2025-06-10

不法滞在者、1万人を下回る。政府の「三段ロケット」4年で実効

――2026年導入の帰国支援雇用罰則強化が奏功、労働力不足など課題

2030年1月5日 東京

法務省入管庁は5日、2029年末時点の不法滞在者在留期限超過者)が 9,842人 となり、統計開始以来はじめて1万人を割り込んだと発表した。2025年1月の7万4,863人から5年間で約8分の1に減った計算だ。

入管庁によると、減少のカーブは次の通り――2026年末に6万人、2027年末に4万7千人、2028年末に3万4千人、2029年末に2万1千人とほぼ均等に下がり続けた。背景には、2026年に始まった政府のいわゆる「三段ロケット政策」がある。

短期ビザの乱用を防ぐため、航空会社旅行業者に事前照会を義務づけ、疑義案件を搭乗前にブロックした。

2026年4~9月半年間、不法残留罰則を一時停止し、最大50万円を上限に航空券や移動費を国費で負担。約2万人が応じた。当時は「移民へのばらまき」と批判も浴びたが、1人あたり20万円弱で強制収容より安上がりだったと試算されている。

締め切り後は不法残留罪の上限刑を懲役6年に引き上げ、資格就労助長した事業者も同等刑+5,000万円以下の罰金とした。

さら2027年の「悪質雇用主取締特措法」でブラック現場への摘発が本格化。入管労基署警察が合同で在留カードのIC読み取りを行う「現場スキャン」により、2027年だけで2,300超の事業所処分された。事業者名公開を恐れ、地下雇用は急速に萎縮したという。

一方で副作用もある。建設農業介護では時給が2,000円台に高騰し、中小企業価格転嫁を迫られた。地方外国人経営店が姿を消し、多文化コミュニティが縮小したとの指摘もある。人権団体は「摘発1件あたりのコストは倍増し、残った1万人弱はより地下化している」と警鐘を鳴らす。

政府は「2035年までに5千人以下」を次の目標に掲げるが、経済界からは「労働需給を埋める合法ルートを示さなければ人手不足は加速する」との声が上がる。数字の達成と社会の持続可能性――両立への道筋が問われている。

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