今の自分を越えたいならば今以上に努力を重ねるしかない。諦めも継続も最後に決めるのは、やはり自分自身である。「忘却バッテリー」
私が好きなスポーツはサッカー。小学4年から6年までは少年野球団で野球をやってましたが手を使う球技がいまいち自分にはフィットせず野球はそこで終了。中学・高校では足クセの悪さが功を奏して?サッカーをやっていました。観る方もどちらかと言うと野球よりはサッカーを観ます。だけど、なぜか漫画やアニメにおいては圧倒的に野球をテーマとした作品に惹かれてしまいます。
「巨人の星」「ドカベン」「タッチ」「MAJOR(メジャー)」あたりが私が通過してきた野球アニメです。どの作品も基本的には野球+努力+友情あたりが主なテーマとして取り上げられています。ただし、「タッチ」だと家族・恋などのテーマもさらに加わりますし、「MAJOR(メジャー)」だと家族・逆境などがテーマに盛り込まれています。野球だけじゃない、プラス・アルファの要素がそれなりにどの作品にも入っていて、とてもドラマチックに観ることができた作品だったという印象です。
これらの作品は野球と一緒に扱うテーマの多少の違いがありますが、どれも魅力ある素晴らしい作品であることに間違いはありません。その中で「タッチ」が個人的には一番共感できた作品です。私の青春期にやっていた作品であることが一番の理由になるかと思いますが。南ちゃんという可愛いらしいヒロインが登場し、野球とは別に双子の主人公たちとの男の子との恋の行方も気になるエピソードがあったりして自分の中では大いに盛り上がりましたね。
そして「タッチ」に関してはコメディとシリアスのバランスの良さがとても魅力的に映りました。南ちゃんを好きな主人公が彼女が望む甲子園出場を果たすという大きな目標があり、それに向かって努力する主人公の姿が積み重なって物語は進んで行きますが、さらに全国の頂点を極めるというサプライズ的な展開も用意されていて、その最高潮の記憶が私の脳裏に深く刻まれる事となり、生涯その記憶は私の中から消える事はないかと思います。
良い作品・愛される作品はベースとなるテーマに向かって複数のテーマも巧みに関連付けられていて、より厚みのあるお話になるよう構成付けされているんじゃないでしょうか。主人公のバックボーンが徐々に浮かび上がり、人間臭さのあるスト-リー展開で進んで行くような作品こそが多くの読者・視聴者に共感・支持されるのでしょう。
それは決して野球漫画や野球アニメに限ったことではなく、他のスポーツ作品でも同様なことが言えるのではないでしょうか。
最近観たスポーツアニメで一番面白かったのは「忘却バッテリー」という野球がテーマの作品です。
中学野球界で屈指の天才バッテリー(ピッチャーとキャッチャーのこと)と謳われた二人が、何故か野球では無名の高校に入学。二人のバッテリーの卓越したすごさを知る同級生に誘われ再び野球をやることになるわけですが・・・。
チーム全体を束ねる野球の頭脳と呼ばれるポジションのキャッチャーとして、まわりからは”智将”と呼ばれる存在だった主人公が記憶喪失となっていて、その存在を微塵も感じさせないくらいにとてつもないおバカなふるまいをする人物に変わってしまっています。片やのピッチャーであるもう一人の主人公は、バッターボックスに立つ対戦相手をことごとく自信喪失に追いやってしまうほどの豪速球で相手を粉砕します。
この二人のバッテリーと対戦して自信喪失に追い込まれ野球を引退してしまった野球部員は数知れず。そんな元野球少年二人が主人公たちと同じ高校に入学していて、ひょんなことからこのバッテリ-二人との運命的な再会を果たすのでした。一度は諦めた野球ですが、二人の存在が彼らを刺激して再び野球の世界に戻されるわけですが・・・。このバッテリーの求心力で周りには野球経験者も次第に集まり徐々にチームはまとまり強くなっていく、といったストーリーです。
全13話のお話ですが、この1期だけでは物語は完結しません。はじめから2期続投が前提の作品なんだと思います。なぜ記憶喪失になったのかは1期の中では明らかにされていませんが、やはりそのあたりは気になるので2期を心待ちにしたくなるわけです。
記憶喪失なるという事は事故、あるいは過度の様々なストレスから逃れたいなどの理由とかがあるのかもしれません。今までの野球漫画・アニメと一味違ったテイストを感じるこの作品、いずれ明らかになる理由という伏線が備わったあらたな野球漫画・アニメが新境地を切り開きます。
”清峰 葉琉火(はるか)”と”要 圭”は最強のバッテリーである。最強がゆえにすべての球児たちの夢を打ち砕く。絶対に忘れることのできない悪夢のようなバッテリーだ。試合終了後に要圭は言う。「相手のことは気にするな。」「でも・・・」「大丈夫だ。負けた相手のことをいちいち考えるな。お前には未来があるんだから全部忘れろ。」「うん。」
剛腕ピッチャーの葉琉火とチームの司令塔で強肩キャッチャーの圭、二人は宝谷シニアのバッテリーで中学野球界においては無敵の存在である。ここは病院の一室。圭は頭に包帯を巻いてベットの中でバナナをむいて食べていた。そこへ葉琉火が見舞いにやって来た。葉琉火を見た圭が答える。「あれ、君、誰だったっけ?」彼らに何が起こったのか?
親父に冗談でつけられたような名前の”山田 太郎”は勉強もスポーツもごく普通の都立小手指高等学校へ入学を果たした。葉琉火との対戦で身の程を知った太郎は野球とは無縁の高校へ入り自由な学校生活を送ろうとしていた。登校初日、校門近くにイケメンがいるとのうわさに耳を傾けた太郎の視線の先に、なんと清瀬 葉琉火と要 圭の姿があった。まさかこんな野球部もない学校に名門への特別推薦枠が山ほど入る二人がいるわけがない、といい聞かせながら再び視線を向けると間違いなく要 圭本人であり、なぜかこっちを見ているではないか。
そして要 圭は近づいて来て山田 太郎に話しかけてきた。「助かった~、女子が誰一人オレに話しかけてくれね~んだもん、存在感なかったわ。良かった、友達いて。」すると太郎は答える。「えっ、友達?ボクは友達ではないと思うけど、話すの初めてですし。」「えっ、そうだっけ?OK、OK、じゃ今から友達な。マブダチ記念にオレの一発芸を特別大公開!パイ毛~!!」目の前には冷静沈着で智将と呼ばれた憧れの存在の要 圭がいるはずなのだが、めちゃくちゃ頭が悪そうだった。気がつけば山田は二人と同じクラスになっていた。
下校時間、外では部活の勧誘が行われていた。野球部が無いはずの学校だったのに今年から愛好会のような野球部が発足されていた。野球部員に声をかけられた葉琉火だが、まさか入るわけがないと思っていた山田をよそに入部届けにしっかりと名前を書いている葉琉火の姿が。「山、お前も入れ。」まさかの憧れの存在で自分よりも上手な人に逆らえない山田は名前を書いてしまう。「圭も・・・」「やりま千円。野球とかあり得ナイツ。キャッチャーとか誰でもいいじゃん。オレ、ルールとかも全部忘れたから無理よ。」「だめだ。圭じゃなきゃオレの球は取れない。」「買いかぶり過ぎだって。若いんだから視野を広く持とうぜ。」「でも・・・」
そこへいかにもクズな先輩野球部員がやって来た。葉琉火にどのポジション希望なのかと尋ね、葉琉火がピッチャーと答えると早速対戦しようと言う話になる。野球グランドに行き山田がキャッチャーのプロテクターを付け葉琉火の球を受けることになった。正規捕手でない山田に対して葉琉火は100キロ程の速さの球しか投げない。当然、先輩はバッティングセンターのようだと言いながらバカすか葉琉火の球を撃ち返した。「もうそろそろやめてやろうか?これ以上おもちゃにしたらかわいそうだもんな。」
本来の葉琉火の球なら打たれるはずがないのにと悔しい想いがこみ上げた山田は立ち上がり、「清峰君、全力で投げていいから。今まで手加減させてゴメンね。絶対とめてみせるよ。」とそう伝えた。「あのピッチャーホントしょぼいな。本気出してなかったみたいな。」もう一人の先輩がそう言いながら笑うのを見た圭はいたたまれなくなって答える。「山ちゃん、ゴメンな。オレと代わって。オレ、ラブ&ピースで行きたいからさ。こういう状況ってどうにも気に入らねえから。」山田と代わってプロテクターとマスクをかぶった圭は臭いだのかゆいだのを連発しだした。本当に以前にキャッチャーをやっていた記憶がないのだ。
山田はしゃがみこんだ圭にボールをキャッチするための構え方を教えた。キャッチャーが圭に代わると葉琉火の意識は変わり、肩をぐるぐる回し体制を整えはじめた。ついに二人のバッテリー復活の瞬間が訪れる。「バッチ来い!」圭の掛け声のあと、圭のキャッチャーミットど真ん中めがけて葉琉火のすさまじい速さのボールが投げ込まれた。バッターボックスに立っていた先輩は身じろぎ1つせず驚きおののきその場から退散した。彼女と会わなければいけないことを理由に先輩たちはいなくなった。葉琉火の全力の一球を受け止めた圭は手のひらを眺めていた。
「とれたね。」山田の言葉に圭が答える。「うん。ジンジンする。」それに対し葉琉火が答える。「オレの球で思い出させてやるよ。野球の楽しさ。」感動の瞬間かと思いきや、我に返った圭は「いやいや、無理無理、イイっす。ノーサンキュー。本当に本気で投げるやつがあるか!二度と野球なんかやらないから。葉琉ちゃんのバカ!~、山ちゃんのうんこ!~。」そう言ってグランドから逃げ出す圭であった。今、二人の野球人生が再び動き出し始めた。無名の高校野球部で最強バッテリーの復活はいかに!?(第1話)
この作品の面白さは一番にありきたりでない物語性にあります。絶対的な無双の強さを誇る二人のバッテリーでありながら、片方が記憶喪失に見舞われます。一旦築いたものが崩れ、再び二人がその糸口を辿り再構築していくお話です。記憶喪失なので野球のやり方も一から覚えるわけですが、体が記憶していることが多少の救いにはなっています。親友と再び野球がしたいという想い。自分が何者かを忘れてはいるけれど親友の気持ちにも応えたいという想い。
徐々に野球の面白さに気づきはじめ、親友と再び勝利を目指していく。それと同時に過去に二人と対戦したがために野球に挫折してしまった男が二人、同じ高校で偶然の再会を果たします。そして彼らも共に野球部のメンバーとして復活するのですが、彼らの野球に対する情熱の復活群像劇にも注目です。野球+努力+友情+逆境?の青春物語を堪能していただければ幸いです。スポーツとくればやはり努力、そして友情ですよね。これらのメンバーで高校野球のどこまで昇り詰めていくのかが楽しみな作品です。
また、コメディとシリアス展開の程よいバランスが絶妙で視聴者を飽きさせない作品でもあります。鋭いギャグと熱いシーンが本作品の特徴であり、こちらには声優さんの力も大いに関係しておりまして、主人公・要 圭の二面性を演じる宮野 守さんと山田 太郎兼物語のナレーション担当も演じる梶 裕貴さんの上手さが光っております。そのあたりの声優さんの作品に対する貢献度合いも併せて観ていただければ嬉しいですね。
物語性と声優さんの力量が相まって場面場面でいつの間にか作品に引き込まれてしまいます。2期以降の制作にも期待しつつ小手指高校野球部の躍進を一緒に見守っていきましょう。
この作品は漫画家”みかわ 絵子”さんによるウエブコミックサイト「ジャンプ+」に2018年4月26日より隔週木曜日に連載中の同タイトル漫画が原作です。既刊19巻。アニメ化され2024年4月より”テレビ東京”系全6局で全12話が放送となりました。
インターネットは”Amazon Prime Video”、”dアニメストア”、”Netflix”、”Hulu”、”ABEMA”、”U-NEXT”、”バンダイチャンネル”、”ニコニコチャンネル”、”FOD”他で配信中です。
ジャンル/”スポーツ”・”青春”、監督/”中園 真登”さん、シリーズ構成/”横手 美智子”さん(SHIROBAKO、ツルネ-風舞高校弓道部-、からかい上手の高木さんのシリーズ構成も担当)、キャラクターデザイン/”長谷川 ひとみ”さん、アニメーション制作/”MAPPA”。
<主な出演声優さん>
清峰 葉琉火:”増田 俊樹”さん、要 圭:”宮野 守”さん、山田 太郎:”梶裕 貴”さん、藤堂 葵:”阿座上 洋平”さん、千早 瞬平:”島﨑 信長”さん
疾走感のあるオープニングテーマとどこか懐かしい気持ちにさせてくれるエンディングテーマもとても耳に残ります。こちらの青春ソングもぜひ、ご堪能下さい。
オープニングテーマ「ライラック/Mrs.GREEN APLLE」
エンディングテーマ「忘レナ唄/マカロニえんぴつ」
見る参考になったよ、という方はぽっちいただけるとうれしいです。
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「巨人の星」「ドカベン」「タッチ」「MAJOR(メジャー)」あたりが私が通過してきた野球アニメです。どの作品も基本的には野球+努力+友情あたりが主なテーマとして取り上げられています。ただし、「タッチ」だと家族・恋などのテーマもさらに加わりますし、「MAJOR(メジャー)」だと家族・逆境などがテーマに盛り込まれています。野球だけじゃない、プラス・アルファの要素がそれなりにどの作品にも入っていて、とてもドラマチックに観ることができた作品だったという印象です。
これらの作品は野球と一緒に扱うテーマの多少の違いがありますが、どれも魅力ある素晴らしい作品であることに間違いはありません。その中で「タッチ」が個人的には一番共感できた作品です。私の青春期にやっていた作品であることが一番の理由になるかと思いますが。南ちゃんという可愛いらしいヒロインが登場し、野球とは別に双子の主人公たちとの男の子との恋の行方も気になるエピソードがあったりして自分の中では大いに盛り上がりましたね。
そして「タッチ」に関してはコメディとシリアスのバランスの良さがとても魅力的に映りました。南ちゃんを好きな主人公が彼女が望む甲子園出場を果たすという大きな目標があり、それに向かって努力する主人公の姿が積み重なって物語は進んで行きますが、さらに全国の頂点を極めるというサプライズ的な展開も用意されていて、その最高潮の記憶が私の脳裏に深く刻まれる事となり、生涯その記憶は私の中から消える事はないかと思います。
良い作品・愛される作品はベースとなるテーマに向かって複数のテーマも巧みに関連付けられていて、より厚みのあるお話になるよう構成付けされているんじゃないでしょうか。主人公のバックボーンが徐々に浮かび上がり、人間臭さのあるスト-リー展開で進んで行くような作品こそが多くの読者・視聴者に共感・支持されるのでしょう。
それは決して野球漫画や野球アニメに限ったことではなく、他のスポーツ作品でも同様なことが言えるのではないでしょうか。
最近観たスポーツアニメで一番面白かったのは「忘却バッテリー」という野球がテーマの作品です。
中学野球界で屈指の天才バッテリー(ピッチャーとキャッチャーのこと)と謳われた二人が、何故か野球では無名の高校に入学。二人のバッテリーの卓越したすごさを知る同級生に誘われ再び野球をやることになるわけですが・・・。
チーム全体を束ねる野球の頭脳と呼ばれるポジションのキャッチャーとして、まわりからは”智将”と呼ばれる存在だった主人公が記憶喪失となっていて、その存在を微塵も感じさせないくらいにとてつもないおバカなふるまいをする人物に変わってしまっています。片やのピッチャーであるもう一人の主人公は、バッターボックスに立つ対戦相手をことごとく自信喪失に追いやってしまうほどの豪速球で相手を粉砕します。
この二人のバッテリーと対戦して自信喪失に追い込まれ野球を引退してしまった野球部員は数知れず。そんな元野球少年二人が主人公たちと同じ高校に入学していて、ひょんなことからこのバッテリ-二人との運命的な再会を果たすのでした。一度は諦めた野球ですが、二人の存在が彼らを刺激して再び野球の世界に戻されるわけですが・・・。このバッテリーの求心力で周りには野球経験者も次第に集まり徐々にチームはまとまり強くなっていく、といったストーリーです。
全13話のお話ですが、この1期だけでは物語は完結しません。はじめから2期続投が前提の作品なんだと思います。なぜ記憶喪失になったのかは1期の中では明らかにされていませんが、やはりそのあたりは気になるので2期を心待ちにしたくなるわけです。
記憶喪失なるという事は事故、あるいは過度の様々なストレスから逃れたいなどの理由とかがあるのかもしれません。今までの野球漫画・アニメと一味違ったテイストを感じるこの作品、いずれ明らかになる理由という伏線が備わったあらたな野球漫画・アニメが新境地を切り開きます。
”清峰 葉琉火(はるか)”と”要 圭”は最強のバッテリーである。最強がゆえにすべての球児たちの夢を打ち砕く。絶対に忘れることのできない悪夢のようなバッテリーだ。試合終了後に要圭は言う。「相手のことは気にするな。」「でも・・・」「大丈夫だ。負けた相手のことをいちいち考えるな。お前には未来があるんだから全部忘れろ。」「うん。」
剛腕ピッチャーの葉琉火とチームの司令塔で強肩キャッチャーの圭、二人は宝谷シニアのバッテリーで中学野球界においては無敵の存在である。ここは病院の一室。圭は頭に包帯を巻いてベットの中でバナナをむいて食べていた。そこへ葉琉火が見舞いにやって来た。葉琉火を見た圭が答える。「あれ、君、誰だったっけ?」彼らに何が起こったのか?
親父に冗談でつけられたような名前の”山田 太郎”は勉強もスポーツもごく普通の都立小手指高等学校へ入学を果たした。葉琉火との対戦で身の程を知った太郎は野球とは無縁の高校へ入り自由な学校生活を送ろうとしていた。登校初日、校門近くにイケメンがいるとのうわさに耳を傾けた太郎の視線の先に、なんと清瀬 葉琉火と要 圭の姿があった。まさかこんな野球部もない学校に名門への特別推薦枠が山ほど入る二人がいるわけがない、といい聞かせながら再び視線を向けると間違いなく要 圭本人であり、なぜかこっちを見ているではないか。
そして要 圭は近づいて来て山田 太郎に話しかけてきた。「助かった~、女子が誰一人オレに話しかけてくれね~んだもん、存在感なかったわ。良かった、友達いて。」すると太郎は答える。「えっ、友達?ボクは友達ではないと思うけど、話すの初めてですし。」「えっ、そうだっけ?OK、OK、じゃ今から友達な。マブダチ記念にオレの一発芸を特別大公開!パイ毛~!!」目の前には冷静沈着で智将と呼ばれた憧れの存在の要 圭がいるはずなのだが、めちゃくちゃ頭が悪そうだった。気がつけば山田は二人と同じクラスになっていた。
下校時間、外では部活の勧誘が行われていた。野球部が無いはずの学校だったのに今年から愛好会のような野球部が発足されていた。野球部員に声をかけられた葉琉火だが、まさか入るわけがないと思っていた山田をよそに入部届けにしっかりと名前を書いている葉琉火の姿が。「山、お前も入れ。」まさかの憧れの存在で自分よりも上手な人に逆らえない山田は名前を書いてしまう。「圭も・・・」「やりま千円。野球とかあり得ナイツ。キャッチャーとか誰でもいいじゃん。オレ、ルールとかも全部忘れたから無理よ。」「だめだ。圭じゃなきゃオレの球は取れない。」「買いかぶり過ぎだって。若いんだから視野を広く持とうぜ。」「でも・・・」
そこへいかにもクズな先輩野球部員がやって来た。葉琉火にどのポジション希望なのかと尋ね、葉琉火がピッチャーと答えると早速対戦しようと言う話になる。野球グランドに行き山田がキャッチャーのプロテクターを付け葉琉火の球を受けることになった。正規捕手でない山田に対して葉琉火は100キロ程の速さの球しか投げない。当然、先輩はバッティングセンターのようだと言いながらバカすか葉琉火の球を撃ち返した。「もうそろそろやめてやろうか?これ以上おもちゃにしたらかわいそうだもんな。」
本来の葉琉火の球なら打たれるはずがないのにと悔しい想いがこみ上げた山田は立ち上がり、「清峰君、全力で投げていいから。今まで手加減させてゴメンね。絶対とめてみせるよ。」とそう伝えた。「あのピッチャーホントしょぼいな。本気出してなかったみたいな。」もう一人の先輩がそう言いながら笑うのを見た圭はいたたまれなくなって答える。「山ちゃん、ゴメンな。オレと代わって。オレ、ラブ&ピースで行きたいからさ。こういう状況ってどうにも気に入らねえから。」山田と代わってプロテクターとマスクをかぶった圭は臭いだのかゆいだのを連発しだした。本当に以前にキャッチャーをやっていた記憶がないのだ。
山田はしゃがみこんだ圭にボールをキャッチするための構え方を教えた。キャッチャーが圭に代わると葉琉火の意識は変わり、肩をぐるぐる回し体制を整えはじめた。ついに二人のバッテリー復活の瞬間が訪れる。「バッチ来い!」圭の掛け声のあと、圭のキャッチャーミットど真ん中めがけて葉琉火のすさまじい速さのボールが投げ込まれた。バッターボックスに立っていた先輩は身じろぎ1つせず驚きおののきその場から退散した。彼女と会わなければいけないことを理由に先輩たちはいなくなった。葉琉火の全力の一球を受け止めた圭は手のひらを眺めていた。
「とれたね。」山田の言葉に圭が答える。「うん。ジンジンする。」それに対し葉琉火が答える。「オレの球で思い出させてやるよ。野球の楽しさ。」感動の瞬間かと思いきや、我に返った圭は「いやいや、無理無理、イイっす。ノーサンキュー。本当に本気で投げるやつがあるか!二度と野球なんかやらないから。葉琉ちゃんのバカ!~、山ちゃんのうんこ!~。」そう言ってグランドから逃げ出す圭であった。今、二人の野球人生が再び動き出し始めた。無名の高校野球部で最強バッテリーの復活はいかに!?(第1話)
この作品の面白さは一番にありきたりでない物語性にあります。絶対的な無双の強さを誇る二人のバッテリーでありながら、片方が記憶喪失に見舞われます。一旦築いたものが崩れ、再び二人がその糸口を辿り再構築していくお話です。記憶喪失なので野球のやり方も一から覚えるわけですが、体が記憶していることが多少の救いにはなっています。親友と再び野球がしたいという想い。自分が何者かを忘れてはいるけれど親友の気持ちにも応えたいという想い。
徐々に野球の面白さに気づきはじめ、親友と再び勝利を目指していく。それと同時に過去に二人と対戦したがために野球に挫折してしまった男が二人、同じ高校で偶然の再会を果たします。そして彼らも共に野球部のメンバーとして復活するのですが、彼らの野球に対する情熱の復活群像劇にも注目です。野球+努力+友情+逆境?の青春物語を堪能していただければ幸いです。スポーツとくればやはり努力、そして友情ですよね。これらのメンバーで高校野球のどこまで昇り詰めていくのかが楽しみな作品です。
また、コメディとシリアス展開の程よいバランスが絶妙で視聴者を飽きさせない作品でもあります。鋭いギャグと熱いシーンが本作品の特徴であり、こちらには声優さんの力も大いに関係しておりまして、主人公・要 圭の二面性を演じる宮野 守さんと山田 太郎兼物語のナレーション担当も演じる梶 裕貴さんの上手さが光っております。そのあたりの声優さんの作品に対する貢献度合いも併せて観ていただければ嬉しいですね。
物語性と声優さんの力量が相まって場面場面でいつの間にか作品に引き込まれてしまいます。2期以降の制作にも期待しつつ小手指高校野球部の躍進を一緒に見守っていきましょう。
この作品は漫画家”みかわ 絵子”さんによるウエブコミックサイト「ジャンプ+」に2018年4月26日より隔週木曜日に連載中の同タイトル漫画が原作です。既刊19巻。アニメ化され2024年4月より”テレビ東京”系全6局で全12話が放送となりました。
インターネットは”Amazon Prime Video”、”dアニメストア”、”Netflix”、”Hulu”、”ABEMA”、”U-NEXT”、”バンダイチャンネル”、”ニコニコチャンネル”、”FOD”他で配信中です。
ジャンル/”スポーツ”・”青春”、監督/”中園 真登”さん、シリーズ構成/”横手 美智子”さん(SHIROBAKO、ツルネ-風舞高校弓道部-、からかい上手の高木さんのシリーズ構成も担当)、キャラクターデザイン/”長谷川 ひとみ”さん、アニメーション制作/”MAPPA”。
<主な出演声優さん>
清峰 葉琉火:”増田 俊樹”さん、要 圭:”宮野 守”さん、山田 太郎:”梶裕 貴”さん、藤堂 葵:”阿座上 洋平”さん、千早 瞬平:”島﨑 信長”さん
疾走感のあるオープニングテーマとどこか懐かしい気持ちにさせてくれるエンディングテーマもとても耳に残ります。こちらの青春ソングもぜひ、ご堪能下さい。
オープニングテーマ「ライラック/Mrs.GREEN APLLE」
エンディングテーマ「忘レナ唄/マカロニえんぴつ」
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