バルト三国へのハイブリッド戦争の可能性、別の視点から
Dobry vecer!
エリシュカです。
今回は前回のエントリで述べたことを、別の視点から論じてみたいと思います。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM21H2H_R20C16A3FFB000/プーチン外交は弱さの表れだ
今回はこの記事で述べられているロシアの対外政策の目的に沿う形で考えてみたいと思います。
記事のように戦争を国内向けプロパに使用しているのであればそれは派手なものでなければならず、だとすると今後露がどこかにしかけるならば陰謀的で隠微なタイプのハイブリッド戦争ではない冒険的な見栄えのするものになる可能性があります。
戦争に国内向けプロパという意味があるのならシリアから手を引いた今また欧州方面で出てきそうですが、ウクライナでの戦争をさらに推し進めるという選択肢はどうでしょう。タフネスをアピールするならバルト三国でのハイブリッド戦争、というのをどうにも考えてしまいます。
以前バルト三国に対する戦争の可能性について論じていた記事で論者がNATOの5条対応(集団防衛)を招くやり方ではなく政権転覆・露系扇動などの陰謀的な方法をとるだろうと言っていましたが案外目立つやり方でくるかもしれません。
NATOがハイブリッド戦争も共同防衛行動の対象にすると言いつつ実際現地の露系の扇動、露軍の潜入・現地露系への偽装という事態が生じたとしてそれをハイブリッド戦争と認めるか否かの段階で、露に対する政策面での加盟国内の温度差見ると揉めそうで、そこに期待をかける可能性は十分にあると思います。それにウクライナの場合でも示されたようにクレムリンが露軍の関与を否定していても国民は盛り上がりました。
さらにバルト三国で露系蜂起という形のハイブリッド戦争がなされた場合にマイノリティーの保護というEUの建前から西側をジレンマの立場に立たせることも考えられます。
この記事のようにバルト三国が国境にフェンス作りはじめたのは現地では危険が増大してきたという意識があるのでしょうか。
http://www.reuters.com/article/us-europe-migrants-baltics-idUSKCN0WA1JN
ウクライナでの戦争は国内世論高揚のためのツールとしては疑問符が付くと思います。今の状態でダラダラやっているのはあれ以上できないのか沿ドニエストルを巻き込んでオデッサ州あたりで何か工作してて今後何かやるつもりなのか、何のところ何とも言えませんが。
ちなみに、露が北極海・北海方面で圧力かけてるのはNATOに負担をかけてバルト海方面へ割ける戦力を削減させる目的もあるのかもしれません。この方面での露の潜水艦のプレゼンスは冷戦後最もアグレッシヴになっていると 記事にあります。
http://www.atlanticcouncil.org/blogs/natosource/russia-s-growing-threat-to-norway-and-the-north-atlantic
事が起きるのがバルト海方面であってもどのみち地理的にノルウェーにも影響出ることになります。NATOがノルウェーで冬季訓練Cold Response 2016を行ったのはノルウェー防衛戦以外にスウェーデンやフィンランドに展開する事態も想定してのことなのでしょうか。実際にこの2国は訓練に参加しています。
これまで見てきた限りでは南東欧の不安定化は工作でなんとかなります。軍事力の使いどころとしてはやはり北を考えてしまいます。
今回はこんなところでしょうか。
それでは、Na shledanou!
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