誰でもいいから殺したいは親への殺意の裏返し
(*東洋経済新報社の許可を得て掲載しております)
毎月10件ほど、全国のご家庭に訪問カウンセリングで伺っている。
相談内容は、虐待、不登校、引きこもりなど親子問題、夫婦間の問題、パワーハラスメントなど。他にメールや電話カウンセリングが常時40件ほどあって、日本という国が家庭という足元から崩壊していることを実感する日々である。
それは都心の豪邸から歴史ある旧家、生活保護家庭まで、都市部と地域を問わず、全国的に崩壊が進んでいる。
私がお伺いするのは普通のご家庭だが、そこには、
子どもを殺して自分も死のうと思っている母親がいる。
自分が男だったら父親を殺していたという娘がいる。
復讐のために夫婦関係を続けようとする妻がいる。
恋人を絞め殺しかけた若者がいる。
生きてきた記憶がない女性がいる。
自分を傷つけることで存在を確認する人がいる…。
いかがだろうか。
どのご家庭も事件や事故の一歩手前にいた。
最近も少年犯罪が相次いだが、「誰でもよかった」とか「誰でもいいから殺したい」と言うときは、 親を殺したいときである。
が、子どもは親に愛されたいので親に対する怒りや殺意は自覚されず、だからこそ衝動だけが突き上げてくる。その結果、誰でもいいとなってしまうのだ。
一方、私が説明して初めて家庭の破綻に気づく親のなんと多いことだろうか。
新たな悲劇を出さないために、親殺しの事件事例から、子どものサインにどう気づけば良かったのかを学んでほしい。
<続く>
★「家族を追い詰める国」日本 目次
1,誰でもいいから殺したいは親への殺意の裏返し
2,「お膳立て症候群」の悲劇
3,子どもが軸の三角ゲーム
4,効率至上主義が生んだ背骨なき「怒りの国」
<犯人が「誰でもいい」「誰でもよかった」と言った事件>
・秋葉原通り魔事件
・「土浦連続殺傷事件」~金川真大の心理的背景の考察
・岡山突き落とし事件-「父子カプセル」が招いた悲劇
・高2通り魔少年の背景にあるもの
・会津若松母親殺害事件
<殺害方法に表れる心理>
・「土浦両親姉惨殺事件」―7,殺害方法に現れた「思い」
・福島高3母親殺害事件-5.殺し方が表している深層心理
・6-3)キレた祐輔と狙った部位が意味すること
<その他ご参考>
・ 「死ね」「殺す」と子に言われる親御さんへ
・「総員玉砕せよ!」―国から「死ね」と言われた若者から、親に「死ね」と言う若者へ