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東北地方太平洋沖地震から6年、津波で流された漁船がアメリカ・オレゴン州の浜辺で発見される

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image credit:PENNEWS/TIFFANYBOOTHE/SEASIDEAQUARIAM

 2011年3月11日、日本で発生した東北地方太平洋沖地震から6年以上が過ぎた。その時に津波によって流された船が、最近になりアメリカの海岸に漂着したそうだ。

 流れ着いた先はオレゴン州アルカディアのレクリエーションサイトの海岸で、船体は転覆しており、外部にはフジツボや、内部には高級食材にもなるカメノテでびっしり覆われていた。

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黒潮に乗りハワイを経由し漂流を続け、6年かけてアメリカへ

 専門家によると、津波に流された船はおそらく日本から東へと流れる黒潮に乗ったのだと考えられる。英国地質調査所のデビッド・タッピン教授(2011年の被災地の被害を最初に評価した外国人の1人)はその経緯について次のように説明している。

 「流された船体は黒潮に乗って東へ流されました。たぶん最初に流れ着いたのはハワイで、6~8ヶ月かかったでしょう。それから12~14ヶ月してアメリカ北西部の海岸へ向けて漂流を始めたのだと思います」(タッピン教授)

 そしてアメリカ沖で船は太平洋ゴミベルトに乗った可能性が高い。

 「海を漂う物の多くはそれに乗って、時計回りに流され続けます。おそらく細かく分解されるまで漂流を続けるのでしょう。ですがほんの一部が海岸に流れ着くこともあります」(タッピン教授)

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幽霊船となって何周か漂流を続けていた漁船

 英国立海洋研究所のアンドリュー・ヨール博士、アドリアン・ニュー教授、リチャード・ランピット教授によれば、船は少なくとも北太平洋旋廻を経由して太平洋ゴミベルトに乗るというコースを2周はしたと考えられるそうだ。こうした環流が船が長旅をした理由だろうという。

 「北太平洋旋廻からアラスカ海流へと運ばれたと考えられます。そして周回したのは1度だけではないでしょう」と彼らは説明する。

 この漁船は幽霊船となりグルグルと海の上を周回していたのだ。

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台風により漂流から海岸へ

 船の発見者はオレゴン州にあるシーサイド水族館のティファニー・ブース氏。その幽霊のような行進に終止符を打ったのは台風だと話す。

 大型の台風と西に吹く強風に煽られて、環流から押し流される漂流物がある。

 かつて漁業で用いられていたガラス製の浮き玉が今でも米西海岸に流れ着いているそうで、これは1960年代以降は日本の漁師たちもあまり使用しなくなったものだ。

 西海岸には数世紀も前の日本からの漂流物が今になって流れ着いてくることもあるのだそうだ。

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 これまでの調査で、2011年の東北地方太平洋沖地震の津波によって2000万トンものゴミやがれきが海に流されてきたことがわかっている。

 太平洋の場合、漂流物が地域の海岸に限定されるということはなく、海流に乗って東へと流されていくのだそうだ。

 なお船は先週オレゴン州当局によって撤去されたそうだ。

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image credit:PENNEWS/TIFFANYBOOTHE/SEASIDEAQUARIAM
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References:reportuk / Theworldnews / amazingreveal/ translated by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント、27件

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  1. 見つからなかったあの人も、
    いつかどこかにたどりつくのでしょうか

  2. 7年近くも漂っていたのか。
    お疲れ様と言いたい。

    ところで何かの甲殻類でびっしりになってる合間の、薄褐色のニョロっとした物は何なんだろう。

  3. 放射線を浴びているから、防護服で解体するのかな。。。
    カメノテこわい。

  4. 撤去などのお手間をおかけしますが、ありがとうございます。

    ガラスのブイなど、日本では海鮮居酒屋やスーパーの水産部門の飾り用でしか作ってないのよね。
    だけど、いまだに漂着物として北米ではアートの素材になっているという。

  5. エボシガイだね。
    浮遊性のカメノテみたいなもんだけど、食材にするぺルセベスとは大分違う。
    同じく甲殻類の近い仲間ではあるけど、こいつが食えるかどうかは知らん。
    出汁くらいは出そうだけどね。

  6. こういうのを見ると、北米大陸で日本の古銭やいろいろなものがインディアンの遺跡で、時々見つかるのも納得できる。

  7. いつも思うけど、太平洋ゴミベルトを空撮する人は出ないものなのだろうか?
    流石に広すぎて無理かもしれないけど…
    マジモンの幽霊船的なモノとか漂ってそう

  8. 分解されてるものもあるけど、ガラスの浮きとか本当に何年経ってもそのままなんだなあ

  9. まるでタイムカプセルみたいで感慨深い
    はるばるこんな遠くまで流れ着く事もあるんだな

    ただびっしりついた”奴ら”はトライポフォビアにはほんま辛い

  10. トライポフォビアの人ってどんな話題でも名乗らずにいられないの?
    ブツブツブツブツ、コメントの方が鬱陶しいんだけど

  11. トライポフォビア的なものを見るとスクレーパーなんかで削って綺麗に磨き上げたくなる。
    見るだけでウズウズしてくる。ガシガシやりたい!

  12. 活きてることが当たり前の食材としての貝を茹でる時に
    可哀そうだな、って思っていました

    ふっきれた! 遠慮なく味噌汁にしてしまおう

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