「光る君へ」スタート

一昨日、スタートしてからでは書きにくい、どんなドラマになるかという妄想記事を書いたが、そのとき既にドラマガイド本のあらすじを読んでいるから、昨日の第1回がどんな流れになるのかは承知していた。
ドラマガイドに掲載のストーリーはかなり詳細で、放送もその通り。1話読むのに10分もかからないから、1時間(初回拡大)との差は大きいが、それだけ丁寧に絵作りがされたいるということだと思う。

これもドラマガイドに書かれていたから、放送時間の終了が近づくとそろそろかなと思っていた。
紫式部の母は藤原為信女と伝わり、生没年不明だが、まひろの同腹の弟(?)藤原惟規を産んでまもなく亡くなったという説がある。もちろん死因は伝わっていない。


いちばん気になるのは、まひろの父藤原為時の衣装。いかにも貧乏貴族という風体だけれど、本当にこんなに貧しかったのだろうか。
源氏物語には零落した貴族の子女(夕顔、末摘花ほか)が次々に出てくるが、たしかに屋敷があちこち破れているなどの描写があるが、みんな世話する下女がいる。これって今の感覚なら中の上じゃないだろうか。
明治・大正の頃は、中流家庭といえば、住み込みの家政婦の1人ぐらいいる家だという話を聞いたことがある。
なので一昔前に、多くの日本人が中流意識をもっているという話があったが、家政婦も雇えない家が中流かい、という声もあったと思う。
まひろの家もぼろぼろに描かれているけれど、末摘花の邸も古びてはいて、破れがあっても、まひろの家のような、それこそ一切囲うものがないような状態ではない。まひろの家は、大河ドラマでいえば、西郷さんの家のようなぼろさであるが、身分でいえば、西郷よりもはるか上、西郷からみれば雲の上だろう。
ドラマ中では、任官してサラリーをもらわないと生きていけないというような台詞があったけれど、為時の経済力が実際どのぐらいだったのか知らないが、貴族と言う以上、やはり所領を持っていたのではないだろうか。
それに平安中期ではどんな状態だったかあやしいが、貴族には位禄というものがあって、為時は正五位(ドラマ第1回ではもっと下?)だったから、これももらっていたのではないだろうか。
さて為時の弊衣だけれど、当時は貴族の衣服など大量生産されているわけではないだろうから、高価で、古くなってもかなり高価な服を買い替えたりは難しかったかもしれないだろう。
ドラマでは、もちろん高級貴族との格差を強調するために脚色されたのだろうとは思うけれど、任官をお願いするというような重大な行為をするときに、ドラマのような弊衣で高官の邸を訪れるなんてありえないだろう。そんな恰好だったらそれだけで追い返されるに違いない。
さすがに東宮の漢学講師になったときは、それなりの装いで出仕している。(カビくさいとか言ってたけど)
とまあ、極端な格差があったように描かれているけれど、格差が大きかったのは事実だろうけれど、下級とはいえ貴族である藤原為時の家が、ドラマで描かれるほど貧しかったとは思えない。ドラマ上での脚色ということで見ておきたい。

普通、主役でも子供時代を子役が演じる場合は、後ろへ回されているように思うのだが、どうだろう。
オープニングのテーマ曲(冬野エミ作曲)の演奏は、例によってNHK交響楽団(広上淳一指揮)だが、ピアノソロを反田恭平が担当している。
ハープとともに粒だった音がビーズの綴りのようだ。
【追記】
末摘花の邸はまひろの家ほどひどくはないように書いたが、それは末摘花登場時を描く絵で、「蓬生」までくると傷みが進んでほとんど廃屋状態になる。源氏絵もそう描かれる。