日本神道における自我観は、人間と自然との一体感を重視する独自の思想でした。一方、仏教は輪廻転生の教えから個人の自我を否定する傾向がありました。しかし、日本に仏教が伝来すると、神道の自然観と仏教の自我観が融合し、新たな解釈が生まれました。 ・仏教の「無我」の概念は、個人の自我を否定するものでしたが、日本では「自然との一体化」と解釈されました。つまり、個人の自我を捨てることで、自然や宇宙と一体化できると考えられたのです。 ・また、「無常」の教えは、一切の現象が無常であり変化するという意味でしたが、日本では「自然の循環」と解釈されました。自然は常に変化しながらも循環していると捉えられたのです。 このように、日本では仏教の教えが自然観と融合することで、人間と自然の一体化を説明する論理が生まれました。自我を捨てることで自然と一体化し、無常の中にも自然の循環があるという考え方です。このような解釈は、日本独自の自然観と仏教思想が出会った結果と言えるでしょう。