麒麟でした

和やかな夕食中、突如長女の発した言葉に皆が凍りついた。
「私小さい頃、兄の事を本当にキリンだと思っていたの」
まず言われた本人は言葉も発せず「何言ってんの急に…」という冷ややかな視線を発言者へ浴びせた。
「それどういう意味?」と妻。
下の二人はどうだって良いのだろう、コロッケをムシャついている。 「キリンに似てるかなあ」と一応発言してみた私は、内心まったく似ていないと思っている。
長女はこう続けた。
別に変な意味じゃなくてね、うーん何歳の頃だろう、たぶん三歳ぐらいの時かなあ、兄の事をなんとなく、キリンだって自分で認識していたというか、兄がキリンというか、キリンが私の兄だと思っていたの。
いよいよわからなくなってきた。
「じゃあ図鑑や絵本にキリンが載っていたら、オレだと思っていたワケ?」と長男。
そうじゃなくてなんていうんだろう、キリンという動物はキリンだと理解しているんだけど、兄がキリンに似ているからキリンだと思っていたのではなくて、夜空を見上げたら月あるよね?
それを見た時何も考えずに「あっ月出てる」と思うよね? なんかそんな感じ(爆笑)。
みんなが置いてかれた。