日本では4月10日より公開されている映画「第9地区」のオフィシャルサイトにて、ARG的な試みが行われています。
MNU(地域警報システム)ではgoogleマップ上に現在出現しているエイリアンの場所を表示しているほか、MNUの公式サイトでは組織の概要や採用情報(!)まであります。
記事元
第9地区公式サイト
地域警報システム
MNU公式サイト
2010年4月28日
2010年4月23日
ARGのマネタイズ
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ARG論
ここ数ヶ月のうちに、次々とARGに参入してくる企業が増えてきています。こうした流れの中、新たに参入したいのだけれど、ARGの収益化に関してどのようなアプローチがあるのか悩まれている方も多いのではないかと思います。
今回はこうした人向けに、簡単ながらいくつかのアプローチ方法を紹介します。
ARGにはタイプがある
すでにARGを知っている人たちにとっては周知のことと思いますが、ARGは性質の異なるいくつかのタイプが存在しています。このタイプの違いを理解せず、一緒くたにしてしまうと混乱する原因となってしまいます。ここでは、筆者の考える分類にもとづいて説明します。
・ プロモーション
プロモーションはARGを宣伝手法のひとつと見なして展開します。その目的はARGを通して特定の商品の認知度を拡大し、可能であれば購入や利用につなげることにあります。これに競合する可能性のあるものは、テレビCMは雑誌広告などのメディア・媒体です。
・ 商品
商品はARGを商品にプラスすることによって価値を高め、その商品を販売します。その目的はARGを使うことで似たカテゴリーの商品価値を他商品よりも高めることにあります。これにより競合する可能性のあるものは、本やパッケージされたゲームです。
・ サービス
サービスはARGをプレイすることに対して料金を支払ってもらいます。その目的は他にはないサービスを提供することによって、今までとは異なる体験をしてもらい、その対価として料金を支払ってもらうことにあります。競合する可能性のあるものは、イベントなどです。
タイプによって収益化へのアプローチは異なる
前項のタイプ紹介にある通り、それぞれのタイプはARGを用いて達成したい目的が異なります。そのため、収益化のために取るアプローチ方法もタイプによって違いが出てきます。下記の挙げるのはあくまで例であり、その方法が最も相応しいというわけではありません。
・ プロモーションタイプの収益化
プロモーションタイプはARGの特性のひとつである「没入感」のポテンシャルを高めることによって強く記憶に残らせ、その強い記憶を目的となる特定の商品に結びつける必要があります。
・利益を参加者から取るのか? プロモーション元から取るのか?
タイプ別の説明でも書いた通り、プロモーションタイプに近い性質を持つものはテレビCMなどです。これらがどのような形で利益を獲得しているかを考えると理解しやすいかと思います。基本的にプロモーションARGの場合、参加者に支払いを求めることは選択肢に含まれません。認知を最大限に広げなければならないのに、参加者に支払いを求めてしまうと目的と矛盾してしまうためです。そのため、広告宣伝費という形でプロモーション元から利益を得るパターンが多く見られます。
・ 商品タイプの収益化
商品タイプはARGの持つ「代替現実感」のポテンシャルを高めることによって商品の持つ世界内で完結するのではなく、現実にも関連性があるという感覚を参加者に抱かせることができ、それによって商品価値を高めることができます。商品タイプは一番わかりやすい形で利益を求めることができます。商品を販売し、その販売数が利益となるのです。
・ サービスタイプの収益化
サービスタイプはARGもつ「没入感」や「代替現実感」など、あらゆるポテンシャルをフルに発揮する必要があります。そしてそうしたクオリティを持つARGそのものに対する参加費という形で参加者から料金を得ます。商品型と似ていますが、商品型が特定の商品をARGによって拡張しているのに対して、サービスタイプはARGそのものが販売対象となります。そのためARGの持つ特性と矛盾することをあえて行う必要も出てきます。「利益を参加者から取るのか? プロモーション元から取るのか?」でも書いたように、参加者から料金を取ることで参加者の拡大は大幅に減退します。こうした矛盾に対して取り組まなければならないため、サービスタイプARGはデメリットを把握した上で制作・運営を行う必要があります。
・ どこにコストがかかるのか? なにが削れるのか?
ARGはどの部分にコストがかかるのでしょうか。基本的なARGの構造では、大きくわけて「制作」と「運営」に分類することができます。制作のフェーズでは制作費がかかります。このコストはギミックや商品の制作にかかるため、ARGをインターネットメインにするなど、制作コストの安いステージを用いることによってコストの削減は可能です。運営のフェーズでは、参加者の行動によって制作物を調整する際に発生するコストがかかります。例えばストーリープロットの変更や、ギミックを調整したりといった作業のことです。多くの作業は制作フェーズの制作物をカスタマイズすることであるため、かかるコストは主に人件費になります。このコストを削るためには、運営に携わる人の数を減らす必要があります。そのために必要な施策は大きく二通り考えられます。一つ目はマルチな能力を持つ人材を雇用して、一人で複数のポジションを担ってもらうやり方。二つ目は自動化です。自動化は参加者のアクションに対して、自動的にリアクションを返すシステムを用意することにより人件費の削減を目指しています。たとえば参加者が特定のキャラクターにメールを送った際、運営側の人間がそれに対して一人一人返事を書くのか、それとも自動的にメールを返信するようなシステムにしておくのか、といった感じです。
最小限にコストを抑えたやり方
これらを総合して、コストを最小限に抑えたパターンを一つ紹介したいと思います。
・ 制作に関するコストを抑える方法
制作に関わるコストを抑える最も単純な方法は、インターネットを活用することです。インターネット上ではコンテンツの制作が非常に安く抑えられるため、インターネットをメインにすることによってコストを抑えることができます。また、既存の無料で利用できるブログやサービスを利用することによってでもコストを抑えることができます。
・ 運営に関するコストを抑える方法
運営に関わるコストを抑える最も簡単な方法は、1人で全ての制作・運営を行うことです。これで人件費は1人分で済みます。また、実施期間を短くすることでもコストを抑えることができます。少人数で運営する際は、ARG全体を極力自動化することによって負担を減らすことができます。
収益化に向けて必要なステップ
1.ARGをプレイする
ARGがどういうものなのかがわからなければ、ARGの制作・運営を行うことは困難です。まずはARGを実際にプレイしてみてください。
2.小規模なミニARGを制作・運営する
「最小限にコストを抑えたやり方」を参考にして、コストを極力抑えたミニマムな規模のARG(ミニARG)を試験的に制作・運営してみてください。
3.ミニARG実施者に協力をあおぐ
すでに制作・運営経験のあるクリエイターに協力をあおぎ、ARGのクオリティを高めてください。ARGの質が低いと、どのタイプであれ訴求力は弱まります。実際に経験がある人を集めることによって、参加者の行動に対して柔軟な対応を期待できます。
4.タイプに応じたARGを制作する
本格的なARGプロジェクトに必要な要素が揃うことで、収益を目的としたARGが制作可能となります。今までの経験をふまえた上で、プロモーション・商品・サービスのいずれのタイプなのかに基づき、ARGを制作してください。
5.ARGを運営する→収益へ
金銭以外の収益を考える
ARGは新しいカテゴリーのエンターテインメントであり、それによって得られる対価がどのようなものなのかを改めて考えておく必要があります。多くの契約では「対価」は金銭によって支払われます。しかしARGの取引では金銭以外の対価を導入することにより、より活発なARG事業の発展が期待できます。
・ 「人気・知名度」という利益
多くの業界では、この利益を長らく無視してきました。あるいは気がついていても、利益として認識していませんでした。アイドルなどはこの典型例といえるでしょう。最初は「人気・知名度」を報酬として受け取り、あるタイミングでこれを金銭に変換するのです。この原理はARG市場にも利用できます。
・ ミニARGが発生する土壌を形成する
ARGはクリエイターの存在が非常に重要です。しかし国内でARGクリエイターを育成する土壌は今のところ存在していません。そこで求められるのが、ARGクリエイターを育成させるための土壌をどのように形成するのか、ということです。「収益化に向けて必要なステップ」で紹介した通り、ARGクリエイターは実際にARGを制作していくことで経験を積み重ねることができます。こうした「ミニARG」の発生を市場が支えることによって、ARGのクオリティ向上や活性化が期待できます。
こうしたミニARGの制作者は、市場からどのような報酬を受けるのでしょうか。それが「人気・知名度」となります。ミニARG制作者はミニARGを制作・運営することによってこの第二の「利益」を受け、あるタイミングでそれを金銭に変換(企業に雇用される)できるのです。
また、企業はこうしたミニARG制作者を雇用する体制を整えることによって、質の高いARGを制作することが可能となり、企業もまた「人気・知名度」の利益を増やすことによって、さらに上にいるポジション(プロモーション元など)から収益を得られる循環ができあがります。
このように、「人気・知名度」を利益として認めることによって、ミニARGが発生する土壌を形成することができ、ARG業界の発展に繋がることが期待できます。
まとめ
今回はARGのマネタライズにあたって、ARGのタイプと市場に関する意見を紹介させてもらいました。まとめると、下記の通りになります。
・ 収益化を目的としたARGは大きくわけて「プロモーション」、「商品」、「サービス」のタイプにわけられる
・ それぞれのタイプに応じた収益のルーチンが必要になる
・ ARGの制作・運営には、ARGクリエイターが不可欠
・ 金銭に依存しないミニARGの存在がARG市場を支えることとなる
・ 「人気・知名度」という利益を導入することによって、ミニARG発生を促す。また、こうした利益を金銭に変換するという認識が必要
※「ARGのマネタイズ」の記事はいかがだったでしょうか。筆者自身、収益化については未知数のところが多いのが実情です。今回の記事についてご意見、ご感想がございましたら、コメントでもTwitterでもメールでも構いませんので、なんなりとお話いただければと存じます。
今回はこうした人向けに、簡単ながらいくつかのアプローチ方法を紹介します。
ARGにはタイプがある
すでにARGを知っている人たちにとっては周知のことと思いますが、ARGは性質の異なるいくつかのタイプが存在しています。このタイプの違いを理解せず、一緒くたにしてしまうと混乱する原因となってしまいます。ここでは、筆者の考える分類にもとづいて説明します。
・ プロモーション
プロモーションはARGを宣伝手法のひとつと見なして展開します。その目的はARGを通して特定の商品の認知度を拡大し、可能であれば購入や利用につなげることにあります。これに競合する可能性のあるものは、テレビCMは雑誌広告などのメディア・媒体です。
・ 商品
商品はARGを商品にプラスすることによって価値を高め、その商品を販売します。その目的はARGを使うことで似たカテゴリーの商品価値を他商品よりも高めることにあります。これにより競合する可能性のあるものは、本やパッケージされたゲームです。
・ サービス
サービスはARGをプレイすることに対して料金を支払ってもらいます。その目的は他にはないサービスを提供することによって、今までとは異なる体験をしてもらい、その対価として料金を支払ってもらうことにあります。競合する可能性のあるものは、イベントなどです。
タイプによって収益化へのアプローチは異なる
前項のタイプ紹介にある通り、それぞれのタイプはARGを用いて達成したい目的が異なります。そのため、収益化のために取るアプローチ方法もタイプによって違いが出てきます。下記の挙げるのはあくまで例であり、その方法が最も相応しいというわけではありません。
・ プロモーションタイプの収益化
プロモーションタイプはARGの特性のひとつである「没入感」のポテンシャルを高めることによって強く記憶に残らせ、その強い記憶を目的となる特定の商品に結びつける必要があります。
・利益を参加者から取るのか? プロモーション元から取るのか?
タイプ別の説明でも書いた通り、プロモーションタイプに近い性質を持つものはテレビCMなどです。これらがどのような形で利益を獲得しているかを考えると理解しやすいかと思います。基本的にプロモーションARGの場合、参加者に支払いを求めることは選択肢に含まれません。認知を最大限に広げなければならないのに、参加者に支払いを求めてしまうと目的と矛盾してしまうためです。そのため、広告宣伝費という形でプロモーション元から利益を得るパターンが多く見られます。
・ 商品タイプの収益化
商品タイプはARGの持つ「代替現実感」のポテンシャルを高めることによって商品の持つ世界内で完結するのではなく、現実にも関連性があるという感覚を参加者に抱かせることができ、それによって商品価値を高めることができます。商品タイプは一番わかりやすい形で利益を求めることができます。商品を販売し、その販売数が利益となるのです。
・ サービスタイプの収益化
サービスタイプはARGもつ「没入感」や「代替現実感」など、あらゆるポテンシャルをフルに発揮する必要があります。そしてそうしたクオリティを持つARGそのものに対する参加費という形で参加者から料金を得ます。商品型と似ていますが、商品型が特定の商品をARGによって拡張しているのに対して、サービスタイプはARGそのものが販売対象となります。そのためARGの持つ特性と矛盾することをあえて行う必要も出てきます。「利益を参加者から取るのか? プロモーション元から取るのか?」でも書いたように、参加者から料金を取ることで参加者の拡大は大幅に減退します。こうした矛盾に対して取り組まなければならないため、サービスタイプARGはデメリットを把握した上で制作・運営を行う必要があります。
・ どこにコストがかかるのか? なにが削れるのか?
ARGはどの部分にコストがかかるのでしょうか。基本的なARGの構造では、大きくわけて「制作」と「運営」に分類することができます。制作のフェーズでは制作費がかかります。このコストはギミックや商品の制作にかかるため、ARGをインターネットメインにするなど、制作コストの安いステージを用いることによってコストの削減は可能です。運営のフェーズでは、参加者の行動によって制作物を調整する際に発生するコストがかかります。例えばストーリープロットの変更や、ギミックを調整したりといった作業のことです。多くの作業は制作フェーズの制作物をカスタマイズすることであるため、かかるコストは主に人件費になります。このコストを削るためには、運営に携わる人の数を減らす必要があります。そのために必要な施策は大きく二通り考えられます。一つ目はマルチな能力を持つ人材を雇用して、一人で複数のポジションを担ってもらうやり方。二つ目は自動化です。自動化は参加者のアクションに対して、自動的にリアクションを返すシステムを用意することにより人件費の削減を目指しています。たとえば参加者が特定のキャラクターにメールを送った際、運営側の人間がそれに対して一人一人返事を書くのか、それとも自動的にメールを返信するようなシステムにしておくのか、といった感じです。
最小限にコストを抑えたやり方
これらを総合して、コストを最小限に抑えたパターンを一つ紹介したいと思います。
・ 制作に関するコストを抑える方法
制作に関わるコストを抑える最も単純な方法は、インターネットを活用することです。インターネット上ではコンテンツの制作が非常に安く抑えられるため、インターネットをメインにすることによってコストを抑えることができます。また、既存の無料で利用できるブログやサービスを利用することによってでもコストを抑えることができます。
・ 運営に関するコストを抑える方法
運営に関わるコストを抑える最も簡単な方法は、1人で全ての制作・運営を行うことです。これで人件費は1人分で済みます。また、実施期間を短くすることでもコストを抑えることができます。少人数で運営する際は、ARG全体を極力自動化することによって負担を減らすことができます。
収益化に向けて必要なステップ
1.ARGをプレイする
ARGがどういうものなのかがわからなければ、ARGの制作・運営を行うことは困難です。まずはARGを実際にプレイしてみてください。
2.小規模なミニARGを制作・運営する
「最小限にコストを抑えたやり方」を参考にして、コストを極力抑えたミニマムな規模のARG(ミニARG)を試験的に制作・運営してみてください。
3.ミニARG実施者に協力をあおぐ
すでに制作・運営経験のあるクリエイターに協力をあおぎ、ARGのクオリティを高めてください。ARGの質が低いと、どのタイプであれ訴求力は弱まります。実際に経験がある人を集めることによって、参加者の行動に対して柔軟な対応を期待できます。
4.タイプに応じたARGを制作する
本格的なARGプロジェクトに必要な要素が揃うことで、収益を目的としたARGが制作可能となります。今までの経験をふまえた上で、プロモーション・商品・サービスのいずれのタイプなのかに基づき、ARGを制作してください。
5.ARGを運営する→収益へ
金銭以外の収益を考える
ARGは新しいカテゴリーのエンターテインメントであり、それによって得られる対価がどのようなものなのかを改めて考えておく必要があります。多くの契約では「対価」は金銭によって支払われます。しかしARGの取引では金銭以外の対価を導入することにより、より活発なARG事業の発展が期待できます。
・ 「人気・知名度」という利益
多くの業界では、この利益を長らく無視してきました。あるいは気がついていても、利益として認識していませんでした。アイドルなどはこの典型例といえるでしょう。最初は「人気・知名度」を報酬として受け取り、あるタイミングでこれを金銭に変換するのです。この原理はARG市場にも利用できます。
・ ミニARGが発生する土壌を形成する
ARGはクリエイターの存在が非常に重要です。しかし国内でARGクリエイターを育成する土壌は今のところ存在していません。そこで求められるのが、ARGクリエイターを育成させるための土壌をどのように形成するのか、ということです。「収益化に向けて必要なステップ」で紹介した通り、ARGクリエイターは実際にARGを制作していくことで経験を積み重ねることができます。こうした「ミニARG」の発生を市場が支えることによって、ARGのクオリティ向上や活性化が期待できます。
こうしたミニARGの制作者は、市場からどのような報酬を受けるのでしょうか。それが「人気・知名度」となります。ミニARG制作者はミニARGを制作・運営することによってこの第二の「利益」を受け、あるタイミングでそれを金銭に変換(企業に雇用される)できるのです。
また、企業はこうしたミニARG制作者を雇用する体制を整えることによって、質の高いARGを制作することが可能となり、企業もまた「人気・知名度」の利益を増やすことによって、さらに上にいるポジション(プロモーション元など)から収益を得られる循環ができあがります。
このように、「人気・知名度」を利益として認めることによって、ミニARGが発生する土壌を形成することができ、ARG業界の発展に繋がることが期待できます。
まとめ
今回はARGのマネタライズにあたって、ARGのタイプと市場に関する意見を紹介させてもらいました。まとめると、下記の通りになります。
・ 収益化を目的としたARGは大きくわけて「プロモーション」、「商品」、「サービス」のタイプにわけられる
・ それぞれのタイプに応じた収益のルーチンが必要になる
・ ARGの制作・運営には、ARGクリエイターが不可欠
・ 金銭に依存しないミニARGの存在がARG市場を支えることとなる
・ 「人気・知名度」という利益を導入することによって、ミニARG発生を促す。また、こうした利益を金銭に変換するという認識が必要
※「ARGのマネタイズ」の記事はいかがだったでしょうか。筆者自身、収益化については未知数のところが多いのが実情です。今回の記事についてご意見、ご感想がございましたら、コメントでもTwitterでもメールでも構いませんので、なんなりとお話いただければと存じます。
2010年4月7日
IGDA SIG-ARGがアンケート集計結果を発表
IGDA SIG-ARGが実施した集計の結果を、ARGologyの「ARG SIG 2010 Survey Results」にて発表しています。
内容はARGプレイヤーやディベロッパーを含めた調査結果となっており、ARGをプレイする性別、年齢、地域など様々な切り口で見ることができるほか、ディベロッパーのバックグランドや給料形態にまで踏み込んだ調査がされています。
同サイト上にはスライドが公開されているほか、スライドの元となった調査データをエクセル形式で取得することもできるので、海外のARG業界事情がこのデータでかなり詳しく把握できるようになっています。
ちなみにデータについては集計した数がそれほど多くないことから、一部偏りも見られます。全てを鵜呑みをすると認識を誤る可能性もありますが、少なくともこうしたデータが今まで出てきたことがないだけに、貴重な資料として重宝すると思います。
記事元
ARGology:ARG SIG 2010 Survey Results
2010 IGDA ARG SIG Survey
View more presentations from Andrea Phillips.
内容はARGプレイヤーやディベロッパーを含めた調査結果となっており、ARGをプレイする性別、年齢、地域など様々な切り口で見ることができるほか、ディベロッパーのバックグランドや給料形態にまで踏み込んだ調査がされています。
同サイト上にはスライドが公開されているほか、スライドの元となった調査データをエクセル形式で取得することもできるので、海外のARG業界事情がこのデータでかなり詳しく把握できるようになっています。
ちなみにデータについては集計した数がそれほど多くないことから、一部偏りも見られます。全てを鵜呑みをすると認識を誤る可能性もありますが、少なくともこうしたデータが今まで出てきたことがないだけに、貴重な資料として重宝すると思います。
記事元
ARGology:ARG SIG 2010 Survey Results
複数ARG関連ニュース
アキバ系!電脳空間カウボーイズ:第三百十一回 Alternate reality gameの世界 後編
先日お伝えしたARGに関する話題の後編が配信されています。D&Dのロールプレイの事例からファンタジーの持つ意味などについても話されているほか、ARGの将来性に関しても言及されていて聞き応えばっちりです。
面白法人カヤック:ARGの企画から制作まで請け負い開始
様々な試みで注目の面白法人カヤックが、ついにARG業界に進出するようです。以前にARG勉強会を行うなどARGに関して意欲の高かった同社ですが、いよいよ本格参入となります。すでに4月1日のエイプリルフールにあわせた1日限定のARGも実施したようで、その報告と反省なども紹介されています。
Fumi's Travelblog:BRIDGE2010
4月5日に行われた「BRIDGE2010」の様子をブログで紹介されています。その中で、アサツーディ・ケイの大橋聡史氏が「ARGの可能性」と題したショート・プレゼンテーションが行われた模様も書かれています。内容によると「RYOMA the secret story」について語ったようで、
RYOMA the secretの参加者は3万人、アクティブプレイヤー4千人、ヘビープレイヤー300人と一応成功
と具体的な数値を上げてプレゼンを行ったようです。
企業のARG参入や各方面でARGの話題が持ち上がるなど、じわじわと広がりはじめてきたARG。今年はかなり熱い年になりそうです!
先日お伝えしたARGに関する話題の後編が配信されています。D&Dのロールプレイの事例からファンタジーの持つ意味などについても話されているほか、ARGの将来性に関しても言及されていて聞き応えばっちりです。
面白法人カヤック:ARGの企画から制作まで請け負い開始
様々な試みで注目の面白法人カヤックが、ついにARG業界に進出するようです。以前にARG勉強会を行うなどARGに関して意欲の高かった同社ですが、いよいよ本格参入となります。すでに4月1日のエイプリルフールにあわせた1日限定のARGも実施したようで、その報告と反省なども紹介されています。
Fumi's Travelblog:BRIDGE2010
4月5日に行われた「BRIDGE2010」の様子をブログで紹介されています。その中で、アサツーディ・ケイの大橋聡史氏が「ARGの可能性」と題したショート・プレゼンテーションが行われた模様も書かれています。内容によると「RYOMA the secret story」について語ったようで、
RYOMA the secretの参加者は3万人、アクティブプレイヤー4千人、ヘビープレイヤー300人と一応成功
と具体的な数値を上げてプレゼンを行ったようです。
企業のARG参入や各方面でARGの話題が持ち上がるなど、じわじわと広がりはじめてきたARG。今年はかなり熱い年になりそうです!
2010年4月5日
ボストンを中心とした複数大学連携によるARGを開催
2008年4月から2009年3月までの約1年間にわたって開催されたARGOSI(Alternate Reality Games for Orientation,Socialisation and Induction)の結果報告が行われています。
この試みはボストン大学をはじめとして、マンチェスターメトロポリタン大学、オックスフォード大学、ブライトン大学などからコアメンバー6名と学生により編成されたプロジェクトチームによって制作・運営が行われました。
OSIの名称通り、社会的側面やオリエンテーションの部分に注力したARGとして設計されているようです。
実施されたARGの構造は単純で、「ストーリーサイト」、「チャレンジサイト」、「コミュニティサイト」の3種を基点として展開する内容だったようです。
「Final Report」によるとトータルの参加人数は173名で、そのうちの13%にあたる23名がアクティブな参加者だったとのこと(「Evaluation Report」によると、チャレンジを10以上コンプリートしたプレイヤーは5人(5%)、1〜9以上コンプリートしたプレイヤーは18人(10%)、1つもコンプリートしなかった人が150人(87%)となっています)。
また、学生の参加を促すためにTINAG(This Is Not A Game:「これはゲームではない」というARGの基本要素)を除外したことや、オンライン・オフラインの安全性やケアについても注意を払う必要があることなどが報告されています。
さらに、"The true ARG(本格的なARG?)"は教育を目的としたARGには向かないのではないか、ということも記載されています。前述したTINAGの扱いや、参加者のモチベーションの置き所をどこにするのか(「ゲーム」という部分で学習目的の参加者がモチベーションを維持し続けることができるのかどうか)といったことも考慮する必要があるようです。
全体的に見てARGOSIプロジェクトは成功を収めたようで、ARGに関する様々な考察も含めて見所満載の報告となっています。
ぜひ一読してみてください。
記事元
Alternate Reality Games for Orientation,Socialisation and Induction
この試みはボストン大学をはじめとして、マンチェスターメトロポリタン大学、オックスフォード大学、ブライトン大学などからコアメンバー6名と学生により編成されたプロジェクトチームによって制作・運営が行われました。
OSIの名称通り、社会的側面やオリエンテーションの部分に注力したARGとして設計されているようです。
実施されたARGの構造は単純で、「ストーリーサイト」、「チャレンジサイト」、「コミュニティサイト」の3種を基点として展開する内容だったようです。
「Final Report」によるとトータルの参加人数は173名で、そのうちの13%にあたる23名がアクティブな参加者だったとのこと(「Evaluation Report」によると、チャレンジを10以上コンプリートしたプレイヤーは5人(5%)、1〜9以上コンプリートしたプレイヤーは18人(10%)、1つもコンプリートしなかった人が150人(87%)となっています)。
また、学生の参加を促すためにTINAG(This Is Not A Game:「これはゲームではない」というARGの基本要素)を除外したことや、オンライン・オフラインの安全性やケアについても注意を払う必要があることなどが報告されています。
さらに、"The true ARG(本格的なARG?)"は教育を目的としたARGには向かないのではないか、ということも記載されています。前述したTINAGの扱いや、参加者のモチベーションの置き所をどこにするのか(「ゲーム」という部分で学習目的の参加者がモチベーションを維持し続けることができるのかどうか)といったことも考慮する必要があるようです。
全体的に見てARGOSIプロジェクトは成功を収めたようで、ARGに関する様々な考察も含めて見所満載の報告となっています。
ぜひ一読してみてください。
記事元
Alternate Reality Games for Orientation,Socialisation and Induction
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