女性の人権hotlineの不通放置事件
青森地方法務局に設置されている人権相談電話「女性の人権ホットライン」が2013年8月上旬ごろから約6カ月間、不通状態にあったことが10日、分かった。電話線のツメが壊れ、電話機から電話線が抜けた状態になっていたのが原因だった。 同ホットラインは、家庭内暴力やストーカーなど、女性の人権問題を解決するために、全国の地方法務局に設置されている専用電話。青森地方法務局人権擁護課によると、今年1月24日、同局に「ホットラインがつながりにくい」との指摘があり、事態が発覚した。
記事によれば、1カ月に10件前後の相談が寄せられていたというのであるから、全く相談がないので不通でも気が付かなかったというわけではない。
確かに、月10件というのは少ないように思うが、年間100件を超える相談があったと言いかえれば、それなりの存在意義があったのであろう。
で、このニュースを取り上げた友人のFBスレッドでは、お役所仕事の問題が論じられていて興味深かった。詳細は省くが、不通になってても誰も気が付かない程度の存在だったということと、そうした存在に甘んじていることへの疑問、なぜもっと需要を掘り起こす努力をしないのか、閑古鳥な部署を残しているのかという批判、そしてそうした目立たない活動こそ公共の仕事ではないのかという視点があり、公共部門の存在意義一般に共通する問題として重要である。
そして、こうした不採算なお役所仕事でも大事ということと、今日警察の捜査が入ったJR北海道の規範意識のなさとは無関係ではない。営利企業が営利を追求するあまりにコンプライアンスをなおざりにしてしまうのとは別の力学で、不採算事業を公的資金の裏付けで維持している企業では事業を発展させようというインセンティブがなく、じゃあ安全を重視するかといえば、そのような意欲も減退して事なかれ主義が蔓延してしまうようである。
営利を追求するあまり、安全を蔑ろにしてはならないとはよく聞かれることだが、営利を追求するかどうかと安全を重視するかどうかは別問題である以上に、インセンティブがないが故に仕事に対する意欲が失われていれば、営利も安全も、とにかく追求する気力が減退してしまうということなのであろう。
もちろん尼崎事故を忘れているわけではないが。
上記のホットラインの問題に戻ると、これが女性の人権ホットラインだったということについても留意すべきであろう。優先すべき重要課題かどうか、その組織全体の意識も問われるべきである。
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