いっぱいいっぱい
こんばんは、お久しぶりです。生きてます。
このごろの更新状態を見てもらえればわかりますが、最近ちょいちょいやることがありまして読書の時間が取れてません……。なんということでしょう。先週のMFぐらいから読みたい本はちゃんと買っているのに読めているのは2割くらい。さっきやっと生徒会読み終わったばっかりだし。どうにか、どうにか読書ペースを取り戻していけるように頑張ります。
さて色々と話題を喫したこのラノ文庫の話です。一応一通り読み終わりまして簡単な総括など。
キワモノ、イロモノ、となかなかクセぞろいの受賞作の数々でしたね。これは尖りすぎだろうって思ったのもいくつかあったけれども、いい意味で個性的な作品が多かったします。どの作品にもちゃんとしたテーマがあって、それに忠実だったところが好印象でした。あとは値段も安いし良心的。
あえて順位をつけるならば、
僕監>>>>伝説兄妹>>>ランジーン>ファンダ>>>>>>暴走少女
ですかね。ちょっと暴走少女だけはどうしても合いませんでした。文句しか言わない気がするので感想は書きませんでした。ゴメンなさい。
なんか受賞作全部に続編があるらしいので期待、はしておこうかな。僕監とかは普通に気になるし。
今期のアニメも色々観てます。ていうかかなり多くて困ってます。どれも一定以上のおもしろさがあって切るに切れないし。いまのところ今期で一番好きなのはおとめ妖怪ざくろです。キャラかわいいし、中でもイケメンでもヘタレなあげまきさんが一番かわいいです。話も好みだし月曜のお楽しみです。
でもまあざくろが良すぎてあとはどっこいどっこいって感じですかね。どれも楽しんで観てるけどね。あえて言うなら次点はなんだろう……アマガミ、かな? なにげに海月姫とか百花繚乱とかもお気に入りになってきてるかもしれません。イカ娘はイカ娘だけかわいいでゲソ。ヨスガノソラもかなり話題だけどいまんとこそこまでおもしろさがわかりません。まあとにかくなんでもいいからざくろ観ましょう。
【2010年9月度三ツ星ラノベ】
ベン・トー 6 和栗おこわ弁当310円 (集英社スーパーダッシュ文庫) アサウラ 柴乃 櫂人 集英社 2010-08-25 by G-Tools |
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魅惑のロリこと槍水先輩の妹登場。白粉大先生のマジキチ具合も注目!
バカとテストと召喚獣8 (ファミ通文庫) 井上 堅二 葉賀 ユイ エンターブレイン 2010-08-30 by G-Tools |
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アキちゃんを狙うクリーチャー登場。これはまた強烈なやつがきたでェ……。
空色パンデミック3 (ファミ通文庫) 本田 誠 (イラスト)庭 エンターブレイン 2010-08-30 by G-Tools |
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絶対に先にあとがきを読んではいけない一冊。言葉で言い表せない出せない展開にも注目。
“文学少女”見習いの、卒業。 (ファミ通文庫) 野村 美月 竹岡 美穂 エンターブレイン 2010-08-30 by G-Tools |
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「大好き」こそ、この物語に一番相応しい別れの言葉であることを思い知らされた番外編完結巻。
電波女と青春男〈6〉 (電撃文庫) 入間 人間 ブリキ アスキーメディアワークス 2010-09-10 売り上げランキング : 2556 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
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「引力」に導かれた最高のステージで、エリオは新たな一歩を踏み出していく。
月光 (電撃文庫) 間宮 夏生 白味噌 アスキーメディアワークス 2010-09-10 by G-Tools |
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ワインとオレンジジュース。果たしてあなたはどっち派? 答えは読んでのお楽しみ。
境界線上のホライゾン3〈下〉―GENESISシリーズ (電撃文庫) 川上 稔 さとやす (TENKY) アスキーメディアワークス 2010-09-10 by G-Tools |
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圧倒的なまでの敗戦。降伏を余儀なくされた武蔵。それでも彼らの意志は揺るがない。
東京レイヴンズ2 RAVEN゛s NEST (富士見ファンタジア文庫) あざの 耕平 すみ兵 富士見書房 2010-09-18 by G-Tools |
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掛け値なしにおもしろい現代陰陽ファンタジー、学園編スタート!
僕たちは監視されている (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫) 里田 和登 国道12号 宝島社 2010-09-10 by G-Tools |
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テーマ、設定、キャラ造形、すべてにおいてこだわりを感じたこのラノ文庫金賞。
【二ツ星】
なれる!SE―2週間でわかる?SE入門 (電撃文庫) 夏海 公司 Ixy アスキーメディアワークス 2010-06-10 by G-Tools |
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はやりのビジネス系ラノベ。これがブラック企業か……と思わされると身が削れるお話。
神明解ろーどぐらす 2 (MF文庫J) 比嘉智康 すばち メディアファクトリー 2010-06-23 by G-Tools |
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ラブコメ要素もグッと上がった下校ライフラノベ。雰囲気がとっても好きです。
ラ・のべつまくなし2 (ガガガ文庫) 壱月 龍一 裕龍 ながれ 小学館 2010-02-18 by G-Tools |
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とにかくブンガクと明日葉のカップルぶりにニヤニヤできる。双子のイラストレーターも登場。
サクラダリセット3 MEMORY in CHILDREN (角川スニーカー文庫) 河野 裕 椎名 優 角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-08-31 by G-Tools |
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ケイと美空の過去編。この過去あっていまの美空がいると思うと救われた気分になる。
小さな魔女と空飛ぶ狐 (電撃文庫) 南井 大介 大槍 葦人 アスキーメディアワークス 2010-09-10 by G-Tools |
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アンナリーサとアジャンクール、二人の天才科学者を比較しながら読むともっと楽しめるかも。
アカイロ/ロマンス 2 ―少女の恋、少女の病 (2) (電撃文庫 ふ 7-17) 藤原 祐 椋本 夏夜 アスキーメディアワークス 2008-12-05 by G-Tools |
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そんなのありかよつうれん。
Re(アールイー):2 バカは世界を救えるか? (富士見ファンタジア文庫) 柳実 冬貴 一葉 モカ 富士見書房 2010-09-18 by G-Tools |
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どんなにアホでも、イタくても、守りたいものに一心になれる佐藤ライトはかっこいい主人公。
ココロコネクト カコランダム (ファミ通文庫) 庵田 定夏 白身魚 エンターブレイン 2010-09-30 by G-Tools |
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人を好きになる、ということを一番分かっているんじゃないかと思う青木が男を見せます!
三ツ星9作、二ツ星8作とかなり充実した月だった。こういうのも珍しいですね。
以下は9月の読書メーター。
蒼穹のカルマ6 [★★]
蒼穹のカルマ6 (富士見ファンタジア文庫)
臨時のニュースです。本日、蒼穹園中央都にて、鷹崎駆真さん(17)が遺体で発見されました。詳しい死因は調査中とのことですが、現場には大量の血が確認されていることから、出血多量によるものと推測されています。
なんwwwwwwwwwなのwwwwwwwwwwもうwwwwwwwwwwww
これはひどい。本当にひどい(最上級の褒め言葉)。
前回の感想で「もうこれ以上のインパクトを出すのは難しい」的なこと書きましたけど、たった4ヶ月で撤回させられるとは夢にも思いませんでした。さすがにこれは予想の斜め上すぎて私も想定の範囲外です。まあふつう遺影ネタなんて予想できるわけはありませんが、これはもういろんな意味で発想の勝利としか言えませんね。表紙だけじゃなくて帯もあらすじももうなんなのって感じですけど、何一つ嘘言ってませんからねこれ。ホントにカルマさんイッちゃいますしね。
こんなにアホやってるにもかかわらず、お話はいたってマジメなのがなんかもう完成させられている体系みたいだよね。おふざけばっかりやっているようでちゃんと話は進んでるし、伏線も回収してるし抜け目ないところは抜け目ない。しかも一定以上のエンターテイメントを提供し続けている。うーん、やはりこの作者の技量は計り知れないな。
マジメとはちょっと違うと思うけど、作中のキャラはアホでも物事に一生懸命であります。未来からやってきた在紗なんかは、愛するカルマさんを助けるためにあの手この手を尽くしますしね。でもいまの在紗が未来の自分にぷち嫉妬みたいなことしてるのはかわいかったな。
あと鳶一がこんなにコアなオタクだとは思わなかった。こいつついったーでニチアサ実況するタイプだろ。さすがにステッキ買うのは引き気味だったけど、なかなか共感できることが多かったですね。鏡の前でポーズ取っちゃう鳶一かわいいよ鳶一。
まあ今回一番笑ったのは「a/ha(在紗ハァハァ毎時)」であることは言うまでもない。
さあ、ラスボスにも匹敵しそうなキャラも整ったところでそろそろ物語も佳境に入るんだろうか。
ってここでまた強烈な引きですよ。今度は一体どうするんだ。もう予想するだけ無駄な気がしてきた。
とにかく表紙やあらすじ込みで、次回も盛大なアホさに期待。
←『蒼穹のカルマ5』の感想へ
ハロー、ジーニアス [★★★]
ハロー、ジーニアス (電撃文庫 ゆ 3-1) 優木 カズヒロ ナイロン アスキー・メディアワークス 2010-10 売り上げランキング : 19446 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「キミを我が第二科学部にスカウトしたい」
陸上の特待生として入学したものの脚を故障した竹原高行に唐突な勧誘の声がかかる。勧誘主の海竜王寺八葉は常識外れの優れた頭脳をもつ“ジーニアス”だったが、無謀な色仕掛けをしたり、実験に没頭するあまり風呂にも入らない、行動も常識外れの女子だった。
仮入部した第二科学部で彼女に振り回される高行。彼を勧誘した海竜王寺の真意は、そして二人の関係の行方は!?
素晴らしい。
もう一度言おう。これは素晴らしい青春小説だ。好みにどストライクだった。
そりゃあ開始5ページで「あ、これ好きそう」って確信した時点でもう十分でしたね。とにかく近未来っぽい世界観と学園の雰囲気が抜群にいい。なんだろうか、こういう「空気」を書けるのって作品としてすごい武器になると思う。文字通り魅了されてしまった。そんな世界観で出会った二人がまたいい。
脚を故障し、いままで打ち込んできた陸上を諦めざるを得なくなった特待生・高行。そんな「失職」した彼をスカウトしにやってくる常識はずれの天才・海竜王寺八葉。この二人がひとつの目的に向かって共に協力しながら過程をこなしていく展開がいい。境遇は違えど、先のわからない未来に不安を抱く二人はどこか似ていて、無意識に通じ合っているんじゃないかと思いました。そんな二人がつかみとったものはとってもキレイなもので。
そんなこの二人だからこそ、ならではの、青春物語をとくと見せられた。今までの自分にけじめを付けるために、陸上部のライバルと最後の勝負に臨む展開も熱かったし。
それに加えて八葉のかわいさときたら。天才であることに誇りも持っているけれど、世間知らずでどこか抜けている一面もあってそのギャップがたまらなくかわいいです。ああいう大人っぽい言葉遣いしてるにもかかわらず、ムキになるときは特に。なにはともあれ巨乳の天然さんは正義ですなあ!
この二人の終着点は恋人ではないのだけれど、でも恋人とはまた違う特別な枠で括られるんだと思う。信頼関係、が一番近いかなー。隣にいて調子が出るって感じの。
もう全てにおいて私好みだったんで文句の一つもありません。カタルシスもちゃんとあるし、余韻も十分。久々に心から楽しんだ作品に巡りあえて幸せでした。未読の方は是非一読アレ! 私はこの作者さんを応援します。
ロウきゅーぶ!6 [★]
ロウきゅーぶ! 6 (電撃文庫 あ 28-6) 蒼山 サグ てぃんくる アスキー・メディアワークス 2010-10 売り上げランキング : 723 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
残暑も厳しい8月も下旬にさしかかり、夏休み最後の想い出を作りたくて智花が勇気を振り絞って誘った花火大会。女バスのみんなも浴衣に着飾って、終始にこにこ顔で屋台を楽しんでいたのだが……
「ぱんつなら平気だよ。ゆかただもん」
「少しくらいはトモにデート気分も…」
「ぎゃ~すばるんパンツ覗くな~~!」
「かっ、かっこう良かったです、はぅ」
「は、恥ずかしい子で、ごめんなさい」
とあることをきっかけに、波乱づくめの夏祭りへと変貌していき、そして──!?
話題のエピソードも収録した短編集登場!
表紙が智花ってことはまた一巡するパターンなんだろうか。
いやまあそこは葵とか新キャラとか竹中くんとかもまだ可能性捨てきれないわけですよ。これが短編集ってこともあるしさ。
この短編集は主に智花と愛梨にスポットがあてられています。
それにしてもサービスシーンのも利用がすさまじいです。ヨーグルトとか裸ゼッケンとかノーパン浴衣とかあざといな……うんまあその手の人たちにはいいんじゃないですかね。しかし挿絵的な意味でそろそろ電車で読むのが辛いのが困る。
そして昴と智花の仲が何気に親公認になってるあたり、いよいよ昴が本気を出さなければいけない状況になってまいりました。智花が告白してくるのももう少しって感じになってるし、というか実際すごいもう付き合ってんの? って感じだし。昴の選択に注目。
でもってバスケ分が本当に足りません。そろそろこうラブコメをだらだらやられると限界です。マジ限界です。
ライトノベルでバスケが見れるのこの作品ぐらいなんで、お願いします。この作品はちゃんとスポ根を書けることを知っているからその分期待も大きいのです。
←『ロウきゅーぶ!5』の感想へ
神明解ろーどぐらす3 [★★]
神明解ろーどぐらす 3 (MF文庫J) 比嘉智康 すばち メディアファクトリー 2010-09-18 売り上げランキング : 42354 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
一学期最後の日。池田十勝は、丹下まりもに些細な嘘をついた。「ねえ、土曜とか日曜とか、昨日の月曜とかにキララと会ったりした? 電話したりとかした?」会ったり、電話したりしていないと答えたのだが、それは嘘だった。そんな嘘をつかなくてはいけなくなった日の前日までは千歳キララ、富良野咲との四人でただただ楽しく下校していた。夏休みまであと二日――。はやくも雲行きの怪しくなってきたパラダイス下校伝説、異変!
ん、えっ? えええ? ええええええええええええええええええ!?
なに、なんなのこの修羅場展開。すいません正直予想外すぎてびっくりです。たったひとつの小さな悪意から、ここまでの展開に持っていくとは毛ほども思っていなかったのでその反動もでかい。
丹下ちゃんの言い分もわからなくもない。女の子だからそう取ってしまうこともあるでしょう。でもこれのニクいところは千歳が自覚してないことなんだよな。千歳だって一方的な被害者だ。まさかこんな形ですれ違ってしまうとは思いませんでした。十勝早く気づいてあげてくれ。
夏休みを活かしてこっからはラブコメ全開になりそうだなー。どんな青春ドラマが繰り広げられるのか楽しみです。
まあ終盤のインパクトがでかすぎてアレだったのですが、中身はいつもの4人の下校ライフ。
十勝は下校バカで、千歳はネガティブで、丹下ちゃんはナルシストで、さきっぽは食いしん坊。いつもどおりの風景と雰囲気。カラーの口絵もすっごく感じが出ていて好きですねー。
次回が待ち遠しくてたまりませんな。
←『神明解ろーどぐらす2』の感想へ
とある魔術の禁書目録22 [★★★]
とある魔術の禁書目録(インデックス)〈22〉 (電撃文庫) 鎌池 和馬 灰村 キヨタカ アスキーメディアワークス 2010-10 売り上げランキング : 12 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ローマ正教の暗部『神の右席』最後の一人、右方のフィアンマ。彼の企てる 『計画』 が、ついに発動する。
第三次世界大戦下のロシア上空に浮遊した巨大要塞 『ベツレヘムの星』。
十字教信者だけでなく、全世界の人間を 「救う」 と言われるそれは、しかし人類史上でも未曾有の大災害が発生することを意味していた。フィアンマが 『浄化』 と呼ぶその謀略が蠢く中、三人の少年は自らの想いを胸に戦い続ける。
浜面仕上は、滝壺理后(たきつぼりこう)の治療を終え、クレムリン・レポートを未然に防ごうと動いた直後、宿敵・麦野沈利と相まみえた。
一方通行(アクセラレータ)は、大天使ミーシャをかろうじて退け、ついに打ち止め(ラストオーダー)を救う『とある解法』に行き当たる。しかしそれはまさに禁断の一手だった。
そして上条当麻は、『ベツレヘムの星』 計画を食い止めるため、インデックスを解き放つため、単身フィアンマに挑む……!
ついに決着のロシア編。世界の各勢力を一堂に会した激戦は、「ベツレへムの星」の陥落により学園都市が覇権を握り、情勢的にも有利になると思われる。科学の時代到来か。
そして上条当麻、一方通行、浜面仕上の三名の主人公の戦いも終わりを告げる。
一人の人間として、自分が大切な誰かにしてやれることの切なさ。この身を犠牲に払ってでも守りたい意志の強さ。
そんなものがこのロシア編により、三人の主人公を経て伝わってきたと思う。
にしても麦野がここで陥落というか、まさか再び彼女と「アイテム」として手と手を取り合うとは思わなかった。もう最終的には学園都市の兵器として果てていく未来しか見えなかったのだけれど、浜面の言葉がこうも素直に麦野へ届くとは……。アレだけのことをしてきたのに、浜面も滝壺もよく許したもんだな……。しかし味方に回ればすげえ心強いキャラ。
打ち止めを救うことに成功した一方通行はもう悪党でもないし良心を持ったただの人間かもしれないけれど、守ることの大切さを実感した彼はこれからももっと強くなると思います。黒き翼を白き翼に変え、自らの闇に打ち勝ったのだから。
そしてフィアンマを撃破し、「ベツレヘムの星」を陥落させた上条当麻は極寒の北海に消える。
はるばる駆けつけた美琴の救いの手を振り払い、目覚めたインデックスは虚空に当麻を呼ぶ。行方のわからない彼は結果的に二度目の死を迎えた。
まさか上条さんがここで死ぬとは思わないけど、あそこで美琴の手を振り払ったのが意外というか、これは彼女にしてみれば助けられなかったことはもちろんそれを拒まれたのもショックだったんだろうなー。上条さんもまあ自己犠牲の塊みたいなやつであるから、多を助けるために自分の身は厭わないんでしょう。その多に友達や仲間がいれば尚更のこと。
フィアンマもこのままでは終わらないみたいだし、戦争が集結した今後の情勢なんかも気になりますね。あとは上条さんの安否も。
どのエピソードをとってみても熱かったです。久々に文面で上条さんの説教を拝んだ気がします。
←『とある魔術の禁書目録21』の感想へ
アクセル・ワールド6 -浄火の神子- [★★★]
アクセル・ワールド 6 (電撃文庫 か 16-11) 川原 礫 HIMA アスキー・メディアワークス 2010-10 売り上げランキング : 39 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
黒雪姫率いる軍団《ネガ・ネビュラス》。その躍進を担っていた銀翼が、もげようとしていた。謎の組織《加速研究会》とのバトル中、ハルユキは突如復活した《災禍の鎧(クロム・ディザスター)》の浸食を受ける。彼は未だ、その呪縛からは逃れられなかった。
事態を重く見た《純色の七王》は、《加速世界》の最高意志決定機関である《七王会議》を開く。そこでシルバー・クロウに下された決定とは、《浄化》と呼ばれる強化外装の完全解除を行うこと。従わなければ、残りの六王から賞金首に指定され、事実上《加速世界》から追放となる。
最も高度な解呪コマンドである《浄化》。その鍵を握るアバターは、《無制限フィールド》の意外な場所に幽閉されており……。
《加速世界》では、致命的な危機を抱えたハルユキ。なのだが、《現実世界》では飼育委員活動中に知り合った小学四年生の少女と、なぜか心の交流が深まってしまって──。
次々と新展開が広がる一冊。しかも次回に引っ張られた。でもおもしろい。ああ、おもしろい。王道はこれだからやめられん。
いまだハルユキの中に潜み続ける災禍の鎧<クロム・ディザスター>――これの今後の対応についての会議が各レギオンを率いる七人の王を以て執り行なわれた。一週間以内にこの災禍の鎧を解除できなければ、ハルユキは加速世界での指名手配犯としてポイント全損の恐れを課せられ、また黒のレギオンにも同等の負荷がかかってしまうことになってしまう。
その鎧の浄化について現れたのが、今回の新キャラである<アーダー・メイデン>こと四埜宮謡。まあたロリキャラか! というかこの作品は全体的に年齢層が低くなってしまうので自然とそうなってしまうのだけれども! まあ黒雪姫やニコみたいに無制限フィールドのおかげで精神だけは大人に近いケースもあるし、謡もその例に漏れず。そして彼女のアバターである<アーダー・メイデン>の本体は四神のエネミーが根城とする、その難易度と危険性からまだだれも到達出来ていない「皇居」にあるという。今回のお話は、その謡のアバターを取り戻すのがメイン。
なのだけれど、中盤あたりでは「ISキット」という不穏なオプションが出まわる話も出てきます。
だれでもお手軽に心意システムに近い力を引き出せてしまうという、低レベルのリンカーなら喉から手が出るほどほしいアイテムに違いありません。しかしそこには必ず何者かの悪意が潜んでいます。心意システムの秘匿性を考えて、本来は許されない力ですしね。
こっちの方のお話は次回に回りそう。でもかなり厄介になるだろうなあ。
そして黒のレギオン<ネガ・ネビュラス>の旧メンバーの輪郭が見えてきて、いよいよ物語にも深みが。
<スカイ・レイカー>にしても<アーダー・メイデン>にしても結局は仲間を思うがためのすれ違いだったんだよなあ。心が痛くなるようなお話でしたけど、その分それだけ仲間を信じ合っていたレギオンだと思うと胸が熱くなる。ハルユキ、タクム、チユリがこのレギオンを背負い、支えるようになるのも、近い未来にあり得ることなんだろうなあ。
とにかく熱いの一冊でしたね。とても満足ですが、ここで止めるのはすごいお預け喰らった感!!
←『アクセル・ワールド5 -星影の浮き橋-』の感想へ
ニーナとうさぎと魔法の戦車 [★★]
ニーナとうさぎと魔法の戦車 (スーパーダッシュ文庫) 兎月 竜之介 BUNBUN 集英社 2010-09-25 売り上げランキング : 34400 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
戦災によって放浪の身となった少女・ニーナ。
ある日、彼女は結婚式会場から食事をくすねようとしているところを見つかってしまう。警察に突き出されることを覚悟したニーナだったが、魔動戦車とともに現れた少女たちによって赦される。彼女たちこそ、戦争が生んだ災厄・野良戦車から街を守る私立戦車隊…通称・首なしラビッツのメンバーだった。そこに野良戦車の襲撃を知らせるサイレンが鳴る。
かつて戦車に乗っていたニーナ。そして砲手がいないラビッツ。ラビッツの戦車長・ドロシーはメンバーたちに向かって言い放った。
「たった今、新しい砲手が見つかった!」
第9回SD小説新人賞大賞受賞作、堂々登場!!
大変よくまとまっている完成度もさながら、少女の成長が見て取れて読んでて気持ちのいい一冊でした。
戦災によって親からは身を売られ、生きるためならば平気で盗みを働くような孤児であるニーナ。
自分の境遇を呪い、そこに至るまでに追いやったすべてを憎み、十二歳にして世界を諦観するような荒んだ想いだった彼女は、ひょんなことから首なしラビッツのメンバーと出会います。こんな自分がどうして受け入れられようか? と最初こそ利用されているんじゃないかと大人を疑うような目線で、彼女はラビッツのメンバーとはある程度距離を置いていました。しかし野良戦車を鎮めるにあたって、多少の経験と魔力があるというだけで突如ラビッツの砲手に指名されるや、活躍を見せるニーナ。それがきっかけとなって徐々に打ち解けていきます。
でもってかの戦災の原因となった戦犯であり、悪役が出てくるのですが、ちょっとこのキャラの小物臭が残念でしたね。
戦犯まで言うんだからきっと容赦も血も涙もないやつなんだろうなーと思っていたら、この人たかが12歳の女の子の恫喝で謝っちゃうってどういうことですか。人生経験だけならず戦争のいろはとかもニーナより十分熟知しているはずなのに、なんか最後は拍子抜けするくらいニーナの言うことで素直になっちゃってるし。うーん、ここだけが残念ですホント。
しかし全体を見るとおもしろかったと言わざるをえませんので、読んで損はないと強く言っておきます。
物語の余韻も悪くないし、幼いながらもひとつの決断を下したニーナの勇気と成長に、心打たれてしまいました。おすすめです。
百億の魔女語り1 オトコが魔女になれるわけないでしょ。 [★★]
百億の魔女語り1 オトコが魔女になれるわけないでしょ。 (ファミ通文庫) 竹岡 葉月 中山 みゆき エンターブレイン 2010-09-30 売り上げランキング : 5365 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
全国制覇2回、MVP獲得。クローブでは敵なしの実績を誇るアルト・グスタフ。しかし彼にはどうしても欲しい最後の勲章がある――それは、カイゼル魔術学院の卒業証書。「甲種魔術じゃ競争率高くて即死。俺には乙種魔術の中でもどマイナーな魔女術しかない!」親友ナナイの呆れ顔を尻目に大戦の英雄・大魔女リリカの元で卒業実地研修を受けることになったアルトだが、待っていたのは3人の美少女と……!? ちょっぴりウィッチなファンタジーラブコメ!
タイトルと表紙に釣られたあとで著者が竹岡葉月と知ってこの安定感。さすがでございます。
いやホントキャラがみんなかわいいなあ。魔女術の三姉妹はもちろんだけど主人公のアルトもかわいいし。そのかわいさに拍車を掛けるような中山みゆきさんの絵がマッチしすぎてる。
エーマはなんか久々に正統派なツンデレって感じだったけど、あんなに乙女乙女してるキャラだとは思わなくてもっと好感的になった。マジかわいいなあ。つーか表紙なんだけど帯とると微妙に縞が見えるんだよね。みんなやたら縞パン好きだよね。
卒業単位のためにわけあって魔女術を修めることとなった主人公・アルトは、女装してまでという徹底ぶりを見せながら魔女術の本拠地であるリリカの城を訪れるのだが、肝心の魔女様はお猿さんになっていて――的な流れで進行するのだけども、アルトの熱くて素直なところは主人公としてはグッドです。やはりスポーツマンですね。しかしいままでの行動が一直線過ぎたがゆえに、唯一の肉親となってしまった妹・アディリシアとは溝ができてしまったのですが。あ、ちなみに私はアルトのあの女装はありだと思います。ふつうに男だとバレバレだけど、なんかかわいげがあっていいじゃないですか。
魔法の設定は結構砕けててわかりやすかった。なんか現代で言う電気みたいな扱いになってる部分もあったし。ああ、一応言えばちゃんと魔法らしい魔法もありますよ。
そんでもって一番魅力だったのはやっぱりエーマですかね。
エーマ単体だけじゃなくてアルトとの関係性も。体育会系なノリに微妙に押されてるエーマがかわいかったり、女装のおかげで最初は印象最悪だったのに修行を経てちょっと仲良くなってくるところもこそばゆかった。
けれどそう簡単にフレンドリーとまでは行かずにあることで喧嘩してしまうのだけど、エーマがどれだけ研修生との繋がりを大事にしたかったのかがわかったところはめちゃくちゃかわいかったですね。アルトの言い分も正しいけど、これを言われたら強く言えないよな。魔女になるためとはいえ、根本的にはふつうの女の子となんら変わらないんだから。だからこのシーンでアルトとエーマがちゃんと分かりあえてすごく気持ちよかった。微笑ましい。
そんでもって終盤の解決を経て、これで終わりかと思ったら思わぬ仕掛けがあってびっくりした。「えええそうだったの」という感じで全然気づかなかった。これはヘタすれば次巻以降はいままでのアルトとエーマの立場を逆転させてしまうほどの展開なんじゃないだろうか。それはそれでおいしい! おいしいぞ! 想像するだけでニヤニヤする! ていうかエーマさんデレるの早いしわかりやすいな。そこがまたかわいい。
ファミ通文庫にまた楽しみなシリーズが生まれてしまいました。続刊も期待しちゃいます。
ランジーン×コード [★]
ランジーン×コード (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫) 大泉 貴 しばの番茶 宝島社 2010-09-10 売り上げランキング : 8575 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
コトモノ――遺言詞によって脳が変質し、通常の人間とは異なる形で世界を認識するようになった者たち。27年前にその存在が公になって以降、社会は人間とコトモノとの共存を模索し続けていた。そして現在――全国各地でコトモノたちが立て続けに襲われるという事件が発生。事件を追う武藤吾朗(ロゴ)は、犯人が6年前に別れた幼なじみ・真木成美であることを知る――。遺言詞の文字(ランジーン・コード)が綴る、ヒトとコトモノの幻想詩。
コトモノの設定とそいつらを絡めた世界観はかなり練られていると思うし興味もひとしおだった。
世界を認識させる言葉が、ここまで登場人物たちの物語を紡ぐエンタメ性も十分だと思いました。
だけど、正直言えば無味乾燥すぎる。肝心の「やばい、おもしろい……!」って空気がなぜか感じられなかったし、そういう気持ちが全然湧いてこない。なんだろう、伝わってくるなにかが欠如してる。完全に個人的な意見だけども。
おもろくないわけじゃないんだけど、ひどく盛り上がりに欠けるというか、淡々としすぎているというか。キャラも突出しているわけではなくみんな落ち着いている感じだし、もうちょいバカやってもいいんじゃないかなあと思いました。ゴロと成美と由沙美の関係性は好きなんだけどね。
この淡々さで疲弊してしまうのは、400ページ以上の長丁場で説明文が過多と感じたのもあったかもしれない。
まあそれは演出上、そして世界観を綿密に伝えるためには必至だったんでしょうけども、1巻で巻末に用語集(コトモノート)みたいなのが載るくらいするのはどうなんだろうか。
なんか勿体無いって感じの1冊だったなあ。もうちょっと砕けてもいい気がする。
伝説兄妹! [★★]
伝説兄妹! (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫) おかもと(仮) YAZA 宝島社 2010-09-10 売り上げランキング : 21515 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
才能はなく、お金もなく、だが働きたくない。ないない尽くしのダメ大学生・柏木は、食糧を求めて入り込んだ山の中で、奇妙な遺跡を発見する。遺跡の中で出会った少女が持つ、凄まじい詩の才能を目の当たりにした彼は、彼女をデシ子と名づけ、妹として自分の家に住まわせ始める。彼女の詩を自分のものとして売りさばくことで、一躍大金持ちとなる柏木だったが……!? 伝説的スケールで贈る、笑いと涙と感動の神話(in小樽)!
これはよかったなあ。
絆は確かにクズ野郎だけど、ちゃんと一本筋が通ってるからそこまで嫌いじゃない。
詩人を目指す徹底的にダメ男な主人公・絆は山奥の遺跡で少女と遭遇し連れ帰ってしまう。それは彼女の詩にいたく感動し、その才能を利用するためというかなり利己的で姑息な動機。デシ子の純真さに浸け込んで彼女の詩を自分の名義で売り捌いては大金を稼ぎ、徐々に躍進していく絆だが……。
というかなりのダメ野郎なんですけども、後半部分のデシ子が行方不明になってからは怒涛の展開でとてもおもしろかったです。いくら金があろうとも、自分を満たすことのできない何かができてしまった絆は、それを失ってから彼女の大切さに気づきます。自分の愚かさを、矮小さを受け入れて、この守銭奴が札束を足場に使ってデシ子を追いかけるところは象徴的でさえありました。もし本当に彼がデシ子のことを金のなる木としか考えてなかったらとっくに投げてます。
なんというかこの勢いにすごくエネルギッシュなものを感じました。
読んでて活力が出てくるというか、自分もがんばろうって気になれるとおもう。そういうなにかを追い求めることによって結果になったキレイな感情がこの本を読んで如実に伝わってきました。
そんなわけでおもしろかったです。続編出るなら読みたい。