くま「ホテルの庭から、海岸に出られます」

わたし「ほほー」



椰子の木と海を眺めつつ、

てくてく。



大浦を望む。

手前の『和歌の浦遊歩道』は、

ミシュラン二つ星。

くま「ミシュラン」

わたし「こんな所にまで来るんだ…」



この日のプールは、

雷注意報の為、閉鎖中。



てくてく。



ひたすら下る。

わたし「これ、帰りが結構大変なんじゃ…」

くま「細君、大変です！」

くま、大興奮。



くま「蟹です、蟹がいます！」

わたし「やめたげなよー」

くま「あっ、逃げた」

わたし「そりゃ逃げるよ…」

くま「何でですか」

くま、ご不満。



わたし「わわ。怖い」

くま「国有じゃなくて、地主がいるんですね…」



わたし「磯の香りがする」

くま「鍋田浜です」



小さな入り江と、

小さな堤防。

シーグラスを探す人と、

砲丸投げの先生。



雲は厚く、

風は心地よく、

波は、静か。





周りの木々を映して、

水は、

透き通る緑。



貝殻、

砂浜、

白い砂。



静けさと心地よさを満喫していた矢先、

なにやら不穏な空模様。

わたし「わ、降ってきた」

くま「うわ、これは…細君走って下さい」

わたし「ええー」

くま「本降りで来ますよ！！」



走って、



走って、



プールの屋根下へ、

駆け込む。

わたし「つ、疲れた…」



叩き付ける雨粒で、

空気が、

白くけぶる。

わたし「すごい雨だね」

くま「大粒です」



くま「うーん、沖は少し明るいんですが…」

雨、降りやまず。

久方ぶりの、

雨宿り。