カラーで見る「花の生涯」

他の記事を優先させたので遅くなったけれど、カラーで見る「花の生涯」のことを。

正確な番組名は、"カラーでよみがえる!大河ドラマ第1作「花の生涯」"


colored-life-of-flower.png 周知のとおり、NHKの大河ドラマ第一作である。放送開始当時には、未だ「大河」という言い方はなくて、連続大型時代劇という呼び方だった。「大河」はマスコミがそう呼び、NHK側もそれを使いだしたということだ。

私はほとんどの大河ドラマを見て来たけれど、「花の生涯」は家で両親は見ていたものの、私は身を乗り出してみるということはなかった。
その次の「赤穂浪士」も同様だったが、討ち入りのシーンはしっかり見た記憶がある。

さて、カラー化された「花の生涯」だが、ここにもAIが使われていて、他の幕末物の大河ドラマのシーンをAIに見せて学習させたと番組で解説されていた。
今までもいろんな方法でモノクロのカラー化はされているが、この「花の生涯」は変な色ズレとかもあまりなくて、うまく処理されていると思う。

モノクロの明度だけからでは青か赤かの区別もできない場合もあると思うが、そこは考証家の先生が、この時代にこの身分の人がこういう場面では、この色は使わないというようにアドバイスされていたようだ。

もちろん現代のドラマと違い、精細度は低いし、セットなどの凝りようは比べるべくもない。
しかし、この第一作から、風格ある重厚なドラマになっていたと思う。
なにより、39話・9ヵ月30時間近くかけて描かれる人間劇は、映画では難しいものだろう。

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「こんなに胸がどきどきしてます」と長野の手をとって胸にあてる
印象的だったのは、淡島千景(村山たか)の色っぽさ。
そうだったんだ、第一回から長野主馬(佐田啓二)を誘って寝るんだ。

その前の台詞では、私は今まで身を売ったことはないといってるんだけど、この色っぽさ、どうみても長野主馬が初めての男とは思えないが。
Wikipediaによると、村山たかは、祇園の芸妓になり男子も生み、育てている。故郷彦根に戻って、井伊直弼と情を交わし、さらに直弼を通じて長野主膳と会って深い仲になるという。ただ、男を翻弄するわけでも、されるわけでもなく、何かしらきりっとした感じの女性だったのだろう、日本史上初めて名をとどめるスパイという。

ドラマでは長野がたかと情を交わしたあと、直弼に紹介するという設定で、逆になっている。


淡島千景は、このドラマ出演時は40歳だと思う。熟女の魅力がこぼれだしている。
史実の村山たかも、きっとこのように魅力的な女性だったのだろう。はまり役というやつだ。

淡島千景の芸名は『淡路島通ふ千鳥の鳴く声に 幾夜寝ざめぬ 須磨の関守』からとられたそうだが、千鳥になりたい男がテレビの前に千羽どころではなく殺到していたに違いない。


この番組に先立って「大河ドラマが生まれた日」というドラマをやっていたが、淡島千景はともさかりえが演じていたが、色香では圧倒的に淡島千景だな。ドラマ中、制作スタッフの父が「淡島千景のサインもらってくれ」と言うシーンがあったが、さもありなん。

ところで、大河ドラマの第一作がなぜ、井伊直弼だったんだろう。決して日本史上メジャーな名前ではないと思う。

その後の幕末物の大河ドラマで、井伊直弼が優れた人物とか立派な人物だと描いていたのってあったかな?

想像するに、この企画が大河ドラマとしてずっと続くと考えられたものではなく、テレビでどれだけの時代劇が作れるのか、多分に実験的な要素があったのだろう。

「大河ドラマが生まれた日」では、なぜ井伊直弼「花の生涯」になったのか、明解な説明はなかった。ただプロデューサーの妻の実家が彦根だとかいう話があった。


完全に残っているビデオは、第1話「青柳の糸」だけだそうだが、続きを見たいものだ。

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