アルバニア・セルビアサッカー試合乱闘事件の余波

Доброго вечора!
教祖です。
一つ前のエントリで10月14日に行われたアルバニア・セルビアのサッカー試合乱闘事件の余波として生起した複数の国でのアルバニア人と他民族との小規模衝突について書くと予告したのですが、
今のところセルビア国内での燻り以外深刻な事態に至っていないので、とりあえず簡単にご紹介したいと思います。
この件、アルバニアサポーターの観客席からの無人機によりピッチに大アルバニア主義の地図が投げ込まれたという非常に思わせぶりなものです。
この件に関してはアルバニアのラマ首相の兄弟であるオルシ・ラマが同首相のセルビア訪問の失敗を狙ったものだという見方も出ています。
ここではその件について推理はしませんが、とりあえず、アルバニアの国内問題によってもアルバニア及びアルバニア系住民が居住するところではいつでも民族衝突が生起する可能性があるということを認識しておけばよいと思います。
セルビア国内、及びアルバニア国内、モンテネグロ、オーストリアで暴力事件が生起しました。
この記事が概要ですが、
http://www.b92.net/eng/news/crimes.php?yyyy=2014&mm=10&dd=16&nav_id=91921
この件について上記のラマ首相はセルビア非難を行っています。セルビア訪問時にどのような会談を行うのか注目されます。
上でアルバニア国内と書きましたが、これはセルビア人を対象にしたものではありません。
アルバニア南部、ジロカスタルに近いギリシア系居住地域でアルバニア人による暴力事件が発生しました。
http://www.ekathimerini.com/4dcgi/_w_articles_wsite1_1_15/10/2014_543749
ギリシア側はアルバニアに事件の早期解決(犯人の逮捕・処罰)と再発防止策について要求しています。
http://www.b92.net/eng/news/region.php?yyyy=2014&mm=10&dd=17&nav_id=91938
アルバニアのギリシア系とギリシアのアルバニア系というのも厄介な集団です。
ギリシアの民族派にとってアルバニア南部というのはギリシアの固有の領土である「北エペイロス(エピルス)」であり、またギリシア国内でのアルバニア人の犯罪などでギリシア人の対アルバニア感は良好ではありません。
2010年三月にギリシア国境警備隊がパレードでアルバニア人とマケドニア人を揶揄するシュプレヒコールを行い国際問題化したことについては以前ここのエントリで書きました。
http://crnogorac.blog117.fc2.com/blog-entry-15.html
アルバニア側にしてもギリシアに対する不信があり、また歴史的なギリシア国内でのアルバニア人の扱いについてもネガティヴな印象を持っています。
ちなみに今回の件のジロカスタル(ジロカストラ)はこの地図の通りなのですが、
https://www.google.co.jp/maps/place/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%8B%E3%82%A2+%E3%82%B8%E3%83%AD%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9/@40.0672874,20.1045229,7z/data=!4m2!3m1!1s0x135b0331d7262f4d:0x565adea38cf275fc
この上、オフリド湖の南にコルチャという街があるのがわかると思います。
このあたりの住民はスラヴ系です。
僕がブルガリア人の教授から聞いた話ではここの住民は自分達はブルガリア人であると称しているとのことですが、とりあえず「スラヴ系」としておいたほうが無難です。
「マケドニア人」というのは、旧社会主義ユーゴスラヴィア国内においてマケドニアに住み特有の言語を話すスラヴ系に「与えられた」民族名であり、アルバニア、ギリシア、ブルガリアに住むこのスラヴ系民族には統一された民族名が無く、自分が何人であるかはその人の判断に任されているという状況です。
マケドニアのマケドニア人が標榜する「大マケドニア」にはこの部分は必ず入っています。
モンテネグロの首都ポドゴリツァの郊外のアルバニア人が多い地区ではアルバニア人とモンテネグロ人の高校生同士の衝突が起きました。
記事によると、以前からこの地区ではアルバニア人の民族主義的示威行為が行われていたと言うことです。
http://www.balkaninsight.com/en/article/violent-clashes-erupt-at-albanian-school-in-montenegro
以上、今回は手短にお伝えしました。
今日はこんなところでしょうか。
それでは、До побачення!
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