TPPでビールは安くなるか

TPPは基本方向として関税撤廃だと思う。
当然、ビールの関税も撤廃されるだろう。
ここだけ見ると、国産ビールと、海外のビールの競争でどっちが勝つかの話みたいだけれど、おそらくそれではすまないと思う。
ビールには酒税がかかる。
これは国産でも輸入でも同じだと思う。
ところが、我が国には特殊な事情がある。ビール以外に、ビールのような発泡酒、第三のビールという商品があり、これらはビールよりも低い税率が適用される。
というか、ビールの税率が高いから、似て非なる商品を開発し、その他の雑酒の税率の適用を受けたわけだ(税当局もその他の雑酒の区分を変更して対抗。サッポロビールと国税の争いも未だ記憶に新しい)。

これは非関税障壁と言われるおそれが高い。
ワインの税率は低いように思う。
国内にメーカーが少なく、フランスやイタリアに配慮したからではないだろうか。
ということは、ビールの税率が下がる?
以前、何かで酒税法改正について検討されているというニュースを眼にしたことがある。一説によると、ビール類飲料の酒税を一本化、現在350ml缶で、ビール:77円、発泡酒:47円、第三のビール:28円が課税されているものを一律55円にするという話もある。(TPP対応を先取り?)
こうなると我が国ビールメーカーが研究開発して安い税金で飲める飲料を開発してきたことが全くアダになってしまう。(我々にはありがたいけれど)
雁肉に対するがんもどきのように、発泡酒もそれで商品ジャンルをなすことができるだろうか。

場所はイギリス、商品はポテトチップスというか"プリングルス"。
"プリングルス"は「ポテトチップス」だと思っている人が多いと思うが、ポテトチップすだと標準税率(20%)が適用されるので、メーカーは非課税の「ケーキ」ということにして、消費税を納めないうえに、仕入れに要する消費税額の還付も受けていたという。
原料に占めるじゃがいもの含有量は50%未満なので、ポテトチップスではなく、パン生地から作った菓子扱いという解釈だそうだ。
ただし、ここでも国税当局と裁判になり、1審はメーカー勝利、控訴審では国側が勝って、メーカーは毎年2000万ポンドの付加価値税を支払うこととなったという。
白を黒といいくるめようとしても、素直に見たらやっぱり黒にしか見えないというわけだ。
税制が市場に影響を与えているわけである。
町屋には「うなぎの寝床」という、間口が狭く、奥行の長いものが多い。これは間口の広さに応じて課税したという時代の影響だといわれている。
人為的な理由で、技術開発の方向が決まるなんて、あんまり素直じゃないと思う。
酒税は含有アルコール分だけで決めたら良いんではないだろうか。
(そうするとアルコールの代用品が開発されたりして)
我が国の食料品等への軽減税率でも、いろんなケースが出てくるだろうな。