金出さないと普通レベルの人間も集まらない
というのを読んだ。まあ、非難ゴウゴウのようだ。
要約すると「TOPページデザイン5万くらいのホームページ制作だが、募集してもまともな人が応募してこない。まともな人は高すぎる。たしかに発注金額は高くないが、そのぶんサポートはやるんだけど。どうなってるんだ、WEB業界で働く人間は」という話。
それに対する意見を述べている人がのきなみ「TOPページデザイン5万の単発案件なんざ」的な感じなんだけれど、実際には
あと上記を書いた人が「まともな人」だと思う人の提示額が高いんなら、その人たちはその費用感でも仕事があるんだろうから、わざわざ安く感じる仕事は請けてくれないだろうな、とは思う。もし「仕事なくて困ってるし、自分の提示額で受注したこともないけど、単価が安いから請けない」って人ばかりだったら、ちょっと「どうなってるんだ、WEB業界で働く人間は」とも思うけれど。
実際のところ「TOPページデザイン5万」というだけでは高いも安いもない。要件によるだろう。たまに「サイト作って欲しい。予算は○○円」というオーダーで「ちょっと安いなあ」と思いつつノコノコ話を聞きに行ったら超簡単な仕事だったので、絶対的な額は低いが割りのよさで行くと美味しい仕事だった、なんてケースもなくはない。普通はないけど。サイト全体で受注できていれば、総額にもよるけれど見積りの費目上TOPページデザイン5万円という割り振りはあったりするし。
ともあれ「TOPページデザイン5万」という情報だけで高い安いというのは、底辺である自分でもディレクターとして言っちゃいかん気がする。いや、まともなディレクターなら「どういう要件であれ安すぎ。やってらんねえよ」ってものなのかもしれないが。
それはさておき。ちょっと費用についてまとまらないまま漫然と書いてみよう。せめて多少なりとも読みやすいように、おおまかな話題ごとに分けてみる。
話題1:どれくらいなら頼めるか?
過去に取引歴のない相手に「TOPページ単発のデザイン発注。予算5万」で、どれくらいならさして心痛まず頼めるかを個人的感覚で書いてみる。
・FIX状態のワイアフレーム提供
・テキスト支給
・写真、イラスト支給
・客先との直接遣り取りナシ
・まずはメールで。対面の打ち合わせは双方が必要と思わなければナシ
・(漠然とだが)それほど凝ったデザイン処理が要らない、求められない
まあ、こんなところか。あと、できれば「カンプは1案。修正は簡単なところを1回」くらいはクライアントに取り付けておきたい。2案の場合は「色違い2案」か「テクスチャがちょっと違う2案」くらいかな。「まったく違うもの最低2案」とかだと申し訳ないというか発注先が思い浮かばない。いや、少なからず付き合っていただいてるところなら発注先として浮かばなくもないが、それでも「借り一つ」になる感じだ。
話題2:営業活動としての打ち合わせ
受注前の打ち合わせは、フリーランスの場合は特に「営業活動」でもあるので、失注したからってその分だけは請求、なんてわけにもなかなかいかない。受注しても費目として「打ち合わせ」なんて出しにくいものだ。普通はまあ、受注した総額の中になんとなく吸収されるんだけれど、最大で5万なら対面というのは受注できてもちょっと吸収しきれない気がする。
とはいえあらゆる意味で打ち合わせ一切なしだとそもそも仕事が進められないのだから、まあメールで「これこれしてください」「こういうことですか?」「いいえ、こういうことです」「しました」「ここだけちょっと修正お願いします」「やりました」「オッケーですありがとう」くらいかなあ。発注先は質問と最低限の連絡だけで済むくらいにしないと、割に合わない感じになるだろうな。
話題3:時給で計算する
「5時間で5万円なら時給1万円なんだから、安くはないだろう」という書かれ方があった。まあ、そうだ。ただ、受けた本人が自分を説得するor慰める意味でそう思うのはいいけれど、発注元がそれを言うと感情を逆なでるよな、とは思う。しかし、フリーでやっていて5時間で済む仕事を5万円で恒常的に請けられてれば、月に50時間の労働で50万円の売り上げか。金銭的にはそれならそれで、自分だったらいいなあ。
話題4:質で計算する
「デザイナーが作業するという作業に対して5万」ではなく、「上がってくるデザインの価値に5万」ならどうだろうか。これが本当に難しい。上がって来たカンプをクライアントに見せて「5万の価値があるんですよ。判る人には判るんです。エヘヘっXP」なんてアメリカ風の顔文字混じりで言っても許してはもらえない。「コレコレこういう根拠で、このデザインには5万円の価値があります」と言えなきゃ納得してもらえない。その「コレコレ」ってのは本当に難しい。費用対効果的に5万の価値がありますとか言えると楽だけど、それだって「コレコレだから費用対効果的に5万の価値はあります」と言う必要がある。ましてや10万20万だったら「このデザイン1ページでコレコレだから20万円の費用対効果はあります」って、どうやって納得してもらうんだろう…。普通のディレクターならそれくらいは言えて当たり前なんだろうか。片面1ページのパンフレットのデザインだって、相場としてはそんなにしないんじゃないだろうか。まあそういうのはUIのデザインがないにしても、その分絶対的に限られたスペースへ全部納めるとかする大変さはあるだろうし、ワイアフレーム提供の場合は「画面設計」「UIデザイン」みたいな作業はそんなに発生しないはずだしなあ。
話題5:余談
これはちょっと外注さん云々からは離れるんだが、web業界以外の人と話をしていると、やっぱりサイト制作は「一般的に高い」と思われてる気がする。自分としては「そんなことないよ。適正か安いくらいだよ」と言いたいところだが、どうも自信を持ってそうは言えない。
クライアントの業種とか次第だけど「同じ額をweb以外の販促に当てた場合と、ランニングコストも含めてwebサイトの方が費用対効果的に優れている」とは言い切れない。「このサイトなら優れている」って場合はあるにしても、一般的に。「コスト以上の大きな効果が出る可能性はある」とは思うが、「他の販促と同程度、あるいはそれを下回る効果しかない」ってのもままあるんじゃなかろうか。
あるいは「自分がよく行く近所の小さなラーメン屋。むちゃくちゃな比較だとは判ってるけど、このラーメン屋と同程度の純利益をあげたい場合、同じ初期費用とランニングコストのwebサイトで達成可能だろうか?」と考えると可能だとは断言できない。これも「このサイトなら」ってのはあるが、一般的に。まあ、ラーメン屋の回転資金とか運転資金がどれくらいか知らんが。ラーメン屋でなくてもいいし。本屋とか八百屋とか美容院とか。ま、美容院と八百屋で同じ比較をしても、やっぱり答えは判らないのだけれど。
とはいえ、こうした疑問に対して「一般的に優れている」「一般的に利益を上げられる」と依頼側も受注側もさして疑念なく認められるようでないと、「高いよ」と思われても仕方ない気はする。「高いよ」ってのが現実に妥当か不当かはともかく。つまりまあ、「じゃあ、この初期費用とランニングコストでそれ以上の費用対効果or収益が上がるんですね?」ってのが私なんかのレベルだと最も返事に窮する質問だ。
「もちろんです!」→「じゃあ、ダメだったときは保障なり引責なりしてくれるんですね」→「…」
「ええ。まあ」→「…」
「くぁwせdrftgyふじこlp」→「…」
いかん。いずれも死亡フラグだ。いや、まあちゃんとした答えようはあるけど、そもそもの企画立案自体がこちらの提案だったらキツいな。
とまあそういうわけで、とかくお金については難しい。
というのを読んだ。まあ、非難ゴウゴウのようだ。
要約すると「TOPページデザイン5万くらいのホームページ制作だが、募集してもまともな人が応募してこない。まともな人は高すぎる。たしかに発注金額は高くないが、そのぶんサポートはやるんだけど。どうなってるんだ、WEB業界で働く人間は」という話。
それに対する意見を述べている人がのきなみ「TOPページデザイン5万の単発案件なんざ」的な感じなんだけれど、実際には
なので、「トップページのデザインに5万」が1案件なのか、1案件の費目の一つとして「トップページのデザインに5万」なのかは判然しない。まあ、訂正されないし「1案件に付き、何万も何十万も出せない」なので、「トップページのデザイン」が1案件なんだろうか。そうなると他のページは誰がどうすんのか。TOPだけリニューアルするんなら下層ページとデザイン的な整合性が要るだろうし、そうなると共通する見出しなんかのパーツは基本的にデザインされてるものがあるだろうし…。この話の上ではどうでもいいことだが釈然としない。1案件に付き、何万も何十万も出せない。トップページのデザインに5万前後が良いところだ。
あと上記を書いた人が「まともな人」だと思う人の提示額が高いんなら、その人たちはその費用感でも仕事があるんだろうから、わざわざ安く感じる仕事は請けてくれないだろうな、とは思う。もし「仕事なくて困ってるし、自分の提示額で受注したこともないけど、単価が安いから請けない」って人ばかりだったら、ちょっと「どうなってるんだ、WEB業界で働く人間は」とも思うけれど。
実際のところ「TOPページデザイン5万」というだけでは高いも安いもない。要件によるだろう。たまに「サイト作って欲しい。予算は○○円」というオーダーで「ちょっと安いなあ」と思いつつノコノコ話を聞きに行ったら超簡単な仕事だったので、絶対的な額は低いが割りのよさで行くと美味しい仕事だった、なんてケースもなくはない。普通はないけど。サイト全体で受注できていれば、総額にもよるけれど見積りの費目上TOPページデザイン5万円という割り振りはあったりするし。
ともあれ「TOPページデザイン5万」という情報だけで高い安いというのは、底辺である自分でもディレクターとして言っちゃいかん気がする。いや、まともなディレクターなら「どういう要件であれ安すぎ。やってらんねえよ」ってものなのかもしれないが。
それはさておき。ちょっと費用についてまとまらないまま漫然と書いてみよう。せめて多少なりとも読みやすいように、おおまかな話題ごとに分けてみる。
話題1:どれくらいなら頼めるか?
過去に取引歴のない相手に「TOPページ単発のデザイン発注。予算5万」で、どれくらいならさして心痛まず頼めるかを個人的感覚で書いてみる。
・FIX状態のワイアフレーム提供
・テキスト支給
・写真、イラスト支給
・客先との直接遣り取りナシ
・まずはメールで。対面の打ち合わせは双方が必要と思わなければナシ
・(漠然とだが)それほど凝ったデザイン処理が要らない、求められない
まあ、こんなところか。あと、できれば「カンプは1案。修正は簡単なところを1回」くらいはクライアントに取り付けておきたい。2案の場合は「色違い2案」か「テクスチャがちょっと違う2案」くらいかな。「まったく違うもの最低2案」とかだと申し訳ないというか発注先が思い浮かばない。いや、少なからず付き合っていただいてるところなら発注先として浮かばなくもないが、それでも「借り一つ」になる感じだ。
話題2:営業活動としての打ち合わせ
受注前の打ち合わせは、フリーランスの場合は特に「営業活動」でもあるので、失注したからってその分だけは請求、なんてわけにもなかなかいかない。受注しても費目として「打ち合わせ」なんて出しにくいものだ。普通はまあ、受注した総額の中になんとなく吸収されるんだけれど、最大で5万なら対面というのは受注できてもちょっと吸収しきれない気がする。
とはいえあらゆる意味で打ち合わせ一切なしだとそもそも仕事が進められないのだから、まあメールで「これこれしてください」「こういうことですか?」「いいえ、こういうことです」「しました」「ここだけちょっと修正お願いします」「やりました」「オッケーですありがとう」くらいかなあ。発注先は質問と最低限の連絡だけで済むくらいにしないと、割に合わない感じになるだろうな。
話題3:時給で計算する
「5時間で5万円なら時給1万円なんだから、安くはないだろう」という書かれ方があった。まあ、そうだ。ただ、受けた本人が自分を説得するor慰める意味でそう思うのはいいけれど、発注元がそれを言うと感情を逆なでるよな、とは思う。しかし、フリーでやっていて5時間で済む仕事を5万円で恒常的に請けられてれば、月に50時間の労働で50万円の売り上げか。金銭的にはそれならそれで、自分だったらいいなあ。
話題4:質で計算する
「デザイナーが作業するという作業に対して5万」ではなく、「上がってくるデザインの価値に5万」ならどうだろうか。これが本当に難しい。上がって来たカンプをクライアントに見せて「5万の価値があるんですよ。判る人には判るんです。エヘヘっXP」なんてアメリカ風の顔文字混じりで言っても許してはもらえない。「コレコレこういう根拠で、このデザインには5万円の価値があります」と言えなきゃ納得してもらえない。その「コレコレ」ってのは本当に難しい。費用対効果的に5万の価値がありますとか言えると楽だけど、それだって「コレコレだから費用対効果的に5万の価値はあります」と言う必要がある。ましてや10万20万だったら「このデザイン1ページでコレコレだから20万円の費用対効果はあります」って、どうやって納得してもらうんだろう…。普通のディレクターならそれくらいは言えて当たり前なんだろうか。片面1ページのパンフレットのデザインだって、相場としてはそんなにしないんじゃないだろうか。まあそういうのはUIのデザインがないにしても、その分絶対的に限られたスペースへ全部納めるとかする大変さはあるだろうし、ワイアフレーム提供の場合は「画面設計」「UIデザイン」みたいな作業はそんなに発生しないはずだしなあ。
話題5:余談
これはちょっと外注さん云々からは離れるんだが、web業界以外の人と話をしていると、やっぱりサイト制作は「一般的に高い」と思われてる気がする。自分としては「そんなことないよ。適正か安いくらいだよ」と言いたいところだが、どうも自信を持ってそうは言えない。
クライアントの業種とか次第だけど「同じ額をweb以外の販促に当てた場合と、ランニングコストも含めてwebサイトの方が費用対効果的に優れている」とは言い切れない。「このサイトなら優れている」って場合はあるにしても、一般的に。「コスト以上の大きな効果が出る可能性はある」とは思うが、「他の販促と同程度、あるいはそれを下回る効果しかない」ってのもままあるんじゃなかろうか。
あるいは「自分がよく行く近所の小さなラーメン屋。むちゃくちゃな比較だとは判ってるけど、このラーメン屋と同程度の純利益をあげたい場合、同じ初期費用とランニングコストのwebサイトで達成可能だろうか?」と考えると可能だとは断言できない。これも「このサイトなら」ってのはあるが、一般的に。まあ、ラーメン屋の回転資金とか運転資金がどれくらいか知らんが。ラーメン屋でなくてもいいし。本屋とか八百屋とか美容院とか。ま、美容院と八百屋で同じ比較をしても、やっぱり答えは判らないのだけれど。
とはいえ、こうした疑問に対して「一般的に優れている」「一般的に利益を上げられる」と依頼側も受注側もさして疑念なく認められるようでないと、「高いよ」と思われても仕方ない気はする。「高いよ」ってのが現実に妥当か不当かはともかく。つまりまあ、「じゃあ、この初期費用とランニングコストでそれ以上の費用対効果or収益が上がるんですね?」ってのが私なんかのレベルだと最も返事に窮する質問だ。
「もちろんです!」→「じゃあ、ダメだったときは保障なり引責なりしてくれるんですね」→「…」
「ええ。まあ」→「…」
「くぁwせdrftgyふじこlp」→「…」
いかん。いずれも死亡フラグだ。いや、まあちゃんとした答えようはあるけど、そもそもの企画立案自体がこちらの提案だったらキツいな。
とまあそういうわけで、とかくお金については難しい。
トラックバックURL↓
http://hamkatsuya.blog104.fc2.com/tb.php/163-70d7f083
| ホーム |