読んでみたが、売れているのがよくわかる。終盤はあまりよくなかったが、途中までは推理小説みたいで、吸い込まれるように一気に読めた。高度経済成長期は現在の1.5倍の労働時間だった。働き方改革で、現在は休みが多くなっているが、それでも読書をしてない。ザックリ要約してしまうと、かつて読書は教養であり、労働とは別腹であった。もしくは立身出世という理想のために教養は役立つという信念があった。それがだんだん労働(仕事)のための読書ということになってくる。だからこそ、読書が捗らない。読書とは(すべてが役に立つのではなく)ノイズも含めた情報の摂取であるべきだと著者は言う。そのノイズが仕事のためには不要な情報だから読書をしない。仕事がすべてだから、仕事と無関係の読書には気が向かないということらしい。「13才からのハローワーク」という本が槍玉に上げられるが、自己実現のための労働という考えが危険だと著者は指摘する。「新自由主義改革のもとではじまった教育で、私たちは教養ではなく労働によって、その自己実現を図るべきだという思想を与えられるようになってしまった」という。高度経済成長期に比べて休日が増えたとして、その休日に何をやっているのか、スマホのせいで読書時間が減っているという身も蓋もない指摘ももちろん書かれている。実際そういうことだろう。ともかく、全身全霊で仕事をして自己実現するのではなく、余暇を大事にして読書でもして文化的な生活をしようというのが結論らしい。最後まで読んでしまうと消化不良だが、これは仕方ない。前半の問題提起は面白い。後半の解決策のくだりがつまらないのは仕方ない。後半部は自己啓発的なまとめなので、自己啓発本が好きな人は感動するかもしれないが、わたしには蛇足に思えた。前半部で推理小説のように書いているので、そこで打ち切るわけにもいかず、後半で答えを書かないといけないのだろう。もしかすると、役に立つノウハウを短絡的に求めている人にとっては、前半がまどろっこしく、後半でさらにガッカリという可能性もある。なんにせよ、この本にすべての答えがあるわけではないので、話のきっかけとしてはいいだろう。







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