時短や定時退社の話が出ているが、根本的な部分での間違いがあるようなので、
時短とは、定時退社できるように仕事量や業務のプロセスの一部を単純に無くすことではない。
私は小さな会社を経営しているが、ご多分に漏れず社員の労働環境は良くなかった。
多くは無いが残業はあったし、社員は有給が取れなかった。昼メシをゆっくり取れないこともあった。
この状況を何とかしなければと思い、時短を含む業務内容の改善とビジネスモデルの再構築に踏み切った。
まず行ったのは『あるべき姿』の具体化だ。
従業員数と経費、売上、それに伴う社員の労働量など、会社にとって最もバランスの良い姿は何かを決めた。
そしてそれを取り組むべき項目に落とし込んでいった。
業務改善で行ったのは以下。
これまでは各社員が1日の行動と内容をまとめて提出していた。
だが、日報と言うのはそこに書かれている内容の中から問題がありそうなことを
でも実際は提出で終わっていたし、各自が取引先との打ち合わせで書いたものを再度書き直す手間にもなる。
代わりに行ったのがToDoの共有化だ。
改善の際にグループウエアを取り入れ、社員にはアイパッドを一人一台渡した。
朝出社(もしくは前日の退社前)すると、社員はまずToDoをアップする。
会社としての優先項目上変更をお願いしたいことは事前に伝え、無駄な行動を減らすことが出来る。
打合わせ先や内容によっては、今日はどういう方向で話すべきか、
先方の出方を何パターンか予測して事前に対策を取ることもできる。
必然的に打ち合わせ回数を減らすことができた。
各自の仕事量も確認できるので、何かお願い事をする場合も適切な量で行えるし、
定時退社という枠の中で、仕事量の適切化が自然と行われるようになった。
打合せ内容は全てそこに書き込んで共有化した。
日報のような正式な書式ではないメモ書きなので時間もかからないし、
打合せ内容はいずれにしてもメモるので、日報のように重複しない。
共有化できることで、私が口を出さなくても社員間で助言のやり取りができるようになり、
取引先も整理した。
取引額は年々増えているものの、このままでは利益幅の薄い取引先の為に、
そこで、これを機に取引を切らせて頂いた。
全売り上げの10%を占める大口だったが、このまま取引額が増えれば会社の実体は今以上に悪くなる。
何より、切られる側になった時、その売上も含めて増員していたら会社の存続が危うい。
であるならば、切ってもダメージが少ない時に方向転換をしようと考えた。
問題はその売り上げを新規取引先で埋めるか、既存取引先への手厚いフォローに回すかだが、
社員とも考えた末、5%の新規取引先開拓を目指すことになり、今2%まで来ている。
粗利益が増えたことと、既存取引先へのフォローが良い感じになったので、
社員からの意見やアイデアを吸い上げる項目もグループウエアに設けた。
内容は些細な業務改善案から、会社の方針に関わることまで様々だ。
私はそれを見てすぐ回答できるものは書き、
やりとりは原則共有化。
最近はてなやtogetterで紹介されたケースは、どれも時短だけで完結している。
それでは無理だ。
会社のビジネスモデルや文化、そういうものを構築し直す一環としてしか時短は存在しない。
『来週あたり一段落しそうだから有給取らないか』と言っている。
優しい訳じゃなく、そういう事実を作らないと、起こしたアクションの結果を実感できないからだ。
私は私で残業代は払わなくて良いし、社員が今までより良い状態で取引先と接している安心感がある。
大口の取引先を切ったので、利益額は減ったが持続性を手に入れた感じだ。
もちろん、良い事ばかりじゃないし、色々問題もあったし今もあるけど、
今回言いたいこととは脱線するので省かせて頂く。
プレイヤーでもあったのでマネージメント業務がどえらい増えて、
一人だけ残業が増えた。
まだまだだけど、これからも頑張るよ。