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今の自分を越えたいならば今以上に努力を重ねるしかない。諦めも継続も最後に決めるのは、やはり自分自身である。「忘却バッテリー」

私が好きなスポーツはサッカー。小学4年から6年までは少年野球団で野球をやってましたが手を使う球技がいまいち自分にはフィットせず野球はそこで終了。中学・高校では足クセの悪さが功を奏して?サッカーをやっていました。観る方もどちらかと言うと野球よりはサッカーを観ます。だけど、なぜか漫画やアニメにおいては圧倒的に野球をテーマとした作品に惹かれてしまいます。

「巨人の星」「ドカベン」「タッチ」「MAJOR(メジャー)」あたりが私が通過してきた野球アニメです。どの作品も基本的には野球+努力+友情あたりが主なテーマとして取り上げられています。ただし、「タッチ」だと家族・恋などのテーマもさらに加わりますし、「MAJOR(メジャー)」だと家族・逆境などがテーマに盛り込まれています。野球だけじゃない、プラス・アルファの要素がそれなりにどの作品にも入っていて、とてもドラマチックに観ることができた作品だったという印象です。

これらの作品は野球と一緒に扱うテーマの多少の違いがありますが、どれも魅力ある素晴らしい作品であることに間違いはありません。その中で「タッチ」が個人的には一番共感できた作品です。私の青春期にやっていた作品であることが一番の理由になるかと思いますが。南ちゃんという可愛いらしいヒロインが登場し、野球とは別に双子の主人公たちとの男の子との恋の行方も気になるエピソードがあったりして自分の中では大いに盛り上がりましたね。

そして「タッチ」に関してはコメディとシリアスのバランスの良さがとても魅力的に映りました。南ちゃんを好きな主人公が彼女が望む甲子園出場を果たすという大きな目標があり、それに向かって努力する主人公の姿が積み重なって物語は進んで行きますが、さらに全国の頂点を極めるというサプライズ的な展開も用意されていて、その最高潮の記憶が私の脳裏に深く刻まれる事となり、生涯その記憶は私の中から消える事はないかと思います。

良い作品・愛される作品はベースとなるテーマに向かって複数のテーマも巧みに関連付けられていて、より厚みのあるお話になるよう構成付けされているんじゃないでしょうか。主人公のバックボーンが徐々に浮かび上がり、人間臭さのあるスト-リー展開で進んで行くような作品こそが多くの読者・視聴者に共感・支持されるのでしょう。
それは決して野球漫画や野球アニメに限ったことではなく、他のスポーツ作品でも同様なことが言えるのではないでしょうか。

最近観たスポーツアニメで一番面白かったのは「忘却バッテリー」という野球がテーマの作品です。

忘却バッテリー1

中学野球界で屈指の天才バッテリー(ピッチャーとキャッチャーのこと)と謳われた二人が、何故か野球では無名の高校に入学。二人のバッテリーの卓越したすごさを知る同級生に誘われ再び野球をやることになるわけですが・・・。

チーム全体を束ねる野球の頭脳と呼ばれるポジションのキャッチャーとして、まわりからは”智将”と呼ばれる存在だった主人公が記憶喪失となっていて、その存在を微塵も感じさせないくらいにとてつもないおバカなふるまいをする人物に変わってしまっています。片やのピッチャーであるもう一人の主人公は、バッターボックスに立つ対戦相手をことごとく自信喪失に追いやってしまうほどの豪速球で相手を粉砕します。

この二人のバッテリーと対戦して自信喪失に追い込まれ野球を引退してしまった野球部員は数知れず。そんな元野球少年二人が主人公たちと同じ高校に入学していて、ひょんなことからこのバッテリ-二人との運命的な再会を果たすのでした。一度は諦めた野球ですが、二人の存在が彼らを刺激して再び野球の世界に戻されるわけですが・・・。このバッテリーの求心力で周りには野球経験者も次第に集まり徐々にチームはまとまり強くなっていく、といったストーリーです。

全13話のお話ですが、この1期だけでは物語は完結しません。はじめから2期続投が前提の作品なんだと思います。なぜ記憶喪失になったのかは1期の中では明らかにされていませんが、やはりそのあたりは気になるので2期を心待ちにしたくなるわけです。
記憶喪失なるという事は事故、あるいは過度の様々なストレスから逃れたいなどの理由とかがあるのかもしれません。今までの野球漫画・アニメと一味違ったテイストを感じるこの作品、いずれ明らかになる理由という伏線が備わったあらたな野球漫画・アニメが新境地を切り開きます。

忘却バッテリー3

”清峰 葉琉火(はるか)”と”要 圭”は最強のバッテリーである。最強がゆえにすべての球児たちの夢を打ち砕く。絶対に忘れることのできない悪夢のようなバッテリーだ。試合終了後に要圭は言う。「相手のことは気にするな。」「でも・・・」「大丈夫だ。負けた相手のことをいちいち考えるな。お前には未来があるんだから全部忘れろ。」「うん。」

剛腕ピッチャーの葉琉火とチームの司令塔で強肩キャッチャーの圭、二人は宝谷シニアのバッテリーで中学野球界においては無敵の存在である。ここは病院の一室。圭は頭に包帯を巻いてベットの中でバナナをむいて食べていた。そこへ葉琉火が見舞いにやって来た。葉琉火を見た圭が答える。「あれ、君、誰だったっけ?」彼らに何が起こったのか?

親父に冗談でつけられたような名前の”山田 太郎”は勉強もスポーツもごく普通の都立小手指高等学校へ入学を果たした。葉琉火との対戦で身の程を知った太郎は野球とは無縁の高校へ入り自由な学校生活を送ろうとしていた。登校初日、校門近くにイケメンがいるとのうわさに耳を傾けた太郎の視線の先に、なんと清瀬 葉琉火と要 圭の姿があった。まさかこんな野球部もない学校に名門への特別推薦枠が山ほど入る二人がいるわけがない、といい聞かせながら再び視線を向けると間違いなく要 圭本人であり、なぜかこっちを見ているではないか。

そして要 圭は近づいて来て山田 太郎に話しかけてきた。「助かった~、女子が誰一人オレに話しかけてくれね~んだもん、存在感なかったわ。良かった、友達いて。」すると太郎は答える。「えっ、友達?ボクは友達ではないと思うけど、話すの初めてですし。」「えっ、そうだっけ?OK、OK、じゃ今から友達な。マブダチ記念にオレの一発芸を特別大公開!パイ毛~!!」目の前には冷静沈着で智将と呼ばれた憧れの存在の要 圭がいるはずなのだが、めちゃくちゃ頭が悪そうだった。気がつけば山田は二人と同じクラスになっていた。

下校時間、外では部活の勧誘が行われていた。野球部が無いはずの学校だったのに今年から愛好会のような野球部が発足されていた。野球部員に声をかけられた葉琉火だが、まさか入るわけがないと思っていた山田をよそに入部届けにしっかりと名前を書いている葉琉火の姿が。「山、お前も入れ。」まさかの憧れの存在で自分よりも上手な人に逆らえない山田は名前を書いてしまう。「圭も・・・」「やりま千円。野球とかあり得ナイツ。キャッチャーとか誰でもいいじゃん。オレ、ルールとかも全部忘れたから無理よ。」「だめだ。圭じゃなきゃオレの球は取れない。」「買いかぶり過ぎだって。若いんだから視野を広く持とうぜ。」「でも・・・」

忘却バッテリー8

そこへいかにもクズな先輩野球部員がやって来た。葉琉火にどのポジション希望なのかと尋ね、葉琉火がピッチャーと答えると早速対戦しようと言う話になる。野球グランドに行き山田がキャッチャーのプロテクターを付け葉琉火の球を受けることになった。正規捕手でない山田に対して葉琉火は100キロ程の速さの球しか投げない。当然、先輩はバッティングセンターのようだと言いながらバカすか葉琉火の球を撃ち返した。「もうそろそろやめてやろうか?これ以上おもちゃにしたらかわいそうだもんな。」

本来の葉琉火の球なら打たれるはずがないのにと悔しい想いがこみ上げた山田は立ち上がり、「清峰君、全力で投げていいから。今まで手加減させてゴメンね。絶対とめてみせるよ。」とそう伝えた。「あのピッチャーホントしょぼいな。本気出してなかったみたいな。」もう一人の先輩がそう言いながら笑うのを見た圭はいたたまれなくなって答える。「山ちゃん、ゴメンな。オレと代わって。オレ、ラブ&ピースで行きたいからさ。こういう状況ってどうにも気に入らねえから。」山田と代わってプロテクターとマスクをかぶった圭は臭いだのかゆいだのを連発しだした。本当に以前にキャッチャーをやっていた記憶がないのだ。

山田はしゃがみこんだ圭にボールをキャッチするための構え方を教えた。キャッチャーが圭に代わると葉琉火の意識は変わり、肩をぐるぐる回し体制を整えはじめた。ついに二人のバッテリー復活の瞬間が訪れる。「バッチ来い!」圭の掛け声のあと、圭のキャッチャーミットど真ん中めがけて葉琉火のすさまじい速さのボールが投げ込まれた。バッターボックスに立っていた先輩は身じろぎ1つせず驚きおののきその場から退散した。彼女と会わなければいけないことを理由に先輩たちはいなくなった。葉琉火の全力の一球を受け止めた圭は手のひらを眺めていた。

「とれたね。」山田の言葉に圭が答える。「うん。ジンジンする。」それに対し葉琉火が答える。「オレの球で思い出させてやるよ。野球の楽しさ。」感動の瞬間かと思いきや、我に返った圭は「いやいや、無理無理、イイっす。ノーサンキュー。本当に本気で投げるやつがあるか!二度と野球なんかやらないから。葉琉ちゃんのバカ!~、山ちゃんのうんこ!~。」そう言ってグランドから逃げ出す圭であった。今、二人の野球人生が再び動き出し始めた。無名の高校野球部で最強バッテリーの復活はいかに!?(第1話)

忘却バッテリー13

この作品の面白さは一番にありきたりでない物語性にあります。絶対的な無双の強さを誇る二人のバッテリーでありながら、片方が記憶喪失に見舞われます。一旦築いたものが崩れ、再び二人がその糸口を辿り再構築していくお話です。記憶喪失なので野球のやり方も一から覚えるわけですが、体が記憶していることが多少の救いにはなっています。親友と再び野球がしたいという想い。自分が何者かを忘れてはいるけれど親友の気持ちにも応えたいという想い。

徐々に野球の面白さに気づきはじめ、親友と再び勝利を目指していく。それと同時に過去に二人と対戦したがために野球に挫折してしまった男が二人、同じ高校で偶然の再会を果たします。そして彼らも共に野球部のメンバーとして復活するのですが、彼らの野球に対する情熱の復活群像劇にも注目です。野球+努力+友情+逆境?の青春物語を堪能していただければ幸いです。スポーツとくればやはり努力、そして友情ですよね。これらのメンバーで高校野球のどこまで昇り詰めていくのかが楽しみな作品です。

また、コメディとシリアス展開の程よいバランスが絶妙で視聴者を飽きさせない作品でもあります。鋭いギャグと熱いシーンが本作品の特徴であり、こちらには声優さんの力も大いに関係しておりまして、主人公・要 圭の二面性を演じる宮野 守さんと山田 太郎兼物語のナレーション担当も演じる梶 裕貴さんの上手さが光っております。そのあたりの声優さんの作品に対する貢献度合いも併せて観ていただければ嬉しいですね。

物語性と声優さんの力量が相まって場面場面でいつの間にか作品に引き込まれてしまいます。2期以降の制作にも期待しつつ小手指高校野球部の躍進を一緒に見守っていきましょう。

この作品は漫画家”みかわ 絵子”さんによるウエブコミックサイト「ジャンプ+」に2018年4月26日より隔週木曜日に連載中の同タイトル漫画が原作です。既刊19巻。アニメ化され2024年4月より”テレビ東京”系全6局で全12話が放送となりました。

インターネットは”Amazon Prime Video”、”dアニメストア”、”Netflix”、”Hulu”、”ABEMA”、”U-NEXT”、”バンダイチャンネル”、”ニコニコチャンネル”、”FOD”他で配信中です。

ジャンル/”スポーツ”・”青春”、監督/”中園 真登”さん、シリーズ構成/”横手 美智子”さん(SHIROBAKO、ツルネ-風舞高校弓道部-、からかい上手の高木さんのシリーズ構成も担当)、キャラクターデザイン/”長谷川 ひとみ”さん、アニメーション制作/”MAPPA”。

<主な出演声優さん>
清峰 葉琉火:”増田 俊樹”さん、要 圭:”宮野 守”さん、山田 太郎:”梶裕 貴”さん、藤堂 葵:”阿座上 洋平”さん、千早 瞬平:”島﨑 信長”さん

疾走感のあるオープニングテーマとどこか懐かしい気持ちにさせてくれるエンディングテーマもとても耳に残ります。こちらの青春ソングもぜひ、ご堪能下さい。
オープニングテーマ「ライラック/Mrs.GREEN APLLE」
エンディングテーマ「忘レナ唄/マカロニえんぴつ」


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エキゾーストとストップモーションが男の本能を刺激する。峠の伝説・カーバトルストーリーは次世代へ受け継がれる。「MFゴースト」

軽快なユーロビートのサウンドがリズムを刻み続ける中、トヨタ・86は峠を疾走する。かつての峠の伝説・藤原拓海がトヨタ・スプリンタートレノ・AE86で魅せた圧巻の4輪ドリフトを彷彿とさせるその走りは、非力なマシンながら類まれなドライビングテクニックとクールなスピリットで他のモンスターマシンたちの領域に新たな旋風を巻き起こす。

この映像を観て思わず昔観たその記憶と感動が一瞬でよみがえってきた。そう、それは公道最速をめざす奴等達の峠のバトルを魅せつけるアニメ「頭文字D」。ちなみに読み方は「かしらもじでー」ではございません。「イニシャルディー」とカッコよく読んでくださいね。

「頭文字D」 は、「週刊ヤングマガジン」で1995年から2013年まで連載された”しげの 秀一”先生による車の走り屋たちを描いた漫画です。累計発行部数は5600万部を突破。通称「イニD」。
アニメ化もされ、
1998年 4月~1998年12月/1stStage:全26話
1999年10月~2000年 1月/2nd Stage:全13話
2004年 4月~2006年 2月/4thStage:全24話
2012年11月~2013年 5月/5thStage:全14話
2014年 5月~2014年 6月/Final Stage:全4話
の計81話が放送されました。

初回放送は今から26年前にスタートし、10年前に物語は完結・終了という事で、40~50代の男性世代には懐かしいアニメかと思います。曲がりくねった峠道でタイヤを滑らせながら流れる車体、そして車のエキゾースト。そこにユーロビートの音楽がシンクロする。今の時代なら絶対に許されないような危なげな公道での車のバトルに心も脳みそも揺らされた40~50代はそれなりにいたんじゃないかと思います。視覚と音・音楽が脳を刺激するそのアニメーションは大人であってもワクワクが止まりませんでした。しげの先生といえばその前のバイク漫画「バリバリ伝説」も人気を博しましたよね。

頭文字D1

16、17年前の私の日常ですが、よくTUTAYAに行ってイニDをレンタルしては小学生の息子と共に心ワクワクしながら観ていたことを思い出します。息子はさて置き、私は全81話をすべて観ております。その後、リアルでマイカーをチューンナップする方向にはいきませんでしたが、イニDの影響でプレステーション(SONYのゲーム機)の”グランツーリスモ”という、車をカスタマイズしながら自動車レースに出場してレースを勝ち上がっていくシミュレーションゲームソフトを購入、息子共々そのゲームにドハマりしていました。ゲームの中でマイカーを自分好みにチューンナップし、グリップの良いタイヤに替えてドリフト走行していましたね。懐かしい限りです!

主人公・”藤原 拓海”の愛車は”トヨタ・スプリンタートレノ・AE86”(通称ハチロク)。自営業の親父が営む藤原とうふ店のオリジナルチューンナップを施された、とうふ配達用車両である。拓海の親父からスーパー等へのとうふの納品を頼まれる拓海は、チューンナップされたハチロクで配達という大義名分で運転させられ、知らなうちに峠道を走ることで最速ドライビングテクニックを鍛えられる。その峠道は走り屋のメッカであって幾多の走り屋が拓海の走りを見聞きしてバトルを仕掛けてくる。マツダ・RX-7・FD3S、三菱・ランサーエボリューションVII、ニッサン・スカイラインGT-Rなど、当時の日本の人気スポーツ車との激しい峠のバトルが繰り広げられるのであった、とさ。40歳OVERのおじさんにとっては必見の、とっても胸を熱くさせられるアニメなのでまだ観ていない方はCheck it out!です。

実はここまではあくまで序段であって本題はこの先なのですが、イニDは完結しましたが、しげの先生がその後に描いた走り屋漫画がアニメ化され2024年秋アニメとして放送になりました。
「MFゴースト」という作品です。”新公道最速伝説”と謳ったこの作品は、イニDを観ていない方でも速い車が大好きな方なら充分に楽しめる作品です。

しかしながら、イニDで”公道最速伝説”になった主人公藤原 拓海がその後の人生でレーシングスクールのコーチとなり、彼が育てた若者が公道最速を目指すという本作品は、イニDを継承する作品であるため当然、イニDから観た方がその関連性をより理解しながら奥深くこの作品を楽しむことが出来ます。イニDから順を追って観るも良し!MFゴーストを先ずは楽しんでからイニDを観て深掘りするも良し!

MFゴースト1 (2)

世界的に内燃機関自動車(ガソリン車)の生産が中止となり自動車はEV化が主流となっている未来。片や、絶滅危惧種となった化石燃料車のハイパワーマシンで一般車両がクローズドされた公道でのレースバトル・MFGが日本では大人気となり、日本各地で連戦開催されるようになっっていた。MFGは世界中のファン3,000万人に配信される一大モータースポーツである。

箱根を舞台に繰り広げられるMFG第1戦・小田原パイクスピークでは300台を超えるマシンが参戦し、本選に出場できる15台、”神フィフティーンを目指して予選が始まっていた。

イギリスのレーシングスクール出身であるカナタ・リヴィントンこと”片桐 夏向”(かたぎり かなた)は日本の空港に降り立った。日本人の父とイギリス人の母との間に生まれたハーフであり、彼は行方不明の父を探すために日本へやって来た。

17歳の高校生”西園寺 恋”(さいおんじ れん)は、MFGのレースクイーン”MFGエンジェルス”のナンバー7としてプロフィールを明かさずアルバイトをしている。 人を外見では判断しないと豪語する彼女だが、ある日家に帰るとそこには、とても容姿が良くてカッコいい青年がいた。彼を見るなり彼女は不覚にも一目ぼれをしてしまう。彼女の目の前に現れたのは片桐 夏向だった。恋の両親と夏向の母が旧友であったことから夏向は恋の家に下宿することになったのだ。父から夏向を紹介された恋だったが、もやは上の空で父の話は全く彼女の頭の中には届いていなかった。夏向と握手を交わすなり、恋は尋常じゃない胸の内を抑えながらそそくさと自分の部屋へと上がっていった。

夏向は外出し、緒方自動車株式会社を訪れた。その会社は何の変哲もないごく普通の自動車整備会社に見える。しかしながら、社長の緒方はかつてのMFG出場経験者だった。自ら走るより、自分は車をいじる方が性に合っていると彼は自分自身のことをそう語っていた。その時に乗っていた車があるが観て見るか?と緒方は夏向に話す。そして夏向はガレージでその車と対面した。その車は真赤なトヨタ・86だった。3ペダルのMT車であり、夏向はスクール時代に乗っていたタイプと同じなので問題ないと緒方に伝える。

夏向が日本に来た理由を知った恋。夏向が持っていた父と母が若き日に鎌倉で撮ったとされる唯一父が映っている大切な1枚の写真を見せられる。彼は日本に来たら両親の想い出のその場所を訪ねてみたいと思っていたことを恋に話した。それを聞いた恋は、「その場所を一緒に探すの手伝ってもいいかな?」と夏向に提案する。彼女の優しい気持ちに夏向は胸打たれながら感謝し、その提案に同意した。後日、夏向と恋は写真の背景に映っている神社かお寺らしき建物を目印に鎌倉の思しき個所を訪ねてみた。けれど、そこは違っていた。神社・仏閣が多い街、鎌倉。せっかくなので、二人は神社でお願い事をして帰路に着いた。

MFG第1戦・小田原パイクスピーク予選7日目。恋は出走ゲートの前でエンジェルス”のナンバー7として何も知らずにボードを頭上にかかげて立っている。実況者からのアナウンスが流れる。「次は初出場のルーキーが登場です。86号車はイギリスからやってきたチャレンジャー 、かたぎりかなた選手、19歳。」アナウンスを聴いた恋は思わず反応する。「かなた?」そこへ緒方の整備したトヨタ・86に乗って夏向は出走ゲートへと入ってきた。恋がその車の運転席を観て見ると、そこには紛れもない夏向の姿が存在した。「うそでしょ!?かなたなの?なぜそこにいるの?かなた・・・」突然の出来事に戸惑う恋をよそに、夏向は全神経を86に注ぎながらも冷静にカウントダウンに合わせスタートを切った。(第1話) 
MFゴースト16
MFゴースト10

今回の作品の魅力は、何と言ってもリアリティのある車の作画と効果的な3DCGによるアニメーション演出です。出てくる車すべてのフォルムが忠実に再現されていまして、そのベース作画絵をもとに3DCGで車の走る挙動を実写さながらに再現してくれています。直進道路のストレートでの伸びやかな速さやカーブでのブレーキングからの車体の左右の傾きなどとてもリアルに感じられます。車と車の接近戦では後続車が前を走る車をオーバーテイク(抜き去ること)する瞬間、ストップモーションで今から抜くぞ(抜かれるぞ)と予感させる演出が加わって、視聴者も疑似体験しているようでドキドキとワクワクの世界へ引きずり込まれます。

そして、現代の交通事情にも配慮してか公道レースが近未来モータースポーツというストーリー設定になっています。昔であれば公道での走り屋同士のバトルならあり得ないこともないと解釈も出来ましたが、今のご時世では一般人に対してのあおり運転などのとんでもないトラブルが社会的にもローズアップされているので、当然、公道バトルはNGですね。この物語での設定では、一般車の乗り入れを禁止した(クローズドされた)公道で市民に迷惑が掛からない公道レース仕様となっています。言ってみればF1グランプリのモナコGPと同じですね。また、その公道モータースポーツの迫力ある映像をリアルタイムでファンにお届けするために、出場レース車両毎に180㎞のスピードで追随して映像中継できる高速ドローンが導入されています。

また、本作品はモータースポーツという事で男性ドライバーオンリーが登場かと思いきや、女性ドライバーも登場します。モータースポーツ一色でもなく、主人公に恋するヒロインも登場したりと恋愛要素も入っております。恋ちゃんの恋心は夏向に届くのか?そして行方不明の父を探しにイギリスから日本に来た主人公がこの先無事に父親と再会を果たすことはできるのか?という命題もあり、”父をたずねて三千里”の要素も併せ持っています。モータースポーツ以外のストーリーもいろいろと組み込まれていてとてもも楽しめる作品に仕上がっていると思います。

筋の通ったストーリーがあって作画もまずまず、3DCGでの演出効果は抜群、そしてレースマシンが走る局面ではブレーキングノイズにアクセル音が交互に響き、ユーロビートのリズムが大いに観るものの気持ちを盛り上げてくれる、そんな面白い要素が詰まった作品です。

イニDは国産車同士のバトルがメインであったのに対してこの作品は、ポルシェ・フェラーリ・ランボルギーニ・アウディ・BMW・ロータス・アルファロメオ他外国車乗りのレーサーが多く、海外のハイパワースポーツ車に国産車のトヨタ・86やニッサン・GT-Rがドライバーテクニックで席巻する構図となっています。外車が好きな方にはたまらないでしょうし、レースという観点から国産車を応援する方にとっては自国愛を再認識してしまうかもしれませんね。

そしてユーロビートのリズムが体に刻み込まれた40歳OVERの方には親近感が感じられるでしょうし、20~30代の方が観ればユーロビートと映像のマッチングが新鮮に思えるかもしれません。

MFゴースト7

この作品は「週刊ヤングマガジン」2017年より掲載の漫画家・”しげの秀一”先生の「MFゴースト」が原作で、アニメ化されて2023年10月~12月に全12話がBS11他で全国放送されました。インターネットでは ”Amazon Prime Video”、”dアニメストア”、”ABEMA”、 ”DMM TV”、 ”Hulu”、 ”U-NEXT”、 ”Netflix”、” FOD”、 ”バンダイチャンネル”他で配信されています。

監督/頭文字Dの監督”中智 仁”さん、シリーズ構成・脚本/”山下 憲一”さん、キャラクターデザイン/”恩田 尚之”さん、音楽/ロックバンド”レベッカ”のメンバーであった土橋 安騎夫”さん。アニメーション制作/”FelixFilm”。

声優さんは主人公・”片桐 夏向”(かたぎり かなた)役/”内田 雄馬”さん、西園寺 恋役/”佐倉 綾音”さん。内田 雄馬さんは「マクロスΔ」/ハヤテ・インメルマン、「呪術廻戦」/伏黒 恵を演じた方です。ハーフな夏向の異文化人ぽい話し言葉が絶妙です。佐倉 綾音さんは「のんのんびより」/越谷 夏海、「ご注文はうさぎですか?」/ココア、「五等分の花嫁」/中野 四葉を演じた方です。多感なお年頃のIKである恋の心情や言動を上手に表現されていて、声優として様々な役どころを演じてきた佐倉さんのキャリアを感じます。

最後はこの作品のオープニングテーマとエンディングテーマの紹介です。
オープニングテーマ「JUNGLE FIRE feat. MOTSU/芹澤優」
エンディングテーマ「Stereo Sunset (Prod. AmPm)/茜屋日海夏」

何故この作品に惹かれるかを上手く説明はできませんが、とにかく男心をくすぐられる作品です。非力なマシンを非凡なドラテクで操り、上位者に競り勝って行く様が痛快ですね。主人公に共感・シンクロできるかどうかぜひ、作品を観て体感してくださいね!

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自分のスタイルを貫き通す生き方って大変だけどカッコイイよね。何よりそれが一番、自分らしい。「さよなら私のクラマー」

自分らしさって何だろう?自分にしかできないことって何だろう?オンリーワンは極めるべきこと?何があっても好きなことは諦めず、やり続けた方が良い?まわりに流されず、自分の信念は貫き通すべき?この作品・この主人公を観ていると、自分の頭の中にいろんな?がたくさん浮かんできます。作品の中で多くの問題提起がなされていることもあり、それを観るとフィールドは違えど、現状の私自身に対しても様々な問いかけをされているような気がしてなりません。

今回紹介いたします作品は、日本女子サッカーをとりあげたスポーツアニメ「さよなら私のクラマー ファーストタッチ」劇場版映画&「さよなら私のクラマー」TVアニメ版です。私の大好きな作品「四月は君の嘘」を描いた漫画家・”新川 直司”さんによる同名漫画が原作です。

劇場版映画は、2009年~2010年に月刊少年マガジンの増刊誌「マガジンイーノ」(講談社)で連載された「私のフットボール」が原作となっております。物語の大筋は、男の子と同じサッカースポーツ少年団で一緒にプレーするサッカーが大好きな女の子、主人公”恩田 希(おんだ のぞみ)”の姿を描いております。類まれなサッカーセンスと才能で男の子以上に活躍する彼女ですが、中学生になると男子との体格差・身体能力の差が出始め、持ち前のボールコントロールだけでは立ち打ちできなくなってきた中学2年の彼女。しかし彼女は男子サッカー部の中でそんなことはお構いなしに自分のサッカースタイルを貫き通そうと誰よりも努力を重ねます。そんな彼女の情熱みなぎる悪戦苦闘の青春を描いた漫画をアニメ化したものがこの劇場版映画です。

希が住んでいる地域には中学校に女子サッカー部はなく、クラブチームもないため、彼女は中学の男子サッカー部に所属していた。中学ともなると男子との体格差や体力差、いわゆるフィジカル面の差が現れ始め、ある試合の中で希は男子とぶつかって怪我を負ってしまう。それ以降、よりハードなプレーを要求される公式戦は怪我をするリスクが高くとても危険なため、「公式戦には出場させることはできない」と監督に言われ、希は試合に出れなくなってしまう。それでも希は試合に出ることを諦めず、出場機会が訪れることを信じて毎日、誰よりも練習に励んだ。

ある日、希は街中でかつてのスポ小のチームメイト、”ナメック(谷 安昭)”に出会う。希の誘いでサッカーを始めたナメック。希より小さく、希のことを親分と慕っていつも後ろにくっついていたスポ小時代の軟弱だった彼は、以前とは見違えるくらい大きくたくましく成長していた。一緒にいたナメックの後輩二人によれば、彼は江上西中学校サッカー部のキャプテンをしているようだ。藤第一中学校の男子サッカー部に所属してサッカーを続けているという希の今を知った彼は、希に対して挑発的な発言を投げかける。「サッカーはフィジカルだ。女のお前に何が出来る」と。対して希は「新人戦の試合で決着をつけてやる」とナメックに啖呵を切るのだった。

どうにか新人戦の公式試合に出てナメックと勝負したい希は、あの手この手を使って監督に猛アピールを試みる。しかし、監督は決して首を縦に振らない。それを観ていた同じスポ小出身の幼馴染で今もチームメイトである”タケ(竹井 薫)”と”テツ(山田 鉄二)”は、どうにか希を試合に出れるように協力をする。果たして希は新人戦・公式試合に出て旧友ナメックと決着をつけることが出来るのだろうか?

さよなら私のクラマー2

「さよなら私のクラマー」TVアニメ版は、この主人公”恩田 希”の高校時代を描いております。一人孤独だった中学時代を経て、高校では新たな価値感を持って女子サッカー部に入部し、サッカーを愛する女子の仲間たちと同じ目標に向かってサッカーに全力を注ぐ、彼女の青春ストーリーです。女子と一緒にサッカーをやっていたら自分のレベルが落ちてしまうという、彼女なりの理由で女子サッカーには興味がなかった彼女が女子サッカーに籍を移すこととなるエピソードは、劇場版アニメとTV版アニメにまたがっております。

そのあたりのお話もありますし、時系列でいくと、主人公”恩田 希”のサッカーとの出会いと、女子でありながら男子と同じ環境でハンデをものともせず、ひたむきにサッカーに打ち込む彼女の中学時代の姿を先ずは劇場版でご覧いただきたいと思います。それを観た上でTVアニメ版「さよなら私のクラマー」をご覧いただくと、TV版アニメから見るよりもお話が理解しやすく、面白さが2・3割アップいたします。

こちらのTV版の原作漫画は、「月刊少年マガジン」2016年6月号~2021年1月号まで連載され、全14巻が発行されています。原作をもとにTVアニメ化されて2021年4月~6月に”日テレBS”で全13話が放送されました。インターネットでは”dアニメストア”、”Amazonプライム・ビデオ”、”U-NEXT”の他、多くのチャンネルで配信されております。監督/”宅野 誠起”さん、脚本/”高橋 ナツコ”さん、キャラクターデザイン/”伊藤 依織子”さん、アニメーション制作/”ライデンフィルム”です。

日本男子サッカーと比較され、まだまだ人気スポーツと言い難い女子サッカーそのものの在り方と、それを支えている女子サッカー選手たちの様々な姿、そして日本女子サッカーを明るい未来へと牽引しようと努力するサッカー指導者たちにもスポットが当てられ、多面的に構成された”ドキュメンタリーチックかつ情熱的な、”女子熱血スポ根アニメ”に仕上がっております。

原作者の新川 直司さんは、日本女子サッカーが抱える現状課題をストーリーに織り交ぜながら描くことで、読者に女子サッカーにもっと注目してほしい、というメッセージ性を持たせながら作品を世に出されたような気がします。女子サッカーが強くなるためには競技人口が増えることは必須であり、先生はそれも想定した上で女子サッカー漫画を観てサッカーをやってみたくなる女子が増えるよう、カッコイイ女子を描いたのかな、なんて想像もいたします。

サッカーでは、カッコイイ足技・トリッキーな足技がいくつもあります。作品に出てくる彼女たちは時に試合の中で男子顔負けの足技プレーを披露してくれています。例えば、ドリブル中に相手に背中を見せながら体を反転して一瞬で反対方向へ切り返しドリブルで相手を抜き去る、フランス代表のジダン選手の代名詞”マルセイユ・ルーレット”。あるいは、ボールをまたいでフェイントをかけるドリブル”シーザス”。足の甲の外側(アウトサイド)で右に運ぶと見せかけて一瞬で足の甲の内側(インサイド)に乗せ換えて左に切り返すドリブル”エラシコ”など。女子サッカーアニメと侮るなかれ、「キャプテン翼」に出てくるアクロバティックな足技とは違った、サッカー上級者なら使いこなせるリアルでファンタスティックな個人技をとくとご覧下さいませ。

さよなら私のクラマー3

中学まではサッカーにおいては男女の区別を意識していなかった希。女子と一緒にサッカーをやっていたら自分の能力が衰えてしまうとまで彼女は思っていました。しかし、中学のサッカー部の顧問に希は諭されるのです。「高校に行ったら男女のフィジカル面の差はますます広がり、試合にはもっと出れなくなる。お前はそれでいいのか。せっかくの才能を埋もらすな。お前の力で女子サッカーを盛り上げていくんだ」と。

高校生になった希は埼玉県立蕨青南(わらびせいなん)高校の女子サッカー部に入ります。今まで男子サッカーしか知らなかった希ですが、同じチームに才能のある女子が何人かいることがわかり、次第に希の心はワクワクし始めるのでした。弱小だった蕨青南高校ですが、新1年生の中には俊足フォワードの”周防(すおう)すみれ”、中学全国3位になった戸田北中学のミッドフィルダー(司令塔)でU-15日本代表だった”曽志崎 緑(そしざき みどり)”がいたのです。一緒にプレーしてみて女子サッカーもまんざらでもない手ごたえを感じた希。

そんな弱小・ワラビーズに、女子サッカー界のレジェンド・元日本代表の”能見 奈緒子”がコーチとして就任するのでした。実は、能見は蕨青南高校の卒業生だったのです。着任早々、能見は全国優勝もたびたび果たすほどの神奈川県の強豪、久乃木学園と練習試合を組むのです。それは能見コーチのかつての恩師が久乃木学園の現監督をしているという人脈あっての特別な計らい。全国トップレベル高校と戦ってコテンパンにやられ、今の自分たちの実力を知ってなお這い上がれるチームかどうかを見極めるテストマッチと能見は考えていたのです。

当然ながら 力の差は歴然。21対0のシャットアウトで蕨青南は大敗します。女子でもすごいやつがいることを知った希は、打倒・久乃木学園を誓うのでした。しかし、久乃木学園とリベンジマッチを果たすためには蕨青南高校自身が実力で大会公式戦を勝ち進み、埼玉県代表校となって関東大会で久乃木学園と当たらなければ再戦はできないのです。同じ県下には、全国大会常連校の浦和邦成もいて、彼女たちの前に大きな壁となって立ちはだかります。

希たちはとてつもないその大きな目標に向かって突き進む決意をします。先ずは埼玉県代表になる。そのために私たちは強くなると。強くなるためには男子サッカー部と一緒に練習をさせてもらって実力をつける。しかし、世の中そんに簡単に事は運ばず・・・。能見コーチはコーチで、攻めの選手だったので攻め方は教えられるのですが守備の指導や戦術についてはからっきし駄目だったのです。課題が山積みのワラビーズ。彼女たちは本当に強くなれるのでしょうか?久乃木学園と再び戦う日は訪れるのでしょうか?

劇場版・TV版、どちらの作品も、主人公・恩田 希の真っ直ぐな生き方が作品の軸と言えるでしょう。サッカーが好きだからひたすら練習する、試合に出たいから監督に魅せるプレーで猛アピール、試合で自分が得点を決めたいから、ボールが回ってくるまでは力を温存し、ここぞというチャンスに集中して全力でゴールを目指す、自分のプレースタイルは絶対に変えない(テクニックで相手をかわしてゴールする) 。

さよなら私のクラマー1

すべては希が自分でやりたいこと、成し遂げたいことに向かっての積み重ね・行動なんだと思います。それを推し進める強い気持ちこそが彼女の原動力。サッカーの中では、人々を魅了するプレーをする人のことを”ファンタジスタ”と呼びます。特に攻撃のポジション(ゴールを決める)の人に使われる言葉で、特別な人だけがそう呼ばれます。彼女のサッカーは目指すところ、人々を魅了するようなサッカー、そして成りたいのはそのファンタジスタ”なのでしょう。周りもきっと、彼女にそのファンタジスタになってもらいたいと期待を込めています。日本の女子サッカーの未来も同時に託して。

かつての日本女子サッカーチームは、2011年FIFA女子ワールドカップ・ドイツ大会において、日本男子でさえも前人未踏である”優勝”という偉業を華々しく成し遂げたのでした。ちなみに”なでしこジャパン”を優勝に導いた立役者”澤 穂希”さんは大会得点王&大会最優秀選手賞の栄誉も手にしました。その大躍進は、東日本大震災が起こったその年のとても晴ればれとした出来事であり、日本人にとって大変勇気づけられるトピックスだったと思います。その翌年にはロンドンオリンピックで銀メダルにも輝いています。男子サッカーの存在に埋もれていた女子サッカーですが、これらの出来事で一気に女子サッカーが注目されることとなります。

しかしながら、ワールドカップ6度出場のギネス記録保持者でもある日本女子サッカー界のレジェンド・澤さんが2015年に引退して以降、大きな国際大会での日本の戦績はやや後退しており、澤さんに代わるようなスーパースター選手も鳴りをひそめてしまったかに見えるのが現状です。これから先、好戦績とスーパースターの存在という歯車がうまく噛み合うことが出来れば、日本女子サッカーは再び輝きを取り戻すことが出来るでしょう。そうした日がまた訪れることを私も願っております。

この作品、「さよなら私のクラマー」というタイトルの中の”クラマー”とはいったい何なのか?どこからきているのか気になりませんか?クラマーとは人の名前です。ドイツ・ドルトムント出身のサッカー選手であり、サッカーの指導者でもあったデットマール・クラマー。彼は1960年に日本サッカー界に招かれた外国人コーチで、サッカー日本代表の基礎を作った人であり、日本サッカーリーグ創設にも尽力されたことから、「日本サッカーの父」と言われています。

原作者の新川先生はサッカーが好きで、彼が亡くなった後に彼を忍んでこのタイトルをつけたのではないかと言われているようです。それともう一つ、日本サッカー界において、サッカーは男性だけのスポーツという枠から早く女子サッカーが脱却して、女子独自のサッカーというポジションを確立すべく未来へ独り歩きしていってほしいという願いもあり、このようなタイトルをつけたのでは?という説もあります。いずれにしてもとても感慨深いタイトルだなって思います。

人より抜きん出た才能を持つ人は希少なだけに我々の知らない孤独との戦いも背負っているようです。個人プレーならそれもありですが、チーム競技では競技人口が少ないことでその才能が伸び悩む危険があるという事も無きにしも非ず、という事でしょうか。一人の少女のサッカープレースタイルから見える、自分のしたいことを貫き通すぶれない生き方、あるいは決して途中で投げ出さない、最後まであきらめない気持ちの持ち様など学ぶべきところもたくさんあります。また、女子サッカーの課題から見える、各スポーツやその他の組織にも繋がる組織づくりの在り方など、結構、奥深いことまで描かれている作品かと思われます。女子サッカーに興味がある人にはもちろん、そうでない人にも十二分に楽しめる作品ですので、ぜひ、一度ご覧くださいませ。

オープニングテーマ「AMBITIOUS GOAL/小林 愛香」

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時代を越えて今尚、くじけそうになる私たちに語りかけてくる応援メッセージがここに。不朽の名作「SLAM DUNK」

新年、アニメ増しておめでとうございます。今年もよろしくお願い、痛します!m(__)m
と言いながら、もう2月に突入ですね。早いものです。
私は今年になってようやく休みが取れました。自主的に土日休日を返上し、まさに貧乏暇なし!で働いていました。コロナの影響もあって、わが社も売り上げが5割に減りました。トホホな状況ですが、新たな売り上げ奪取のために孤軍奮闘な毎日を送っております。

うちの会社のおじさんたちが思うように動いてくれません。って私ももう、十分すぎるおじさんなのですが。コロナが収まった後のわが社の売り上げ構成を考えると、既存事業だけでは足りず、新規事業を取り入れないとお先真っ暗な状況なのです。でもおじさんたちは動いてくれません。チャレンジすることをすでに諦めているのです。教えても駄目なのです。どうも年齢という壁が邪魔しているようです。自分で自分の限界を作っているように見えます。年齢を言い訳にするのはあまり良くないですよね。要はやる気の問題です。

会社で爪を切ったり、新聞の夕刊を隅々まで読んで、夕方5時半にそれじゃあ、お先に!って、てめえ一体、何様だ~!ふざけやがってくそじじぃがー!って思ってしまいます。あまりにおじさんの仕事態度がひどくてつい、心の声が洩れてしまいました。日頃、温和な私でもさすがに激おこですね。とは言うものの、本来、仕事は人から言われてやるものではなく、自分から見つけてやるもの、というのが私の信条なので、その人の姿勢・力量がそこまでなら自分なりに頑張ればいいかなって、最近は諦めモードです。変に相手に期待してがっかりするのももういい加減、嫌になってきたので。

今は時間がいくらあっても足りないぐらいですが、新しいジョブを毎日、ひたすら繰り返した結果、その事業のセールスポイントと売り先がかなり明確にロックオンされてきたように思います。まだ満足のいく結果が伴っていませんが、諦めないで続けることで必ず良い成果を残せるものと信じて、今は頑張っています。

気持ちが折れずに前向きに新規事業に取り組めているのは、昨年の秋に「SLAM DUNK(スラムダンク)」を観たことが功を奏している、と言っても良いかもしれません。スラムダンクが一世風靡していた時代は、私は26~28歳。すでに社会人になっていたこともあり、アニメの世界からは遠ざかっていた時期です。その当時ヒットした、大黒摩季の「あなただけ見つめている」やWANDSの「世界が終わるまでは」、あるいはZARDの「マイフレンド」がスラムダンクのエンディング曲だったことは、なんとなく聞こえていましたが、さほどスラムダンク自体に関心は示さなかったので、その当時は観ませんでした。

SLAM DUNK1


今までドラマやアニメの中で良く使われてきたフレーズに”あきらめたらそこで試合終了”というのがありますが、皆さんも一度ぐらいどこかで耳にしたことがあると思います。このフレーズの元祖が、スラムダンクの主人公のバスケチーム監督である安西先生が発した言葉だという事を、作品を観て、今更ながら知ることとなりました。
「最後まで・・・希望を捨てちゃいかん あきらめたらそこで試合終了だよ。」
これこそが、物語の中で出てきた安西先生のオリジナルな名言の一つです。どのシーンで出てきたかは観てのお楽しみに。

作品を観て実際にこの言葉を知るだけでも、スラムダンクという作品を観てみる価値は十分にあります。どんな偉人の言葉にも負けない、恐ろしいほどのパワーを秘めている言葉だと思いますし、実際に私の心にずっしりと刺さってきたのです。出処である原点を知れば、その言葉が真実となります。私はこのフレーズの原点に出会えたことにすごく感謝しております。27年の時を経て、この作品から感銘を受けました。ものすごくシンプルな言葉ですが、魔法の言葉となり、今の私の仕事の原動力になっています。

スラムダンクは、”週刊少年ジャンプ”で1990年10月~1996年6月まで連載された、バスケットボール競技を描いた長編漫画であり、全276話、全31巻が発刊されました。その後アニメ化され、1993年10月~1996年3月で全101話が”テレビ朝日”系列で全国放送されたようです。原作者は”井上 雄彦”(たけひこ)さんで、自身が高校生の時のバスケ経験者だそうです。アニメーション制作は”東映動画”。

この作品は、意中の女子からバスケへ勧誘された不良少年・桜木花道が、ド素人ながら天性の高い身体能力を持ってして、根性と努力で成長していく青春スポーツアニメです。全101話と長編ですが、彼を中心にチームメイトと対戦相手をめぐっての様々な物語が絶妙なバランスでギャグパートとシリアスパートで展開される、飽きの来ない楽しい作品です。私は2週間で観終えることが出来ました。バスケのルールや用語を知らなかった人にも馴染めるよう、時折り解説も入るという、非常にわかり易さにも長けた作品であるのが特徴です。おかげで、トラベリングぐらいしか知らない私がそこそこに理解しながら十分に楽しむことができました。

スラムダンクは、バスケ漫画・アニメの草分け的な作品です。サッカーの「キャプテン翼」のような、世代の多くの小中学生たちがバスケを始めるきっかけになった、バスケットボールをメジャースポーツに昇格させた多大な功績を残した作品でもあります。私があと15年ほど遅く生まれてスラムダンクを観ていたら、サッカーではなく、バスケをやっていたかもしれません。そう感じるぐらいカッコイイ作品ですね。影響を受けて、安西先生、バスケがしたいです!といったかどうかは知りませんが(笑)このフレーズも作品のどこかで出てきますので、これから観る方は頭の片隅に入れておいてくださいね。

SLAM DUNK4

バスケットボールは10分間を第1クオーターとし、2分休んで第2クオーター目をこなし、その後15分のハーフタイムを挟んで第3クオーターに入り、また2分休んで第4クオーターで終了、といった流れで1試合が構成されています。合計で59分ですが、コート外にボールが出ると時間が止まるので、実際はもう少し時間を要するようです。相手がゴールすれば今度は敵陣へ攻め、ゴールすれば今度は守りを固めるといった具合に、30秒ちょっとで攻守が入れ替わる非常に目まぐるしくゲームが展開する、割と激しいスポーツです。もたもたしたゲーム展開は意図的に作りにくいシステムになっているようです。

30秒ルールというものがあり、30秒以内にシュートを打たなければバイオレーションという反則となり、敵のスローインでゲーム再開となります。2019年にこのルールは改正され、現在では24秒バイオレーションが採用されているようですね。さらに得点が増える計算になっています。

バスケは5対5で戦う競技です。ポジションは、ポイントガード(PG)、シューティングガード(SG)、スモールフォワード(SF)、パワーフォワード(PF)、センター(C)の5つとなります。ポイントガードは、全体を観ながら攻撃を組み立てる司令塔であり、コート上の監督と言われる一番大事なポジションだと言われています。シューティングガードは、相手をドリブルで抜いてパスしたり、3点シュートを決めたりと主に3点シュートになる位置、つまりアウトサイドでプレイすることが多いポジションです。スモールフォワードもアウトサイドでプレイするポジションですが、積極的に点数を取りに行く攻めのポジションです。

パワーフォワードは、主にゴール近くのインサイド(2点シュートのエリア)でプレイし、速攻やリバウンドで点を取りに行きます。そして、同じくインサイドでプレイするのがセンターですが、ポイントガードに次いで大事なポジションと言われています。背が高い人が多く、相手のフォワードと競りあったり、攻守でリバウンドの役割を担ったりと攻めも守りも要となるポジションです。背の高さを活かしたポストプレイもこなしたりもします。

しかし、バスケはこの5人だけでやるものではないようです。選手交代をせずに第4クオーターまで5人で戦い続けることはほとんど稀で、大抵の場合、相手の戦術に対応して場面ごとに控えの選手を入れ替えて攻めたり、あるいは守ったりと、常に戦況は変化していきます。主力選手を途中で交代させて休ませたり、終盤でまた集中して使ったりと選手の交代は基本、自由にできます。飛び抜けた才能のある選手が一人いれば勝てる競技ではなく、チームプレイに優れた、選手層の厚い総合力の高いチームが勝ち上がっていくスポーツなのかもしれません。

そして、バスケは選手の力だけでなく、指揮官である監督の存在もそれなりに大きいスポーツのようです。戦況を観ながら戦術を変えたり、選手の入れ替えで攻めや守りを強化したり、あるいはタイムの取り方ひとつで流れを変えたり切ったりと、監督の采配の一つ一つがゲームメイクとなり、勝敗を大きく左右するような印象を受けました。

SLAM DUNK2

スラムダンクの一番の魅力・見所は、主人公の自称”天才”・桜木花道がどこまで成長し、活躍を見せるか、チームにどう貢献するかに他なりません。そして、タイトルのスラムダンクはいつ爆発するのか?ここがポイントでしょうね。花道にはチーム内にライバルがいます。”スーパールーキー”と巷で評判の、バスケの凄腕選手で、花道と同じ高校1年生の”流川 楓”(るかわ かえで)です。

花道が憧れている先輩女子の”赤木 晴子”が好きな男子、それが流川なのです。流川はバスケ一筋のスポーツバカな男のため、女子にうつつを抜かすようなことはまず無いのですが、事あることに花道は流川に対抗意識を燃やし、何かと突っかかっていきます。すべてにおいて自分の方が上だと花道は思っています。晴子に好かれるために彼は、バスケが上手くなりたいと、一層の努力を重ねます。

晴子は赤木キャプテンの妹であり、バスケをする兄を応援しています。純粋に花道にはバスケの才能があると思って花道をバスケに誘い、彼のことも応援しています。流川のことはLOVEな応援をしています。この微妙とも言える応援が妙な三角関係を築く要因になっているわけですが、そのコメディ的な要素もまた、笑いありで観れる、別見所となっています。

初めは晴子に好かれるための花道の努力が、いつしか他校のライバルに負けないため、チームの勝利に貢献するための努力へと徐々に変わっていきます。回を重ねるごとに進化していく、男・桜木花道の伸びしろに注目です。

また、ライバル・流川の目指す頂点がどこにあるかにも注目です。彼が闘っているのは自分自身であり、戦う相手など眼中になく、日頃から別次元で彼は戦っている感があるキャラクターです。常に彼のまなざしの先には人と違う景色が見えているのかもしれませんね。どこで彼のギアがトップに入るかも期待して観ていただきたいところです。より強くなるために彼もまた、高みを目指して一層の努力を重ねていきます。

花道・流川の所属チーム・湘北高校バスケ部には、4人の頼れる先輩がいます。鉄壁のゴール下ディフェンスのセンターでキャプテンを務める”赤木 剛憲”(たけのり)、元中学MVPで3ポイントシューターのシューティングガード・”三井 寿”(ひさし)、小柄ながら俊敏な動きで速攻が得意の県下1・2を争うポイントガード・”宮城リョータ”、花道のよき理解者であり赤木とともにバスケ部を支えてきた副キャプテンの”小暮 公延”(きみのぶ)。彼らがどのようなプレイを魅せてくれるのかも大いに期待して観てほしいところです。ちなみに、花道のポジションはパワーフォワード、流川はスモールフォワードです。

そして、スポーツアニメなので当然、ハンパない強さの対戦相手が続々登場します。湘北は強くなりますが、行く手を阻む強豪チームがわんさかい挑んできます。果たして湘北はどこまでやってくれるのでしょうか?バスケを良く知っている作者が描く試合運びも見事なものです。常にシーソーゲームの展開が待っていて、どちらが勝つのか緊張感を持って観ることができます。単純には事が運ばない、バスケの奥深さがたっぷりと描かれています。

大人が観ても感動できるスポーツアニメ、少年に戻った気持ちで観ることができる青春アニメ、それがスラムダンクです。登場人物のそれぞれが勝つためにたゆまない努力を魅せています。自分を信じて、仲間を信じて、最後の最後まで全力を出し切るプレイが光り輝いています。

まだ観てないよ、という方はぜひ、ご覧ください。あなたなりに感じる何かがきっとつかめる不朽の名作です。新たに劇場版映画制作が決定!との朗報も入ってきて、これからのスラムダンクにも大いに期待が持てる作品です。

最後に、登場人物の一人一人が最高に格好よく描かれたエンディングテーマをアップしてみました。私はこのエンディングが大好きです。ぜひ、こちらも観てくださいね。

エンディングテーマ「マイフレンド/ZARD」(82話~101話)

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好きこそ物の上手なれ。一途なその気持ちが折れない限り、人は前へ一歩ずつ、着実に進化し続けられる。「ちはやふる」

人が自分自身のために行動を起こす上で最も大きな原動力となるのは、それが「好きだ」という理由が一番ではないでしょうか。好きにも感覚的・衝動的に「好き」と思うこともあれば、あれこれとじっくりと考えて総合的に「好き」と判断する両方があると思います。いずれにしても、「好き」という判断に至って次の行動ステップを踏むのが自然な流れではないでしょうか。

しかしながら、人は「好き」という感情だけに流されて意思・決定する生物ではなさそうです(中には良い悪いは別として、シンプルにこの想いだけで行動できる人もいるようですが、私はある意味、このように行動できる人をすごいなって思います)。重要な局面ともなれば、自分自身を信じられずに世の中の基準なり、自己の判断基準以外のはかりを持ってして物事を判断し、行動を起こす場合もあるかと。

判断基準・行動に「好き」以外の要素を取り入れた方が良いかどうかは、物事の結果いかんによって正解か否かが判明するものなので、一概には言えないですよね。多分、自分自身を全面的に信じることができれば、あるいはそれが「好き」という度合いが高ければ「好き」という気持ちだけでいろんな決断・行動が起こせるのかもしれません。「好き」という気持ちは、人を前へ前へと動かすとても大切な感情であり、大きなパワーであり、適切な判断材料なのだと思います。

今回お勧めする作品は、自分の好きなもの・好きなことの延長線上に叶えたい目標を設定した少女が、人から見れば無謀な夢にも映る頂点を目指して一途な想いで折れることなく突き進む、男っぽくもあり純粋で熱い気持ちが溢れ出る、青春物語です。叶えたいことのためにやれることはすべて実行する、ぶれないまっすぐ気持ちと行動は、彼女の周りの人々とその物語を観ている私たちにも勇気と感動をもたらします。

その作品とは、友達との出会いを通じて知った”競技かるた”に魅せられ、その世界で一番強い女性の称号である”クイーン”になりたいと願い、すべてをかけてその座を目指す一人の少女の物語、「ちはやふる」です。

2016年に広瀬すずちゃん主演で200万人の観客動員を記録した実写版映画「ちはやふる-上の句-」「ちはやふる-下の句-」、そしてその完結編となる2018年「ちはやふる-結び-」の3部作といえば、逆にご覧になった方も多いのではないでしょうか。こちらに先駆けて2011年に登場したのがアニメ版です。実写版をご覧になった方にも是非、ご覧いただきたく、こちらの感動作品を紹介したいと思います。

ちはやふる5

タイトルの「ちはやふる」とは、”勢いがあって荒々しい様子”をあらわす言葉で、小倉百人一首の中の一句の枕詞です。1200年前の稀代の歌人・在原業平が、禁じられた恋の相手を想って詠んだとされる、「ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」が元になっているようです。「私の燃える想いが激しい水の流れを真っ赤に染め上げてしまうほど、今でもあなたを愛しています」という意味が込められているとのこと。

主人公”千早(ちはや)”の名前と共通するものであり、周りを巻き込むほどの彼女の情熱的な生き方はこのタイトルにもよく表現されていると感じます。

ここで競技かるたについてちょっと説明しておきますね。”競技かるた”とは、小倉百人一首を使ったかるた取りの競技です。基本は二人ずつ向かい合って対戦し、並べた札を詠みに合わせて取り合い、早く自陣の持ち札を無くした方が勝ちとなります。試合が始まる前には必ず、並べた札を覚える暗記時間が15分ほど与えられ、いざ始まれば集中しながら相手に競り勝ってスピーディに札を取るという、ものすごく集中力・スタミナ・体力が必要とされる競技だということが作品の中で紹介されています。

大会ともなれば、トーナメント戦を勝ち上がると1日に3~5試合をこなすわけですから、連戦になるとさらにハードさが増す競技のようですね。”文科系スポーツ”とも言われるゆえんがこんなところからもうかがい知れます。

競技かるたをやる方は、学生から一般の方まで幅広く、全国の各かるた会に所属している方が大半のようです。高校にかるた部があればそこに所属しているという方もいるようです。競技かるたは、E級からA級までランク分けがされていて、いろんな大会がある中、各大会で勝つことで昇級が認められます。B級からA級に昇級するためには大会で優勝、もしくは大会で準優勝を2回する必要があるようです。

7月には滋賀県・近江神宮で全国高等学校かるた選手権大会、通称「かるたの甲子園」なんてものも開催されるとか。初日に団体戦、そして翌日には個人戦が繰り広げられるようですね。団体戦は各県の予選大会での優勝校が集まるそうです。ちなみに、参加校が10校を超えている予選大会は準優勝校も全国大会に出場できるそうです。個人戦はランクごとに分かれて試合が行われますが、県ごとの予選大会はなく、各ランクにエントリーされた方々同士でトーナメントが組まれ、それぞれの階級で優勝者が決まる仕組みです。

”綾瀬 千早(あやせ ちはや)”小学6年生。彼女の夢は、姉が日本一のモデルになること。「自分のことでないと夢にしては駄目だ。」と、千早とかるたを取り終えた目の前の彼は、そう、彼女に話すのだった。”綿谷 新(わたや あらた)”の夢はかるたの名人になること。日本で名人になることは世界で一番になることだ、とも彼は豪語した。転校生である新と出会って、初めてかるた取りをして、千早は新のかるたの札を取る圧倒的な速さの前に1枚しか札が取れず完敗する。しかし、その真剣勝負のかるたに楽しさを覚えるのと同時に、新のかるたに対する情熱と目指すものの大きさを知り、激しく心を揺さぶられるのだった。

ちはやふる8

かるたが好きになった千早は、新、そして同じクラスの”真島 太一(まじま たいち)”とともに、地元のかるた会である「白波かるた会」を見学に訪れたのだ。会場のふすまを開けて見るとそこには、札を詠みあげるCDの音に反応して真剣にかるた取りに向かう会員たちの姿が。お遊びではない本気の戦い、まさしく”競技かるた”がそこには存在していた。千早と太一は観たこともない光景に驚いた。会員の中には千早たちと同じ歳ぐらいの子供たちもいた。かるたの実力のことで見下され、その子たちの言葉に腹を立てた新は、「チームで戦いたいんや。」と千早と太一を促し、3対3で戦う源平戦方式でかるたを取ることをその子たちに申し入れる。

千早たち3人は、それぞれの役割分担をうまく果たし、見事に勝利を収めた。かるた会の責任者である原田は、千早の音を聞き分ける天性の才能に気づき、千早たちの白波かるた会への入会を促した。そして3人は白波会へ入ることに。原田は3人で出場できるチーム戦の大会があることを3人に話す。小学6年生である千早たちが出場できる最後の大会であることを知った3人は、この大会に出場することを決意。3人のうちの2人が勝てば勝ち上がれるトーナメント戦を勝ち上がるため、3人は特訓を開始した。チームでかるたが出来る、3人で大会に出られる、と喜びいっぱいで特訓に励む千早だった。

そんなある日、新が家に帰ると父親から、福井の実家のおじいちゃの体の調子が良くないことが理由でで、新が小学校を卒業するタイミングで福井へ戻るという話を聞かされるのだった。片やの太一も、名門の進学中学校への合格が決まった。小学卒業後はみんなばらばらになる。なかなかそれを言えない2人だったが、「ずっと一緒にかるたをやろうね」って話しかける千早に対して、2人はそれが出来ない理由を千早に告げるのだった。愕然とした千早は、「もう、大会には出ない」と言い残して2人のもとを去った。

大会当日、太一・新チームの中に千早の姿はなかった。「そっちのチームメイト、負けるのが嫌で来ないんじゃねーの。」という相手チームの言葉に対して、「千早は遅れているだけだ。」と言い放つ太一。2人は朝、千早の家に大会で着るお揃いのTシャツを届けていた。千早は、母親から太一と新が届け物を持ってきたことを知らされる。その袋を受け取り中身を取り出すと、真っ赤なTシャツが1枚。Tシャツには”チームちはやふる”という文字がプリントされていた。

それを目にした千早は、勢いよく家を飛び出した。太一と新の待つ試合に千早はなんとか間に合った。3人は気持ちをひとつに懸命にかるたを取った。大会が終わった帰り道、新がつぶやく。「太一、千早にトロフィーあげたかったな。」「ごめん、俺が勝ってれば。」泣きながら土下座する太一。「もっと、もっと、3人でかるたがしたかったよー。」そう言いながら、千早は新と太一の傍らで声を上げて泣き続けた。

3人は卒業式を迎えた。千早と太一に別れの挨拶もなしに、新は家に帰り、明日の引っ越しのため、自分の荷づくりをはじめていた。すると、新の家に太一と千早がやってきた。「先に帰ってんじゃねーよ」「あたしとかるたしよう、新、真剣勝負。」2人の言葉を聞いた新は、すぐさま荷物の中からかるたを取り出して正座をして言った。「僕は5歳相手でも手加減せん男や。」これが3人でする最後のかるた。

太一が札を詠みあげ、2人が札を取り始めた。新は言葉の通り、容赦なく札を連取する。ちはやふるの札で2人が同時に札を押さえた。「同時、同時の時は札のおいてある陣の勝ちだって、先生言ってた。」千早が札を引っ張るが、新は札を離そうとはしない。新の目から大粒の涙がこぼれ、畳に落ちる。「かるたを一緒にしてくれてありがとな、千早も、太一も。でも、たぶん、もう会えん。」そう言って、新は泣いた。「なんで?あたしたちにはかるたがあるから、また会えるんじゃないの?続けていたら、また会える。絶対に会えるよ。」新の言葉に、涙交じりの笑顔で千早はそう答えるのだった。(第1~3話)

ちはやふる14

この作品は、かるたが大好きな1人の少女の生き方を軸とした物語です。彼女は濁流のごとく、自身と関わる周りを巻き込むために、彼女に感化された人々もまた、いろんな変化を遂げていきます。そうしたことから、彼女の周りの人々も並行してとても魅力的に描かれた、群像劇とも呼べる要素も多分にあって見ごたえ十分な作品です。

少女漫画「BE・LOVE」にて2008年2月より掲載中の、漫画家”末次 由紀”さんによる同タイトル漫画が原作です(既刊43巻)。TVアニメは、2011年10月~2012年3月に1期25話、2013年1月~6月に2期25話、それから6年4か月ぶりの昨年2019年10月~2020年3月に、3期24話が”日本テレビ”他で全国で放送されました。千早のかるたとの出会いから高校でのかるた部の創設、太一と新との再会、かるた部の活躍、かるた界の頂点を目指す面々との戦い、そして千早のLOVEについてが74話に描かれています。漫画ではお話がさらに続いておりますので、もちろん、今後での続編にも大いに期待できる作品です。

TVアニメの監督は、「ちょびっツ」「NANA」「俺物語!!」を手掛けた”浅香 守生”さんです。シリーズ構成の2期・3期は、「そらのおとしもの」「orange」「月がきれい」「あそびあそばせ」「色づく世界の明日から」のシリーズ構成も担当された”柿原 優子”さんです。キャラクターデザインは、「NANA」「俺物語!!」を手掛けた”濱田 邦彦”さんです。アニメーション制作は”マッドハウス”。アニメのジャンルは”競技かるた”です。高校生のお話しなので”青春”とも呼べるジャンルですが、今後の展開で社会人まで描くことを想定してなのか、広い意味でそのようなジャンルになっています。

この物語の一番の魅力は何と言っても主人公、千早のキャラにあります。彼女はかるたに関しては天性の聴力を持ちつつも、それだけに頼ろうとせず、高みを目指して常に努力を怠らない人物なのです。さらに負けず嫌いも手伝って、いつも前だけを見て、決してあきらめない性格に好感が持てます。千早の天性の聴力とは、”感じ”が良い事です。”感じ”とは、読手(かるたを詠む人)の詠みに反応する速度・聞き分ける能力を言いますが、かるたをする人にとってこの才能は、札を取りに行く速さにつながる大きな武器となるものなのです。

かるたの申し子のような彼女ですが、反面、とても鈍感で不器用なところもあり(特に恋愛において)、天然的にカワイイ側面を魅せてくれます。一見、容姿端麗でモテそうな彼女ですが、思ったことを素直に口に出してしまうため、相手をがっかりさせることが多く、周りからは”無駄美人”と呼ばれています。しかし、正しいことは正しいときちんと言えるところは1本筋が通っていて、私にしてみれば尊敬に値するところですが。

そんな彼女がどこまで自分の夢を実現してゆくのかがこの作品の見どころであることは言うまでもありません。見る側の期待に、過程と結果の両方でどのように答えてくれるのか?ちはやふるのタイトルは伊達じゃないはずです。

それと、かるた競技の札を取るシーンですが、静から動へ移る瞬間のスピード感・躍動感あふれる動きにもぜひ、注目していただきたいですね。どれだけアニメがその緊迫した雰囲気を演出できているかも合わせてご覧ください。これ観ると、競技かるたってとっても熱いし、スポーツの類だと思っちゃいますね。

ちはやふる13

今回の作品の声優さんは、どのキャラのキャスティングも素晴らしいと思えるほどにはまっていて、主役から脇役までケチのつけようがございませんでした。主人公である千早役の”瀬戸 麻沙美(あさみ)”さんについてだけ、触れておきますね。瀬戸さんが今まで演じてきたキャラの代表的なものは「TARI TARI 」/宮本 来夏、「東京喰種トーキョーグール」/真戸 暁、「盾の勇者の成り上がり」/ラフタリア、「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」/桜島 麻衣などです。

子供っぽい女子から大人な女性まで割と幅広く演じられているようです。私的には「TARI TARI 」と「盾勇」の瀬戸さん演じるカワイイ系キャラが好きでした。今回は、千早の幼少期と高校生との両方のを見事に演じ分けていて上手だなって思いました。千早らしさを120%引き出してくれた素晴らしい声優さんです。

最後はアオハルな1期・2期・3期のオープニングテーマの紹介でお別れです。
瀬戸さんが歌うエンディングテーマ(1期エンディング/そしていま)はもちろん最高なのですが、
アップNGにつきご容赦くださいませ。

1期オープニングテーマ「YOUTHFUL/99RadioService」
2期オープニングテーマ「STAR/99RadioService」
3期オープニングテーマ「COLORFUL/99RadioService」

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takapon46

Author:takapon46
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マジンガーZにパイルダ~オン!ヤマトと999の主人公達と一緒に旅していたアニメ世代の私も今は40歳。嘘です。年齢だけは立派な50歳になりました、てへぺろ。40歳を過ぎた頃から再び、アニメの世界へ戻って来まして、今は専ら深夜帯アニメに夢中です。私なりに選りすぐりだと思うアニメを紹介しておりますので、良かったら覗いていって下さいね。

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