デスマーチとは? わかりやすく解説

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デス‐マーチ【death march】

読み方:ですまーち

死の行進

長時間残業徹夜業務休日出勤などを、連日強いられること。特にソフトウエア業界などで、膨大な作業終わりが見えない状態を「死の行進」にたとえていう。→ブラック企業


デスマーチ

【英】death march

デスマーチとは、一般的には戦場などにおける捕虜囚人過酷な状況の中での「死の行進」を意味するが、コンピュータソフトウェア関連用語としては、主に受託開発などにおけるソフトウェア開発過酷な労働環境極端にプロジェクト進行疲弊した状態などのことである。


デスマーチ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/15 02:05 UTC 版)

デスマーチ (death march) とは、プロジェクトにおいて過酷な労働状況をいう。本来は、コンピュータプログラマアンドリュー・ケーニッヒ英語版によって1995年に示された、コンピュータシステムアンチパターンのうち、プロジェクトマネジメント上の問題点の1つとして示した言葉である。日本語では、しばしば「デスマ」と略される。

ソフトウェア産業に限らず、コンピュータが関係する一般的なプロジェクト全般で使われるようになってきており、特に納期などが破綻寸前で、関係者の負荷が膨大になったプロジェクトの状況を表現するのに使われる。また本来の英語の意味である「死の行進[1]死の行軍」とも呼ばれる。

概要

デスマーチとは、長時間の残業徹夜休日出勤の常態化といった[1]、プロジェクトメンバーに極端な負荷・過重労働を強い、通常の勤務状態では成功する可能性がとても低いプロジェクト、およびこれに参加させられている状況を指す。囚人・捕虜の行進を指す死の行進にたとえた言葉[1]

プロジェクトがに向かう過酷な状況でプロジェクト要員が行進するという意味から、「デスマーチ」と呼ばれる。プロジェクト要員は、心身ともに極めて重い負担を強いられるため、急激な体調不良、離職、開発の破棄ともとれる中途半端な状態での強引な納品、場合によっては過労死過労自殺に至る。その発生要因は、プロジェクトに対するマネジメント(プロジェクトマネジメント)が不適切であることとされている。

「デスマーチ」という言葉を広めたのは、エドワード・ヨードンであると言われている。ヨードンは、その著書『デスマーチ:なぜソフトウエア・プロジェクトは混乱するのか』で、デスマーチの定義を「プロジェクトのパラメータが正常値を50 %以上超過したもの」[2]もしくは「公正かつ客観的にプロジェクトのリスク分析(技術的要因の分析、人員の解析、法的分析、政治的要因の分析を含む)をした場合、失敗する確率が50 %を超えるもの」[3]としており、具体的には以下のいずれかに該当するものと定めている。

  1. 与えられた期間が、常識的な期間の半分以下である
  2. エンジニアが通常必要な人数の半分以下である
  3. 予算やその他のリソースが必要分に対して半分である
  4. 機能や性能などの要求が倍以上である

また、ヨードンは『デスマーチ第2版』において、デスマーチを「成功する可能性」と「プロジェクトメンバーの満足度」の高低を軸として、4種類に分類している[4]

自滅型 (suicide)
満足度も、成功する可能性も低い。
プロジェクトマネージャーもプロジェクト要員も、プロジェクトの失敗を予感しているが、抜け出すことはできない状態。
カミカゼ型 (kamikaze)
満足度は高いが、成功する可能性は低い。
自滅型と異なり、プロジェクトマネージャーもプロジェクト要員も士気は高い。プロジェクトそのものは失敗しても、そこから何らかの教訓を得たり、メンバーは満足感を得る。
スパイ大作戦型 (mission impossible)
満足度も、成功する可能性も高い。
デスマーチの中でも成功する確率は高い。プロジェクト要員の「卓抜した技術と勤勉さ」[5]とプロジェクトチームの結束によって、プロジェクトは成功するかもしれない。ただし、テレビドラマや映画と違って、犠牲者は生じるかもしれない。
モーレツ型 ("ugly")
満足度は低いが、成功する可能性は高い。
軍隊式のスパルタ・プロジェクトであり、ヨードンは以下の特徴を挙げている。
  • プロジェクトマネージャーはプロジェクトを成功させるつもりである。
  • プロジェクトマネージャーはプロジェクトを成功させて利益を得ようとしており、企業内競争に勝ち抜くつもりである。
  • プロジェクトマネージャーはプロジェクトの成功のためならプロジェクト要員の健康や幸せが犠牲になることを厭わない[6]

ヨードンはデスマーチを回避する方法として、トリアージ(en)を強調している[7]

顧客の求めている全ての機能を盛り込むのではなく、優先順位を判断して必須機能のみを開発し、リリースする。その後、追加機能の開発やリリースを段階的に行う。これを顧客との合意するうえでの政治力がデスマーチの回避方法として重要であると、ヨードンは述べている。

出典

  1. ^ a b c デジタル大辞泉. “デスマーチ”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2023年4月15日閲覧。
  2. ^ ヨードン 2006, p. 2.
  3. ^ ヨードン 2006, p. 4.
  4. ^ ヨードン 2006, p. 55.
  5. ^ ヨードン 2006, p. 56.
  6. ^ ヨードン 2006, p. 57.
  7. ^ ヨードン 2006, p. 128.

参考文献

  • Death March: The Complete Software Developer's Guide to Surviving "Mission Impossible" Projects (英語). 1997. NCID BA63231533
  • エドワード・ヨードン 著、松原友夫・山浦恒央 訳『デスマーチ―なぜソフトウエア・プロジェクトは混乱するのか』シイエム・シイ、2001年。ISBN 4-901280-37-6 
  • エドワード・ヨードン 著、松原友夫、山浦恒央 訳『デスマーチ第2版 ソフトウエア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか』日経BP社、2006年。ISBN 4-8222-8271-6 

関連項目

外部リンク


デスマーチ (Death March)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/01 10:11 UTC 版)

アンチパターン」の記事における「デスマーチ (Death March)」の解説

プロジェクト大失敗に終わることを CEO 以外全員気づいているが、プロジェクトはデイ・ゼロ(ビッグバン)が来るまで無理やり存続させられる。あるいは、理解できない締め切りのため、従業員深夜休日まで勤務するよう強要される

※この「デスマーチ (Death March)」の解説は、「アンチパターン」の解説の一部です。
「デスマーチ (Death March)」を含む「アンチパターン」の記事については、「アンチパターン」の概要を参照ください。

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デスマーチ

出典:『Wiktionary』 (2021/07/08 10:29 UTC 版)

名詞

デスマーチ

  1. 健康生命顧みない行軍
  2. 捕虜収容者先住民などの、健康生命などを蔑にされた移動移住死の行進
  3. 情報システム開発において、破綻に近いプロジェクト状況起因する厳しい状況下にある労働環境

語源

英語: death march より。



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