奪われて失点したのが見栄えが悪かったです。それよりもReamの戻してからの展開がなにもなかったことの方がより問題に思えます。

前述した通りメキシコ戦での米代表は二軍とでも一軍半でも呼び方は自由ですがベストメンバーではないのはその通りですが、新監督を迎えて相変わらずのこの試合というのはいかがなものか。古い世代のOB=解説者たちは「なぜ地域最大ライバルのメキシコ相手にもっと熱が入らないんだ」などと嘆いていますが、でもほぼこれが近年の男子米代表の標準になってしまっているような。カナダに負けても悔しくないし、メキシコに負けても悔しくない。2026年のW杯がアメリカサッカーがメジャーに這い上がれる半世紀に一度来るか来ないかの機会だとか言って力んでるのも古い世代=苦労した世代だけで、今の欧州クラブで良いお金を貰ってる現役世代はもっと冷めているかもなという世代ギャップも感じます。

Pochettinoに関しては英Premier Leagueで指揮してきた人なので英語はうまいのかと思ったらインタビューなどたどたどしくってアレこんななのという意味で拍子抜け。熱量が足りない今の米代表に喝を入れるようなペップトークができるのかには不安を感じます。

しかしながらもう残り時間もないんですからPochettino指揮下であまり冴えない試合が続いても2026年までこの態勢で行くしかないわけです。

プレーオフに出られないチームが勝点を剥奪されても

小ネタです。女子プロサッカーのNWSLのAngel City FCがサラリーキャップ違反があったとかで勝点3を剥奪、罰金$200,000を食ってます。NWSLでは資金の豊富なチームであり入場者数でも試合平均19,000人を超えるNWSLの優等生のAngel City FCですからサラリーキャップが強化の邪魔で多くお金を払ったってことのようです。

しかしながらです。剥奪前の段階でAngel City FCは14チーム構成のNWSLで6勝12敗4分の勝点22で10位。NWSLのプレーオフは8チーム出場なので圏外、8位までは勝点6差でした。そこから3引かれて勝点19となって残り少ないシーズンでプレーオフ進出はほぼ望めない状態となったようです。
でもアメスポってプレーオフに進出できないとなったら勝点は少ない方がドラフトで得になるからこの時点で勝点剥奪って全然ペナルティになっていないのではないのか。残り4試合で勝点6差で逆転が苦しいとなってから勝点剥奪って意味があるんですかね。

NWSLは零細ですから数少ないカネの稼げるチームであるAngel City FCを叩くのを躊躇する面があったのかなという憶測がしたくなります。


めったにNWSLの話など書かないのでついでに前からちょっと気になっていたことを書いてしまいます。NWSLの新参チームでSan Diego Wave FCというのがあって、ここの暫定監督を元男子代表ストライカーのLandon Donovanが務めています。2023年実績で動員平均2万人超えという実績になっておりNWSL最大。新規参入チームとしては急な成功といえます。

Donovanは現役時代にはアメリカサッカーの顔でしたし、引退後も解説業でよく顔を見ます。この夏もEUROの放送の方だったかで実況解説してました。女子チームの指導について語っていたのを1−2ヶ月ほど前に聞いてなるほどDonovanみたいな性格の人には女子の指導は向いているのかもなと思いました。曰く「女子の方が男子より指導を聞いて学ぶ姿勢がはっきりしてる」「男子選手たちのようなエゴがなくて指導が楽」「戦術的に指示したらその通りやってくれる」と男子を指導するより指導しがいがあると充実感を語っていました。なぜかDonovanの暫定の肩書がなかなか剥がれずその辺が訝しいですが。

San Diego Wave FCは現時点でNWSL10位でプレーオフ圏外。人知れず国の南西隅でDonovanが奮戦しているんだなあと想像するとそれはそれで楽しいです。

米男子代表、ニュージーランドに土壇場で追いつかれて引分

昨夜の最大のスポーツイベントは大統領選挙ディベートだったんですが、そちらは疑似スポーツなので今日のところは避けておきましょう。その裏で静かにやっていたサッカー米男子代表の親善試合対ニュージーランド戦。
このFIFAの国際マッチデーは世界の各地でW杯予選や地区トーナメントの予選が行われていて忙しい。2026年のW杯北米大会のホスト国である米カナダメキシコの3国は相手が見つけられずニュージーランドを加えて4カ国で各2試合を行ってます。

先週末に米代表がカナダに2-1で敗戦した裏では、メキシコがニュージーランドに3−0で勝利していました。それに続いた昨夜の結果は米代表はニュージーランドと1−1で引分、メキシコ対カナダも0-0で引分。これでカナダとメキシコが1勝1分、米代表とニュージーランドが1敗1分。メキシコが3−0で圧勝したニュージーランドに1−1なのは米代表の見栄えが悪いですが、まあもうこのマッチデーの2試合のことは忘れて良いかなとも思います。後任代表監督が決まって次の10月のパナマ戦でなんとか方向性が出れば良いやというところ。


それよりも今回の北米3国+ニュージーランドで行われた4試合の動員がふるわなかったことを書いてみたいと思います。既に別の記事で書いた通り米代表対カナダ戦は1万人しか入らず。また米代表以上に動員が強いメキシコ代表とニュージーランドの試合はRose Bowlで行われたんですが、これがメキシコ代表の試合としてははっきり目立つ不入り。収容89,702人のRose Bowlに25,271人動員。MLSのサッカー専用スタジアムならこの動員でも満員になる数字なので、1万人しか集められない米男子代表の動員実力・アメリカのサッカー事情からすればこれでも立派なのですが、過去大会場を全米各地で満員にしてきたメキシコ代表の動員としてははっきり最悪の部類。それもメキシコ移民人口が巨大なLos Angeles近郊の試合でこれはちょっとした驚きの悪さ。

それを受けての昨夜の試合は米対ニュージーランド戦が15,711人、メキシコ対カナダは32,623人動員。どちらも期待以下の数字と言えます。特にメキシコ代表の方は全米有数の美麗巨大会場AT&T Stadiumの過去最低動員を記録してしまったとかでその点で今朝の報道が多めになってます。3万人以上動員しても同会場の史上最低というのはさすがAT&T Stadiumはすごいなという風にも思います。どんなイベントでもそれ以上入れてきたということですよね。


いろいろ要素はあると思いますが、根本的にはサッカーファンの動員疲れと、米代表メキシコ代表の不振の2つでしょう。この夏のCopa Americaのチケット価格がバカ高かったという話は以前に書きました。そのせいで米代表の試合(これもAT&T Stadium)がまったく埋まらず大量にタダ券をばらまいたという話になってます。あのときは会場が大きかったので、今1万人台を集めるのも苦戦する事実を踏まえて後から考えればその高いチケットにしてはそれでも入ってくれた方なのかと再評価も可能です。

昨夜の15,000人動員した会場はMLS FC CincinnatiのホームのTQL Stadium(収容26,000人)。MLSのスタジアムとしては新しく大型の部類なので15,000人動員でもかなり空席が目立つ。FC CincinnatiはMLSでも動員では好成績のチームで試合平均25,367人とつまりほぼ全試合満席という意味です。そういう地元のサッカーファンの基盤のあるところで米男子代表が来ると15,000人だと代表の動員力の引きの弱さが際立ってしまいます。

米代表だけかと思ったら米国内のサッカーで動員力最強のメキシコ代表まで遂に動員に陰りが出ているとなると話はちょっと深刻です。
本番の2026年のW杯は3国共催なのでメキシコ代表の試合はトーナメント終盤以外はメキシコ国内で行われると推定できます。米国内ではない。ということは在米メキシコ人ファンからすると自国代表のW杯での勇姿は生で見られないってことでもあります。
在米メキシコ人は在留資格が不安定な人が多く一度メキシコに戻ったらもうアメリカに帰ってこられない人も多いはずでW杯だからと言ってメキシコに里帰り観戦なんてできるのは一部の在米メキシコ人だけでしょう。ちょうど昨夜ディベートが行われていた大統領選挙でどちらが勝つかにもよりその辺の縛りが過去以上に厳しくなる可能性もあります。
それを考えるといまいる在米メキシコ人ファンにとっては本番のW杯は生で見ることはたぶんできない。ということは高額のW杯のチケットを買うことを考えて今買い控えをしているということはないということになります。

一方米男子代表ファンならそれはありうる。W杯の自国開催は一生に二度ぐらいの機会なのでちょっと大枚はたいても行ってみようという動機はある。それに向けて今のどうでもいい親善試合のチケットにはお金使うのやめとこうという計算は成り立つ。数ヶ月前にCopa Americaの米代表戦@Kansas Cityの高いチケットを買って散財したばかりという意識もあったかもしれません。先週末動員不振だったKansas CityはW杯本番でも開催都市に選ばれていますから、そのどうでもいい対カナダ親善試合に来てくれた1万人はきっとKansas City開催のW杯の試合にも来てくれるのでしょう。

カナダを相手にホームで67年ぶりの敗戦

サッカー米男子代表が土曜日に隣国カナダと対戦しています。1−2で敗戦。カナダ男子は長くCONCACAF内でも弱く、最近まで最終予選にも出てこれなかった国。そのカナダにホームで1957年以来の敗戦を喫してます。その上内容は60分過ぎまで一方的にカナダ。米代表のGKに五輪代表側から抜擢された23歳Patrick Schulteの好セーブが何本もあり、2−1で済んでよかったぐらい。

この試合は土曜日の東海岸4PMにキックオフ(現地3PM)。会場はMLS Sporting Kansas CityのホームのChildren's Mercy Park。同会場はキャパが18,467人のところ公式発表で動員は10,523人。ざっと見ても半分も埋まっていないのは確実で1万人も本当に入っていたかどうかわからない。この小会場でこれはいただけない。
でも今のサッカー代表の選手たちは動員の悪さには危機感がなさそうです。プレーに熱が感じられない。

カナダの代表監督のJesse Marschは米国人で、今回の試合前にも不必要とも思える米サッカー協会を批判する口撃を加えていたりしたんですが、それも米代表の選手たちのハートに火を付けることにならず。試合序盤にカナダの選手が米代表のエース&キャプテンのChristian Pulisicを倒しに来たんですが誰も報復に行かない。報復するのが良いこととも思いませんが、アレをされても気合が乗っていかないのは問題ではないでしょうか。
動員不振も心にかからない。長く弱かった隣国の監督に挑発的な発言をされても、キャプテンが倒されてもプレーが積極的になっていかない。ではなにがあると今のメンバーたちのハートに火が付くのか。

ボールの保持時間では米代表が勝っていたはずですがそれがアドバンテージになっていない。すぐにバックパスで最終ラインまでボールが下がってしまうだけのボールキープでは。
意図はたぶん前任監督の時代からやりたがっていた最終ラインからのビルドアップで好形を作ってということなんでしょうが、現実には形になっていないし、後ろがボール回しをしているところに圧力をかけられてロスト→カナダのゴールチャンスという場面が何度も起こっている。

下からのビルドアップで云々というのは今の米代表の実力ではできないことでファンタジーだと見きった方が良いのではないか。たかだかカナダ相手にもできないならサッカーの強い国相手にそんなことができるわけもない。
20年ぐらい前の米代表は今のメンバーより確実に下手な選手ばかりでしたががむしゃらさだけはあった。良く走った。マイナースポーツからサッカーを引き上げなくてはいけないという悲壮な使命感みたいなものもあった。

この日の動員不振についてはいろいろ言い訳はできますが、FIFAのカレンダーは動かせないわけでその制約下では良い時間・良い日であったのに、です。この週末はNFLの開幕週ですが地元のKansas City Chiefsは既に木曜日に開幕戦を終えている。それでも最強NFLの日曜日は避けて土曜日開催。土曜日はカレッジフットボールの日ですが、今のカレッジフットボールはその日のベストカードは正午キックオフに変わっており(以前は3:30PMキックオフの試合がベストカード)、米代表の試合の4PM開始はたぶんこの週末では数少ない隙間を見つけたタイミングだと評価していたのですが、しかしながら動員ふるわず。

この夏のCopa America北米大会でのグループリーグ敗退の失敗があって、代表監督はクビ。後任はいまだ正式決定に至らず前任のアシスタントが暫定監督。後任は決まっていないにしても後任はMauricio Pochettinoでキマりで今週にも正式発表だという「内部情報源」発の情報がここ1ヶ月ほど毎週流れてます。それが本当ならPochettinoもこの試合を注視していることは選手たちも知ってるはずですが、それでこんな試合で良いんですかね。
本当にPochettinoにキマりなら前任の戦術に寄せた試合をここでやっても仕方ないのでは。

メンバー的にはケガでGiovanni Reyna(Borussia Dortmund 21歳)が離脱。他にもTyler Adams(Bournemouth 25)、Weston McKennie(Juventus 26)、Sergiño Dest(元Barcelona、今PSV Eindhoven 23)と常連メンバーがいないんですけど、昨年ぐらいまでは代表の若い選手の厚みは過去最高とか言っていたのはなんだったのか。Gioはまたケガでの離脱か、という。多過ぎるように感じます。

次戦は明日火曜日夜にニュージーランド相手に。その時間帯はスポーツの裏番組はあまりないんですけど大統領選挙の今サイクル唯一となりそうな候補者ディベートが予定されてます。動員には関係ないにしても露出はマニア以外は見てくれなさそう。

米男子代表監督に元PSG/Chelsea/TottenhamのPochettinoを起用か

正式発表はまだですがMauricio Pochettinoが米男子代表監督に就任することに同意したというニュースが出てます。契約の詳細の詰めが終わっていないということかと推測されますが、基本的にはPochettinoは同職のオファーを受諾の意向ということのようです。

Mauricio Pochettinoは昨季までEPL Chelsea監督、その前は仏国内リーグでParis Saint-Germainで優勝。もう一つ前はEPL Tottenham Hotspurを指揮、UEFA Champions Leagueで準優勝も遂げてます。欧州サッカーのファンなら知られた名前でしょう。米国内では無名というか今書いたみたいにチーム名を挙げれば、ああ有名なクラブの監督だったんだねぐらいわかって貰えたら良い方でしょう。

アルゼンチン人なのでスペイン語が母国語。指導はEPLで何年もやってるので英語力も問題なかろうと。アメリカのサッカー市場というのは複雑な市場で、アメリカは英語国家ですが男子サッカーファンに限定すればスペイン語を話すサッカーファンの方が多いと考えてよくスペイン語でも発信力があるのは悪いことではない。アメリカ・メキシコの二重国籍選手がどちらの代表になるかを選ぶケースが過去にも何度かあったんですが、その境遇の若い好選手がいるならPochettinoの存在で米代表に引き込める場合もあるのかないのか。

なにゆえこのアメリカでは無名でも欧州でなら一流クラブの監督になるような人物が米代表監督なんか受けてくれるのか。うがった見方ではTottenham→PSG→Chelseaと栄転している人なのでもし次に行く目標があるとしたらReal MadridとかMan Uとか超人気クラブなのだろうけれどその辺のクラブはこのオフは監督の入れ替えの予定がないから、米代表に来てくれるのだという見方もあるようです。

もしそれが当たってるとすると、じゃあ2026年夏の北米W杯が到来する前にその手の超一流クラブの監督に空きができたらPochettinoは米代表を捨ててそっち行っちゃうかもしれないじゃん!っていう意味にもなります。就任が本決まりになる前から離脱される可能性が取りざたされてしまうという。

前任地のChelseaではEPLで6位でCL/ELを逃したのでChelsea的基準では失敗シーズンということになるんでしょう。ただしカップ戦でそこそこ勝たせている(FA Cupベスト4、EFL Cupで最強Liverpoolに敗れて準優勝)のでそっちも併せて及第点というところなんでしょうか。昨季のChelseaの試合を観た記憶はないので中身はまったくわかりません。

女子は外国人監督で金メダルを獲ったわけですが

サッカー米女子代表がパリ五輪で金メダルに返り咲き。2012年以来3大会ぶりの金メダルです。昨年の女子W杯ではノックアウトラウンド一回戦で敗退したばかり。あのときからメンバーも一新してその若い選手たちで早くも頂点に返り咲きというのは五輪前の苦戦予想を覆した快勝劇。

通称99ers(アメリカサッカーの興隆の端緒となった1999年の女子サッカーW杯米女子代表優勝メンバーがそう呼ばれています)が金メダル獲得後にオンライン祝勝会を公開していて大変盛り上がっていました。ここしばらく苦しい国際大会が続いていたので今回のトップへの返り咲きはよほど嬉しかったようです。

祝勝会の方はともかくいったい今回のいきなりの復活優勝の理由をどこに求めるかということなんですが、新監督の手柄ってことになるのでしょう。英国人のEmma Hayesが昨季のWomen's Super Leagueシーズンを終えてからChelseaから米代表監督に転任。Chelsea女子で5連覇という実績を引っ提げて米女子代表監督に就任後10試合で金メダル獲得です。

あまりにも早すぎるので監督の手腕と違うのではないのかというケチもつけようと思えばできます。選手はHayesが着任する前にもう揃っていた。でも例えば功労者のAlex Morganを代表から落選させたのは外様の監督だからできたことかもしれません。人的なつながりがあるアメリカ人監督だと落選させられなかったかもしれないし、選んでしまえば今大会ゴールを量産して活躍した3トップのSophia Smith, Trinity Rodman, Mallory Swansonの出場機会が削られていた可能性だってある。
他でも一時点で米女子代表の中心選手だったと言ってよいRose Lavelleのコンディションが悪いと見切るとあっさり先発も外しサブでも使わない。これもしがらみのなさからくる起用変更でしょう。
Chelseaで勝ち続けて試合中の戦術調整にも定評があるという話でそれも差になったのかもしれません。

これで女子の方は久々に世界のトップに返り咲いて、次のW杯は2027年と先のこと。しばらくはトップ気分に浸れるはずです。メンバーも年齢的に力が下がる選手は少ない。新監督のEmma Hayesの地位も(他から引き抜きがなければ)安泰でしょう。


さて男子のサッカー米代表監督は例のCopa Americaでの失敗で前任者を切って以来空席のまま。ネットでは次から次と良く知らない人の名前が上がっては消えるのを繰り返しています。たぶん現実的にはそれらの名前の上がるのは閲覧数稼ぎのために火のないところに煙を立たている状態の可能性が高いです。実際は動き無しで、また代表監督不在のまま時間が過ぎていきそう。
女子の方は外国人監督であっさり成功してまったので男子の方も次期代表監督に外国人監督でも良いのではないかという意見も当然のように浮上してくるんでしょうね。

なんのかんのとチームスポーツは盛り上がる

パリ五輪もやっと最終盤。
男子米代表のバレーボールが銅メダルを獲得してます。録画放送で東部時間で10:30PM過ぎに勝ち切るところだけ放映していました。最後に激しいラリーがあったりで見せ場有りでフィニッシュ。銅メダルはアメリカの男子バレーとしては上出来。

チームスポーツは最後の土日にバスケの男女、サッカー女子、バレーボール女子がそれぞれ決勝戦を戦う予定になってます。バスケは男女とも金メダルで当然のように言われての決勝ですが、男子の方は別記事でも書きましたがセルビアに大苦戦の末の勝利。決勝戦がどういう試合になったとしてもあのセルビア戦は語り草として残る試合だったでしょう。女子バスケの方は試合を見てないですけど順調に勝ちまくってます。ただし話題に乏しい。毎大会女子バスケはこんな感じです。

サッカー女子代表は大会前は苦労するのではとも予想されていたのが決勝戦進出に成功。これで決勝で大惨敗でもしない限りは期待以上の結果ということになると思います。
昨年の女子W杯まで残っていた前世代のMegan RapinoやAlex Morganと言った顔役の選手もその世代の他の主力選手たちも大量に抜けて完全に代替わりしての初の大きな大会。そこで新しい3トップが準決勝まででそれぞれ3ゴールというところが成功らしさを感じさせるところです。
こんな風にSophia Smith, Mallory Swanson, Trinity Rodmanとフレッシュなスコアラーがあっさり揃ってしまうところが女子側の強みです。何代たっても点取り屋がいないままの男子サッカーからすればうらやましい話。

Mallory Swansonは26歳なんで年齢的には既に中堅なんですがやっと前の世代が抜けてフルタイムでポジションを確保してのこの活躍で女をあげたところ。Mallory SwansonはMLB Chicago CubsのDansby Swansonの奥さんです。Trinity Rodman22歳はNBAのリバウンド王かつ北朝鮮の首領のお友達Dennis Rodmanの娘さんです。ピッチ上で見ているとさほど背が高くは見えないんですけど新3トップの3人で並ぶとRodmanが一回り大きい。やっぱり大きいお父さんの娘だからかという感じです。どうもマスコミ的にはお父さんの話はNGらしくその話題には触れられていません。Trinity本人の意向なのかも。
もう一人のSophia Smithは23歳。

女子サッカーは以前にも書きましたが男女同賃金問題で法廷闘争までした頃のメンバーが表面から去ったことで、一時点でいわゆる政治的保守派から目の敵にされていたのがメンバーが大幅に入れ替わったことで落ち着いたかも。新しいスター選手として3人とも伸びていけば先行きの危ぶまれたサッカー米女子代表の人気も維持できるかもです。
決勝の相手はブラジル。超技巧選手として米国内の女子プロサッカーでも活躍してくれた38歳Martaの現役最終戦(のはず)で彼女のストーリーを完結できるかも気になる一戦ですね。グループリーグ最終戦で危険行為でレッドカード、トーナメント準々決勝・準決勝と出場停止だった間に他のメンバーで勝ち続けてMartaを決勝に送り込むことに成功したというプロレス風の復帰劇が予定されてます。世界の女子サッカー全体での最功労者の一人と言ってよいMartaがそのストーリーを完結するか、それとも新生米女子代表が新時代の幕開けを告げるか。


女子バレーボールは一番地味なんですけど個人的にはぜひ優勝して欲しい。功労者のJordan Larson37歳は今回が代表最後でしょうし、日本でもプレーしておなじみかと思われるAndrea Drewsも30歳。次がロス五輪で地元なんで本人は出場意欲を見せるでしょうが今回はともかく今後はDrewsの地位を脅かす大砲選手がもっと出てこないと。明日勝って五輪2連覇、地元ロス五輪で3連覇を狙える態勢を作ればアメリカの女子バレーの観戦スポーツとしての人気向上はワンチャンあるかどうか。

以上4チームの金メダルを賭けた決勝戦は全部地上波NBCでの放送があるようです。女子バスケは地上波放送は今大会初かも。

サッカー男子米代表 モロッコ相手に大敗で敗退

五輪の各種球技がトーナメント部分に入ってきてます。サッカー男子米代表がトーナメント初戦の対モロッコ戦で0-4の大敗となって敗退してます。男子の方はU-23大会でもあり、米代表の事情を言えば今回の五輪代表選手で2026年のW杯でメンバーに食い込んでこれそうな選手が乏しいし、年齢的にU-23に入れるシニア代表で活躍している選手はCopa Americaの方で疲弊しているし所属先のクラブからの許可も出なかったり。
その事情は参加各国似たようなところがありますがモロッコやアルゼンチンなんかはメンバー的に比較的力が入っていた。米代表のA組ではホスト国のフランスも力が入っていたので事前の予想では米代表はA組を2位通過。そうなるとB組首位のアルゼンチンなりとトーナメント一回戦で当たることから、そこで敗戦というのが大方の予想だったわけです。ですからB組の首位がモロッコになりましたがここで敗退することは残念ではあってもけしからんとは米代表を追ってるファン層は言わないはずです。

ただ0-4というスコアの見栄えが悪い。開幕戦でフランス相手に0-3でスタート。そこから対ニュージーランド、対ギニアと2連勝してグループリーグを切り抜けたのですが、モロッコに敗戦。非サッカーファンのアメスポファンだとモロッコが前回のW杯で大躍進した国だと記憶している人がどれほどいるか想像がつきません。フランスに大敗はまだ良いとして、よくわからん国に大敗というのはなんですね。

モロッコから見るとフランスは旧宗主国で歴史的つながりが強いこともあってフランス国内にはモロッコ系の人口がたっぷりなんだそうです。よってパリの会場はモロッコファンで埋め尽くされていました。今大会サッカーのスタジアムは空き席が多い試合が目立ってましたからこの日のモロッコファンの入りっぷりは今日はちょっと違うのねというのが試合前からひしひしと感じられました。

サッカー男子は過去3大会連続出場に失敗していましたから出場に成功、21世紀に入って初めて五輪のグループリーグも突破したのだからあまり悪く言われてほしくない気もするものの、Copa Americaでのフル代表のグループリーグ敗退もあって、五輪もイマイチで終わっちゃったという感想は避けがたい。もうこの先2026年のW杯本番まで普通のアメスポファンにサッカー男子代表を見てもらう機会もないので寂しい結果ではあります。
無理やりどこかの強豪国との親善試合を組んでなんとか露出をしたくても、昨今は各連盟がNations Leagueその他の集金大会をやるので親善試合のセッティングもままならないんですよね。

Copa Americaの総括がネガティブな方向へ

アメスポメジャーの試合が1試合もない今日、米サッカー界はCopa Americaの総括の話題が多い。それもネガティブな方向の話が多いです。最大の話題は決勝戦のキックオフを1時間以上遅延させたスタジアム内外の混乱の問題です。

それによると実は同様の問題は準決勝だったコロンビア対ウルグアイ戦@ノースカロライナ州Bank of America Stadiumでも起こっていたのだそうです。今大会通じてコロンビアファンの動員が多いのはスタジアムを埋める黄色のユニフォーム姿のファンが多いので感知できましたが、高い高いと散々言われていたチケットを買わずにチケットのないままに会場に来てしまうファンが大量にいた、そしてそれらの人々は最初からダメ元だかなんだかチケットなしで入場を目指していた模様なのです。

そしてどうも準決勝で無料入場に成功した人々の成功談が拡散、それも決勝戦での大量のチケットを持たない人々の集結を加速させたという推測がされています。5時間ぐらい前からそれらの人々が大量にスタジアムを取り囲みチケットを持っている客がスタジアムに近づけず入場もできないという事態となったと。
亜熱帯の南フロリダでこの時期では給水をしないと生命に関わると判断できるのでその辺も含めて人道的に対処していると突撃ファンに突破されやすい状況になったことも指摘されてます。

決勝の会場となったHard Rock StadiumはNFL Miami Dolphisやカレッジフットボールの一時期の強豪校だったMiami Hurricanesのホームスタジアムであり、それ以前にはMLB Florida Marlinsも使用していたし、他のスポーツや音楽イベントなど様々なイベントが行われてきたおなじみのスタジアムです。(ただし名称は何度もネーミングライツで変わってます)
地元警察も警備は年間何度も行っているわけですが地区で28年勤務のベテラン地元警察官が「こんな事態は初めて経験した」と困惑して回想する事態になったようです。約7000人は無チケットで入場していたと推定されています。


南米のサッカーを知ってる人に言わせると南米各国のビッグマッチではこの手のタダ見目的のチケットを持たない群衆の集結は珍しくないそうなのです。なのでそういう人に言わせると主催者のCONMEBOLが警備体制にカネをかけるのを惜しんだせいでこうなったのだとCONMEBOLを批判する。一方CONMEBOLは声明を発表して会場のHard Rock Stadiumを非難。

が、アメスポではこんな入場の暴動の話は聞いたことがありません。CONMEBOLが悪いかHard Rock Stadiumが悪いか責任の所在は存じませんが、少なくともSuper BowlでもTaylor Swiftのコンサートでも@Hard Rock Stadiumでこんな混乱が起こったことはまったくないわけで、今大会の異常さが目立つ結果になってしまってます。

2年後に北米3国はFIFA W杯をホストするわけです。仕切りはFIFAなのでCONMEBOLよりはセキュリティに気を配るでしょうし、今回のCopa Americaの失態という前例ができてしまったので米国内の試合会場地元警察は気合を入れての警備ということになるのでしょう。


フーリガンが暴れて云々というのは過去に欧州でも散々あったと伝えられます。アメリカからすると対岸の火事で実感が伴わなかったのですが今回初めてそれがアメリカ国内で起こって見える形でアメリカ国内でも起こり得るのだと示された。

Wembleyでの暴動のときも取材していて、今回のMiamiの決勝戦にも居合わせた取材記者に言わせるとWembleyのときの方が安心感があったと言います。地元警察がフーリガン馴れしていて酔っ払いやら最初から暴れそうなやつは5−6時間前からどんどん逮捕して間引き。制圧はしきれないものの安全地帯は確保、警備側の態勢には余力が感じられ制圧できないのも手順のうちのように感じた。それが今回の事態は上述の地元警官のコメントにもある通り警備側の予想を大きく超える事態となったのが傍観者の取材記者にも感じられて不安がWembleyのときよりも強かったとコメントしています。

市街地(言っちゃいけない言い方をするとゲットー地区)での暴動だとさっさとSWATチームを投入して制圧するのは得意なアメリカですが、スポーツイベントの会場でのこの事態は想定外だったことに。

で2年後にはW杯が来てしまうわけです。Copa Americaのチケットが高いというのは大会序盤からさんざん言われていたことですがW杯のチケットがそれより目に見えて安いということがあるとは思われず、そうなると正規の方法で入場できない米国内のあまり裕福ではない移民層がダメ元で同じことを繰り返す可能性は否定できません。

2年後の大統領や地元知事や議会が移民排斥派だと強硬な制圧を目指すと宣言して抑え込みにかかったり、逮捕者はそのまま強制送還するなどといった口先介入を行う可能性も想像できますが、その辺りまで行くとサッカー番組としてはセンシティブな話題になるからか今のところ口をつぐんでいるようです。


過去米国内でスポーツイベントには数限りなく観戦に行っていますが身の危険を感じたことはなかったのですが、移民絡みのサッカーだけは事情が違うっていう話になっちゃうんでしょうか。国内サッカーのMLSの試合なんかは他のアメスポと同様平和なイベントですが、移民絡みだと違うと断ぜられるとアメリカサッカーが新たに一つ負債をしょいこむことになったりするのか。
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