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2021年9月3日

【対談】トランスメディアストーリーテリングって何だ?(後編)

大変おまたせしましたが、前回に引き続き『【対談】トランスメディアストーリーテリングって何だ?』の後編をお届けします。
今回は中村彰憲氏、イシイジロウ氏、石川淳一の3人と参加者との質疑応答のパートとなります。

2021年6月27日

【対談】トランスメディアストーリーテリングって何だ?(前編)

はじめに

石川の『CEDEC2019』でのセッションや、『マーベルシネマティックユニバース』(以下『MCU』)の成功などでトランスメディアストーリーテリング(以下「TMS」)という言葉が日本でも少しずつ紹介されるようになってきました。
そんな中、TMSという言葉の提唱者であるヘンリー・ジェンキンズの『コンヴァージェンス・カルチャー』がようやく翻訳されたこともあって、今後さらにTMSという言葉を目にする機会が増えるのではないかと思います。

ただ、『コンヴァージェンス・カルチャー』の原著が15年くらい前のものであるために実例がやや古いこと、またTMSのカバーする範囲がとても広く、いろいろな切り口があるために、一部の実例を聞いただけで「TMSってこんなものなんだ」という誤解を与える危険性も出てきています。
そこで、TMSについて立場が違う3人がそれぞれの視点から議論することで、TMSとはそもそも何か、そのカバーする範囲や、解釈の曖昧な点の洗い出しができるのではないかと考えて、clubhouse上で2021年3月17日に行われたのがこの対談イベントです。

前編だけでも凄いボリュームのテキストですが、今まで日本ではあまり考察されなかった内容だと思いますので、ぜひ参考にしてください。

2019年9月9日

CEDEC講演『トランスメディアストーリーテリングから学ぶ「ゲームで物語る」手法 2019』レポート


CEDEC 2019 において、ARG情報局の編集人でもある石川淳一さんが『トランスメディアストーリーテリングから学ぶ「ゲームで物語る」手法 2019』と題した講演を行いました。

Transmedia Storytelling 自体は、関連の洋書が数多く出版され、全米のプロデューサによる組合のPGAが2010年に Transmedia Producer というクレジットを定義する(英語記事)など、欧米においてある程度の歴史がある概念ですが、国内にはほとんど紹介されてこなかったこともあり、貴重な講演となりました。

客席は立ち見が出るほどの超満席で、入れなかった方もいらっしゃったようです。
参加できなかった方は、4Gamer.netの記事がとてもわかりやすく講演内容をまとめていますので、ぜひご覧ください。

また、SlideShareに講演資料が上がっていますので、以下に貼っておきます。
60分で語りきれないほどの大量の事例が載っていますので、ご一読いただけば、様々な発想を刺激されること間違いなしです。




2012年11月30日

SIG-ARG第4回セミナーの講演動画公開(第1弾)


10月20日に開催したSIG-ARG第4回セミナー「体験型企画の参加者層を拡げるための10の方法」の講演の一部を動画として公開いたします。

本日付で公開するのは、SIG-ARG副世話人の澤田典宏による「多様化する体験型エンタテインメント -ARGと体験型謎解きゲームの潮流-」の講演動画(25分)です。

ARG(Alternate Reality Game; 代替現実ゲーム)や体験型謎解きゲームを含む、体験型エンタテインメントというジャンル全体について、ビジネス的な側面も含め、現状を分かりやすく説明する講演となっています。「謎解きゲームとARGって何が違うの?」という方にもおすすめです。



SIG-ARG第4回セミナー全体のサマリーにつきましては Gamebusiness.jp のレポート記事をご参照ください。また、ラウンドテーブルの議論のまとめ記事「体験型企画の参加者層を拡げるための10の方法」もご参照ください。

第2段の講演動画公開はこちら

関連リンク
SIG-ARG第4回セミナー
ARG情報局: 体験型企画の参加者層を拡げるための10の方法
SIG-ARG 第4回セミナー「体験型企画の参加者層を拡げるための10の方法」 - Togetter
体験型エンタテインメントの市場を広げる方法とは?事例から探る SIG-ARG04レポート / GameBusiness.jp

2012年11月15日

体験型企画の参加者層を拡げるための10の方法


去る10月20日に開催されたSIG-ARG第4回セミナーにて「体験型企画の参加者層を拡げるための10の方法」を論じました。全体の雰囲気は Gamebusiness.jp に「体験型エンタテインメントの市場を広げる方法とは?事例から探る SIG-ARG04レポート」という記事を掲載していただいていますので、参照してください。当日の Togetter まとめはこちら

この記事では、「体験型企画の参加者層を拡げるための10の方法」について、パネルディスカッションやその後の議論を通じて提案されたリストをまとめます。これが正しい!というものではなく、こんな意見があり、ある程度の説得力がありましたよ、というリストです。この中から、皆さんにとって役立つ考え方を見つけてもらえたら幸いです。

1. 謎解きに+αを加える

体験型謎解きゲームだとしても、宝探しや、普段はできないことができる、シチュエーションが面白いなど、+αの体験要素が重要です。謎解きが得意ではない多くの人でも、体験要素で満足感を得て、次は謎も解いてやろうというポジティブな気持ちで終われます。そうでなければ、時間を浪費して惨めな思いをしただけ、という気持ちで終わってしまい、二度と参加しないでしょう。

2. 同じ遊びを作り続ける

ジワジワと一般に普及していくためには、同じ遊びが作られ続けなければなりません。作り手は飽きてきますが、だからといって頻繁に形を変えていたら、それを追いかけられる先鋭的な人たちにしか遊んでもらうことはできません。
情報のアンテナが高くない人々に評判が伝わるには長い時間がかかります。そうしてようやく伝わったのに、参加してみようと思ったら既に参加する機会がなかった、ということがないようにしなければなりません。

3. 常に新しいネタを考える

前項と矛盾しているかもしれません。でも、娯楽制作というのは常にどうやったら新鮮に驚いてもらえるだろうということを考え続けるものでもあります。それも、外に広がっていくような新しいネタが必要です。
常連さんしか楽しめない方向に深化すると、待つのはシューティングゲームや格闘ゲームがかつて辿った一見さんお断りのディープな世界です。

4. 構造を分かりやすくする

体験型エンタテインメント、とくにARGは、複数のメディアを使うトランスメディア展開が大きな特徴となります。が、安易に複数のメディアに分散してしまうと、メディアを一つまたぐごとに、ついて行けない人をどんどん振り落としていってしまいます。参加者の想定をしっかりして、無理のない多メディア展開をしなければなりません。
また、遊び方が分からないと、そもそも誰も入ってきてくれません。新しい遊びであるが故に、その楽しみ方をどう伝えていくのかには最大限に気を使っていく必要があるでしょう。遊戯王が TCG の遊び方を広めたように、ARG をプレイしている様子を楽しそうに描いた漫画やアニメが必要だ、という意見もありました。

5. 誰もが入りやすい仕掛けを考える

「メグミとタイヨウ」では、最初、頼りないタイヨウくんが twitter 上で恋の悩みをみんなに相談するという形で始まりました。そして、友だちに接するように気軽に返信するだけで物語に関わっていくことができたのです。このように、身構えず入ってこれ、また友だちにも紹介できる入口を用意することも重要です。
また、テレビCMなどのマスメディアも分かりやすい入口を作るという意味では便利な道具です。同じく「メグミとタイヨウ」では60秒TV CMを使って丁寧に最初の説明と誘導を行い、大きな成功を収めました。

6. 参加者と運営が一緒に盛り上がる

体験型エンタテインメントはライブ感が一つのキーワードとなりますが、その際に運営側が楽しんでいる雰囲気は参加者にダイレクトに伝わります。イベント型の企画で、現地の裁量を大きくしたところ、現地スタッフが自分でアイデアを出しながらノリノリで運営を行っている事例なども紹介されました。
また、Web を通した施策であっても、現場の裁量が大きければ、それだけ参加者の行動を受けた反映を行うことができ、それが参加者との良好なリレーションシップを築く土台となります。

7. 制作者の発掘・育成

体験型エンタテインメントで、リアルタイム性の高いストーリーテリングを行おうとすると、他の時間を掛けて作るコンテンツとはまた異なった様々なスキルが必要になります。中小の事例を実施し続けることで、こうした才能の持ち主が集まってきたり、制作チーム内で育っていき、それが、より大きな事例の成功に繋がっていきます。

8. 理解あるクライアント・上司を得る

結局の所、大きな体験型事例を行うには、お金を出してくれる決裁権を持った人に理解していただく必要があります。実際、ユニークな企画が実現できた所は揃ってクライアントや上司が協力的であり、逆に当初の予定から大幅に企画の面白さが後退していく事例ではクライアントの不理解によるケースの枚挙に暇がありません。
成功事例が増えて行くにつれ、クライアントの理解は得られやすくなるとは思いますが、現状では協力的なクライアントは非常に貴重であると心得て、太く長いお付き合いをしていきましょう。

9. ドラクエ級のヒット作を作る

日本の RPG というジャンルをドラクエが定義したように、そして、欧米の ARG というジャンルを The Beast が定義したように、日本の体験型エンタテインメント、あるいは ARG というジャンルを定義する超ヒット作が生まれれば、ほとんどの問題は一発で解決です。
問題は、ヒット作を狙って産みだせるのならば、みんなそうしているということな訳ですが……。しかし、トライしないと成功もありません。まずは作り続けることが重要ですね。

10. ARGのもっと分かりやすい言い方を考える

ARG(代替現実ゲーム)という言葉がそもそも分かりにくいよね、というご指摘です。制作者向けの用語は、欧米との情報共有もありますので ARG で良いと考えていますが、プレイヤー向けにもっと分かりやすい言葉があるといいですね。ずっと議論しているんですが、なかなか・・・。

以上、「体験型企画の参加者層を拡げるための10の方法」でした。

ちょうど SCRAP の加藤さんがブログで「つくること。どこまで書いていいのかわかんなくて全部書いた日記」という記事を公開し、話題になっています。古参のファンから批判的なことを言われることが増えて悲しいが、それでも自分が面白いと思うものを作ることが大前提だ、という内容で、作り手としては大変共感しました。ただ、同時に、上記でまとめたジャンル拡大という観点からは、リアル脱出ゲームというブランドが提供する遊びは現状から大きく変わらずにいて欲しいという気持ちもあり、なかなか複雑です。

SIG-ARG4 に関しては、一部の講演で資料と動画も公開できる予定です。現在整理中ですので、もう暫くお待ちください。

関連リンク
SIG-ARG第4回セミナー
SIG-ARG 第4回セミナー「体験型企画の参加者層を拡げるための10の方法」 - Togetter
体験型エンタテインメントの市場を広げる方法とは?事例から探る SIG-ARG04レポート / GameBusiness.jp
kato takao | weblog: つくること。どこまで書いていいのかわかんなくて全部書いた日記

2012年7月18日

体験型エンタテインメントの要素と「ARG」の定義


SIG-ARG および ARG 情報局では、ARG を含む体験型エンタテインメントを、上図のような複合的な要素により成り立っていると考え、今後はこの観点を踏まえた上で体験型エンタテインメントの分析・評価を行います。

体験型エンタテインメントは非常に幅広い娯楽であり、なんでもその中に包含できてしまうが故に、個々の企画の違いや特徴が分かりにくいという問題があります。様々な企画の多様な面白さの要素を言語化し、また、より分かりやすく可視化する試みと考えていただければ幸いです。

この記事では、最初に要素図の解説をした後に、様々な体験型エンタテインメントがこの図上でどのように位置づけられるのかの例を挙げ、最後に ARG 情報局における「ARG」を定義します。

2012年4月16日

SIG-ARG×AGSによるTRPGセッションでシナリオを勉強しよう!(参加者募集中)


SIG-ARGとアナログ・ゲーム・スタディーズ(AGS)によるTRPGセッションが、5月1日と5月3日の2日間にわたって実施されることとなりました。
それに合わせて、TRPGでプレイするプレイヤーを募集します。


GMはAGSの高橋志行氏が行い、TRPGを遊びながらARGにも応用可能(かもしれない)なシナリオの作り方、進め方について楽しみながら学べる内容を目指します。


参加するにあたって、いくつか注意事項があるので、興味のある方はその点をご確認の上ご応募ください!


日時:5月1日にキャラ制作
   5月3日 14時~22時頃までセッション
場所:どどんとふ
ルール:シノビガミ怪冥王裁判
募集人数:3人
参加資格:ARGに興味があり、遊ぶのが好きな人(特にセッションは長時間に渡るため、長時間遊び続けられる人)
見学:自由
※会話ログ等は後日リプレイ制作時等の素材として利用される可能性がありますので、あらかじめご了承ください。


応募方法:
Twitterアカウント@ARG_INFOに参加希望を表明してください。
※募集人数が3人なので、応募数が多い場合は先着順とさせていただきます。


5月1日は、オンラインセッションサイト「どどんとふ」にプレイヤーたちが集まり、「シノビガミ怪冥王裁判」のキャラクターを一緒に制作してもらいます。
本番は5月3日で、この日はほぼ日中セッションを遊んでもらいます(楽しんでください!)。
見学したい方は、当日「どどんとふ」で行われるセッションルームに自由に出入り可能なので、好きなときに見学してもらって構いません。


要するに、TRPGを皆で遊ぼう(そのあとリプレイとか公開する予定)という単純なものです。
堅苦しい内容にはならないと思いますので、どしどし応募してください!


注意事項としては、TRPGに参加してもらうプレイヤーには、ルールブックを購入してもらう必要があります。
5月1日までに「シノビガミ怪冥王裁判」を購入しておいてもらう必要がありますので、その点だけご了承ください

追記(2012/4/23)
実施について、いくつか修正がございますので、ご報告いたします。

・「どどんとふ」について
どどんとふを運営されている方より、たくさんの人が見学として参加することで、サーバーが容量オーバーしてしまう可能性が高いというお話をいただきました。
GMである高橋さんと話し合った結果、サーバーをお借りする立場として、大変心苦しくはありますが、今回はリアルタイムでの見学はなしとさせていただきます。
ただ、セッション終了後、ログは随時公開していく予定です。また、ログを市販されているリプレイのように読み物として面白い形にできればと考えておりますので、楽しみにしておいてください。
(もしこの試みが成功し、何回かセッションを持てるようになった暁には、自前のサーバーを立てられたらいいな、と考えています! そのためにも、プレイヤーとして積極的に参加してくれる皆さんの助けが必要です。どうぞ遠慮せずに参加してください!)

・キャラクター制作の時間について
5月1日に行われるキャラクター制作は、5月3日と同様に、14時からの実施となりました。キャラクター制作にかかる時間は2〜4時間を想定しております。セッションほどではありませんが、制作にもそれなりに時間がかかると予想されるため、参加を希望される方はあらかじめよろしくお願いいたします。

関連リンク
アナログ・ゲーム・スタディーズ
冒険企画局:シノビガミ怪冥王裁判
どどんとふ

2012年2月6日

「ARGの面白さって何よ?」

2月4日に行われた「第2回ARG制作者ミーティング」ですが、当日参加者の方がTwitterで思ったことをつぶやかれた内容がTogetterでまとめられていたのでご紹介します。
内容は、タイトルの通り「ARGの面白さってなに?」、あるいは「ARGの本質ってなに?」とも言い換えられるかもしれません。とても考えさせられる内容ですので、興味のある方はご一読されてみてはいかがでしょうか。


記事元
Toggeter:今日の考察「ARGの面白さって何よ?」

2011年11月3日

【コラム】日本のARGの5年後に迎える5つの姿


今週末のSIG-ARG第3回研究会に先立ち、『日本ARG』をテーマにtwitterラウンドテーブルを2回開催しました(第1回ログ第2回ログ)。非常に活発な議論が交わされ、日本におけるARGの現状と課題が浮き彫りとなったと感じています。

このラウンドテーブルにおいて、私(えぴくす)は、モデレータとして出来る限り進行に専念しておりました。しかし、皆さんの激論が深まるにつれ、このテーマで自分も言いたいことがある!というフラストレーションが、ぼた雪のように降り積もっていったのです。そう、それが、このコラムが生まれた理由です(笑)。

少し長文になってしまいましたが、以下の5年後のARGの考察にお付き合いいただければ幸いです。なお、5年後というのは、現在の娯楽業界の勢力図ががらっと変わりうるだけの時間、程度の意味で取っておいていただければ幸いです。

2011年7月15日

ARGs in Japan: オフィス新大陸 坂本氏 インタビュー


先日の記事 Questions: ARGs in Japan にて、海外からいただいた日本のARGに関しての質問をご紹介しました。この件を、日本のARGの現状をまとめて紹介するよい機会と考えまして、この度、ARG情報局初となる取材記事を試みました。

取材対象は、「RYOMA the Secret Story」やトヨタの「ヴィッツARG」、映画「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」のプロモーションARG「サイトの“嘘”には“裏”がある」などで企画・運営を手がけるオフィス新大陸の坂本犬之介さんです。

坂本さんが代表を務める「オフィス新大陸」は、テレビ番組の企画や、書籍雑誌の執筆・寄稿、ゲームイベントの主催まで幅広く手がける企画プロダクション。海外ボードゲームの専門書籍『ボードゲームキングダム』や、BS日テレの『Theゲームナイト』を作ったクリエイター集団といえば、ああ!とわかる方もいらっしゃるかもしれません。

坂本さん自身にも、長年、有名ゲーム雑誌の編集をしてきた経歴と、海外ボードゲームへの深い造詣、PCからニンテンドーDSまで幅広いデジタルゲームを企画してきた実績があり、坂本さんを中心に、オフィス新大陸は現在日本で最もアグレッシブで楽しいARGを作り出している集団のひとつといえるでしょう。

先日、その坂本さんを、放送作家のグループ KUA が開催しているボードゲームイベント「盤博」で捕まえることができましたので、ARGs in Japan の質問についてインタビューを行いました。聞き手は epics です。

2011年6月21日

Questions: ARGs in Japan


オーストラリアの研究者(大学院生だと思われます)の方から、日本のARGについての質問をいただきました。ぜひ、皆さまのご意見もいただきたいと思いましたので、許可をいただいて、翻訳・公開します。

質問の背景について確認したところ、日本のメディアミックス戦略と、西洋のトランスメディア戦略の相違点を分析することで、西洋で日本のメディアミックス手法を有効活用したり、逆に西洋のARGにもっと日本の参加者を取り込んだりする方法を研究しているようでした。

質問の内容から、日本のARGの状況が英語圏の方からどう思われているのかも透けて見え、その意味でも興味深いのではないかと思います。

そんなことも踏まえつつ、以下の続きに、質問の翻訳と、私の独断と偏見による回答を載せてみます。皆さまのご意見を反映させた上で、英訳してこのページに追記した上で、質問の返答とする予定ですので、コメントをお待ちしております。(回答を英訳して下さる方も大募集です! 切実に……)

2011年2月21日

「使い道のなくなったもの」を使うアイディア

IDEA*IDEA「使われなくなった電話ボックスのクリエイティブな使い方いろいろ」の記事で、利用されなくなった電話ボックスを再生させた写真が紹介されています。

電話ボックスを水槽にしたり、図書館にしたりと、電話ボックスは電話をするところ、という枠組みを離れたユニークな使い道が数多く紹介されています。
▲水槽に改造した電話ボックス

国内でも電話ボックスはほぼ絶滅状態ですが、このように使い道のなくなったものをまったく別に活かすことで、現実世界にファンタジックな彩りを添えることもできます。
電話ボックスに限らず、たとえば児童が少なくなったことで廃校してしまった学校なども利用価値は高いでしょう(「リアル脱出ゲーム」でも、過去に「廃校の教室からの脱出」が実施され人気を集めました)。
今までなら当初想定された利用方法の意味が失われると廃棄されるしかなかったものも、まったく違う使い道をすることで生き返るかもしれません。
▲電話ボックスがパブの入口に

身近に、そういうものはありませんか?
このようなものを探してみる行為そのものも、世界を違う視点で見るきっかけになるかもしれませんね。

記事元
IDEA*IDEA:使われなくなった電話ボックスのクリエイティブな使い方いろいろ

2010年6月4日

6月5日開催の「ARGのつくり方」 Ustream配信URL決定

明日6月5日の13時より開催される「ARGのつくり方」の講演ですが、
当日Ustreamによる生放送を実施します。

このたび配信用のURLが決定しましたのでお知らせします。

第二回ARG研究会「ARGのつくり方:体験から実践・運営まで」 LIVE
http://ustre.am/iAlq


また、Twitterでもハッシュタグ
#SIGARG

を通じて内容をお伝えできればと考えています。

さらに講演後半に行われるディスカッションでは、会場での質問終了後にUstrea、Twitterで質問を募集する予定ですので、どうぞ最後までご覧ください。
※質問については、時間の都合上実施できない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

2010年6月3日

「ARG情報局」運営が謎の小包を受け取る

6月5日に第二回セミナー「ARGのつくり方」が迫ってきていますが、そのようなさなか、「ARG情報局」の管理人の一人八重尾こと筆者が、知り合いより謎の小包を受け取りました。

そもそも小包を受け取った経緯から説明すると、
・知り合いは小学生時代の古い友人。ここ数年は交遊もなかった。
・突然「会えないか」と連絡がきた。理由は不明。
・ビルの一室で会うなり、この小包を渡してきた。

小包には差出人も届け先も書かれておらず、紙で梱包され紐でくくられていました。
開封したところ、プラスチックケースの中に、

・バラバラになったルービックキューブのピース
・鍵の形をしたUSBメモリ

以上の2点が入っていました。
USBメモリの中には

past.mp3
pass.zip

の2つのファイルが入っており、pass.zipのほうはパスワードがかかっています。
past.mp3はモールス信号が録音されているようです。

現在Twitter上でこれらの謎の解明に取り組んでいます。
ハッシュタグは #SIGARG です。

6月5日のセミナーでは、ここで用いられているものを全て持っていき、
実際に触れる機会を設けようと思っています。
セミナー時のハッシュタグも #SIGARG ですので、当日も引き続き同じハッシュタグを利用して頂ければと思います。

なお、セミナーの詳細については、IGDAARG情報局内の記事を参照ください。

追記(2010/06/04 07:20)
Twitter以外でも情報交換やまとめの場が設けられました。

ARG専用掲示板Eureka! 「ARG情報局」運営が謎の小包を受け取る
まとめwiki ARG情報局の中の人にナゾの小包が届いた件
Togetter SIG-ARG第2回セミナー「ARGのつくり方」実践編 #SIGARG

2010年5月29日

6月5日第二回ARGセミナーの予習まとめ

第二回ARG研究会「ARGのつくり方:体験から実践・運営まで」が6月5日(土)に迫ってきましたので、改めて告知しようと思います。
チケット販売は6月3日18時までとなっていますので、お早めに購入ください。
内容なUstreamで配信する予定となっていますが、今回のセミナーでは会場で実際にARGを体験する機会も設けています。Ustreamを見るだけでは得られない代替現実感を実体験できる機会ですので、ぜひお越しください。

また、第二回目となる今回は、ARGの概要よりもARGの制作と運営に比重を置いた講演内容となるので、あらかじめARGの概要はある程度把握していたほうが理解しやすいかと思います。そこで今回、第一回ARGセミナー時に武山教授による講演「ARG概論」の内容をニコニコ動画に公開しています。
セミナー前にこの動画を見て予習をしておきましょう。





<概要>
■名称 :IGDA日本SIG-ARG(代替現実ゲーム) 第2回研究会「ARGのつくり方:体験から実践・運営まで」
■日時 :2010年6月5日(土)13:00 -18:00(受付時間12:30-)
■場所 :文京学院大学 本郷キャンパス B館8Fウィングホール
■主催 :国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)
SIG-ARGとは
■協力 :文京学院大学コンテンツ多言語知財化センター
■参加費:研究会のみ 2,000円(e+にて、入場券チケットをご購入ください)
研究会および懇親会の両方に参加 5,500円(e+にて、全席自由チケットをご購入ください)
■対象者:ARG に興味のある方ならどなたでも。
■定員 :定員120名

※当日は会場でARGを実施する予定です。
※会場の様子はUstreamで配信する予定です。なお当日カメラに映りたくない方用にカメラに映らない席も用意していますので、当日スタッフにお問い合わせください。
当日飛び込み参加はできません。チケット持参者のみ、ご参加いただけます。
※チケットは、1名付き1枚です。入場券チケット、全席自由チケット、どちらか一方を1枚ご購入いただき、研究会当日にお持ちください。
※チケットの販売開始は「e+」というチケット販売代理システムを利用して行います。 e+(イープラス)
※チケット購入についての注意事項は本稿末尾をご覧下さい。

<チケット購入についての注意点> ※※必ずお読みください ※※

・チケットは、e+(イープラス)に委託して販売しています。
・チケットの購入には、e+の会員となる必要があります。
・研究会の参加に必要なチケット枚数は1人につき1枚です。
・入場券チケット、もしくは、全席自由チケットを1名につき1枚ご購入ください。
----研究会参加のみの場合は、入場券チケット2000円をご購入下さい。
----研究会および懇親会の両方に参加の場合は、全席自由チケット5500円をご購入下さい。

・研究会および懇親会は、当日の飛び込み参加ができない仕組みになっています。
・席数に限りがあります。申込数が一杯になり次第、チケットの販売が終了しますのでご注意ください。
・チケットの販売は2010年6月3日(木)18:00までです。それ以前に申込数に達した場合は、前記の日時前に販売が終了します。
・チケット購入に関わる手数料は、参加者負担とします。
手数料一覧

----チケットを郵送で受け取る手続きには別途手数料として600円が必要です。
----手数料を0円にするには(「すぐチケ」)をご利用ください。《推奨》
・「すぐチケ」とは、セブンイレブンまたはファミリーマートで支払いをして、チケットをその場で受け取りすることです。手数料が無料になります
・FAQ「すぐチケ」とは?
http://eplus.jp/page/eplus/sugu/guide.html
http://w1.onlineticket.jp/tkt1/web/info/sugu.html

・購入は下記のURLにてお願い致します。
販売期間:10年05月19日(水)10:00 - 6月3日(木)18:00 予定

PC用購入ページリンクURL

携帯用購入ページリンクURL

<会場に関する注意事項>
・当日、大学の正門にて入場チェックが行われます。ご購入いただいたe+チケットをお持ちの上、ご来場ください。
・e+チケットを忘れると、ご入場いただけません。ご注意ください。
・当日の受付は、会場入り口に、12:30-13:20の間だけ設置されます。13:20までに受付を済ませない場合、当日キャンセル扱いとさせて頂きます。
・当日キャンセルによる返金はいたしませんので、予めご了承下さい。
・会場での食事はできません。ペットボトルでの飲み物のみ可能です。
・ペットボトルで飲料を事前にご用意ください。なお、会場のあるビル1Fでも購入できます。
・ゴミの持ち帰りにご協力ください。空になったペットボトル等は各自でお持ち帰りください。
・ビル内は禁煙です。喫煙は、会場ビル外の中庭にある喫煙コーナーをご利用ください。
・セキュリティの都合上、大学敷地内への再入場ができません。また、会場のある階と1F以外には立ち入らないようお願い致します。
・途中退場する場合は、受付スタッフに申し出てください。
・当日、大学内では通常の授業も予定されています。学生に迷惑にならないようご協力ください。

2010年5月19日

第2回研究会「ARGのつくり方:体験から実践・運営まで」チケット販売開始

6月5日に開催されるSIG-ARG主催による研究会「ARGのつくり方:体験から実践・運営まで」のチケット販売が本日10時より開始されました。
販売期間は6月3日18時までを予定しています。

チケットの販売価格は

研究会のみ/2000円
研究会+懇親会/5500円

懇親会では講演者の方々も交えた情報交換が行われますので、この機会を利用してARGに対する理解を深めて頂ければと思います。
なお「懇親会のみ」のチケット販売はされていませんのでご注意ください。

このほかチケットの購入方法等の詳細についてはIGDA日本の「SIG-ARG : 代替現実ゲーム専門部会(SIG-ARG)第2回研究会「ARGのつくり方:体験から実践・運営まで」6月5日(土)」をご覧ください。

2010年5月18日

第一回ARGセミナー「ARG概論」(武山教授)講演動画公開

2009年11月22日に開催されたSIG-ARG第一回セミナー「ARG入門:体験型エンタテインメントの現在と未来」の中で行われた慶応義塾大学教授の武山政直氏による講演「ARG概論」をニコニコ動画に公開しました。

6月5日に行われる二回目のセミナーではARGのより実践的な内容について講演を行う予定であるため、ARGの基本的な概要部分についてはあらかじめこの動画を見ておくと理解しやすいでしょう。
前回の講演に参加されなかった方々や、前回の内容を復習しておきたい方々はぜひ一度ご覧ください。



追記(2010/05/19 0:30) by epics
合わせて、パネルディスカッションのスライド資料も公開しました。ご参照ください。

第2回研究会「ARGのつくり方:体験から実践・運営まで」6月5日開催

IGDA日本  代替現実ゲーム部会(SIG-ARG)
第2回研究会「ARGのつくり方:体験から実践・運営まで」

<概要>
■日時 :2010年6月5日(土)13:00-17:00(受付時間12:30-)
■場所 :文京学院大学 本郷キャンパス B館8Fウィングホール
http://www.u-bunkyo.ac.jp/campus/access/map_hongo.html
■主催 :国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本) http://www.igda.jp/
    SIG-ARGとは http://igdaj-arg.blogspot.com/2009/09/sig-arg.html
■協力 :文京学院大学コンテンツ多言語知財化センター http://www.u-bunkyo.ac.jp/cm/
■対象者:ARG に興味のある方ならどなたでも。
■定員 :定員120名

<チケットの購入について>
 チケットはe+にて販売しております。
 詳細は
 http://www.igda.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=304

<プログラム>
13:00 - 13:05 「本学 コンテンツ多言語知財化センターの取り組み」
       文京学院大学 コンテンツ多言語知財化センター
13:05 - 13:10 「ご挨拶」  八重尾昌輝 (IGDA日本 SIG-ARG 世話人)

講演(テーマ:ARGの制作・運営について)
13:10 - 14:10  今仁英輔(ニコルソン)
14:15 - 15:15  石川淳一(エレメンツ 代表)

<休憩>(10分)

ディスカッション
15:25 - 16:25  今仁英輔/石川淳一  ※順不同

17:00       散会


※このほかの時間を使ったARG体験も予定しております。
※当日はUstreamによる生放送も予定しております。

17:40 – 19:40懇親会(全席自由チケット購入者のみ、ご参加いただけます)
「本郷三丁目駅付近」
  ※受付は17:30より開始します。

<会場に関する注意事項>

・セキュリティの都合上、大学敷地内への再入場ができません。また、会場のある階と1F以外には立ち入らないようお願い致します。
・途中退場する場合は、受付スタッフに申し出てください。
・会場での食事はできません。ペットボトルでの飲み物のみ可能です。
・ペットボトルで飲料を事前にご用意ください。なお、会場のあるビル1Fでも購入できます。
・ゴミの持ち帰りにご協力ください。空になったペットボトル等は各自でお持ち帰りください。
・ビル内は禁煙です。喫煙は、会場ビル外の中庭にある喫煙コーナーをご利用ください。
・受付は12:30-13:20の間だけ設置されます。13:20までに受付を済ませない場合、当日キャンセル扱いとさせて頂きます。
・大学内では通常の授業も予定されています。学生に迷惑にならないようご協力ください。

<講師略歴>(敬称略)

今仁 英輔(いまに・えいすけ)
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ARGクリエイター集団ニコルソン所属。2009年12月に早川書房S-Fマガジン50周年記念企画「Sync Future」のプロモーションとして、ARG「Future Player」を制作・運営。国内で初めてとなるARGクリエイター集団「ニコルソン」の活動を開始した。2月には「Sync Future」シリーズ第二弾となるARG「前田真宏監督が怒っているので助けてください」を制作・運営。

石川 淳一(いしかわ・じゅんいち)
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有限会社エレメンツ取締役社長。大学時代にボードゲーム研究会に所属。その経歴を評価され、1987年株式会社システムソフトに入社。『大戦略』『天下統一』シリーズなどシミュレーションゲームを中心にゲームデザイナー、ディレクター、プロデューサーとして参加。ARGでは5月にARG「天神ツイット・ハンティング」を実施した。

2010年4月23日

ARGのマネタイズ

ここ数ヶ月のうちに、次々とARGに参入してくる企業が増えてきています。こうした流れの中、新たに参入したいのだけれど、ARGの収益化に関してどのようなアプローチがあるのか悩まれている方も多いのではないかと思います。
今回はこうした人向けに、簡単ながらいくつかのアプローチ方法を紹介します。

ARGにはタイプがある

すでにARGを知っている人たちにとっては周知のことと思いますが、ARGは性質の異なるいくつかのタイプが存在しています。このタイプの違いを理解せず、一緒くたにしてしまうと混乱する原因となってしまいます。ここでは、筆者の考える分類にもとづいて説明します。

・ プロモーション
プロモーションはARGを宣伝手法のひとつと見なして展開します。その目的はARGを通して特定の商品の認知度を拡大し、可能であれば購入や利用につなげることにあります。これに競合する可能性のあるものは、テレビCMは雑誌広告などのメディア・媒体です。

・ 商品
商品はARGを商品にプラスすることによって価値を高め、その商品を販売します。その目的はARGを使うことで似たカテゴリーの商品価値を他商品よりも高めることにあります。これにより競合する可能性のあるものは、本やパッケージされたゲームです。

・ サービス
サービスはARGをプレイすることに対して料金を支払ってもらいます。その目的は他にはないサービスを提供することによって、今までとは異なる体験をしてもらい、その対価として料金を支払ってもらうことにあります。競合する可能性のあるものは、イベントなどです。


タイプによって収益化へのアプローチは異なる

前項のタイプ紹介にある通り、それぞれのタイプはARGを用いて達成したい目的が異なります。そのため、収益化のために取るアプローチ方法もタイプによって違いが出てきます。下記の挙げるのはあくまで例であり、その方法が最も相応しいというわけではありません。

・ プロモーションタイプの収益化
プロモーションタイプはARGの特性のひとつである「没入感」のポテンシャルを高めることによって強く記憶に残らせ、その強い記憶を目的となる特定の商品に結びつける必要があります。

・利益を参加者から取るのか? プロモーション元から取るのか?
タイプ別の説明でも書いた通り、プロモーションタイプに近い性質を持つものはテレビCMなどです。これらがどのような形で利益を獲得しているかを考えると理解しやすいかと思います。基本的にプロモーションARGの場合、参加者に支払いを求めることは選択肢に含まれません。認知を最大限に広げなければならないのに、参加者に支払いを求めてしまうと目的と矛盾してしまうためです。そのため、広告宣伝費という形でプロモーション元から利益を得るパターンが多く見られます。

・ 商品タイプの収益化
商品タイプはARGの持つ「代替現実感」のポテンシャルを高めることによって商品の持つ世界内で完結するのではなく、現実にも関連性があるという感覚を参加者に抱かせることができ、それによって商品価値を高めることができます。商品タイプは一番わかりやすい形で利益を求めることができます。商品を販売し、その販売数が利益となるのです。

・ サービスタイプの収益化
サービスタイプはARGもつ「没入感」や「代替現実感」など、あらゆるポテンシャルをフルに発揮する必要があります。そしてそうしたクオリティを持つARGそのものに対する参加費という形で参加者から料金を得ます。商品型と似ていますが、商品型が特定の商品をARGによって拡張しているのに対して、サービスタイプはARGそのものが販売対象となります。そのためARGの持つ特性と矛盾することをあえて行う必要も出てきます。「利益を参加者から取るのか? プロモーション元から取るのか?」でも書いたように、参加者から料金を取ることで参加者の拡大は大幅に減退します。こうした矛盾に対して取り組まなければならないため、サービスタイプARGはデメリットを把握した上で制作・運営を行う必要があります。

・ どこにコストがかかるのか? なにが削れるのか?
ARGはどの部分にコストがかかるのでしょうか。基本的なARGの構造では、大きくわけて「制作」と「運営」に分類することができます。制作のフェーズでは制作費がかかります。このコストはギミックや商品の制作にかかるため、ARGをインターネットメインにするなど、制作コストの安いステージを用いることによってコストの削減は可能です。運営のフェーズでは、参加者の行動によって制作物を調整する際に発生するコストがかかります。例えばストーリープロットの変更や、ギミックを調整したりといった作業のことです。多くの作業は制作フェーズの制作物をカスタマイズすることであるため、かかるコストは主に人件費になります。このコストを削るためには、運営に携わる人の数を減らす必要があります。そのために必要な施策は大きく二通り考えられます。一つ目はマルチな能力を持つ人材を雇用して、一人で複数のポジションを担ってもらうやり方。二つ目は自動化です。自動化は参加者のアクションに対して、自動的にリアクションを返すシステムを用意することにより人件費の削減を目指しています。たとえば参加者が特定のキャラクターにメールを送った際、運営側の人間がそれに対して一人一人返事を書くのか、それとも自動的にメールを返信するようなシステムにしておくのか、といった感じです。


最小限にコストを抑えたやり方

これらを総合して、コストを最小限に抑えたパターンを一つ紹介したいと思います。

・ 制作に関するコストを抑える方法
制作に関わるコストを抑える最も単純な方法は、インターネットを活用することです。インターネット上ではコンテンツの制作が非常に安く抑えられるため、インターネットをメインにすることによってコストを抑えることができます。また、既存の無料で利用できるブログやサービスを利用することによってでもコストを抑えることができます。

・ 運営に関するコストを抑える方法
運営に関わるコストを抑える最も簡単な方法は、1人で全ての制作・運営を行うことです。これで人件費は1人分で済みます。また、実施期間を短くすることでもコストを抑えることができます。少人数で運営する際は、ARG全体を極力自動化することによって負担を減らすことができます。


収益化に向けて必要なステップ

1.ARGをプレイする
ARGがどういうものなのかがわからなければ、ARGの制作・運営を行うことは困難です。まずはARGを実際にプレイしてみてください。

2.小規模なミニARGを制作・運営する
「最小限にコストを抑えたやり方」を参考にして、コストを極力抑えたミニマムな規模のARG(ミニARG)を試験的に制作・運営してみてください。

3.ミニARG実施者に協力をあおぐ
すでに制作・運営経験のあるクリエイターに協力をあおぎ、ARGのクオリティを高めてください。ARGの質が低いと、どのタイプであれ訴求力は弱まります。実際に経験がある人を集めることによって、参加者の行動に対して柔軟な対応を期待できます。

4.タイプに応じたARGを制作する
本格的なARGプロジェクトに必要な要素が揃うことで、収益を目的としたARGが制作可能となります。今までの経験をふまえた上で、プロモーション・商品・サービスのいずれのタイプなのかに基づき、ARGを制作してください。

5.ARGを運営する→収益へ


金銭以外の収益を考える

ARGは新しいカテゴリーのエンターテインメントであり、それによって得られる対価がどのようなものなのかを改めて考えておく必要があります。多くの契約では「対価」は金銭によって支払われます。しかしARGの取引では金銭以外の対価を導入することにより、より活発なARG事業の発展が期待できます。

・ 「人気・知名度」という利益
多くの業界では、この利益を長らく無視してきました。あるいは気がついていても、利益として認識していませんでした。アイドルなどはこの典型例といえるでしょう。最初は「人気・知名度」を報酬として受け取り、あるタイミングでこれを金銭に変換するのです。この原理はARG市場にも利用できます。

・ ミニARGが発生する土壌を形成する
ARGはクリエイターの存在が非常に重要です。しかし国内でARGクリエイターを育成する土壌は今のところ存在していません。そこで求められるのが、ARGクリエイターを育成させるための土壌をどのように形成するのか、ということです。「収益化に向けて必要なステップ」で紹介した通り、ARGクリエイターは実際にARGを制作していくことで経験を積み重ねることができます。こうした「ミニARG」の発生を市場が支えることによって、ARGのクオリティ向上や活性化が期待できます。
こうしたミニARGの制作者は、市場からどのような報酬を受けるのでしょうか。それが「人気・知名度」となります。ミニARG制作者はミニARGを制作・運営することによってこの第二の「利益」を受け、あるタイミングでそれを金銭に変換(企業に雇用される)できるのです。
また、企業はこうしたミニARG制作者を雇用する体制を整えることによって、質の高いARGを制作することが可能となり、企業もまた「人気・知名度」の利益を増やすことによって、さらに上にいるポジション(プロモーション元など)から収益を得られる循環ができあがります。
このように、「人気・知名度」を利益として認めることによって、ミニARGが発生する土壌を形成することができ、ARG業界の発展に繋がることが期待できます。


まとめ

今回はARGのマネタライズにあたって、ARGのタイプと市場に関する意見を紹介させてもらいました。まとめると、下記の通りになります。

・ 収益化を目的としたARGは大きくわけて「プロモーション」、「商品」、「サービス」のタイプにわけられる
・ それぞれのタイプに応じた収益のルーチンが必要になる
・ ARGの制作・運営には、ARGクリエイターが不可欠
・ 金銭に依存しないミニARGの存在がARG市場を支えることとなる
・ 「人気・知名度」という利益を導入することによって、ミニARG発生を促す。また、こうした利益を金銭に変換するという認識が必要

※「ARGのマネタイズ」の記事はいかがだったでしょうか。筆者自身、収益化については未知数のところが多いのが実情です。今回の記事についてご意見、ご感想がございましたら、コメントでもTwitterでもメールでも構いませんので、なんなりとお話いただければと存じます。

2010年4月7日

IGDA SIG-ARGがアンケート集計結果を発表

IGDA SIG-ARGが実施した集計の結果を、ARGology「ARG SIG 2010 Survey Results」にて発表しています。



内容はARGプレイヤーやディベロッパーを含めた調査結果となっており、ARGをプレイする性別、年齢、地域など様々な切り口で見ることができるほか、ディベロッパーのバックグランドや給料形態にまで踏み込んだ調査がされています。

同サイト上にはスライドが公開されているほか、スライドの元となった調査データをエクセル形式で取得することもできるので、海外のARG業界事情がこのデータでかなり詳しく把握できるようになっています。

ちなみにデータについては集計した数がそれほど多くないことから、一部偏りも見られます。全てを鵜呑みをすると認識を誤る可能性もありますが、少なくともこうしたデータが今まで出てきたことがないだけに、貴重な資料として重宝すると思います。

記事元
ARGology:ARG SIG 2010 Survey Results